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住宅取得のための資金を祖父母や両親などの直径尊属から贈与された場合、一定額まで非課税になる「住宅取得等資金贈与の特例」という制度があります。通常、1年で110万円超の贈与に関しては、贈与税の対象になり、非課税枠は1,200万円が上限。これが、消費税が10%に引き上げられるのを理由に、2019年4月4日から2021年12月31日までに住宅用家屋の新築等に関して契約した場合、贈与税・非課税枠の上限が、最高3,000万円までに引き上げられます。■ 1.非課税枠が1,200万円→3,000万円までアップABC / PIXTA(ピクスタ)現行制度では、「質の高い住宅(※)」なら1,200万円まで非課税になります。そのため、これに年間の基礎控除110万円を加えて1310万円まで非課税で贈与を受けられることになります。これが消費増税後は3,000万円+110万円=3,110万円に増額となるのです。1-1.贈与を受ける者の用件は?ABC / PIXTA(ピクスタ)この制度が適用となるのは住宅の取得に充てるために金銭の贈与を受け、実際にその金銭を住宅の取得資金に充てていること直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与であること贈与を受ける者がその年1月1日において20歳以上であること贈与を受ける者の所得金額が2,000万円以下であること贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡を受けていること贈与の翌年3月15日までに居住していること、又は居住することが確実であると見込まれ、同年12月31日までに居住していること建物の登記床面積が50㎡以上240㎡以下であること贈与の翌年2月1日から3月15日までに一定の書類を添付した申告書を提出することを満たしていることが条件となります。1-2「質の高い住宅」とは?kou / PIXTA(ピクスタ)「質の高い住宅」とは次のいずれか1つの条件を満たすもののことです。断熱等性能等級に係る評価が等級4の基準に適合している住宅構造躯体の倒壊等防止に係る評価が等級2又は等級3の基準に適合している住宅地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止に係る評価が免震建築物の基準に適合している住宅一次エネルギー消費量等級に係る評価が、等級4又は等級5の基準に適合している住宅高齢者等配慮対策等級に係る評価が、等級3、等級4又は等級5の基準に適合している住宅(国土交通省告示第389号)■ 2.適用前と後、どう違う?ABC / PIXTA(ピクスタ)もし、1,310万円の贈与を受けたら、旧制度の場合は基礎控除の110万円を差し引いた1,200万円が課税対象です。1000万円超1500万円以下の贈与の場合は税率が40%。税額は(1310万円-110万円)×0.4(40%)-190万円(控除額)=290万円となります。税額は290万円だから、1310万円の贈与を受けても、実際に住宅取得資金に充てられる金額は1,000万円ほどに減ってしまうのです。適用後は3,000万円まで控除となるので税額はゼロです。1,310万円丸ごと住宅取得に充てられるようになるのはうれしいですね。■ 3.まとめこれらのことを頭に入れ、住宅購入のタイミングを見計らうべきです。多額の贈与を受ける予定のある人は、2019年4月以降にするようにしましょう。*この記事の情報は2019年6月時点のものです。
2019年06月21日いま、1,500万円までは教育費を一括で生前贈与しても非課税になるって知っていた?今年3月で見直されてしまうこの制度。じつはうまく使えば、相続税を大きく減らすことができるんです。「現在、孫や子どもへの教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税という特例があります。しかし、この特例は今年の3月末で、見直されるんです」そう解説してくれたのは、円満相続税理士法人代表で相続専門税理士の橘慶太さん。’13年4月に始まった教育資金一括贈与の特例。現在、使うことができる代表的な5つの“特例”、「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」「夫婦間贈与の特例」「相続時精算課税の特例」のひとつで、子・孫が30歳になるまで、用途を教育費に限って贈与できる。高齢者の資産を若い世代に移すことで、世代間格差を是正しようというのが教育資金一括贈与の特例の“建て前”だが、じつはこれ、相続税の節税にも効果がある。「相続税は財産が大きくなればなるほど、税率も高くなる累進課税です。だから、生前贈与であらかじめ財産を減らせば、相続税も減らすことができますが、贈与税の基礎控除額は年間110万円まで。これを超えた額には贈与税がかかってしまいます。1,500万円を贈与しようと思えば、贈与の対象が20歳以上で366万円、20歳以下の場合は450万5,000円の贈与税がかかります。でも、この特例を使えば、贈与税はゼロ。つまり、即効性のある節税対策ができるのです」(橘さん)ただし、使用の条件は厳しい。「これは、30歳未満の子どもや孫の教育資金として使うなら非課税となる制度。信託銀行などに専門口座を開設し、教育資金として使われた証拠になる領収書を提出しなければいけません」(橘さん)ここでいう教育資金とは、幼稚園や学校、職業訓練学校の入学金や授業料。さらにPTA会費、修学旅行費、ユニホーム代もOK。塾や水泳教室、自動車学校などの習い事代、寮費用も含まれる。「ただし、留学費用としての渡航費はOKだけど、ホームステイ代はダメ。学校に直接支払われるものは、1,500万円まで非課税だが、業者などに支払うものは500万円までなど、細かいルールがあるので、気を付けなければなりません。領収書の提出を忘れると、教育費用として加算されないので注意が必要です」(橘さん)また、30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかることに。使途は教育費に限るうえに、お金の管理は孫や子ども名義の専用口座で行わないといけないなど、制限が多いこの制度。祖父母から孫に一括贈与する場合、親世代は恩恵をあまり受けていないように感じるかもしれない。『残念な相続』(日本経済新聞出版社)の著書などがある税理士の内藤克さんは利点をこう語る。「親世代にとっては、教育費が浮いたぶんを、ローン返済や貯蓄などに使えるわけです。つまり、祖父母から孫にお金が移動しているように見えて、実質的に自分たちがもらっているのと同じ(笑)。親の生前に確実に確保しておくという意味でも、特例を使うのはアリかもしれません」(内藤さん)また、橘さんも、ある条件のもとであれば、有効な制度だと語る。「死期が近くて、いますぐ相続税を減らしたい人には有効です。それから、『そのつど、教育費を払うね』と約束していても、子育て、孫育ては長期間。その間に、もし認知症になれば贈与が認められなくなりますので、元気なうちに確実に渡すため、制度を利用するという考え方もあるでしょう」ただし、この制度は今年3月末で終わってしまう、現国会で審議されている「2019年度税制改正」で、2年延長される見込みだが、子や孫の所得の上限ができるなど、やや制限される。「子や孫の年間所得が1,000万円を超えると、制度は使えなくなりますが、これに引っかかる人はなかなかいないはず。また、祖父母が贈与してから3年以内に亡くなって、その時に孫が23歳以上であれば、その時点で口座に残っている残高が相続税の対象となるように。相続税対策で始めても、すぐに祖父母が亡くなってしまったら、無意味になることも考えられます」(橘さん)これらの制限が適用されるのは、本年度の4月1日以降に契約した人。制限を避けようと思えば、3月末までの契約が必要だ。銀行で申し込んでから、すべての手続きに2~3週間はかかるが……。「『申込み基準』のため、ギリギリ3月末でもセーフ。でも、駆け込み需要も増えているので3月中旬には決断を」(信託銀行職員)とはいえ、相続税の節税目的なら、年間110万円の基礎控除の範囲内で、毎年贈与を行うのが“王道”だ。通常の贈与であれば、贈与されたお金の使途が問われることはない。さらに、贈与税を払ったほうが“お得”なケースもあるという。「ちょうど、資産の額が、相続税の税率が切り替わる境目にある場合、贈与税を払ってでも資産を減らしたほうが得になることもあります。ただし、非常に複雑な計算が必要なので、税理士などの専門家に相談したほうが安全です。現在は人生100年時代。行きすぎた贈与をすると、贈与した側が将来困窮する懸念もあります。さらに、偏った生前贈与で不平等が生じて、相続トラブルに発展することも」(内藤さん)生前贈与のご利用は計画的に!
2019年03月04日・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ の続きです。税金の制度が、すごい勢いで変化している中、いちばん大きな変化が起こっているのは、「贈与税」だという。このいちばんホットな「税金のおトク」分野である贈与税について、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんにお話を伺った。親が元気な30代にとって、贈与税はじつはもっとも活用できる税金といえるかもしれない。■贈与税がかからない「仕組み」が増えている「最近は、『教育』『住宅取得』など、はっきりとした目的のある場合は、贈与税をかけない仕組みが増えています」(湊さん)贈与税を緩和することで、世の中に流れていくお金を増やし、社会全体のお金の流れを良くしようというのが狙いだという。今回の取材で、私が「一番面白い!」と感じたのは、この「贈与税が緩和された意図」だ。少しマニアックな話になるかもしれないが、「税金を身近に感じるキッカケになるのではないか?」と思ので、贈与税が緩和された「裏事情」をお話しておこう。■平均寿命が延びたことが、贈与税緩和につながるいままで「贈与税」は、「相続税」に比べると割高な税金だった。なぜなら、国はお金の世代間の移動に課せる税金は、「相続税」で行おうとしていたからだ。簡単に言えば、親が亡くなり相続が起きるときには税金は優遇するが、親が生きているときにお金が世代をまたぐことは(贈与すること)は、あまり良しとしていなかった。けれども平均寿命が延びた昨今。パパママ世代がもっとも大金を必要とする時期(「住宅の頭金準備」や「教育費のピーク」)に、おおかたの親は元気で、相続が起こらない。そうすると、どうなるか? 本来、社会に流れるはずのお金が、高齢者の元に留まってしまうのだ。このあたりのお金の流れをスムーズにするために、贈与税の仕組みが緩和の方向へと向かっているそうだ。それでは贈与税が、どれくらい家計を元気にするのか? 「住宅購入資金の特例」を例にとり、具体的な数字を出して紹介しよう。■住宅購入資金で、親もパパママも税金対策できる父母、祖父母など直系尊属の人が、子どもや孫に住宅取得のための資金として贈与した場合には、購入する住宅の種類や購入契約時期に応じて、最高で3,000万円(消費税が10%に引き上げられるまでは最高1,200万円)までの贈与が非課税となる。Q. 「住宅購入資金の特例」は、どれくらい家計を元気にしますか?A. たとえば1,000万円を住宅資金として贈与された場合、177万円です。「住宅購入資金の特例を使わない場合」と「住宅購入資金の特例を使った場合」を比較してみよう。■特例を使わない場合→住宅資金贈与で「贈与税」がかかってしまう父が息子(パパ)に1000万円の住宅取得資金を贈与した場合、次の計算式により、通常の贈与税が計算される。(1,000万円 − 110万円(基礎控除額)) × 30%(通常税率)− 90万円(直系卑属への贈与に関する速算表計算した数字)=177万円(贈与税)税金で差し引かれてしまう金額は、案外大きいことがおわかりいただけただろうか。せっかく父が1,000万円を息子にあげようとしても、177万円もの税金を支払う必要が出てしまうのだ。結果、息子が実際に手にするお金は823万円になってしまう。父の側からみると、財産が1,000万円減少するので、少なくとも相続税対策にはなっている。だから、贈与をすること自体は、「支払う税金を少なくする」という意味では、悪いことではない。しかし父が贈与してから万が一3年以内に亡くなってしまうと、その贈与がなかったことになってしまうというデメリットがあるので注意が必要だ(※1)。※1 これを「3年以内贈与規制」という。参考サイト:国税庁「 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税) 」■特例を使った場合→住宅資金贈与で、親もパパママも税金対策できる「住宅取得資金の贈与の特例」(※2)を使うと、1,000万円全額が非課税となるので、贈与税を支払う必要がない。つまり、その分の金額177万円で家計が元気になる。もちろんこの場合も、父の財産は1,000万円減少するので、相続税対策になる。さらに、住宅購入資金の特例を使った場合は「3年以内贈与規制」にも引っかからない。つまり、「パパママ側」「親側」両方で、いつでも税金対策を行える心強い仕組みなのだ。※2 正式名称「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」参考サイト:国税庁「 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税 」次回は、「住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人」です。この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)湊 義和さんプロフィール中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
2017年04月11日子育てや教育には何かとお金がかかるもの。祖父母から孫へ「援助したい」といってもらえたら、とてもありがたいですよね。でも、このとき気をつけなければいけないのが贈与税です。贈与税がかかる金額や条件など、制度のことを前もってきちんと知っておきましょう。■祖父母からの援助でも贈与税は発生する!?贈与税というのは、個人から財産をもらったときに発生する税金です。ただし、祖父母や親から、生活費や教育費などを必要なときにその都度渡す場合は、贈与税はかかりません。また、それ以外に使うお金であっても、年間で110万円以下であれば、贈与税は発生しません。ただ、ここで気をつけたいのが、「必要なときにその都度」なら非課税、ということ。たとえば「孫の将来の大学入学費用に」「教育費を数年分まとめて」などの理由で、祖父母からまとまった額の援助を受けてしまうと、それは贈与税の対象になってしまいます。 ■1,500万円まで一括贈与が非課税になる「教育資金一括贈与制度」とは実はこのような教育資金の一括贈与について、もらう側1人につき1,500万円までが非課税になる「教育資金一括贈与制度」という制度があります。通常の贈与の場合、非課税になるのは年に110万円までですが、この制度を活用すれば、祖父母が「孫のためにまとまった援助を」と言ってくれても税金がかからずに済みます。ただし、この制度を利用するには、いくつかの条件があります。1つ目は、贈与を受けたお金の使い道は教育資金に限られる、ということ。たとえ子どものためであっても、洋服代やおもちゃ代などには使用できません。対象となるのは入学金や授業料などのほか、通学定期代や給食費なども。塾や習い事の費用は500万円までなら対象になります。2つ目は、制度を利用するためには金融機関に専用口座を開設し、きちんと申請を行わなければいけない、ということ。お金を引き出す場合には、領収書などの提出も必要になります。申請方法はそれぞれの金融機関によって異なるので、一括贈与を考える場合は事前に銀行などで相談するとよいでしょう。■意外なデメリットも!? 「教育資金一括贈与制度」の注意点祖父母が「元気なうちに孫にまとまった援助をしたい」「援助の対象を教育資金に限定したい」などと考える場合はメリットになる、この「教育資金一括贈与制度」。でも、思わぬ落とし穴もあるので注意が必要です。贈与を受けてから「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、デメリットもしっかり知っておきましょう。まず、一括贈与されたお金は、贈与を受けた本人が30歳になるまでに使わなければ非課税の対象になりません。教育資金として使いきれなかった分は贈与税の対象になるため、たとえ範囲内であってももらいすぎには注意しなければいけません。また、たとえ祖父母が援助を申し出てくれたとしても、祖父母自身の老後資金が足りなくなっては本末転倒です。一括贈与をしたあとで「やっぱり返して」というわけにはいかないため、将来を計画的に考えることが必要です。「教育資金一括贈与制度」は、一見すると非課税の範囲が大きくお得なようですが、人によっては毎年110万円までの贈与の方がメリットが大きいこともあります。祖父母が「孫に援助したい」と言ってくれたときには、よく話し合って、子どもにとって有益な方法を選びたいですね。
2016年09月17日広島銀行はこのたび、2016年1月4日に高齢化社会の進展や、相続税制変更により高まる生前贈与ニーズに応えるため、全国の地方銀行で初めてという、信託機能を活用した個人の顧客向け新商品「〈ひろぎん〉想いつづく信託」(暦年贈与信託)の取扱いを開始すると発表した。○「〈ひろぎん〉想いつづく信託」(暦年贈与信託)の特徴贈与手続きの負担軽減:贈与の意思確認や振込等の贈与手続きを広島銀行がサポートする相続人以外にも贈与可能:相続人だけでなく3親等以内の親族へ、最大5名まで贈与が可能毎年の贈与記録が残る:長期にわたり複数の受贈者に贈与する場合でも、贈与取引の記録が残る○商品概要対象となる人:個人の顧客信託金額:500万円以上(1万円単位)追加信託:追加信託可(100万円以上、1万円単位)信託期間:5年以上30年以内(1年刻み)、中途解約は原則不可受贈者:3親等以内の親族残余財産の受取:指定可(推定相続のうち1名のみ)元本補填:あり預金保険:適用信託報酬:管理報酬/信託設定時、追加信託設定時に申込金額の1.62%(消費税込み)、運用報酬/信託期間中に運用報酬(信託金の0.01%程度)
2015年12月08日今年、相続税の制度変更があり、過去に例を見ないほど、「生前贈与」が話題になっています。従来からあった住宅取得資金贈与のほか、最近では子どもや孫の教育資金や結婚資金、子育て資金の贈与など、非課税で贈与できる制度はありました。しかし、制度を理解していないと、思わぬ落とし穴を見落とすことになりかねません。○まず、どんな非課税制度があるのかチェックもともと税制において、贈与税は税率が高く、非課税の枠を使わないと高額な税金が課せられる仕組みになっています。贈与税は受け取った人が支払うもので、厚意から贈られたはずなのに、多額の税金を支払うことになるのでは、元も子もありません。どんな非課税制度があるのか、まずはチェックしましょう。非課税の暦年贈与対象者(贈与する人、贈与を受ける人)は特に条件はなく、年間110万円までは基礎控除で非課税となります。住宅取得資金贈与親や祖父母が、子どもや孫の住宅取得のための資金を援助する際、1000万円(一定の基準以上の住宅は1500万円)まで非課税となります。相続時精算課税60歳以上の親や祖父母が20歳以上の子どもに贈与する際、2500万円までは非課税。相続が発生した際に、税額を精算します。住宅取得のために資金を使う場合は、親の年齢制限はありません。教育資金贈与信託親や祖父母が子どもや孫に、教育資金として贈与するもので、学校の入学金や授業料など、使用目的は限定され、金融機関と契約して専用口座で管理します。上限は1500万円。結婚・子育て資金親や祖父母が20歳以上50歳未満の子ども、孫に、挙式費用や新居の家賃、出産費用、不妊治療費、子育てにかかる資金を援助するもので、金融機関と契約して専用口座で管理します。上限は1000万円。○落とし穴(その1) - 非課税の特典を受けるには申告が必要非課税の暦年贈与に関しては、申告の必要はありませんが、前述した非課税の特典を受けるためには、実質的に非課税であっても、贈与があったことを申告する必要があります。これを忘れると、「(贈与額―基礎控除110万円)×税率(最低でも10%)-控除額」で計算された税額が課税され、さらに延滞税がかかる場合もあります。非課税だからと言って、申告しないと、のちのち痛い目にあうので、注意してください。特に、利用者が多い、住宅取得資金贈与については、実際に住宅を取得した後、税務署から「お尋ね」が送られてきて、取得に関しての資金の出どころについての確認が行われます。この時に、申告漏れが発覚するケースが非常に多いのです。なお、申告が必要ない暦年贈与に関しては、毎年110万円を10年にわたって贈与する、といった約束をしてしまうと、一括で1100万円贈与したとみなされる可能性があり、通常の贈与税がかかる場合があります。暦年贈与を利用する場合でも、毎年契約をする、通帳などに贈与の事実を残すなど、形を整えておくようにしましょう。あえて120万円など非課税枠を超えた贈与にし、超えた分の贈与税を支払うという方法も有効です。○落とし穴(その2) - 贈与のタイミングと申告期限に注意贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の3月15日までと期限が決まっています。ここで問題になるのが、住宅取得資金贈与です。この非課税の適用条件のひとつに、贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅を取得、入居することというものがあります。たとえば、2015年に贈与を受けた場合は、2016年3月15日までに取得、入居しなくてはならず、さらに、その日までに贈与の申告を済ませなければなりません。申告には登記に関する書類など多数あり、余裕を持って準備する必要があります。ギリギリの入居では、実際のところ申告に間に合わないということです。住宅に関しては、工期が遅れたり、引き渡しが遅れたりということもあり得ます。贈与のタイミングと住宅の取得、入居のタイミングを考えておかないと、非課税のはずだった贈与が一転、税金が重くのしかかってくることになります。頭金の支払いや工事費の支払いなどに充てるために、事前に贈与を受けたい場合もあるかもしれませんが、引き渡しが遅れそうといったケースでは、年が明けてから贈与を受ければ、申告期限は翌年ですから、余裕を持って準備することができるでしょう。○落とし穴(その3) - 非課税の適用期間に終わりがあるものも教育資金と結婚・子育て資金に関しても落とし穴があります。それは、一括で贈与したらそれで終わりではないという点です。教育資金に関しては、子どもが30歳になった時点で精算します。その時に贈与されたお金が口座に残っていた場合、残った金額に対して贈与税がかかるのです。結婚、子育て資金も同様に、子どもが50歳の時点で精算されます。また、贈与されたお金は、専用口座で管理されますが、使用目的が限定されているため、使った分は領収書などが必要で、契約している金融機関に提出しなければなりません。これが数年~数十年続くわけですから、継続してマメに管理できないと、最終的にはお金が残り、贈与税が課せられることになりかねません。以上のように、贈与にはさまざまな非課税制度が設けられていますが、使い方を間違えると思わぬ税金がかかってきます。子や孫への常識的な範囲での結婚費用の援助や学費などの援助は贈与にあたらないので、その都度必要な資金を受け渡すほうが、面倒な手続きをしなくても済む、という考え方もあり、必ずしも、一括で贈与することが得策ではありません。特に相続税対策として、生前贈与を慌てて実行しても、相続開始3年前までの贈与は、相続税の計算時には、課税財産に組み込まれるので、あまり意味がありません。もし、不安なことがあれば、税務署に相談する、税理士に相談するなど、専門家のアドバイスを受けるようにしてください。(※写真画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>伊藤加奈子マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。
2015年08月06日四国銀行は8月3日、<四銀>結婚・子育て資金贈与専用口座「家族の未来」の取扱いを開始した。○結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置に対応する商品<四銀>結婚・子育て資金贈与専用口座「家族の未来」は、2015年度税制改正「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に対応する商品であり、世代間の資産移転の促進を目的としているという。四国銀行は、同商品の取扱いにより大切な"家族"の"未来づくり"を通じて「地方創生」を応援するとともに、今後も贈与・相続関連サービスの充実を図っていくとしている。○「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」のポイント受贈者が贈与者より結婚・子育て資金として贈与された資金を金融機関の専用口座に預け入れた場合、実際に結婚・子育て資金として支払われた資金(最大1,000万円まで)が非課税となる結婚資金のうち一定のものについては、上記1,000万円の範囲内で最大300万円まで非課税となる非課税措置の対象は、贈与により取得した金銭を平成31年3月29日(金)までに預け入れた場合となる(贈与契約後2ヵ月以内に預け入れる必要がある)引き出し時は、結婚・子育て資金に充てたことがわかる領収書等の提出が必要受贈者が20歳から50歳になるまでの結婚・子育て資金が対象特約期間中に贈与者(父母・祖父母など)が死亡した際、死亡時に結婚・子育て資金の支払いに充てられていなかった残額がある場合、当該残高は贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる
2015年08月03日伊予銀行はこのたび、結婚・子育て資金一括贈与預金「いよのめぐみ」の取扱いを開始した。2015年度税制改正により「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が創設されており、一定の条件のもと子どもや孫などの結婚・子育て資金を一括で贈与する場合には、受贈者一人につき1,000万円を限度(結婚資金は上限300万円)として非課税となる。このたび取扱いを開始する「いよのめぐみ」は、同非課税措置に対応した専用の普通預金で、結婚・子育て資金が必要となった際にスムーズに引き出し可能で相続税対策としても活用できる商品だという。 なお、学費や習い事など教育資金の贈与については、2013年6月から取扱いを開始した教育資金一括贈与預金「いよのかけ橋」が利用できるとしている。
2015年06月30日三井住友銀行は16日、祖父母や父母などから孫や子供などへの結婚・子育て資金の贈与を支援する個人向け預金商品「普通預金(結婚子育て資金贈与非課税口))の取扱いを開始した。同商品は、2015年度税制改正で創設された「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に対応するもの。なお、同制度に対応した預金商品の取扱いは、都市銀行では初の試みとなるという。同商品は、贈与する祖父母や父母などの"想い"である資金を、受贈者である孫や子供など名義の専用の普通預金口座で預かるもの。また、結婚・子育て資金が必要となった際に、全国の三井住友銀行本支店窓口にてスムーズに出金することが可能だという。ただし、同制度の適用を受けるためには、所定の期間内に結婚・子育て資金として使用したことがわかる領収書など、同制度で定められた書類の提出などの手続が必要。なお、同行では、口座開設手数料および管理手数料を無料としている。ただし、結婚・子育て資金を振込みで支払った場合の振込手数料、通帳を再発行する場合や各種証明書の発行にかかる手数料などは同制度の適用対象外となるため、手数料がかかる場合がある。同行では、今後も顧客の多様なニーズに応えることができるよう、より一層商品・サービスの充実に取り組んでいくとしている。
2015年06月16日国税庁はこのほど、2014年分の個人の確定申告状況を発表した。それによると、贈与税の申告納税額は前年比63.1%(1,084億円)増の2,803億円となり、現行の基礎控除額となった2001年以降で最高額を更新した。2015年1月の相続税改正前に駆け込みで贈与する人が増えたためとみられる。贈与税の申告書を提出した人は同5.6%(2万8,000人)増の51万9,000人。このうち、納税額がある人は同11.1%(3万7,000人)増の36万6,000人だった。所得税および復興特別所得税の確定申告書を提出した人は同0.2%(4万3,000人)減の2,139万1,000人とほぼ横ばい。このうち、申告納税額のある人(納税人員)は同1.6%(9万8,000人)減の612万人だった。納税人員の申告状況について2013年分と比較すると、所得金額は同3.6%(1兆3,784億円)減の37兆1,054億円、申告納税額は同0.0%(6億円)減の2兆7,087億円となった。株式等の譲渡所得を申告した人は同14.7%(16万1,000人)減の93万7,000人。このうち、所得金額のある人は同30.3%(20万人)減の46万1,000人、所得金額は同55.0%(2兆6,598億円)減の2兆1,759億円となった。
2015年06月01日親や祖父母から、子どもや孫が結婚や子育てに使う資金を1,000万円まで贈与しても、贈与税が非課税になる「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が、平成27年4月から始まります。国としても、非課税制度を利用してもらうことにより、高齢者層から若い世代に資金をシフトして、結婚や子育てを支援していく体制づくりを打ち出していることになります。みなさんのまわりにも、子どもや可愛い孫に資産を渡したいと考えている方がいると思いますが、子どもや孫にいきなり大きな金額を贈与すると、金銭感覚がマヒして浪費してしまい、やっぱりあげなければ良かった、なんてことになるのも困りものですよね。今回は、子どもや孫の金銭感覚を守りながらできる、生前贈与の方法を3つご紹介します。その1.教育資金として一括贈与してもらう父母や祖父母から30歳未満の子や孫に教育費を贈与した場合、受贈者(子や孫)一人に対し1,500万円まで贈与税がかからず非課税となる、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が、平成25年4月1日から平成27年12月末までの3年間の期間限定で創設されました。その後、延長が決まり平成31年3月末までとなっています。扶養義務のある親がその都度払う学費等はもともと非課税ですが、一括で子どもに贈与すると贈与税の課税対象となってしまいます。そのような時に、生前贈与の方法として活用したいのがこの制度です。この制度を使う際のポイントとして、金融機関に教育資金非課税申告書を提出し、教育資金口座を開設する。教育資金として払ったことが分かる証明書(領収書等)を提出して、その金額を口座から出金する。以下のいずれかに該当した場合、教育資金口座の契約は終了する。受贈者(子や孫)が30歳になった場合受贈者が死亡した場合口座の残高がゼロになった場合などが挙げられます。教育資金として認められるものには、保育園等の保育料、幼稚園の入園料、学校の受験料、学校の入学金、学費等の他、修学旅行費、学用品の購入、給食費等も含まれます。学校には、外国の学校や国内のインターナショナルスクールも該当します。また、学校以外の教育費としては、学習塾、野球や水泳等のスポーツに関する費用、ピアノや絵画教室等の芸術や教養に関する習い事、それぞれに必要な楽器や道具の購入も認められます(学校等以外に払う教育費は、500万円が限度)。前述したように、支払った領収書等の提出が必要な制度ですから、遊興費や飲食に充てることができないので、無駄遣いを防止することができます。なお、受贈者が30歳になった時に契約が終了しますが、その時、預金口座に残高がある場合、その残高は受贈者の贈与税の対象となります。この制度を使う場合は事前に教育資金の計画をしっかり立て、30歳までに使いきれるだけの金額を贈与することが重要なポイントですね。その2.贈与税の基礎控除を利用して、教育費の一部を祖父母に負担してもらうそこまで大きな金額ではなくても、学費や習い事等の費用を、おじいちゃんやおばあちゃんが負担している場合もあるのではないでしょうか。1月から12月までの1年間で、110万円までもらっても税金がかからない贈与税の基礎控除を上手に使い、毎年教育費を援助してもらうというのが2つ目の方法です。この方法を使うと、月々9万円程の援助をしてもらえることになるので、子育て世代にはとても大きな助けになりますね。この場合、祖父母から子どもや孫へ資金が移動していることが、後日でもきちんとわかるように、通帳に記録が残る振り込みで送金するなどして、いつ誰から、誰にいくら資金が動いたか証拠を残しておくことが大切です。その3.生命保険料を生前贈与してもらう3つ目の方法は、生命保険を利用する方法です。現金を渡されると、どうしても使ってしまいたくなりますが、生命保険という商品で渡されると簡単には現金化できないため、無駄遣いを抑制する効果が期待できます。その方法として、保険契約者 → 子どもまたは孫被保険者 → 親または祖父母死亡保険金受取人 → 子どもまたは孫という形で保険契約をした上で、毎年110万円以内の現金を保険料として親(祖父母)から子ども(孫)へ贈与します。贈与税の基礎控除の範囲内なので税金はかかりません。また、親や祖父母の財産から現金が減るため、相続する財産が少なくなり、相続税対策にもなります。親(祖父母)に万一のことがおきて、死亡保険金を子どもが受け取る際も、子どもが保険料を負担していた形なので、税法上一時所得となります。一時所得は次のように計算します。受け取った死亡保険金-支払った保険料の総額-特別控除額50万円=一時所得一時所得のうち課税対象額は、一時所得×1/2=課税対象額つまり、支払った保険料より多い死亡保険金を受け取っても、50万円を無条件に差し引いてくれた上、その半分しか課税対象にならないのです。ただし、あとで贈与税が課せられない生前贈与として認められるために、やっておきたいことが2つあります。贈与契約書を作っておく親(祖父母)の預金口座から子ども(孫)の預金口座に送金した上で、子ども(孫)の口座から保険料を支払うそして、親(祖父母)が加入する保険の種類は、「終身保険」が最適です。被保険者である親(祖父母)に万一のことがあった場合に確実に保険金が支払われるようにするためには、一定の年齢(年数)で満期を迎えて契約が終わる養老保険や、また、一定の期間で契約が終了してしまう定期保険ではなく、何歳で死亡しても死亡保険金が支払われる終身保険で準備しておくことが必要です。さらに、死亡保険金には「500万円×相続人の数」まで非課税で受け取れる、相続税の非課税制度があります。これを確実に使えるのも終身保険です。せっかくの非課税制度ですので、使えるように準備しておきたいところですね。ただ、生命保険は加入するための審査があります。年齢制限もあり、持病等があると加入しにくくなるので、親や祖父母が健康なうちに早めに対策しておきましょう。教育資金の一括贈与と結婚・子育て資金の一括贈与の違いとは?「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に続いて、今年の4月1日から始まる「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」では、受贈者(子や孫)一人につき限度額は1,000万円で、結婚やそれに伴う引っ越し・住居に関する費用、妊娠、不妊治療、出産費用にも非課税措置が適用されることになりました。ここでは、教育資金の一括贈与と比較してみましょう。教育資金の一括贈与と結婚・子育て資金の一括贈与の比較結婚・子育て資金の一括贈与は、子育てが落ち着く頃の50歳まで利用することができるようになりました。また、贈与者(父母や祖父母)が死亡した場合、相続税の課税対象になる点が教育資金の一括贈与との最大の相違点となっています。今回ご紹介した、子どもや孫の金銭感覚を守るために生前贈与を利用するには、どれも前もっての事前準備としっかりした計画を立てることが重要になります。この機会におじいちゃんやおばあちゃんと話し合い、せっかく新設された非課税制度も利用して、若い世代への資金援助と相続対策を考えてみてはいかがですか?コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年03月24日信託協会は2日、2014年12月末の教育資金贈与信託の受託状況を発表した。それによると、12月末の教育資金贈与信託の契約数は10万1,866件となり、前期(9月末)から1万2,765件増加した。信託財産設定額合計は前期比925億円増の6,973億円だった。教育資金贈与信託は、孫の教育資金として祖父母が金銭などを信託した場合に、1人当たり1,500万円まで贈与税が非課税となる制度を利用した信託商品。同協会によると、2014年4月1日の取扱い開始以降、新規の契約数・信託財産設定額が安定的に増えており、多くの人が利用しているという。
2015年02月03日2015年1月の相続から相続税法の改正が施行され、これまでより相続税の課税対象になる人が増えると見込まれています。この機会に相続税対策として、子どもや孫に生前贈与をして、相続税の課税対象財産を減らしておこうと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、生前贈与をするにあたってのよくある勘違いや、気をつけたい事例などをみて、効果的な生前贈与の方法を学んでいきましょう。そもそも、贈与とは?贈与とは、どのようなことを指すのか確認しておきましょう。まず、贈与者(財産をあげる人)が「あげます」と意思表示し、受贈者(財産をもらう人)が「もらいます」とそれを受ける。そして、贈与契約を取り交わし、贈与者が受贈者に財産を渡すことによって贈与が成立します。契約といっても、必ずしも契約書を交わす必要はありません。口頭でも贈与は可能です。ただ、契約書がないと、贈与者が亡くなって相続が発生したときに、税務署から贈与ではなく相続財産とみなされるケースもあるので、税務調査などを考慮するのであれば、贈与契約書を作成しておくべきでしょう。名義預金にならないように贈与するその年の1月1日から12月31日までの1年間(暦年)にもらったお金は、110万円までは贈与税がかからないことをご存じですか?これを、「暦年贈与」といいます。贈与をすることで相続財産を少なくすることができ、相続税対策になります(ただし、被相続人から法定相続人への生前贈与に関しては、相続発生前3年以内に受けていた贈与が、相続財産として相続税の対象になります)。この制度を利用して、長期にわたって親や祖父母の口座から子どもや孫の口座に毎年110万円を移動して、相続税対策をしている方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、これを暦年贈与として認めてもらうには、基本的には受贈者が自由にこのお金を使えることが必須です。なぜなら、「銀行の窓口に行くのも、通帳や印鑑を持っているのも贈与者」という場合は贈与ではなく、贈与者の「名義預金」(受贈者の名前を借りているだけの預金)とみなされてしまうからです。未成年者の通帳を、親が管理している場合の注意点名義預金とみなされた場合、その通帳に入っているお金は、相続財産として相続税の課税対象となります。きちんと贈与財産と認められるように、受贈者である子どもや孫が自分で窓口へ行き入金した上、通帳と印鑑を管理し、いつでも引き出せるようにしておきましょう。子どもが未成年の場合は、保護者である親などが通帳や印鑑を管理していれば問題ありません。しかし、親が管理している間に、親が子ども名義の口座から「生活費に一時借りる」など、一度でも出金してしまうと、その後元通りに戻しても名義預金とみなされ、贈与財産と認められなくなる場合があるので気をつけてください。子どもや孫が未成年の時から贈与を受けている場合、20歳になったら忘れずに通帳と印鑑を渡して、以後の贈与金は受贈者である子どもや孫が自分で入金するようにしましょう。面倒だからなどと子どもが銀行へ行かず、そのまま親が管理している場合には名義預金とみなされます。過去からの分を含めて贈与と認められないことがあるので、気をつけたいところです。あわせて、婚姻等で子どもの名前が変わったら、すぐに名義変更しておくことも重要です。旧姓のまま置いていると、「実際に使用していないのでは?」と考えられて、名義預金とみなされる可能性があるからです。生命保険料を贈与する場合の注意点「契約者=子、被保険者=親、保険金受取人=子」の生命保険に加入して、子どもに保険料を贈与するのも生前贈与対策の一つです。「若いうちから子どもに大金を持たせるのは、子どもに良い影響を与えないかも」などと考えて、実際にまとまったお金(保険金)を手にするのは親の相続時(亡くなったとき)となる、この方法を採用している人は少なくありません。親が子に保険料を贈与する場合、子が保険料を支払っている形にする必要があります。例えば、保険契約上は「契約者=子、被保険者=親、受取人=子」でも、親の預金口座から保険料を支払っていると、親が実質の契約者(保険料の負担者)とみなされてしまいます。親の口座から子の口座に保険料相当額を振り込むなど、贈与の証拠が残る形にして、子ども名義の口座から子ども自身が保険料を支払う形をとっておきましょう。保険契約者を親から子に変更する場合の注意点保険料を生前贈与するために、すでに契約している生命保険の契約者を子に変更することがあります。このとき、「保険契約を子にプレゼントする形になるので、贈与税の対象になるのでしょうか?」という質問をされる方がいらっしゃいますが、契約者の変更では贈与税が課税されることはありません。親に万一のことがあって、子どもに死亡保険金が支払われたときに、親が保険料を負担していた分に相当する保険金は相続税の対象に、子どもが保険料を支払っていた期間分は一時所得として、分けて計算されます。このように、保険の契約者を変えた場合は、贈与税の課税対象となるわけではないことを覚えておきましょう。贈与を考える際に必ず実行しておきたいことこれまでみてきたとおり、相続税対策として生前贈与を活用する方法はいろいろありますが、総合的にみて、必ずやっておきたいことがあります。それは、贈与があったことを裏付ける証拠を残しておくことです。贈与の際、渡す側と受け取る側の双方にその意思があったという贈与の事実を証明するために、贈与のたびに贈与契約書を作成しておきましょう。また、「連年贈与」にならないよう注意する必要もあります。例えば、毎年100万円を10年間贈与したとします。1年間の贈与は基礎控除である110万円の範囲内ですので、贈与税の対象になりません。ただ、「もともと毎年100万円を10年間贈与するという契約だった」とみなされると、1,000万円を贈与したものとして贈与税が課税されてしまいます。これが連年贈与です。そうならないように、毎年、贈与の都度取り決めをして、贈与契約書を作成することが重要になります。さらに、毎年同じ日に同じ金額で贈与するのは極力避けましょう。税務署から連年贈与とみなされるおそれがあります。贈与のタイミングや金額は、毎年変えておくのが理想的です。長い年月をかけて、相続税対策としての生前贈与をしてきたのに、実際の相続時に税務署に認めてもらえなかったということが無いよう、しっかりとした知識を持って進めていきたいですね。不安な方は、贈与の事実を税務署にきちんと説明できるように、専門家と相談しながら準備を進めるといいかもしれません。2014年12月、自民党税制調査会は来年度の税制改正で、親や祖父母が子や孫に将来の結婚や出産、育児関連の資金を贈る場合に贈与税がかからなくなる制度を、4年間の時限措置として新設を目指す方針を打ち出しました。この制度は、親や祖父母が金融機関に作った専用口座にお金を入れておけば、子や孫一人につき一定額(上限1,000万円を予定)まで贈与税がかからなくなるというものです。高齢者から若い人へ、資産が動くことが期待できるこの税制改正。今後の行方に注目していきたいですね!コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年01月27日相続税対策として人気のある「教育資金等一括贈与の非課税制度」を知っていますか。おじいちゃん、おばあちゃん(直系尊属)から30歳未満の孫などへ教育目的の資金をまとめて贈与する場合、孫など1人につき1,500万円までは、贈与税が非課税になる制度です。一般社団法人信託協会によると、2014年6月末時点での上記制度の契約数は76,851件、信託財産合計額は5,193億円となっており、多くの方が利用している状況です。この制度が相続税対策としてなぜ人気なのか、解説していきましょう。■教育資金一括贈与の対象者非課税(税金がかからないこと)の対象となるのは、直系尊属(祖父母、曾祖父母など縦の流れの関係)からの贈与です。孫へ贈与するケースが目立ちますが、ひ孫や玄孫、親から子への贈与も対象となります。親子間の贈与より、孫などに贈与したほうが税金対策としての効果が高まります。相続の世代を飛ばせるからです。たとえば、孫が4人いるとしたら、1,500万円×4人=6,000万円の財産を、贈与税も相続税も掛からずに孫へ贈ることができます。両家の祖父母から孫へ贈与したい場合、孫1人当り1,500万円が限度額なので、話し合いで贈与額を調整する必要があります。また、後々の相続時に揉める原因とならないよう、すべての孫へ同額ずつ行うことが望ましいでしょう。30歳以下の若いママなら、この制度を自ら利用するという手もあります。育児休暇中や育児に専念している期間に、この制度を利用して資格取得のための学費を出してもらい、キャリアアップへ繋げることもできるのです。30歳までに使い切れなかった分については贈与税が掛かりますので、必要な額だけ贈与してもらうといいですね。■教育資金一括贈与の対象となるもの対象となるものは以下の通りです。1.学校等に対して直接支払われるもの入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学検定料のほか、給食費、修学旅行費、学用品購入費など、学校等の教育にともなって必要な費用。2.塾や習い事に掛かる費用など、学校等以外に対して直接支払われるもの学校以外の費用である塾や習い事にかかる費用の贈与については、500万円までが認められています。なお、「学校等」とは、学校教育法に定められた幼稚園、小中学校、高等学校、大学、大学院、専修学校、各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所などを指します。■教育資金の一括贈与方法制度を利用するためには、銀行などの金融機関で「教育資金贈与非課税口座」を開く必要があります。口座の開設や維持に手数料はかかりません。また、支払った学費等は、年内に払い出しを受ける必要があります。払い出しには領収書が必要です。金融機関によっては、教育機関等へ直接、振込払いを行ってくれるところもあります。■利用上の注意点おもな注意点は以下の5つです。1.受贈者1人あたり1つの金融機関でしか口座を持てない2.期限を経過した領収書は対象外3.領収書には、日付、金額、支払内容、支払者の氏名および住所の記載が必要4.契約の終了事由に該当しない場合は解約できない(30歳の誕生日の前日または死亡時)5.キャッシュカードは発行されない教育資金一括贈与は費用や時間がほとんどかからないので、アパート経営などに比べ、お手軽でリスクの低い相続税対策といえるでしょう。1,500万円が限度額ですが、贈与平均額は650万円程度との調査結果も出ています。2015年12月31日までの期間限定の制度ですが、延長される見込みも高く、焦る必要はないでしょう。一度、ご家族でじっくり相談してみる価値は十分にありますよ。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (4)節税対策の注意点・その1 ・ (5)節税対策の注意点・その2
2014年10月29日前回は、3つの制度のうち「住宅ローン減税の拡充」と「すまい給付金」についてお話ししました。2,000万円を超える住宅ローンを組む場合、消費税が上がる前に購入するよりも有利になるケースがあること、すまい給付金は住宅所有者の所得等によって定額で支払われることをお伝えしました。今回は、3つ目の制度「住宅取得等資金贈与の特例」の仕組みと、これらを使った活用術について紹介します。「住宅取得等資金贈与の特例」とは何か消費税が10%に上がる前に家を購入したいと思ったとき、悩ましいのが自己資金の問題ではないでしょうか。「なるべく早く買いたいけれど、頭金が十分に貯まっていない・・・」。そんなときに検討したいのが、「住宅取得等資金贈与の特例」です。住宅取得等資金贈与の特例とは、実の父母や祖父母等の直系尊属から、住宅取得等資金の贈与を受けた場合に適用される、非課税制度です。親から子へ、祖父母から孫へ、マイホーム取得等のための資金を贈与する際に、通常の贈与(暦年課税等)とは別に贈与税を非課税にする枠を設ける、というものです。期間限定の制度で、年内で終了予定となっているものです。2014年中の贈与であれば、2015年3月15日までに引き渡し(または棟上げ状態になっている)が完了し、同期日内に申告すれば、贈与を受けた人1人につき、所定の省エネ・耐震対応住宅で1,000万円まで、その他の住宅で500万円までの贈与が非課税になります。暦年課税の基礎控除110万円と合わせて使えるので、贈与を受ける人1人あたり1,110万円(省エネ・耐震対応住宅の場合)、または610万円(その他の住宅)までの贈与に関しては贈与税がかからないことになります。住宅資金贈与を受ける場合の注意点この制度を利用する場合の注意点は、次に挙げる2つです。契約前に、棟上げ・引き渡し時期を確認する住宅資金をもらった時期が記録に残るようにしておくこれから家を建てるという場合は棟上げ(屋根が完成している状態)のタイミングを、建売住宅やマンションを購入する予定なら、引き渡し時期がいつになるかを必ず確認しましょう。たとえば、2014年3月に実父から500万円、実母から100万円の贈与を受けて、現在工事中の分譲マンションの売買契約を締結したとしましょう。2015年2月に引き渡され、同年3月15日までに贈与税の確定申告を行ったら、2014年贈与分の特例が適用されます。しかし、2015年4月の引き渡しとなると、この特例の対象とならず、通常の贈与として基礎控除110万円を差し引いた、490万円に対する贈与税82万円を納めなければいけなくなります。年内に親や祖父母からの贈与をもとにマイホームを取得する場合は、売買契約を結ぶ前に引き渡し日、または棟上げ状態になる日を必ず確認しましょう。メリットを活かしつつも、振り回されない対応を2回に分けて3つの制度(「住宅ローン減税の拡充」「すまい給付金」「住宅取得等資金贈与の特例」)について解説しました。最後に、利用するにあたっての考え方を整理しておきます。まず、いずれの制度も生活ありきです。制度をフルに利用しようとするあまりに、住宅ローンを借りすぎたり、父母等の老後の生活に支障をきたすほどの贈与をお願いしたりしないこと。住宅ローン減税の拡充のみに注目すると、2,000万円超4,000万円以下のローンを組むのが賢明に感じますが、最も重要なのは「無理なく返済できるかどうか」です。高額なローンを組むために返済期間を長期で設定するなら、繰り上げ返済の計画も同時に立てておくこと。制度に振り回されてはいけません。共働きの場合は、夫婦で互いにローンを組むことを検討しましょう。それぞれが住宅ローンを組むことになるので、各自で住宅ローン控除、すまい給付金、団体信用生命保険(団信)の対象になります。パートナーに万一のことがあったときの死亡リスクを分散させることができますし、それぞれで住宅ローン控除が使えるので、「借入額を2,000万円以上にしないと、住宅ローン減税拡充の恩恵が受けられない!」なんて悩まなくてすみます。すまい給付金は50歳未満の場合、「住宅ローンを組んだ住宅所有者」が対象者となるので、それぞれの親等から贈与を受けたとしても、住宅の持分割合相当の給付金をそれぞれが受けられます。親と同居する家を購入する場合で、親から資金援助の話が出た場合は、「住宅取得資金贈与」として取り扱うか、「親が出した資金分を、親の名義として登記するか」が問題になります。相続税対策として行うのであれば、住宅取得資金贈与として取り扱うのが賢明です。相続税の心配のないケースであれば、主に住宅ローンを組む人の所得に応じて判断するとよいでしょう。すまい給付金の対象とならないのであれば、親負担分を親名義にしておくことで、親自身がすまい給付金の給付対象になる可能性があります。それぞれの制度の特徴を理解した上で、賢く利用してください。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年04月17日子育て中の親にとって、教育費は悩みのタネ。学資保険や積立貯金で大学にかかる費用の一部は用意しているけれど、塾に払う月謝は年々上がるし、私立に通い始めたら・・・なんて思うとアタマが痛いですよね。一方、自分の父母に万一のことが起きたときの相続税が心配、という声も。今回は教育資金の確保と相続税の節税効果のある「祖父母から孫への教育資金贈与」について、基本的な仕組みと利用上の注意点を解説します。教育資金贈与が非課税になるもらい方とは孫やひ孫のために財産の一部を有効活用したい。そんなおじいちゃん、おばあちゃんが増えています。きっかけは、2013年4月1日~2015年12月31日までの期間限定の非課税制度「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」。祖父母や父母等の直系尊属が孫等の教育資金を金融機関にまとめて預けた場合、孫等1人につき1,500万円まで贈与税をかけないというものです。信託銀行を中心に「教育資金贈与信託」として取り扱われています。制度開始から9ヶ月で5万件を超える契約件数となり、信託銀行の人気商品となっています(一般社団法人信託協会「教育資金贈与信託の受託状況(平成25年12月末現在)」)。年間110万円を超える贈与を受けると、原則として贈与税を納めることになります。でも、先に紹介した教育資金贈与信託をはじめ、もらい方をひと工夫することで贈与税を納めなくてすむのが「教育資金」なのです。贈与税がかからない教育資金のもらい方は2つ。教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置を利用する祖父母に教育費を直接払ってもらう相続税対策の即効性がある「教育資金贈与信託」教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは、祖父母から孫、親から子といった直系の家族に教育資金を贈る場合、もらう側1人につき最大1,500万円が贈与財産とみなされず、贈与税がかからなくなるものです(うち、塾等の習い事にかかる費用は500万円まで)。信託銀行が積極的に進めていますが、一部の銀行や証券会社でも取り扱われています。贈る側(祖父母、父母等)が金融機関と教育資金贈与信託を結び、孫か子を受取人にした口座を作成。受取人として登録された孫等(未成年ならその保護者)が教育機関に支払った領収書を金融機関に提出すると、お金を引き出すことができます。たとえば、1,500万円を孫に普通に贈与した場合、もらった孫は本来、470万円もの贈与税を支払わなければいけません。しかし、この制度を利用すると、使途が教育費に限定されるものの贈与税を払わずに済むのです。祖父母側のメリットは次の3つです。孫にしっかりとした教育を受けさせられる子世帯の暮らしがラクになる財産の一部を非課税で孫に移転できる法定相続人である子への生前贈与であれば、親が亡くなった年からさかのぼって、3年以内の贈与は相続財産とみなされて相続税の計算対象となりますが、孫への贈与にはこのようなルールはありません。この制度を利用して孫に教育資金を贈与すると、大きなお金を非課税で子世帯に移転できるので、相続税の対策として有効な手段といえます。この制度が使えるのは、2013年4月1日~2015年12月31日までに専用口座を開いた場合で、もらう側が30歳の誕生日になる等により、教育資金口座に係る契約が終了するまで。小学校、中学校、高校、大学等の学費や給食費等教育機関に直接支払うものはもちろん、塾やピアノ教室等の月謝、留学先の学費、社会人になってから受けたMBA講座費用等も対象になります。利用上の注意点は次に挙げる3つです。孫が30歳になる誕生日の前日に口座にお金が残っている場合は、その残高に対して孫が贈与税を払うことになる子や孫が複数いる場合もトラブルになる恐れがあります。教育資金贈与で受けた財産に関しては、遺産分割の際に考慮する旨の遺言書を残してもらう等工夫が必要保有する資産の多くが不動産の場合、老後の生活資金や将来の相続税の納税資金に影響を及ぼさないか、事前に確認する必要がある相続税対策として効果的な制度ではありますが、後のトラブルに発展しないように贈与する金額の設定等、慎重に行ってください。祖父母が直接払う教育費は金額の制限なし孫の入学金や授業料を祖父母が支払うような場合は、新制度を使わなくても原則として贈与税はかかりません。対象となる教育費は、教育資金贈与信託等と同じです。遠方の大学に通う場合の下宿代や海外留学の渡航費、ホームステイ費用等は対象になりません。占い教室等社会通念上相当と認められない費用等は対象外です。こちらの場合、期間限定の制度ではありませんが、「まとめて渡しておくわ」と言って、大学4年分の授業料の総額を受け取ったりすると、通常の贈与とみなされてしまいます。直接支払ってもらうか、1年分の授業料ぴったりの金額を授業料支払口座に振り込んでもらうようにしてください。また、進学塾の費用と授業料の合計額128万円を祖父母に支払ってもらう場合、ハンパだからと130万円をもらうというのはNGです。130万円を受けた時点で通常の贈与とみなされ、「(130万円-基礎控除110万円)×10%=2万円」の贈与税を納めることになります。祖父母の相続税対策として即効性を求めるなら「教育資金贈与信託等」を、祖父母の経済状況等にあわせて毎年相談しながら贈与額を決めるなら「直接払い」を利用しましょう。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年04月03日今年、祖父母から孫へ教育資金をあげる際の税金上の特典ができ、それを利用するための金融商品が、大ヒット中。でも教育資金に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、「新制度利用ができたからといって、すぐさま飛びつくのは得策ではないのでは?」というスタンス。 その理由の一つ目は、もともと教育費の援助に贈与税はかかるからないから 。では、2点目の理由は?■高校時代までは教育費は家計内でやりくりを! 二つ目の理由は、「その家にとって、分不相応な教育費が突然入ってきて大丈夫なのか?」という点。「私がずっと言い続けているのは、高校時代までの教育費は、通常の家計の範囲内に収まるようにしましょうということです。ちなみに大学時代は家計の範囲内では収まりきらないので、子供が小さい頃からの積立を提唱しています」と畠中さんは言う。そんな中、突然、大金が入ってきたら? 「最後まで祖父母が学費や習い事のお金を負担してくれるのであれば、さほど問題はありません。ただ、前記事の通り、途中で祖父母の家計の事情が変わることもありえます。そうなった時が問題です。」■新制度を使う場合のポイント2点畠中さんが指摘してくれた問題点について検討した上で、それでも新制度を使いたい場合は、ポイントは下記の2点となる。■1,500万円非課税の内容を正確に把握しようまず、ポイントの一つ目。一言に「教育資金」といっても、今回の制度で「教育資金」とされているものには2種類の枠がある。一つ目は「学校等に直接支払われるもの」、もうひとつは「学校意外の教育サービスに支払われるもの」。前者の枠が1,500万円、後者の枠が500万円で両方合計して1,500万円が非課税の対象となる。大切なのは「教育資金」の定義を、自分なりの解釈で決めてしまわないこと。この制度を使うためには、制度で決められている「教育資金」の内容をきちんと把握しておく必要がある。教育資金の枠一覧表■1年で110万円までは、非課税ふたつ目のポイントは、この制度でもらったお金の「使い勝手」だ。非課税の特典を使いたければ、「教育資金」の細かい規定を守った上、30歳までに使い切らなければならない。畠中さん曰く「ある程度の貯金をお持ちの高齢者が、それを子どもや孫にあげるのは、今までだってどの家でも普通にやってきたこと。ちなみに年間110万円までだったら、“あげたお金”に対しては税金はかかりません。」■小出しに、ちょくちょくが失敗は少ない「“貯蓄が満期になったら、孫5人にわける”“今、たまたま余裕があるから、そのお金を孫5人にわけておく”…。そんな感じで小出しに、ちょくちょくとあげていった方が、実はいろんな意味で失敗は少ないと思いますよ」と畠中さん。新制度ができたからといって、すぐさま飛びつくのは得策ではない。内容を理解し、「我が家にとっての本当に使い勝手のいい制度なのか?」をきちんと検討した上で、利用したいものだ。取材/楢戸ひかる
2013年12月20日相続対策で気軽に始められるのが生前贈与! でも、生前贈与には思わぬ落とし穴も。きちんと生前贈与を行うためには、どんな点に注意すればいいのだろうか?■孫の大学入学祝い900万円に贈与税は191万円かかる子どもや孫名義の預金通帳を作って、本人に内緒でその口座にコツコツと預金しているケースは、「名義預金」と言われ贈与をする場合のよくある失敗。たとえば、毎年50万円ずつ孫名義の預金を積み立てて、18歳の大学入学の時に900万円を「おめでとう!」と渡したとすると、この渡した時に贈与が成立する。そのときにかかる贈与税は、なんと191万円だ!(現行の税制の場合)■贈与税は、1年間に110万円までは税金がかからない上記のケースで、もし毎年50万円ずつあげていたならば税金を払う必要はない。なぜなら贈与をする場合、一年間に110万円までは税金がかからないからだ。ただ、この場合、“ちゃんと”あげるために、贈与があったことを税務署やほかの親族などに証明できるような贈与契約書を作成しておこう。贈与契約書は、どんな書式でも構わない。下記の内容が含まれていれば、OKだ。ただし、すべてワープロで作成すると、後々、信憑性を疑われる可能性があるので、名前と日付は手書きにしておこう。それから。“ちゃんと”あげるためには、財産は、もらった人が管理するようにする。通帳を渡したけれど、印鑑とカードは渡さないといった人もいるそうだが、それでは贈与にならない。贈与があったかどうか疑問の余地を残すようなことはしないようにしよう。■相続開始前3年以内の贈与は節税にならないここで、一つ知っておいて欲しいことは、相続開始前の3年以内にした贈与は、相続税の節税効果が見込めない。相続で財産をもらった人が受けた贈与のうち、相続開始前3年以内に行われたものは、たとえ贈与税の非課税枠内でも、相続財産に加算して相続税の計算をするという決まりがあるからだ。 相続が近そうだといって急にバタバタと贈与で節税をしても、効果がないということになる。とかく、相続には時間がかかる。生前贈与による節税対策は、長期にわたり計画的に行うことが大切だし、相続についての親族間の話合いにも時間をかけて行うに越したことはない。税法が改正されるのは2015年だから、まだ先のような気がするが、相続対策、今から考え始めても決して早くはないのだ。取材/楢戸ひかる
2013年11月19日福岡銀行は12日、「教育贈与専用預金」を29日より取扱うことにしたと発表した。同商品は、2013年度税制改正によって創設された「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」に対応する預金商品。福岡銀行では、今後も顧客の多様なニーズに応えることができるよう、商品・サービスの充実に取り組んでいくとしている。預入目的非課税措置の対象となる教育資金の管理を目的とした預金預金種類普通預金(別途、教育資金管理特約を締結)。なお、総合口座普通預金は利用できない利用できる人預入日前2か月以内に、直系尊属(祖父母など)と書面で贈与契約を締結した30歳未満の人が対象。この非課税措置は、1個人(受贈者)につき1金融機関かつ1営業所でのみ利用できる。すでに他の金融機関や同行他支店で「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の適用を受けるための口座を持っている場合などは申込み出来ない預入金額、預入単位100万円以上1500万円以内、1円単位手数料無料口座開設・預入の受付期間7月29日から2015年12月30日まで【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年07月16日横浜銀行は15日、「教育資金贈与信託」の取り扱いを開始した。「教育資金贈与信託」は、2013年度税制改正によって創設された制度に基づくもので、祖父母などが孫などへ教育資金を一括贈与した場合に、贈与税が非課税となる信託商品。同行は朝日信託の信託契約代理店として、顧客と朝日信託の信託契約を媒介する。あわせて同行は、2013年度税制改正によって創設された制度に基づく、教育資金贈与のための預金サービスの準備も進めているという。今後も魅力あふれる金融機関の実現をめざし、顧客にとって価値の高い金融サービスの提供に取り組んでいくとしている。委託者教育資金を贈与する個人の顧客で、孫などの直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母など)にあたる人受益者教育資金の贈与を受ける個人の顧客で30歳未満の人(未成年者の場合、親権者などの代理が必要)信託期間孫などの30歳の誕生日の前日までの期間信託金額10万円以上1500万円以下(孫など一人あたり)非課税となる上限金額受益者一人につき1500万円まで(うち塾などの学校等以外への支払いは500万円までが対象)期間2013年4月15日(月)~2015年12月31日(木)までの間に信託されたものに限る教育資金の交付方法受益者の支払いの請求をもとに、あらかじめ指定された預金口座に振り込む信託報酬・費用等設定時報酬:5万2500円(税込み)管理報酬:教育資金の支払い1回につき1050円(税込み)教育資金贈与信託の申し込みに合わせて、またはすでに遺言信託・遺産整理業務・その他個人信託のいずれかを契約している顧客は設定時報酬、管理報酬が無料。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年04月16日お金に限らず、人から財産をもらうと贈与税がかかります。くれた人が親や夫でも同じです。そういうとびっくりするかもしれませんが、子や妻などを扶養している人が、通常必要と認められる生活費や教育費を払った場合は贈与税の対象とはならならないので安心してください。それから、お葬式などで受け取るお香典や花輪代、結婚式のご祝儀や病気見舞いなども、常識的に考えて金額が高すぎなければOKです。逆にいうと、それ以外の場合は贈与税の対象となります。例えば、夫が妻におこづかいを渡すとか、おじいちゃん、おばあちゃんが、孫に大学の進学資金をプレゼントするという場合でも、贈与になります。親族からお金を借りるとき、「出世払い」だったりすると借入ではなく贈与とみなされます。ただし、贈与税には基礎控除(非課税枠)が110万円あります。1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が基礎除額の110万円を超えたら、超えた分が税金の対象というわけです。基礎控除は財産を受け取った人一人当たりの金額です。もし1年間に父親から100万円、母親から100万円もらったら、贈与された額の合計は200万円ですから、110万円を超えた90万円に贈与税がかかることになります。注意が必要なのは、マイホームを買って夫婦で共有名義にするとき。頭金を夫が出し、ローンも夫1人の収入から返済していくのに、名義を夫婦半分ずつにすると、住宅購入費用の半分を夫が妻に贈与したとみなされてしまいます。共有名義にするときは、負担した費用に応じた割合にする必要があります。例えば、4000万円のマイホームを、頭金1000万円、住宅ローン3000万円で買うとします。妻が結婚前に貯めた自分の貯金から頭金のうち600万円を出し、残りを夫が負担するとしたら、妻の持ち分は600万円÷4000万円で100分の15、夫の持ち分は3400万円÷4000万円で100分の85としなければなりません。働いて得た所得にも所得税がかかるのだから、何もしないでもらった財産、いわゆる不労所得には高い税金をかけてもいいよね、ということで、相続税・贈与税の税率は所得税より高く、相続税を逃れるために生前にどんどん贈与されるのは困るということで、贈与税の税率は相続税より高くなっています。とはいえ、今の日本は、リッチな高齢者があまりお金を使わないのに対して、現役世代は教育費や住宅費などの負担が重くて苦労しているので、高齢者の資産を若い人に移して消費を活発化させるために「相続税精算課税制度」があります。これは、65歳以上の親が20歳以上の子にする贈与に関して2500万円までは贈与税を非課税とする仕組み。一度この制度を選択すると、110万円の基礎控除は使えなくなりますが、非課税枠は贈与額が2500万円に達するまで有効です。国税庁のサイト人生で最も高い買い物であるマイホームの購入にあたっては、2014年末までの期限付きですが、「住宅取得資金の贈与税の特例」というのもあります。こちらも贈与を受けるほうは20歳以上でなければなりませんが、親の年齢制限はなく、さらに祖父母からの贈与でもOKとなっています。非課税になる金額は、省エネや耐震性の基準を満たした住宅の場合、2013年は1200万円まで、2014年は1000万円までです。購入するマイホームには、床面積や築年数などに条件があるのでよく確認してください。国税庁のパンフレット相続税精算課税制度も住宅取得資金の贈与税非課税制度も、利用する場合には税務署に申告が必要ですが、もし贈与を受けるのであれば使わない手はありません。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月05日