漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第18回アクマの辞典サ行【サ】▶「サレ妻(夫)」(されつま・されおっと)…彼女らがシタを退治するのが現代の桃太郎今回のテーマは「サレ妻(夫)」である。サレ妻(夫)とは、配偶者に不倫されている者のことを指す。日本は昔から不貞に対する罪が重く、不義密通は重ねて4つだし、切る奴の腕が悪いと1.5ぐらいにされちゃうのである。今でこそ刑事罰はないが、どう見ても社会的には「こいつは不倫したんだから死ぬまで殴って良い」扱いされているとしか思えない。よって、サレが報復し、シタがヒドイ目に遭う勧善懲悪ストーリーは特にネット上では人気である、ジャンルとしては水戸黄門や、暴れん坊将軍と同じだ。つまり、したら最後、バレたら絶対悪として成敗、一件落着大爆笑されてしまうのが不倫である、IQが0.5以上あるなら、しないほうが良いとわかる。しかし、不倫をしている人間は多い、つまり不倫は人のIQを0.4以下というもはや視力ならメガネがいるレベルまで下げるということである。だが、そういうリスクがあるからこそ不倫は燃えるとも言う。つまり、不倫をしている人間は、銃口を口に突き付けられながら「狂気の沙汰ほどおもしろい…」というアカギ状態というわけだ。しかし全員、闇雲に舞い降りた天才、というわけではないので、きっちり不倫のツケを払わせられたりするのだが、そもそも「不倫はツケを払う行為」だと理解しないまま不倫をしている人間が多いと言う。特に独身の者は、自分は独身だからノーダメと思って気軽に既婚者と関係を持ってしまったりするが、もちろん相手の配偶者に訴えられ、慰謝料を払うはめになる場合があり、証拠があれば、戦ってもまず勝てない、何故なら不倫したほうが悪いからだ。さらに、バレた途端、不倫相手が妻や夫側に寝返るケースもある、バレても、された妻や夫が許せばシタ妻(夫)はノーダメだからだ。多額の慰謝料を請求された上、禁断の愛を交わしあっていた相手の、熱い手のひら返しを見ることになるのである。だが一番ハイリスクなのは既婚者同士の不倫、つまりダブル不倫だ、これはバレた場合、最悪、配偶者から離婚&慰謝料請求、さらに不倫相手の配偶者から慰謝料を請求という「慰謝料倍プッシュだ」状態になるのである。このように、金銭的にも社会的にも大きな損失を被る恐れがある不倫だが、残念ながら、不倫によって負うダメージは女のほうが遥かに高い。不倫ニュースを見ても、若い女の不倫は村1つ焼いたのか、というぐらい騒がれ、片や大御所男性芸能人の不倫は「あいつなら愛人の一人や二人いても不思議ではない」とほぼ完スルーだったりするのだ。だがここで「男女差別だ」などと叫んでも誰も聞いてくれない、何故なら不倫してしまったのは事実だからだ。「誰にも話を聞いてもらえなくなる」これが不倫の一番恐ろしいツケかもしれない。【サ】▶「サレ妻(夫)」(されつま・されおっと)…彼女らがシタを退治するのが現代の桃太郎【シ】▶「しまむら」(しまむら)…ユニクロよりセンスが問われてしまうので、ファッションに興味がなくても穏健派は行かない【ス】▶「据え膳」(すえぜん)…据え膳食わねば男の恥という心意気で逮捕者が出る【セ】▶「セクハラ」(せくはら)…「そんなこと言われたら何も話せない」というが、最初から仕事のこと以外何も話す必要はないのだ【そ】▶「ソロ男」(そろお・そろおとこ)…結婚しない男、この理屈で行くとオナニーはソロセックス【プロフィール】カレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年09月20日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第17回アクマの辞典カ行【カ】▶「格差婚」(かくさこん)…した瞬間に「上手くいきっこない」の呪いをかけられる今回のテーマは「カ行」から「格差婚」である。みなさんは「格差婚」と聞いて何を思い浮かべるだろう、『永遠にともに』だろうか。このように「格差婚」というのは、女の収入が男のダブルスコア以上だったり、女はハリウッド女優のようで豹を飼っているが、男はネルシャツをパンツインしてヤモリとルームシェアしている場合だったりと「女のレベルが男より遥かに高い」時に使われているような気がする。それも「ハイスペックな女」と結婚したのだから「ハイスペック婚」と呼ばれても良いようなものだが、何故かそうは言われない。おそらくこれは「男の収入は女より上で当たり前」なる考えが残っているからだろう、よって「女がハイスペック」という部分に焦点を当てず「男が女より格下」という部分をフィーチャーした「格差」などという厳しい言葉が使われている気がする。割と女に対しても男に対しても失礼な言葉であるしかし、世間の「なんか気に入らねえと思われてる度」からすると、ハイスペック婚も、格差婚も大差はない。「ハイスペック婚」は「上手いことやりやがって地獄に落ちろ」と思われているし、格差婚は「女の下でヘラヘラしやがって恥知らず地獄に落ちろ」と思われている。つまり両方、ゴートゥーヘルを願って止まれない関係である、この辺は男女平等なので安心できる。このように、男が上だろうが女が上だろうが、お互いに差がありすぎる結婚は、妬みの対象であり好奇の目にさらされる関係である。そして決まってこう言われる「どうせ長続きしない」と。もちろん全ての格差婚が上手くいかないわけではないが、“永遠にとも”にいなかった例も多いので格差が別れを招く可能性はある。しかし「部屋が暗い時、諭吉に火をつけて灯り代わりにする」など、第一次世界大戦中の成金みたいな金銭感覚と価値観についていけねえ、という場合もあるが、格差離婚の原因は、その格差に対し「俺の嫁は稼いでいてすごい」と認められるか「こいつは稼いでいることを鼻にかけて俺を見下している」と卑屈になるかの違いだという。また稼いでいるほうも「自分がこれだけ働けるのは夫のおかげ」と感謝するか「こいつは私が食わせてやっている」と見下すかでは大きな違いがある。つまり、どっちのスペックが上だろうが下だろうが、リスペクトがなければ上手くいかないということである。また、どこを買うかも人によって違う「こいつは無職のヒモ野郎だが、野菜にすら“さん”づけするところが推せる」ということもある。それを、たかだか収入や社会的地位、容姿の差だけでお他人様の結婚を「格差」呼ばわりするのは良くない。そんな言葉で自分の妬みをオブラートに包むぐらいならドストレートに「なんか気にいらねえ婚」と言ってしまったほうがいい。【カ】▶「格差婚」(かくさこん)…した瞬間に「上手くいきっこない」の呪いをかけられる【キ】▶「聞き上手」(ききじょうず)…聞いているフリが上手い人【ク】▶「黒歴史」(くろれきし)…自分の歴史のみならず「あいつとつきあったのは黒歴史」と他人の歴史の一部になっている場合がある【ケ】▶「ケチ」(けち)…そいつはケチな男じゃない、君に金を使いたくないだけだ【コ】▶「小室哲哉」(こむろてつや)…彼の人生に文句を言うより、曲を聞いたほうがとても有意義プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年09月06日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第14回アクマの辞典パ行【パ】▶「パパ活」(ぱぱかつ)…何重にもオブラートをかぶせた援助交際今回のテーマは「パパ活」である。「パパ活」とは簡単に言うと、飯を奢ってくれたり何か買ってくれたり、お小遣いをくれたりするパパ的存在のおっさんを捕まえることだ。しゃらくさい言い方しやがって、結局援助交際じゃねえかと、と思うかもしれないが「パパ活」は、実際はどうあれ、「あくまでおっさんに払う対価はデートやトークだけ」なのである。つまり「大3枚で一発」※みたいな世界観ではないのだ。果たして世の中に、女に高い飯を奢ってトークだけで満足する男がいるのだろうか、という疑問も湧くが「男の奢りは全部セックス目的」と断じてしまうのは「女のオシャレは全て男にモテるため」と言うぐらい失礼な話だろう。ともかく、今出会い系にはこの「パパ活」をしている若い女が多いと言う、もちろん成人同士が合意の元でしていることなら、とやかく言うことではないが、両者に「思惑の違い」があるとトラブルになりやすい。女のほうは、本当にトークとデートだけで援助してもらいたい、と思っているのに、男のほうは「そうは言っても交渉次第でワンチャン」と思っている場合である。逆に「大3枚で一発、渋るようなら2枚で妥協、それでもダメならせめて口でゲーセン」と思っている女が「若い女の子と楽しくおしゃべりしたい」と思っているおっさんとミートするのも不幸な事故である。しかし、最初は本当にデートだけのパパ活をしようと思っていた女でも、目の前に「大」をちらつかされたら、少し触らせるぐらいなら、とズルズル行ってしまうかもしれないし、しゃべるだけで満足しようと思っていたおっさんも、いざ若い女を前にすると変な気を起こさないとも限らない。「パパ活」というライトな言葉を使っていても、やはり身元不明の人間と出会うことには変わりないので、リスクはあるのだ。ところで実際「パパ活」の相場はどのぐらいなのだろう、飯を奢ってもらうにしても、サイゼリアだったら一人で食ったほうがマシなはずである。そこで早速「パパ活 相場」で検索したところ、トップに「体ありでパパ活するといくらもらえる?」というページが出てきた。やっぱり体ありなのかよ、とミラノ風ドリアをひっくり返して帰るところだったが、読んでみるとやはり「パパ活は体なしが原則」とは書かれており、高くても3万、安くなると5千円の場合もある、という。だが「体なし」を前提としながらも、もし体ありにするなら「最低3万はとれ」と書かれている、やはり「大3枚」の世界だったようだ。逆に体ありで3万も出せないような男は「パパ」を名乗る資格はないから切ったほうが良い、という。パパになっても金がなくなれば唾を吐かれて切られる、ということだ。男も女も「パパ活だから大丈夫」などということはない、と肝に銘じたほうが良いだろう【パ】▶「パパ活」(ぱぱかつ)…何重にもオブラートをかぶせた援助交際【ピ】▶「ピラニア女」(ぴらにあおんな)…金持ち男の子どもを妊娠し養育費をせしめる女日本だと養育費を取り立てるシステムがグダグダなので真似しないほうが良い【プ】▶「プチ整形」(ぷちせいけい)…プチだけに気付かれず、ついつい自ら整形カミングアウトしがち【ペ】▶「ペタジーニ」(ぺたじーに)…友達の母親と結婚という生きるエロマンガ、だが離婚したらしい【ポ】▶「ポイズン」(ぽいずん)…言いたいことも言えない世の中、というネタが通じなくなってきたことがポイズン※大3枚=3万円の意味プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年08月06日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第14回アクマの辞典バ行【バ】▶「バックハグ」(ばっくはぐ)…痴漢の得意技でもあるので使用には細心注意が必要今回のテーマは「バ行」から「バックハグ」だ。新しい体位かな?と思ったら、あながち間違いではなかったようで「後ろから抱きしめること」を指し、男女ともに「キュン」とくる行為として今アツいようだ。このような「ときめき体位」は「壁ドン」「顎クイ」のように定期的に爆誕するが、こういったものが「これをやれば女はみんな落ちる」「男は全員喜ぶ」といった風に拡散してしまうのは危険な気がする。上目使いや、アヒル口のような単独行動ならいい。ミスっても「ウンコ我慢してんのかな」と思われるぐらいで済む。ただ相手に何かする行為というのはどれも「※ただし交際相手に限る」と注釈をつけた方がいいものばかりである。「壁ドン」とか、交際相手以外にやられたら、不快を越えてただ恐怖である、自分より力の強い男に壁に追いつめられたら怖いに決まっている。体に触れる顎クイやバックハグなど言わずもがなであり、男だっていきなりよく知らん女に後ろから抱きつかれたら、ときめくより「妖怪だ」と思うだろう。つまり「ときめき体位」は「好きな人へのアプローチ」ではなく「カップルの前戯」だと思っておかないと大変なことになる。しかし、こう言うと必ず「でも相手がイケメンなら喜ぶんだろ」もしくは「美人なら何されてもいいんだろ」という者が現れる。「※ただしイケメンに限る」という秀逸すぎる注釈が生まれてしまったばかりに、女はどんなセクハラ行為でもイケメンなら許すし喜ぶという誤解が生まれてしまったのである。そんなことはないのだ。欧米のほうでも美人女優にキスされたティーンの男子が「ファーストキスは好きな人としたかった」と怒っていた、というのだから、女も男も相手の顔が良くても嫌なものは嫌なのだ、嫌じゃないのはイケメンとか美人とかではなく「相手に好意を持っているとき」だけだ。例え「イケメンなら何でも嬉しい」と豪語している女がいても、その女が考えるイケメンとは「ドウェイン・ジョンソン」かもしれないのだから、ジャニーズ系がおいそれと触っていいものではないのである。やはり、他人の身体に触る、というのはリスキーな行為なのである。女も「さりげないボディタッチ」が男を喜ばせる鉄板モテテクとして、旧石器時代あたりから語り継がれてきたのだと思うが、そろそろ平成も終わるし、見直しが必要なのではないか。男は女以上にそういう行為に異議を唱えにくいのだ。ちなみにバックハグの効果だが、男の場合は「相手を守りたい」女の場合は「相手に甘えたい」という気持ちが伝わる、とのことだが、女の場合単純に「乳が当たる」という効果もある。だがそれも、好意を持っている女の乳だから価値があるのだ。【バ】▶「バックハグ」(ばっくはぐ)…痴漢の得意技でもあるので使用には細心注意が必要【ビ】▶「ビッチ」(びっち)…ビッチと言われて喜ぶ女は「小悪魔」の意だと思っている正しくは「ヤリマン」【ブ】▶「武勇伝」(ぶゆうでん)…大体が過去の犯罪自慢なので、賢い奴は黙ってるバカはSNSに書く【ベ】▶「ベッキー」(べっきー)…1周回って応援するフェーズがなかなか来ない【ボ】▶「ボトックス」(ぼとっくす)…顔面に菌を打ってまで小顔を求める、明日を捨てた戦士プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年07月20日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第13回アクマの辞典ダ行【デ】▶「DT」(でぃーてぃー)…恥ずかしいことではないが「逆にカッコいいものにする」作戦は止めた方が良い今回のテーマはダ行から「DT」だ。「DT」とは、いろんな意味があるようだが、このコラムに出てくるぐらいだから「童貞」のことだろう。童貞とは、セックスしたことがない男のことを指し、風俗のみで経験がある男のことは素人童貞、という。処女が今でも「価値があるもの」という気持ち悪い考えが消えないのに対し、童貞は一貫してバカにされがちなものであった。厳密に言うと「童貞シブい」という文化もあったようだが、局地的なものである。しかし、今では「処女云々」がド級のセクハラなのと同じように「童貞いじり」も立派なセクハラだと言われるようになった。考えて見れば当たり前のことなのだが、女へのセクハラでさえここまで野放しにされていたのだから、男へのセクハラなど、まだ問題にすらされていない問題の段階である。ともかく女だろうが男だろうが他人のセクシャリティを笑いにするのはセクハラなわけだが、それ以前に、セックスしていたら何が偉いのか、という話である。確かにその昔、ジョージ秋山御大により「おセックス様」と表され、崇め奉られてきた、セックスだが、男というのは全員セックスしたがっている生き物であり、男の価値はいかに早く女の股間にチンコをツッコむかの「早セックス選手権」で決まる、というのは先日炎上した「女の価値はバッグで決まる」どころではない、失礼な偏見である。俺様の大事なモノをそんな得体の知れない物体Xに預けられるか、と言われたらこちらはぐうの音も出ない。百歩譲って「早セックス選手権」を開催するなら、全員したがっている男を集めるべきだろう、それなら「1位が偉い」はまだわかる、それをもともとセックスに興味がない男を捕まえて「童貞なんだ」とバカにするのは、彼氏とか全然欲しくない女に「そんなんじゃカレシできないよ~」と言うのと同義である。しかし若いころは「セックスしたら偉い」と勘違いしがちである。これは男だけでなく女もだ。逆に女の方が「男に性的対象に見られることがモテ」と勘違いしたりするので危険である。もちろんヤリマンが悪いわけではない、セックスは健康にいいと言うし、安全に気を付ければ「趣味はジョギング」と言うのと変わらないだろう。ただ、自分に自覚があってヤリマンをやるのは良いが、自分じゃ「モテガール」のつもりで男からは「ヤリ田マン子さん」と呼ばれているのは悲しすぎるし、幸せになれない。このように、セックスしていたからと言って大して偉くもなく、むしろヤリすぎたことにより己の価値を下げたり、家庭裁判所にいくことになる者もいたりするのだから、それの経験の有無で人をバカにするというのは、自分のバカを露呈するようなものだろう。【ダ】▶「ダーリン」(だーりん)…一貫して「うちのダァ」と言っておけば男が変わっても気づかれない。【ヂ】▶「地頭」(ぢあたま)…「地頭は良い」というのは「悪い奴じゃない」と同じで良いわけでもない【ヅ】▶「ヅカ」(づか)…沼にハマりやすいオタが、怖くて近づけないもの【デ】▶「DT」(でぃーてぃー)…恥ずかしいことではないが「逆にカッコいいものにする」作戦は止めたほうが良い【ド】▶「毒舌」(どくぜつ)…本当に舌に毒を仕込んでいる奴しか、名乗れないようにしろプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年07月06日九星別、仕事運&金運の展望を開運学研究家・オペラ沢かおりさんが占います!2018年後半の四緑木星(しろくもくせい)、五黄土星(ごおうどせい)、六白金星(ろっぱくきんせい)の運勢は果たして…。四緑木星(1960年生、1969年生、1978年生、1987年生、1996年生)当たり運が体内ですくすく成長、徐々にふくらむ高額当せんの夢。【基本の仕事運と金運:風のように東奔西走する情報通。】会社とは「社会の役に立つ」「営利を追求する」を目的とする団体組織であり、なかよしクラブではありません。大事なのは気が合う、合わないよりもチームワーク、協調と和合の精神です。…という真実を誰よりも心得ているのが、中立的な立場でものごとを俯瞰できる四緑です。「とかく乾燥しがちな社内の潤滑油になれたら」。ピースフルなヒューマニストの四緑は、ヒマさえあれば総務経理営業食堂給湯室ほか各部署の垣根を乗り越え、そよ風のように社内を飛び回ります。「シロ子くんはどこで油を売っているんだ!?」。上司が怒っても四緑はあまり気に留めません、「そうだよねーわかる」「気にしちゃだめ!」と人間関係の調停役として今日も忙しく東奔西走します。人脈が豊かな四緑のもとには、人間関係の裏事情だけでなくさまざまな金融情報も集まります。話題の金融商品、注目株の銘柄、銀行支店別・定期預入時にもらえる粗品の種類など、生きた情報がオンタイムで入ってくるでしょう。「もっといい預け先がある」と聞けばすぐに乗り換えたくなるのが四緑の性(さが)ですが、少しでも迷いがあるならやめたほうが正解。特に気をつけたいのは「成功者の講演会に行かない?」「大金持ちになれる方法知りたい?」「仮設テントで羽毛布団の激安即売会やってるよ!」などの儲け話。そもそもこのご時世においしい話なんてあるわけないですし、それが本当なら今ごろ全員大金持ちです。まずは地道に貯金して、投資は富豪になってからやりましょう。【’18年後半の仕事とお金の展望:イライラしたら宝くじ売り場へGO!】四緑の頭の中にはバーチャルなキャッシュ&フロー計算書が格納されていて、財布を開くたびそれが起動して「やめとけ」「買ってよし」の見きわめができるシステムになっています。だから衝動買いとはほぼ無縁、普通に働いていれば食べるのに困ることはありません。今後もそのまま平穏に…と申し上げたいところですがちょっと待った、’18年初頭から四緑の体内には宝くじ運が芽生え、今この瞬間も成長して7月には最盛期を迎えることになっています。7月といえばサマージャンボ。当てるコツは「イライラしたときに買う」「鬼軍曹(六白か七赤)と一緒に買いに行く」。感情が荒々しく波打つとき、人は日常の殻を突き破って非日常の世界にジャンプしやすくなるのです。もし当たったら「誰にも言わない」「従来の暮らし方を変えない」と心して、財産をキープしましょう。五黄土星(1959年生、1968年生、1977年生、1986年生、1995年生)いたずらに動き回るより、座してお金を貯めるが勝ち。【基本の仕事運と金運:度胸と義侠でてっぺんを目指す。】「姐(ねえ)さん」、それが職場における五黄のミドルネームです。普段はもの静かに電卓に指を這わせていても、書類に不備を発見するやいなや背中に真っ赤な火炎を立ち上らせ、目をカッと見開いて鬼の形相に一変します。「この出張経費精算書を提出したのは誰や」。あわてて参上した顔面蒼白の社員を前に、五黄は啖呵を切ります。「経理課をなめんなや!」その場にいる全員が震え上がるほどの迫力でミスを是正する五黄ですが、その根底には熱い責任感と正義感が流れています。困っている人を見ると放っておけずひと肌脱いでしまう義侠心もあるため、同僚や後輩からは頼りにされ、慕われるでしょう。いるだけで職場の空気がきりりと締まる、なくてはならない重鎮的存在です。五黄にとって大事なのはお金のある・なしよりも「信念を貫き通す」「相手が誰でも間違っていることは間違っているとはっきり言う」「自分の言動に責任を持つ」。プライベートはもちろん職場でもそのポリシーを遺憾なく発揮するため、「筋が通ってる」「見上げた度胸」「決着(けじめ)をきっちりつけるやつ」と上司から評価され、出世の確率はかなり高くなります。収入は地位と一緒に上がるので、たとえ若いうちはお金がなくても、年を重ねるにつれてお金回りがよくなるでしょう。「若いうちの苦労は買ってでもしとき」「人生は大器晩成がトクなのや」。タワマンの最上階に仲間を呼んで極上ステーキをフランベするその姿に、「カッコいい!」と憧れる人は少なくありません。【’18年後半の仕事とお金の展望:10年に一度の貯め期が到来。】職場ではミス連発で上司やクライアントからヤキを入れられ、さらに敵対勢力がのしてきて内部抗争勃発の予感。…大変ですね、たしかに今年に入ってからの五黄は少々しんどいかもしれません。でも考えてみてください、人間が成長できるのって、楽しいときより「つらい」「苦しい」ときではないでしょうか。そう考えると少しは気が楽に…なりませんか。ではいいことを教えましょう、仕事運は今ひとつでも貯蓄運は絶好調、これから10年に一度の貯め期が到来します。こういうときは下手に外で暴れてパワーを消耗するより黙って静かに内側を充実させる、つまりお金を貯めて人生基盤をがっちり固めるといいのです。ストレスが溜まったときは三碧や四緑と雑談を。「カットオフデニムにほつれ止め塗ってる?」。とりとめのないどうでもいい話に気がまぎれ、平常心に戻れます。六白金星(1958年生、1967年生、1976年生、1985年生、1994年生)点検と補修で運を立て直せば、やがて秋の実りの大収穫祭へ。【基本の仕事運と金運:お金を引きつける驚異の吸引力。】「仕事とはおのれの人生に仕えること」「職場で起こることはすべて偶然ではなく必然」「力の大きさ×移動させた距離=仕事量」「社食と名物にうまいものなし」六白の広大な脳内宇宙には常にそのような哲学的な命題がビッグバンのように浮かんでは消え浮かんでは消えしています。頭脳明晰でものごとの本質を大局からつかむのが得意、失敗を恐れずダイナミックに行動する、細かいことにこだわらないなどの特徴から、周囲からリーダー役として持ち上げられることも多いでしょう。責任感と正義感の強さは五黄と互角ですが、五黄が「姐さん」なら六白は「ワンダーウーマン」。弱きを助け強きをぶっ飛ばす勇敢で心やさしい戦士として周囲から慕われ、希望の星となるでしょう。金星=金の性質を持つがゆえにカキーンと打てばスコーンと響く六白は「ウソがない」「頭の回転が速い」「常に沈着冷静」と目上からその特性を高く買われ、どこにいてもすぐに頭角を現します。出世運に加えて金運にも恵まれており、ガツガツしなくても向こうから自然にお金が寄ってくる超強力な吸引力の持ち主。ダイナミックともいえる驚異の集塵パワーでお金をくまなくかき集めて吸い込み、気づいたときにはダストカップもとい通帳にたっぷりお金が貯まっていることでしょう。ただし「入るものも大きいが出るものも大きい」がこの星の特徴。「どうせ買うなら一流品」というポリシーを持つため、予算オーバーの大金がどかんと出ていく可能性が。自制心を育てましょう。【’18年後半の仕事とお金の展望:運の再生まであともうひと踏ん張り。】現在、六白の仕事運は10年に一度の大規模修繕工事中です。前半は経年劣化による補修箇所がいくつも見つかり、その対処に追われて大忙しだったのでは?後半もこの流れで何かと忙しくなるでしょうが、ここで音を上げずにタイル浮きやヒビ割れ、水漏れ、剥げた塗装などを一気に補修しておけば、仕事運と連動して金運もグングン上がります。面倒くさいかもですが、根性を入れてもうひと踏ん張りしてください。頑張る人には天からのごほうびとして積立保険の満期金や印税収入、家賃収入、溜まったポイントによる豪華賞品などが降ってきます。名づけて「不労所得の収穫祭」。臨時収入は癒し上手の一白につき合ってもらって洋服やグルメなどでパーッと使い、厄を落として身も心もピカピカになりましょう。工事が終わって足場がはずれるまで、もう少しのガマンです。※九星気学では「立春から新年が始まる」と考えるので、1/1~節分(2/3頃)生まれの人は前年の本命星になります。オペラ沢かおりさん開運学研究家、作家。女性誌などで活躍中。「占いは快適な人生の友」がモットー。ブログ「PINKIE’S EYE(ピンキーズアイ)」で毎月の九星別運気と吉方位などを発信中。※『anan』2018年6月27日号より。イラスト・いぬんこ監修・文・オペラ沢かおり(by anan編集部)
2018年06月26日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第12回アクマの辞典ザ行【ザ】▶「雑魚モテ」(ざこもて)…雑魚すら寄ってこない漁場も多数ある今回のテーマはザ行から「雑魚モテ」である。この言葉、私は知らなかったのだが、おそらく知らないまま死んだほうがマシな言葉な気がしてならない。だが仕事上そうもいかないので調べたところ「どうでもいい男にばかりモテる女」という意味だそうだ。つまり、低スペック男=雑魚である。人様がキンタマを痛めて生んだご子息を雑魚とは思い切ったことを言うな、と思うが、こちらが男を雑魚扱いしている時、男もこちらを雑魚と見ているという深淵の法則があるのでお互いさまかもしれない。だが、実際「雑魚モテ」というか、合コンにいたら爆弾処理班がフル装備で出動しだすような男にばかりモテる女というのは存在する。そういう女はまず自動魚選別機能が故障している場合が多い。その機能が発達している女なら、瞬時に相手が雑魚なのかサバなのか本マグロなのか、選別しそれに見合った態度をとる。当然、塩対応どころか「雑魚対応」された男はよほど鈍くない限りそれ以上その女に近づかないだろう。普通の女でも「こいつ絶対アニサキス持っている」という男には距離を置いた態度をとるだろう。それがぶっ壊れている女というのは、男を見ても全部「お魚さんだ」としか思えないか、雑魚と本マグロの見分けはついても、対応を変えることができず、全部刺身についてるしょうゆで食ってしまうのだ。つまり悪い意味で「わけへだてない」前にも書いたが、モテない人間というのは、異性からの好意どころか「普通に接してもらう」ことにすら慣れてないため、過剰に警戒するか、すぐ好きになってしまうかの二択になってしまいがちなのだ。選別機能がない女は、そういう男にも普通に接してしまうため、出会って4秒で好きになられて、あっという間に雑魚サーの姫になってしまう。そして本人自身も自分に自信がないタイプだと「こんな私を好きって言ってくれるんだし」とそのまま雑魚とつきあってしまうそうだ。結果、雑魚しか回ってこない回転ずしの皿を重ねることになってしまう。こう見ると「自分に自信がない」というのは、百害しかない。満々過ぎるのも良くないが、なさすぎると、ちょっと優しくされただけで「す…好き!」となってしまったり、緑色に変色したマグロを「せっかくだし…」と食ってしまったりする。「生きてるだけで丸儲け」と同じぐらい「息しているだけで偉い」という思想が我々には必要なのかもしれない。【ザ】▶「雑魚モテ」(ざこもて)…雑魚すら寄ってこない漁場も多数ある【ジ】▶「地雷」(じらい)…いきなり「それ私の地雷なんですけど」と怒り出す女は大体の人間にとって地雷【ズ】▶「ズボラ女子」(ずぼらじょし)…つまり衛生観念が低い女なので、手料理などには注意【ぜ】▶「絶食男子」(ぜっしょくだんし)…セックスしなきゃ死ぬ男のほうが生物として弱いと思う【ゾ】▶「ぞっこん」(ぞっこん)…「こいつ俺にぞっこんなんで」と言った瞬間ぞっこんじゃなくなるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。★オフィシャルサイト★Twitter
2018年06月20日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第11回アクマの辞典ガ行【ガ】▶「外国人彼氏」(がいこくじんかれし)外国人と付き合うのがステータスと思っている女もいるようだが、自慢のカレシも祖国ではクラスで変なあだなをつけられてたタイプかもしれない。今回のテーマは「ガ行」から「外国人」だ。私もこう見えて実は日本語がしゃべれるのだが、何故か同じ日本語を話す日本人ともコミュニケーションを取れたことがなく、よって外国人とコミュニケーション、まして恋愛なんてとても考えられない。しかしよく考えれば、私がいつも追っている画面から出てこない系の男子は国どころか次元が違う。二次元と三次元の垣根に比べたら国境なんぞもはやないも同然だろう。ところで「日本人は外国人にモテる」という説を、みなさんも1回は聞いたことがあるのではないか。真実なら朗報だと思うが「外国人」というのがあまりにザックリしすぎている、ここをどこかハッキリさせてくれないと「いっちょモテてみっか」とボスニアに着いた瞬間「モテるのはセルビアです」と言われても困る。それとも、日本の男以外なら全世界でモテるということだろうか、日本から出る予定がない女にとっては無意味すぎるし、逆に全世界にブスと言われてもいいから日本で美人と言われたかった。調べてみたが、諸説ありすぎて「この国なら確実にモテる」というのは見つからなかった上、逆に悲報を見つけてしまった。「日本の女が外国人にモテるのは簡単にヤラせるからである」Oh…ガッドムファッキンシット…思わず知っている英語が全部出てしまった。つまり、外国人の間では「日本の女はイージー(すぐヤラせる)」なことで有名なため、見つけたらとりあえず声をかけてみる、それを日本人女が「モテた!」と勘違いしている、という構図らしい。さらにそういう女は大体「日本でモテた経験がない女」だそうだ。ジーザス…クライスト…また新しい英語を覚えてしまった。全ケースそれ、というわけではないだろうが、確かになくはない話である。自分もそうなったら勘違いする自信があるからだ。これは「モテないあるある」だが、あまりにも人、特に異性などから好意を向けられ慣れていないと、たまに好意を向けられた時、必要以上に「舞い上がる」か「疑う」かの二択になってしまうのだ。前者は「イージー」で後者は「私に声をかけるなんて、こいつネズミ講か宗教だな?」と思う奴である。しかし、ねこ歩きで有名な岩合さんに一度だけお会いした時「かわいい猫よりそうじゃない猫に声をかける、すると猫も『えっ私?』となる」と言っていた。生まれた瞬間「カワイイ」が約束されたおキャット様でもそうなってしまうのだ、それより下の人間がそうなるのは当然なのである、これからも、たまのモテ(た風)に心からはしゃいでいこう。【ガ】▶「外国人彼氏」(がいこくじんかれし)外国人とつきあうのがステータスと思っている女もいるようだが、自慢のカレシも祖国ではクラスで変なあだなをつけられてたタイプかもしれない。【ギ】▶「擬人化」(ぎじんか)やると「擬人化すればオタクが喜ぶと思って!」と怒り出すオタクが必ず現れるジャンル【グ】▶「愚痴」(ぐち)SNSがこればかりだと嫌われると言うが、景気良いことばかり言っていても嫌われる【ゲ】▶「解せぬ」(げせぬ)「なんであんなブスがモテるか全然わかんない」多分そういうことを言わないからだ【ゴ】▶「ご縁」(ごえん)これがないことを理由に、交際、結婚、就職、全部断っていいプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年06月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第10回アクマの辞典ワ行【ワ】▶「ワンナイトラブ」(わんないとらぶ)ラブってそんなに価値ねえな、と気づかせてくれる今回はわ行から「ワンナイトラブ」だ。字面だけ見ると、バーでの出会い、カクテルドレスのミステリアスな美女、「良かったら思い出を作りにきて」と渡される最上階のスイートルームの鍵、などを連想しがちだが、実際は未だにババアが鍵を手渡ししてくるラブホで行われていたりもする。つまり「一夜限りのセックス」を、考え得る限りしゃらくさく言ったのが「ワンナイトラブ」だ。ただしこれは、行きずりとは言えお互い合意が前提であり、酔わせて連れ込もうとするのは「犯罪」。片方がワンナイトラブで、片方がつきあってもらえるつもりでいたら「スパーク一発ヤリ逃げ」となる。しかし、そんな文字通り、使いきりコンタクト感覚でパツイチかました経験がある女というのはどのぐらいいるものなのだろう。いつも通り真偽不明のネット情報によると20~30代の女100人に聞いたら3~4割が「ある」と答えたそうだ。なぜヤッたかというと、その多くが「酒の勢い」また「失恋のヤケクソ」など「カッとなってヤッた」としか言いようがない「強く当たって後は流れで」のような、相撲の八百長の如き理由である。したことがない、またやりたいとも思わない者の意見としては「好きにならないと無理」という純粋なものから「酔ってヤッていいことなし」という「せやな」としか言えない真っ当なもの、「翌朝、戦国自衛隊の夏八木勲なってるから」という「次の日の服やメイクのことが気になるから無理」というタイプもいる。真面目なことを言えば一夜限りの関係なんて虚しいし、危ないからやめなさいとなるが、誰かが知らない男と一発ヤるごとにトキが1匹死ぬというわけでもない。フリーの大人の女が、合意の上で、その後巻き起こる面倒やリスクを理解した上でヤッているなら止めようもない話である。また男向けに「女をワンナイトラブに持ち込む方法」を指南しているページも見つけた。そこに書かれている「ビッチと噂されるのを嫌がるから、口が堅いことをアピール」ぐらいはまだわかるが「体目当てではないとアピール」はいただけない。ワンナイトラブでこれをやると「俺は君の体目当てではない。内面も評価した上でヤリ捨てたいんだ」ということになってしまう。嫌がっている相手に関係を迫るのは下の下だが、ワンナイトラブで誠実さを見せるというのも下策な気がする。それこそ相撲感覚で、1回ぶつかって。いい汗かいたら解散ぐらいでいいのではないだろうか。【ワ】▶「ワンチャン」(わんちゃん)「1回チャンスがある」より「可能性がある」と言う意味で使われがち、ただセックスだけ前者の意味が使われる【ヲ】▶「ヲタク」(をたく)自らを「ヲタク」と自称するオタクに会ったらオタクの中でも面倒な奴なので関わるな【ン】▶「んめー」(んめー)辞書を作るとき、「ん」はいつも俺たちを悩ませる、そんな女になりたいプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年05月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第9回アクマの辞典ラ行【ロ】▶「ロミオメール」(ろみおめーる)恋人と別れたことによりポエムの才能に目覚めたならプラスと言える今回のテーマはラ行から「ロミオメール」だ。ロミオメール、というのを皆さんはご存知だろうか、主に何故か別れた瞬間、ポエムの才能に目覚めてしまった元カレから送られてくる、自分に泥酔しているメールのことを指す。逆に元カノから送られてくるのは「ジュリエットメール」である。「ロミオ」と称される通り、大体別れた原因は己の浮気やギャンブル癖だったりするのだが、何故か彼の中では「運命に引き裂かれた」というようなストーリーになっており「俺は愛の翼広げて待っているから、いつでも帰ってきていいんだよ、素直になりな」と、いつのまにか許す側に回っているため、こちらは「も、もしかして私たち(立場が)入れ替わっちゃってる~!?」と驚愕するしかない。こんなメールを、愛情が残っていない相手から送られてきたら、怒りと不愉快さで爆発必至であり、すぐさま消去されるものがほとんどだろう。しかし、ロミオメールはポエムとしての完成度は高いのだ。この作品を、怒りに任せて、ゴミ箱に捨ててしまうのは、大きな文化の損失である。そんな己の感情より「文化財の保存」を優先してくれた者たちのおかげで、今でも多くのロミオメールが現存している。ちなみに保存方法は「ネットに晒す」である。ロミオメールのみならず、どれだけ心を込めたメールでも、相手から「どうでもいい奴」と思われていたら、全て「爆笑メール」として、晒していいものとされてしまうのだ。逆に好きな相手からなら、タイトル欄に「りょ」としか書かれていないメールでも、保護る、そんなものである。そんな、人の無慈悲さのおかげで、今でも「ロミオメール まとめ」などで検索すれば、多くの文化遺産を鑑賞できる。昔は私もこの美術鑑賞を趣味としていた時期があるが、今はもう見られない。人間関係、特に他人の恋愛のいざこざを笑って見られるのは、心身ともに元気がある若い時だけなのである。だから今はもう、ロミオメールは胃にもたれてしまい、見ることができず、「ギャンブルの借金で困っている人」など、あっさりしたものしか鑑賞することができない。「老後の楽しみ」という言葉もあるが、若い時にしか楽しめないものも、歴然と存在するのだ。そうなった時後悔がないよう、今のうちにロミオメールを鑑賞しておくといい。【ラ】▶ラブレター」(らぶれたー)昔は回し読みぐらいで済んだが、今は写真でネットに晒される、読んだら爆発する機能がない限りは、出さない方がいい【リ】▶「理系男子」(りけいだんし)メガネで細身の白衣が似合う賢いイケメン以外はただの理系【ル】▶「ルイボスティー」(るいぼすてぃー)何にでも効く、女にとっての進研ゼミ的存在つまりやっていてもそんなに効かない【レ】▶「レンタル彼氏」(れんたるかれし)「デートの練習などに」と書かれているが、彼氏にレンタル彼氏でデートの練習をしたと知られたら別れそう【ロ】▶「ロミオメール」(ろみおめーる)恋人と別れたことによりポエムの才能に目覚めたならプラスと言えるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年04月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第8回アクマの辞典ヤ行【ヤ】▶「やけぼっくい」木の燃えカス、お前らのモトサヤ恋愛はそんなに美しいものではないと教えてくれる今回のテーマはヤ行から「やけぼっくい」だ。今まで「松ぼっくり」のようなものをイメージしていたが正しくは「木杭」と書き、文字通り木の杭や切り株などを指す。だからと言って、延々と木の燃えカスについて話せ、という意味ではないはずだ。むしろそれで1000文字書ける奴の方が怖い。おそらく「やけぼっくいに火がついた」の方について書け、ということだろう。逆にこの慣用句以外でやけぼっくいという言葉を聞いたことがない。「やけぼっくいに火がついた」とは「過去に関係があった者同士は、一度縁が切れても元の関係に戻りやすい」というたとえだ、特に男女に使われることが多く、簡単に言えば、よりを戻す、モトサヤだ。だが、元に戻りやすい、と言うが「男の恋愛はフォルダ別保存で女は上書き保存」と言われるように、男は昔の女をいつまでも覚えているが、女は次の男ができたら前の男のことはさっさと忘れる、とも言われている。つまり、女は一度好きでなくなった男を、もう一度好きになることはあんまりない、ということだ。しかし、現にモトサヤカップルは存在する、では一体どういう時に「やけぼっくいに火がつく」のか。一番美しいのは「別れて初めてお互いの大切さに気づいた」だろうが、それはTim Tamぐらいソースイートだ、確かに口ではそう言うかもしれないが、実際はもっと打算があるはずである。まず、別れた相手がアップグレードしていた場合だ。わかりやすく言うと「別れたヒモバンドマンがミュージックステーションに出てた」時である。同じデータをもう一回保存する気にはなれなくても、新しいデータになっているなら話は別ということだ。しかしこの段階で「あなたの大切さに気づいた」などと言っても、相手も馬鹿ではない、型落ち機に再インストールされてくれることは希で、すでに別のハイスペック機のものになっている場合がほとんどだ。次は「上書きしたデータの方がクソだった」バージョンアップが全て「改善」とは限らない、「改悪」の場合もままある。あとでじっくり鑑賞しようと「ファボ」しておいた破廉恥画像が、何故かフォロー先のタイムラインに表示されてしまう機能等、ツイッターがよくやるやつである。そんな時、誰しも思うだろう「前の方が良かった」と。つまり「別れて大切さに気づいた」のではなく「新しい男がクソすぎて前の男のマシさがわかった」パターンである。最後に「衰え」だ。年を取ってから、新しいゲームより、昔のゲームのリバイバルの方に魅力を感じることが多くなった。懐かしさもあるが、そういうゲームの一番の利点は「もう大体知っている」ことだ。つまり、もう新しい相手と一から関係を築いていく元気も時間的猶予もなく、それよりは性感帯の位置まで把握している相手ともう1回付き合うほうが手っ取り早いし楽、という時だ。以上のことから、例えに「木の燃えカス」が使われているのはこれ以上なく正しい、昔の人は偉大である。【ヤ】▶「やけぼっくい」木の燃えカス、お前らのモトサヤ恋愛はそんなに美しいものではないと教えてくれる【ヰ】▶「ヰキペヂア」何かと思ったらウィキペディアのこと、私のコラムはこれの知識のみで書かれている【ユ】▶「ゆるふわ」頭、もしくは股につけられる形容詞【ヱ】▶「ヱヴァ」かつて彼らと同年代が今35歳【ヨ】▶「欲求不満」金で解決するのが一番安全プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年03月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第7回アクマの辞典マ行【マ】▶「魔性」(ましょう)容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの今回のテーマはマ行から「魔性の女」だ。人間的に良くない意味なのはわかる、しかし女として生まれたからには一度は言われてみたい、男だったら「エクスカリバー」に匹敵する「一度は授けられてみたい称号」であることは否定できない。では魔性の女と呼ばれるにはどういう要素が必要なのか。まず、容姿である。妖艶な美女にこしたことはないかもしれないが「特別容姿が優れているわけではないが、不思議な魅力に抗うことが出来ない」みたいな、群馬県人がデフォルトで持っている力を持っている女、というのも中二心的に魅かれる。つまり魔性の女たるもの、男にはモテなくてはいけない。まずこの時点でハードルが高い気がするが、尺が足りないので、3分クッキング方式で「もうモテている」ことにして話を進めるだが、ただモテて男が切れないだけではダメだ、魔性の女という称号がもらえると思ったら勲章に「ヤリマン」と彫られている恐れがある。つまり魔性の魔性たる所以「関わった男、及びその周りが破滅」しなければいけない。しかしここでポイントなのは魔性の女はその破滅に巻き込まれてはいけない、相手や周りだけ破滅させて、自分は無傷でそれを眺めて笑う、これこそが魔性の女だ、キマッた、カッコイイ。よって、不倫相手の家庭を崩壊させたが、自分もバッチリ慰謝料を請求された、では魔性の女としてダサすぎる。自分が倒した木の下敷きになる木こりと大差ない。よって、不倫はやめた方がよい。マジレスすると魔性の女と言えど、民法は敵に回さない方がいい、今まで「調停が不思議な力で覆った」という判例は聞いたことがない。自分の魔性を過信しすぎないのもデキる魔性の女だ。既婚者でなくても「人のものに手を出す」というのは破滅に巻き込まれる可能性が高くなる。そういうことをするのが魔性の女ではないか、と思われるかもしれないが、今は21世紀だし平成も終わる「リスク対策ができる」のが、現代の魔性の女だ。つまり、人のものでない男を相手にするのが良い。以上のことをまとめると「普通につきあった男が全員おかしくなる女」になる。いらない。魔性の女の称号いらない。純粋に、男を破滅させるのが好きで、意図的にそれをやっているなら良いが「自分では制御できない」という、中二垂涎の力で「魔性」な女はどうすれば良いのか。それも「破滅」などと言ったらまだカッコイイが、その内訳が「つきあった男が全員ラバープレイに目覚める」かもしれない自分もそういう趣味なら良いが「自分には全くその気がないのに、相手はそうなる」可能性も大いにある。「不思議な力」というのはそういうものだ。「魔性」持ってないから、良いものに見えるだけな気がしてきた。【マ】▶「魔性」(ましょう)容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの【ミ】▶「ミステリアス」(みすてりあす)褒め言葉と思い込みがちだが、他人はそのミステリ部分に対して興味がない【ム】▶「ムダ毛」(むだげ)日本では生えてる女に人権がない【メ】▶「メンヘラ」でも大体彼氏がいる【モ】▶「喪女」(もじょ/もおんな)「モテる」と自称しても叩かれるが「モテない」自称も叩かれる。日本では「女の自称」が法律で禁じられているプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスのたしなみ』(太田出版)を2017年12月7日に発売。
2018年02月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第6回アクマの辞典ハ行【ヒ】▶「一目惚れ」(ヒトメボレ)した場所が重要、ハローワークなどだったら要再考。今回のテーマはハ行から「一目惚れ」だ。これが、乙女ゲーなら、一列に並んだ5、6人のイケメンキャラを一瞥して「お前に決めた(この間0.2秒)」となるのは良くあること、というか、いつものことだ。しかし、現実世界で一目惚れ、というのはなかなかないだろう、むしろ世の中には、一目惚れする奴としない奴がいて、する奴は何度でもするし、しない奴は絶対しないものだろうと思う。一目惚れなど絶対ありえない、と思っている人間からすると、一目惚れする人間というのは「なんで見た目だけで決められるんだよ」「もっと慎重になれよ」「虫かよ」と、非常に浅慮で短絡的な人間に見えるかもしれない。しかし、外見という一要素で決めてしまっているという点では「初デートでサイゼリアに連れて行かれたから、この男はない」と、即切りしてしまうのと、そんなに変わらないのではないか。むしろ、結婚するとしたら顔は一生見るのだから結構重要だ、その点サイゼリアには住むわけではないだろう。よって「新居探しでサイゼリアに連れて行かれた」というならその男はない、と言って良いかも知れないが、ただ1回のデートがサイゼだったからといってなしと判断するのは、顔で判断するより浅慮ではないか。そして「サイゼリアの男はない」以前に「そもそもサイゼリアがない県」に謝罪を要求する。しかし、ここで言う浅慮とは「世間や婚活コンサルの人が、初デートがサイゼリアの男はないと言っているから、ない」と判断してしまうことだ。相手が自分をどうでもいいと思っているからサイゼリアなのか、長く付き合いたいから最初からカジュアルな場所にしたのか、相手の態度を見て自分で判断し、その結果「ない」と思ったら「初デートでサイゼリアだったからなし」というのも短慮ではない。「デート経験がなく、イタリアンと言ったらサイゼリアしか思いつかなかった」という理由も一見マイナス要素だが「女慣れしてない」というのをマイナスに見るかプラスに見るかも自分次第である。「丸亀製麺」「さくら水産」「サイゼリア」で迷って、サイゼリアにしたというなら「センスは悪くない」「のびしろがある」と考えることができるし、逆に「さくらだったら即決だった」という場合もあるだろう。つまり完璧な人間など存在しないのだから、一つの要素で決めずに多方面から見てトータルで決めた方が良いのではないだろうか。…と、もっともらしい終わり方をしたいところだが、見た目一点買い、出会って4秒で合体したカップルは4秒で別れて、結婚相談所に高い金を払って丸4年精査を重ねて結婚したカップルは末永く暮らすかというと、そうでもなかったりするのである。結局、重要なのはきっかけや条件ではなく、続くように努力すること、あとは運、なのかもしれない。【ハ】▶「パンケーキ」今一番。写真だけ撮られて捨てられてると思われている食べ物、実は完食されている。【ヒ】▶「一目惚れ」(ヒトメボレ)した場所が重要、ハローワークなどだったら要再考。【フ】▶「不倫」(フリン)日本ではミサイル発射より先に取りあげるべき大事件。【フ】▶「変顔」(ヘンガオ)男に気どらない自分をアピールするテクと思われがちだが、実は同性に嫌われないようにするテク。【フ】▶「ぽっちゃり」男と女で、定義に30キロぐらい誤差があるプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスのたしなみ』(太田出版)を2017年12月7日に発売。
2018年01月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第5回アクマの辞典ナ行今回は「ナ行」から「寝取り」である。みんな、寝取ったり、寝取られたり、または自分が「単身赴任中に貞淑な妻が知らないおっさんの肉便器にされてました」の肉便器側になったことがあるか。寝取られ経験については気づいてない可能性もあるが、少なくとも私は、寝取りと肉便器はやったことがない。エロゲーの世界では「晴れのち曇り」ぐらいよく起こることだが「寝取り」というのは現実でやるには意外と高度なことなのである。まず「寝取る」とはどういう意味なのか。【寝取る】他人の配偶者や恋人と情を通じて、自分になびかせること。文字通り寝ただけではなく、その行為により気持ちまで奪わなければならない。よって、寝るビフォア時点では相手にとってはただの浮気かもしれない、だがアフターには「俺、こいつのこと彼女より好きかも」と思わせないといけないのだ。つまり、かなりセックスにかかっている。貞淑な妻を肉便器に変える知らないおっさん力が求められるのである。寝さえすれば、こちらに情がうつるはずなどと思うのはおイッヌ殿の発想であり、それではいつまでもセカンド、サード、ホームに戻って1点入ってしまうぐらいの、予備扱いだ。そもそもセックスしているという条件は、正妻も同じだし、むしろ向こうのほうがメチャクチャセックスしている、条件が同じそれどころか数の利が相手にあるなら、質で勝負するしかあるまい。黒ヒョウがいても気づかぬような暗室で行われる旦那との週一正常位しか知らなかった貞淑な人妻に、パロスペシャル※みたいな体位をかまして「もうあなたなしじゃ生きていけない」と言わせなければならぬのだ。つまり寝取りが出来るというのは、かなりのモブおじさん力、万人にわかるように言えば、セクシャリティな能力、魅力が高いということである。こんな誰でも持っているわけではない力があるというのに、わざわざ「セックスで心が左右しちゃう男」と付き合うなんてもったいないことである。仮に自分が「寝取り」に成功して、その男と付き合いだしたとしても、もうその時点で相手は、浮気をするタイプであることがわかっているし、さらにセックス如何で心まで動くタイプだと大判明しているのだ。自分が取ったということは、もっとスゴ技の女に取られる可能性があるし、逆に拙い女に魅力を感じてそちらにいくこともある、とにかくセックスで取った男はセックスで取られることがあるし、その男はセックス如きで取れる男なのだ。もったいない。どうせ男と付き合うのなら、知らないおっさん側ではなく、貞淑な妻にパロスペシャル※をかけられる旦那、の地位を目指したほうが良いだろう。※パロスペシャルとは、プロレス技のひとつ。【ナ】▶「ナース服」(なーすふく)仕事内容人間関係のハードさがトップクラスな戦場で生きぬき、また収入的に男いらず、離婚暦があるものが多い戦闘集団が着ているユニフォーム【ニ】▶「苦手な女」(にがてなおんな)周囲に言質を取られる危険性を考慮した上で表現された「嫌いな女」のこと、「悪い人じゃないけど苦手」等さらに逃げ道を作った言い方もある。【ヌ】▶「沼」(ぬま)所在地が二次元か三次元かで幸、不幸が真逆【ネ】▶「寝取り」(ねとり)武勇伝と勘違いしている者もいるが、逮捕歴と同じぐらい言わないほうがよい【ノ】▶「惚気」(のろけ)別れたとき周囲に爆笑されるための前フリプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年12月07日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第4回アクマの辞典タ行【タ】▶「玉の輿」乗った女は全人類から転落を祈られる今回のテーマはた行から「玉の輿」だ。今は「ハイスペ婚」と呼ばれるのだろうか、今も昔も変わらぬ女の夢である。…などと言うと物言いがつく世の中になった。もちろん「相手が低学歴低収入だろうと愛があれば幸せになれる」などという、スイーツ二郎レンニュウマシマシみたいな思想が今更はびこりだしたわけではない。男に依存した人生は危険であり、ハイスペ男に気に入られる自分磨きよりも、自分一人でも生きていけるスキルを身につける方が肝要である、という考え方である。確かにハイスペ婚をしたはいいが、浮気、モラハラ、果てはDVを受け、かといって自分に生活力がないから離れることもできない、というハイスペ婚不幸話は事欠かない。むしろあまりにもそういう話ばかりで、ハイスペ婚は百発百中不幸になるようにすら思えてくる、犬と結婚した方がまだ幸せになれるのではないか。しかし、本当にハイスペ婚は不幸なのか。そんなことはないだろう、必ず幸せになっている奴はいる。つまり、ハイスペ婚は不幸になる。ではなく「俺たちがハイスペ婚女を不幸にしたい」のだ。俺たち、とは「ハイスペ婚♪」と聞いた瞬間、口内にタンが充填されてしまうタイプのことである。そのメンバーは主にハイスペじゃない男、ハイスペ婚を狙っているのに上手くいかない女そして、「ハイスペ婚♪」と口にしただけで蜂の巣にされる系女子である。そんなイカれたメンバーたちが「よし今日は、ハイスペ婚した専業主婦の習い事とエステ、ペット、外食記録のみ書かれているブログを読破するぞ」などとはまず思わないのである。何が見たいかというと、ハイスペ婚、と調子をこいていた女が旦那の浮気やモラハラで苦しむ姿だ。幸せな女の記事はシャットアウトして不幸な女の記事ばかり見ているのだから、そりゃ「ハイスペ婚は不幸」という結論になってしまう、というか、そういう結論にしたいのだ。もちろん私も、自動タン充填マシンなので、そういう記事を見てプギャーっと喜んでいたのだが、結局自分が望む「ハイスペ婚の末路」を選んで見ていただけだと気づき、このテーマで書くなら、嫌だけど一度、ハイスペ婚でサクセスした女も見ておくかと思い、「ハイスペ婚 幸せ」でググって見た。トップに出てきたのは「ハイスペ婚したけど幸せじゃない」という記事だった。オーケー、俺の調べ方が悪かった。よって「ハイスペ婚 幸せになった」でググりなおしたところ今度は「ハイスペック男性と結婚した女性の苦労話4選」が出てきた。どうした、グーグル先生、反抗期か?その後「ハイスペ婚 成功」などで調べてみたが出てくるのは「ハイスペ婚失敗談」である。どうやらグーグル先生もハイスペ婚女が大嫌いのご様子である。おそらく実際はハイスペ婚で不幸になった女より、幸せになった女の方が多いのではないかと思う。しかし世間からは妬み嫉まれ、グーグルにまで嫌われる存在であることは確かなので、したとしても自分から「ハイスペ婚しました」とは口が裂けても言わない方がいい。【タ】▶「玉の輿」乗った女は全人類から転落を祈られる【チ】▶「血祭り」女に起こる月に1度の祭祭中に不用意な発言をした男も血祭りになることで有名【ツ】▶「釣った魚」俺の金で知らない間にエサを買って食っている【テ】▶「天然」自分でそう名乗る女は養殖【ト】▶「友達」「わかる」だけ言ってくれる人間プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年11月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第3回アクマの辞典サ行【セ】▶「セッ◯ス」ないと人類が滅亡するが、あると戦争が起こり死人が出る今回はサ行だが、そんなものは「セッ◯ス」一択に決まっている。むしろ「さしすせそ」と言えば「さてセ〇クス、してセッ〇ス、すわセック〇、セ〇〇ス、そして〇ックス」だ。先日、セッ◯スの雄「an・an」の方に会ったが、何故「セッ◯ス特集」が長年支持されているかというと「みんなセッ◯スの話がしたいし、聞きたいのだ」という。つまりセッ◯スというのは「武勇」なのだ、武功を立てたなら誰かに語りたいものだ、聞く方も「俺も昔はワルで」という話なら開始一秒で腹痛を理由に席を立つが、セッ◯スの話とあらば「いざ鎌倉」である。もちろん興味ない人も嫌いな人もいるだろうし、そういう人が「セッ◯スが嫌いな奴はいない」という暴論が元のセクハラ被害にあっているのは由々しきことだが、ただ多数決で言うと興味がある人間のほうが多いし、人類史始まって以来、セッ◯スの支持率が過半数を割ったことはない、だから今まで人類は滅亡しなかったのだ。しかし、人類の半数以上が「セッ◯スが好き」、と言っても全員が同じ視点で好きなわけではない。例えば、全世界で2兆部売れている漫画があるとしよう。その漫画を好きな人間が多いことは疑いようがない。しかしどう好きかは人によって全然違う。ストーリーが好きという人もいればキャラが好きという人もいるだろう。キャラが好きという人の中にもBL視点で好きな人も入れば、キャラと自分の恋愛を夢想する夢視点な人もいる、またBL視点だとしても「○○×△△」というカップリングが好きで逆に「△△×○○」は許せない、という人もいる。つまり「セッ◯スが好き」と言っても、自分の嗜好に合わぬ逆カプの如きセッ◯スは、苦痛でしかないのだ。むしろセッ◯スほど細分化されているジャンルはないのではないだろうか。また、漫画の気に入らないカップリングなら徹底的に避けることができるが、セッ◯スはそうはいかない。一応、配偶者やパートナー以外としてはいけないことになっているのに、その相手と「セッ◯スに関してどうにも解釈違い」であることに悩んでいる人間、特に女は多いそうだ。その悩みの深刻さは、解釈違いもそうだが、それを「ごめん、私それ地雷なの」と相手に告げられない点にある。言うと相手が気分を害す恐れがあるからだ。よって「我慢」という形で、逆カプ同人誌を読むかのようなセッ◯スをしているのだ。よって「an・an」のセッ◯ス特集は、全てが痛快セッ◯ス武勇伝ではない。そこには上手くいっていないセッ◯スの悩みも多数掲載されている。ただし、ほとんどの答えが「そのことをパートナーにちゃんと話しましょう」というものになってしまうし、事実そうなのだが、言えぬという気持ちもわかる。自分が腐女子や夢女であることを人に告げるときは少なからず勇気がいる。己の嗜好を晒すというのは、どんなことでも恥ずかしいものなのだ。ジャンルと言うのは規模が大きければ大きいほど揉め事が起こりやすくなる。最大手「セッ◯ス」であれば、毎日どこかで戦争が起きているのだ。【サ】▶「再会」3年間何も良いことがなかったクラスの同窓会になぜ良いことがあると信じて行ってしまうのか【シ】▶塩対応婚活の場で年齢か年収を言った途端されはじめるもの【ス】▶すっぴんなぜかわざわざSNSに載せられるもの、フォトショは化粧に入らない【セ】▶セクシー他人から見ればセクハラ【ソ】▶相思相愛利害が一致している状態例「体目当てと金目当て」プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年10月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第2回アクマの辞典カ行【コ】▶「告白」言ってすっきり、相手どんより。今回のテーマはカ行から「告白」である。これは、年代によって受け取り方や意味が全く異なる言葉だ。中高生だったら「愛の告白」以外に思い浮かばないかもしれないが、私にしたら「今年になってソシャゲにつぎ込んだ金額」である。若いころは甘酸っぱい言葉だったかもしれない、それが加齢と共に酸っぱさオンリーになっていき、特に結婚した後は「良い意味での告白」はほぼ皆無になる。10代の頃は、打ち上げ花火を下から見るか横から見るかで悩めたかもしれないが結婚後は「借金告白、直接言うか、LINEで言うか」みたいな告白しかなくなるのである。また「愛の告白」にしてもティーン、とサーティンでは全く趣が違う。ティーンの告白というのは、とにかく交際がゴールだろう、中には好きと伝えられただけで満足という場合もあるかもしれない。しかし大人になると、このような言いっぱなしジャーマンでは終われない、ビジネスで言うと「好きだ」という「報告・連絡」で終了しているのだ。いい年をして「ホーレンホーレンホーレンホーレン ホーレンホーレン(合いの手)」とソーラン節調で言い逃げしていくのは社会人のすることではない。むしろ重要なのは「相談」部分だ。交際をしたいという明確な意思表示が必要だし、相手も三十を過ぎていたら、その交際が結婚を視野にいれたものか提示すべきだろう、さもなければ相手に無駄な時間を過ごさせる恐れがある。また結婚前提なら結婚した場合のビジョンも示さなければいけない。このように「告白」は年を取るにつれ「カミングアウト」から「プレゼン」になっていくのである。よって「何のとりえもない私だけど」みたいな告白は愚の骨頂だ、何のとりえもない商品を顧客に勧める奴があるか、という話だ、逆にとりえがなくても、プレゼン段階ではあるように言うべきだ、何だったらパワーポイントで資料を作ってもいい。ただ年収のように明確な数字が出ているものを偽るのは、4バイトしかない商品を4テラですと言って売るようなものなので、詐欺罪に問われないためにも、そこに自信がない場合は内面とか、ぼんやりした部分をアピールしたほうが良いだろう。メリットだけを言い、デメリットは聞かれない限り答えないのもビジネスである。また告白する際にはリスクヘッジも必要だ。ティーンなら、フラれても、失恋ソングを聴きながら、砂糖入りホットミルクをカブトムシみたいに舐めて3日ぐらい部屋に閉じこもれるかもしれないが。大人には仕事他、日常業務がある、失敗後のダメージ計算は不可欠だ。ダメージを減らすために「告白」という明確な手段はとらず「流れ」での交際を目指す大人は非常に多い。また同じ会社の人間相手に失敗した場合はその後の業務に支障が出る可能性がある。よって「職場内の人間は避ける」など。逆にリスクから相手を選ぶという方式をとっている人間もいるのだ。このように、社会人になったあたりから、告白からロマンはどんどん消えていく。しかしガッカリしなくても良い、最初に言ったとおり、結婚後は「隠し子発覚」など、告白は「プレゼン」から本来の「カミングアウト」の意味に戻り、ドキドキも復活する。ただ何度も言うが「悪い意味」でである。【カ】▶「顔」「内面で勝負」と言っても、まず内面を見てもらえるかがここにかかっている【キ】▶「キュン」浮気をしたのはパートナーにこれが足りなかったせいで自分のせいではない【ク】▶「クズ(男)」顔も年収もいいくせに自分を好きになってくれない男【ケ】▶「結婚」崩壊した神話。ハルマゲドンのはじまり。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年09月04日裏社会を描いた人気シリーズの最新作、青木玄徳を主演に描く『闇金ドッグス7』から、この度予告編とポスタービジュアルが到着。あわせて、青木さんと逢沢りなのキスシーンを始め、本作の場面写真が公開された。山田裕貴と青木さんのコンビで裏社会を描いてきた人気シリーズ『闇金ドッグス』の最新作となる本作は、現在公開中の山田さん主演『闇金ドッグス6』と連続公開となる。『闇金ドッグス7』では、パート3・5に続き、青木さんが主演を務め、逢沢さん、加藤歩(ザブングル)、藤田記子、前山剛久、ムートン伊藤、佐藤貢三、山田さんが脇を固める。公開された予告編では、半ケツ姿でお腹を鳴らし横たわる司が映し出されスタート。逢沢さん演じるNo.1ホステスのエマや、加藤さん演じる悪質顧客、そして安藤忠臣役の山田さんら登場人物が登場している。さらに同時に、「愛は罪か?銭は罪か?」というコピーが書かれたポスタービジュアルも到着。司とエマの2ショットと共に、その下には登場人物たちが写し出されている。『闇金ドッグス7』は9月2日(土)よりシネマート新宿ほかにて公開。(cinemacafe.net)
2017年08月30日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラムがリニューアルして登場!日常にあふれる様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第1回アクマの辞典このコラムは「アクマの辞典」と題し、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードを取り上げる、というコーナーだ。今回はさっそく「ん」だと言ったらやる気のねえ、しりとりみたいで面白いが当然「ア行」からだ。お題の方は担当がピックアップしてくれた、まずアがこちらだ愛、愛情、朝、明日、アスパラ、頭、新しい、アップル、熱い、暑い、厚化粧、アクアリウム、悪意、悪妻、悪魔、悪女、後味、天の邪鬼、アラサー、アラフォー、アルコール、慌てる、泡アだけでこれだ、これがオまで続いている、多すぎて逆に全く選べない、むしろ1個しか選ばれないのに、よくこれだけ出してきたと思う、当然来月はカ行に移行し選ばれなかったア行の数十個は藻屑と化す。しかしすでに、トップに避けては通れない、ワードが出て来てしまっているではないか、アスパラではない「愛」だ。【ア】▶「愛」即効性がなく 効果は個人差あり 保険外みんな、誰かを愛しているか、もしくは愛されているか?答えはどうでもいい、何故なら愛は完全に自己申告制だからだ。彼とはラブホどころか、最近は自分の軽自動車の後部座席でしか会わないし、そのたびに財布から2、3枚抜かれるが愛されている、もしくは、俺は働かないし、あいつの為に指一本動かすつもりはないが、愛している、と言われたら、そうかとしか言いようがない、目に見えぬもの故そういう相手を論破するのは難しいし、時間がもったいない。でも、ないよりはあった方がいいだろう「愛」しかし、中高生ならまだしも、大人になると愛だけで相手を選べなくなるのは確かだ。相手の年収や職業を気にするのは、さも悪のように言われるが、良い年して全く気にしていない女は正直、詐欺師の懐に自ら飛び込んで行くカモみたいなものだ。その状況って怖くないだろうか。愛があれば金なんてというか逆だ、自分に金があれば、相手の年収なんて気にしなくていい、そして持っている金が多ければ多いほど、相手が金のかかる趣味を持っていようが、ギャンブル狂だろうが関係なくなる、つまり金があれば愛だけで結婚することができるのである。しかし、愛があれば金なんて、が全くなりたたないわけではない、金はあるが、愛のない相手に一生モラハラを受けて暮らすなら、金はなくても愛がある相手と結婚した方が幸せかもしれない。しかし、金がないのはないのでやはりツライことだ、よって、それが愛でカバーできることなのかちゃんと考えておくべきだろう。しかし、ここで想像する貧乏像を「食うものがない、電気を止められる」等、漠然としたテンプレ貧乏にするのは危険だ。漠然とした貧乏像であるがゆえに、愛という漠然としたもので乗り切れるような気がしてしまうからだ。よって、水や食い物等、万人が必要とするものではなく、自分にとっての必需品が買えない、または節約しなければいけない状態を考えた方が良いだろう。私なら、ロキソニンと便秘薬だ。わかる人にはわかるだろうが、わからない奴には全然わからない物だ。確かに命に別状はない、だがこれがないと、苦痛で不愉快な時間を月に数度確実に耐えなければいけないのである。そして苦痛かつ不愉快な状態で、隣には、その原因の一端を担うパートナーがいる、持続できるだろうか、愛を。しかも自分にとっての必需品なので相手にわかってもらえない可能性も高い「ウンコぐらい根性で出せ」と根性論を持ち出されたら、そこでライフイズオーバーだ。この人と一緒なら、電気水道止められても平気、みたいな極論で考えると逆に想像力が働かなくなってしまうのだ。「この人と一緒ならコンタクトの保存液買えなくても平気」とか、もっと身近なもので考えてみた方が良いだろう。【イ】▶「いい男」顔や年収だけではなく、家事能力も求められる『女がなにもしなくて‘いい男’』のこと【ウ】▶「占い」今の不調を自分以外の何かのせいにしてもらいにいくところ。
2017年08月12日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第6回「猫を飼う責任の重さ、男と付き合うカジュアルさ」突然だが今回が最終回である。短い間だったが「猫と男」というテーマで書いてみてわかったことは、まず猫をテーマにするなら引き合いにするのは、宇宙、とかでないとつり合いが取れない、男はバランスが悪すぎたような気がする。つまり、猫は宇宙であり、むしろ猫の中に宇宙があるという話をしたかったのだが、そういう話だったらおそらく6回すら続かなかっただろう、もちろん私は100回ぐらい続けられる自信があるが、周りや病院、警察関係者に許される気がしない。そして、これだけおキャット様のことを賛美しておいて恐縮だが、私は猫を飼っていない。何故かというと、まず家の中に宇宙を飼うのは無理だ、多分宇宙の方が私の家よりでかい。つまりおキャット様という存在がでかすぎて逆に飼えないのだ、おキャット様を飼うことによって得られる5京円の精神的経済効果より、おキャット様を飼うという責任の重さ、そしておキャット様に何かあったら、私の生活と自我が崩壊することが確実なので逆に飼えないのだ。猫カフェなどに行っても、おキャット様に粗相がないようにするにはどうしたらいいか考えるといつも「指一本触れない」「即刻退場する」という結論になってしまい、全く触れないぐらいなのだ。好きすぎて関わりたくないのだ。それに比べたら、男はまず家に入るサイズだし、何かあったらその時考えようと思えるし、無駄に寿命が長いため、死別もリアルに想像できない、死別までいかなくても、別れる可能性はいくらでもあるのに、なぜかつきあう時はその可能性を考えない場合が多い。このように男はおキャット様や宇宙より小さいため、あんまり先のことを考えないどころか、通常よりも知能指数が下がるので、ハッピーな気分でつきあえるという利点はあるような気がする。よって私は、おキャット様を飼わないという選択をしているのだが、重要なのは、猫を飼う飼わない、男と付き合う付き合わない、結婚するしない、ではなく自分でそれを考え、選べるという状態にあることかもしれない、1人でいるのもまた悪いことではない。私も今は猫は飼わないという結論だが、いつか飼うという選択をするかもしれない。その時とは、宇宙を受け入れる覚悟が出来た、とかではなく、おキャット様よりすでに自分が早く死ぬ段階で、さらに自分の死後おキャット様の面倒を見る人間が確保できた時であろう。前者は割と簡単だ、今からでも出来る、しかし後者はなかなか難易度が高い。このようにおキャット様に対しては自分の死後のことまで考えなければいけない、だが相手が男だったら、あとは勝手にやってくれと思える。カジュアル、という点ではやはりおキャット様より男の方が上かもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年05月29日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第4回「男にかかるお金 猫にかかるお金」今回のテーマは「男にかかるお金猫にかかるお金」だ。つまりコスパ比較の話である。とにかく効率性を求める世の中においては避けて通れぬ話だ。まず、おキャット様を我が豚小屋にお迎えし、生涯を共にするにはいくらかかるのだろう。「おキャット様と暮らす」という僥倖を享受するには、まず心臓ぐらい捧げないと釣り合いが取れない気がするが、飼い主という名の下僕が心臓ヌキだと、おキャット様の生活に支障を来たす恐れがあるので、そこは金で解決していこう。いつも通りネット情報鵜呑みでいくと、おキャット様本体の値段は抜きにして、まず健康診断、ワクチン、設備投資など初期費用が3~5万程度、さらに食費、消耗品、また定期的な医療費などで、年間16万ぐらいはかかるという。もちろんそれは最低限の話であり、「この玩具を奉納すれば御キャット様の興を買えるのでは」「この衣服は我が御キャット様に着ていただくため存在するとしか思えぬ」という商品を目にするたびに軽率に買ってしまうだろうから、少なくとも年間20万はおキャット様費という名の玉串料が必要になる。おキャット様を飼う事による利益は年間2京円と言われているので、元は0.1秒ぐらいで取れる。むしろ黒字を出しすぎなので、下僕はSNSに主の写真を頻繁にアップする等、社会への還元が求められる。もちろん「愛猫とツーショット」と言いながら自分の方がでかく写っている写真をアップすると、どんな敏腕弁護士がついても無期懲役ぐらいにはなるので注意した方が良い。おキャット様に異物を混入してはいけないのだ。逆に言うと、年間20万を確実におキャット様のために出せる、という人間以外は飼ってはいけない。「なんとかなるだろう」という希望的観測で飼うのは一番のおキャット様に対する不敬罪である。男が、おキャット様より唯一優れている点は、上記のような絶対的自信や展望がなくてもつきあっていいという点だろう。全然好きじゃなくても、つきあっている内に好きになるかも、でつきあっていいし、相手が無職だろうが、メンバー募集中のバンドマンだろうが「だって好きなんだもん」でつきあっていい。おキャット様を飼うのに比べれは、全然深刻ではない。そのことにより自身が深刻な事態になっても、おキャット様に被害がない時点でどうでもいい。ではコスパ面はどうであろうか「ヒモを飼う」などというのは議論にすら値しないので、普通の定職についている男と同居した場合を考えると、生活費をどれだけ折半するかによるが、コスパ向上をはかれる可能性はある。しかしおキャット様が圧倒的癒しを与えてくれるのに対し、男とのつきあいは、ケンカしたり別れたりと、精神的損害を与えられるリスクがかなり高い。やはりおキャット様を飼うほうがコスパがいいと言いたいが、おキャット様も体調を崩されたりする時がある。そうなるとこちらも心配で涙と血尿が止まらなくなるだろうから、精神的な面でもおキャット様を飼うには覚悟が必要である中には高収入な男を捕まえ、大きな黒字を出しているという女もいるかもしれないが、ハイスペックな男を捕まえるには自分もハイスペックな女でないといけないだろうし、捕まえ続けるためには、それを維持していかなければならない。そのコストは金銭面だけではなくかなりの負担ではないだろうか。その点おキャット様は、最初、可愛かった下僕が、どれだけ腕毛スネ毛の生えたババアになろうとも、食事や寝床さえ与えてくれれば、文句を言わないのだ。むしろ最初からババアでも気にしないのである。さすが、おキャット様。年を取るのは当たり前なのにすぐ「劣化」だのと、あげつらう男とは懐の深さ、度量が違う。避妊手術を受けていても、心のキンタマがでかすぎる。何にしても、他人に頼って生きるというのはリスクが高いことだ。「ハイスペックな男に飼ってもらえる女」より「自分の金でおキャット様を飼う女」を目指すのが何よりのリスク回避だろう。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年03月26日「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」開催概要「髪STORY vol.4」及び「STORY」5月号の発売を記念して、2017年4月2日(日)14:30から、阪急西宮ガーデンズ4階ガーデンズホールにおいて、「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」が開催される。同イベントには、3月27日に発売される「髪STORY vol.4」または、関西エリアにおいて3月31日に発売される「STORY」5月号を、ブックファースト 阪急西宮ガーデンズ店で購入した、先着100名が招待される。トークショーでは、STORY専属モデルとして活躍する稲沢朋子が、自身のヘアスタイルや、ファッション、美容などについて、熱く語る。さらに、神戸のヘアサロン「shiomi H」代表 潮海達矢によるヘアショーや、ヘアカット&スタイリング体験などのイベントも用意されている。MCは、STORYの読者モデルでもある、人気TVレポーター坂田陽子が務める。稲沢朋子のプロフィール1974年2月27日生まれの稲沢朋子は、現在43歳。血液型はA型。所属事務所はアミューズ。読者モデルとして活躍した後、2016年5月号から人気ファッション誌「STORY」のレギュラーモデルを務めている。趣味は、ドライブ、格闘技観戦、ゴルフ、マラソンなど。特技はマリンスポーツというアクティブ派だ。storyweb.jpで掲載中のブログ「どんなときもBIG SMILE!」も人気を集めている。(画像は稲沢朋子オフィシャルブログより)【参考】※storyweb.jp※稲沢朋子オフィシャルブログ※アミューズオフィシャルサイト稲沢朋子プロフィール
2017年03月12日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第3回「男を捨てよ猫を飼おう」今回のテーマは「男を捨てよ猫を飼おう」だ。完全に「書を捨てよ町へ出よう」のパクりであり、それが言いたかっただけで以降のことを全然考えていないのだが。世間では「猫を飼う」と「男と付き合う」という行為は食い合わせが悪く「猫を飼うと婚期を逃す」とさえ言われているようだ。己の行き遅れをおキャット様のせいにする根性からして結婚できるわけがない、と言いたいところだが、これはもちろん飼っている女がそう言っているわけではない。「何としてでも女の行き遅れは悪いものであり、結婚しない女は、餓死、凍死、孤独死、爆散するものであり、その理由は猫なんか飼っているからだ勢」が言っていることだ。では何故「猫を飼うと婚期を逃す」のか、挙げられている理由を述べよう。・「早く帰って猫の世話をせねば」と誘いを断って帰ってしまう・猫と別れるなら死んだ方がマシ、猫と別れるのが条件の結婚なら男と別れる。・正直、心の充足は全て猫が与えてくれるので男などいらない。徹頭徹尾「どこが悪いのかわからない」話だ。何が「要注意!猫を飼うと婚期を逃す!?」だ、お前が要注意だ(夜道、猫飼い女に後頭部をバールのようなもので殴られると言う意味で)という話である。さて、冒頭の「捨てる」と言う行為だが、悲しいことに世の中には猫などペットを捨てる人間がいる、そういう人間は来世、ヘルニアの人の軟骨に生まれ変わるとして、なんにしても「猫(ペット)を捨てる」という行為は許されるものではない、もしSNSで「ペット捨てちゃいました」などと投稿したらフォロワー数がマイナス8兆ぐらいになる。では「男を捨てる」という行為はどうか、これは場合によっては称賛される。「ヒモ男を捨ててやった」全く無関係な人間でさえ胸が梳く言葉だ。戦国の世で言えば「大将首をとった」ぐらいの手柄である。そもそもおキャット様というのも「衣食住の全てを飼い主に依存している」と言う点のみで言えばヒモ野郎と同じだ。しかし、ヒモを捨てれば褒められるが、おキャット様を捨てて褒められることはまずない、人間的に軽蔑されるだけだ。だったら褒められる方を捨てよう、という話である。部屋が片付く、さらに褒められる、一石二鳥というやつだ。現代の女性に必要なのは「結婚しないと不幸」などという呪いよりも、こういった「合理的な考え」である。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年02月26日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第2回「猫を飼っている男性芸能人」さて今回の「猫>>>>>>>(越えられない壁)男」のテーマは「猫を飼っている男性芸能人」である。これは、猫を飼っている男性芸能人をネット情報で見つけ出し、瞬時にファンになろうという企画だ。話は変わるが、皆さんは好きな芸能人は?と聞かれて即答できるだろうか。私はできない。好きな二次元キャラは、と問われたら10人ぐらい言えるし、今の一押しは刀剣乱舞のへし切長谷部だ。誰にも聞かれてないが、言いたいから答えた。そもそも、そこまで人に興味を持たれることがないので、そんな質問されることすらないのだが、備えあれば憂いなしであるし、猫を飼っている芸能人を応援することには大きな意味がある。おキャット様の飼い主が食いっぱぐれるということは、おキャット様もそうなるということなのである、それは由々しき事態だ。おキャット様を飼っている芸能人には恒久的な人気を誇ってもらわなければならない。よって猫を飼ってる芸能人のファンになるというのは、間接的におキャット様を養っているということなのだ。皆、差はあれ、好きな芸能人の熱愛や結婚にはメロスのように敏感だろう。自分がつぎ込んだ金が、得体の知れない女の顔面に注射されるヒアルロン酸になっていたかと思うと、心中穏やかではいられない。しかし、自分の投資がおキャット様が寛ぐ床暖房の板一枚になっていると聞いたら「より励もう」と思えるだろう。さっそく「猫 男性芸能人」でググってみたのだが、猫を飼っている芸能人より「猫顔男性芸能人」という唾棄すべき情報が先に目についた。何度でも言うが、おキャット様は唯一無二の存在であり、他はそれ以下だし、それ以上は存在しない。人間如きの属性に猫を使用するなど恐れ多い。「あたし猫っぽいってよく言われるんです」という自己アピールは、猫好き男子には逆にマイナスだ。気を取り直して「猫好き男性芸能人」で調べて見たが、これが意外なほど出ない。しかしよく考えてみたら、芸能人という不規則かつ、家を何日もあけることがありそうな職業で一人暮らしだった場合、ペットを飼うと言うのはなかなかハードルが高い気もする。むしろ、1人暮らしと言われている男性芸能人がペットを飼い始めたら要注意かもしれない。熱愛のサインというものは意外なところから出ているものである。色々検索してみて一番情報が出てきたのは「爆笑問題の田中裕二」だった。確かに愛猫との写真も多数見つかったのでこれはガチだろう。しかし彼の場合、今更私が応援しなくてもいいぐらいのポジションだ、逆にこっちが応援してもらいたい。あとタモリが猫を飼っているという情報もあったが、さらに応援がいらない、すでにアガリに近い存在だ。できればもっと若手、まだこちらが買い支えねばと思える人材がいい。そこで見つけたのが「栗原類」だ。かなりいい、佇まいや雰囲気も他人事とは思えない。しかも「猫アレルギーなのに猫を飼っている」というのもポイントが高い、その心意気や良しだ。しかし猫アレルギーの症状がどの程度かは知らないが、結構つらいのではないだろうか、鼻が詰まっているというだけで、人は実力の半分も出せなくなる。しかし逆に言えば「だからどうした」とも言える。おキャット様を養えるのであれば、目鼻どころか、耳から謎の液体を出すことすら厭わない、それが猫好きだ。猫アレルギーは人間の都合であり、おキャット様には関係ない、ならば猫アレルギーでも猫を飼うべきと言える。といわけで2017年、好きな芸能人はと言われたら「栗原類」と即答することにした。しかしこういう、おキャット様のために常人ではやらないことをやっている人間がいるため「猫好きは変わっている」というイメージがつくのかもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年01月29日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第1回「猫を飼っている男の特徴」このコラムのテーマは「猫と男」だ。おそらくこのコラムを読んでいる3人中5億人が「男いらなくね?」と思っただろう。そもそも唯一神である猫(以下おキャット様)と人間如きを同列に語ろうというのが間違っているので正式なタイトルは「猫>>>>>>>>>>>越えられない壁>>男」であり、略して「猫と男」だ。「と」はどこから来た、という話は置いておいて、ならおキャット様の話だけすればいいと思われるかもしれないが、まずはこのサイトの全貌を見て欲しい。「男、女、結婚、恋愛」以外の話は許さないという雰囲気だ。それでもおキャット様の話をするために、男という蛇足を付けざるを得なかったのだ、どうか許して欲しい(今のはおキャット様への謝罪であり貴様らに謝ったわけではない)。まず第一回目のテーマは「猫を飼っている男の特徴」だ。別に、考え得る限りでもっともつまらないテーマを選んだわけではない、やる気はあるのだ。まず猫を飼っている男の特徴だが、例外なく言えるのは「いい奴」である。これは「猫ちゃん好きに悪い人はいないょ」という虫歯になりそうな思想ではない、おキャット様を飼う、という重責を担う男が悪かったら困るからだ、だから例外なくいい奴でなくてはならない、これは義務だ。しかし、ここで言ういい奴、というのは人間的にという意味ではないし間違っても「女にとっていい男」という意味ではない。女を風呂に沈めた金で、おキャット様にカナガンのキャットフードを献上しているとしたらそれは「いい男」である。よって猫を飼っている男は例外なくイイ奴なので、女性は安心してつきあい、どんどん貢いで、おキャット様が三食シーバプレミオを食えるようにしていただきたい。猫を飼っている男がいい奴だということはわかったが、ではその性格はどういったものだろう。さっそく「猫好き男特徴」とインターネットに聞いてみた。もちろん「○○だから●●」と断言できることなどほぼないため、薄らぼんやりとした情報しか得られなかったが、一番多かったのは「猫好き男は性格も猫系」というものだった。勘違いされては困るが、おキャット様の性格というのはおキャット様にしか許されない、人間がまねをしたら万死に値する。そもそも猫系の性格とはなんだというと「自由でマイペース」ということである。確かにそういう性格の人間は男女問わずにいるが、少なくともペットを飼う以上ペットに対してだけはキッチリした性格でないと困る、日頃からおキャット様に対し細やかなケアを行い万が一体調を崩されていたら速やかに病院へ連れて行かなければならない。逆に言えば、それ以外に対してはマイペースで構わない、手作り弁当を持ってきた女を前にドミノピザに電話をかけるぐらい自由でいい、許す。つまり、猫飼い男と付き合うときは、自分よりおキャット様を優先されても「それが当然」と思えなければいけないのである。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2016年12月22日声優の沢城みゆきが、この秋、完全新作で蘇る『デスノート Light up the NEW world』に新たに登場する真っ白な姿の死神・アーマの声を務めることが決定した。犯罪のない社会を目指し、デスノートで世界を変えようとしたキラこと夜神月。暴走する彼を阻止しようとした世界的名探偵・L。天才VS天才の対決から10年経ったある日、世界中のネット回線がジャックされ、キラによるメッセージが発信された「デスノートを手に入れろ―」。死神により地上にもたらされた6冊のデスノート。同時多発的に発生する大量の殺人事件。そんななか、三島(東出昌大)が率いるデスノート対策本部に、Lの後継者・竜崎(池松壮亮)が加わり、無差別殺人事件の現場で1冊のデスノートを手に入れる。一方、その現場には、キラの信奉者・紫苑(菅田将暉)の姿が。いま、それぞれの譲れない“正義”を懸けた、3人の壮絶な頭脳戦が始まる──!死神・リュークの声を、歌舞伎役者の中村獅童が続投する本作。今回、本作に新たに登場する死神の“1人”となるのが、死神・アーマだ。原作の“シドウ”をベースにデザインされ、漫画原作の小畑健監修のもと、制作が行われた。VFXアドバイザーを務めた土井淳氏は、前作映画から10年を経ていることもあり、リアリティを追求し存在感のある死神を目指したという。「色気と美しさのある死神」という佐藤信介監督からの要望もあり、その要素をどうデザインに落とし込むか、描いては壊しが繰り返された。そうしてでき上がったアーマは、死神の“友達”を持たず、むしろ人間にシンパシーを感じているようなキャラクターで、マスカットが好物。「まあね」が口癖で、仕草や話しぶりもエレガントな、“女性”の死神だ。そんな愛嬌がある死神・アーマに息を吹き込むのは、 「べるぜバブ」(ベル坊)、「HUNTER×HUNTER」(クラピカ)、「テガミバチ」(ラグ・シーイング)、「GO!プリンセスプリキュア」(紅城トワ:キュアスカーレット)ほか、ナレーション、洋画&海外ドラマ吹き替え、舞台でも活躍中の沢城さん。「週刊少年ジャンプ」作品でお馴染みの沢城さんは、「佐藤監督からお声がけいただきまして、なんとも豪華な俳優陣の中に、恐縮ながら参加させていただくことになりました」と真摯にコメント。「死神ってこういうもの、という何か共通項があるのかなと思っていたら、私たち人間同様、本当に三“神”三様だったのが印象的です」とふり返っている。果たして、沢城さんが声を務めるアーマは、誰にデスノートをもたらすのか!?先日解禁となった本予告には、“金色”の新たな死神も映りこんでおり、リュークに関しては獅童さんのフェイシャルキャプチャーが行われ、よりリアリティを追求したという本作の死神たち。フルCGによって誕生する、“演技派”な死神たちの活躍もまた見逃せない。『デスノート Light up the NEW world』は10月29日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月12日今回のテーマは「飲み会に誘われた際のうまい断り方について」である。正直飲み会の断り方に上手いも下手もない、あるのは心が強いか、弱いか、それだけだ。○誘いを断る時、我々は宇宙の塵にすぎない何故我々は、行きたくもない飲み会の誘いを断れないのか。女子力アピールだけ達者なバランス感覚のない女が取り分けたドレッシングしか入ってないサラダをすすった上、二次会のカラオケまで断れず、全くマイクが回ってこないのに割カン料だけ払い、冷えて粘土のようになったポテトをひたすら口に運ぶマシーンになってしまうのか。それはもう、己の心が弱いからとしか言いようがない。まず「上手く断りたい」などという人間は驕りすぎている。海とか地球とかをテーマにした壮大系のドキュメンタリーを72時間ぐらい見て、「自分は宇宙の塵にすぎない」というところから勉強し直した方がいい。つまり、「自分がこの誘いを断ることにより相手が気分を害すかも」と思う時点で思い上がっているのだ。まず冷静さを保ったまま半裸になり、両手を両乳首に当て、足はがに股、焦点の合わない瞳で相手を見つめ、自分が誘われた理由を考えてみるといい。そうすれば誘ってきた相手は、あなたの返事を待たずにどこかへ行くだろう。それでもなお誘ってきた相手が去らないようであれば、本当にあなたに来てほしいのだろう。それならば参加してもいいし、参加できないようなら相手が気分を害さないよう、両乳首に当てた手を徐々にスライドさせ、胸の前でバッテンを作り、参加不可の意を伝えるぐらいの配慮は必要だろう。だが、上記の半裸メソッドを実行するまでもなく、こういった誘いのうち、九割は断ったところで何も起こらない。つまり多くの場合、相手はあなたが参加しようがしまいが、どうでも良いと思っているのだ。大方、声をかけた理由は「部署の人間を全員誘ってるから」くらいのものなのである。それをイチイチ「上手く断らないと」などと思うのは思考力の無駄であり、逆に相手に失礼でもある。だからと言って、「〇〇へ行かなければいけないから」など、具体的な行けない理由を言うのはさらに下の下だ、相手にとって、興味のない人間の夜の予定を聞かされるなど、もはやハラスメントと言ってもいい。よって、簡潔に「用がある」と言うのがベストなのである。そう言う事で相手がどう思うかなどを考えるのは弱さであり、自意識過剰でもあるのだ。○気乗りしない誘いを断るために要される「勇気」だが「断ることで輪からはずされてしまうかも」と考える、さらに弱者思考の人もいるだろう。しかし、「参加でも不参加でもどうでもいい奴」というのは、参加したとしても、やはり「いてもいなくてもどうでも良い動き」しかしないものなのだ。おそらく、我先にと女子力アピールを試みる女が持ちあげたサラダボウルの裏を見つめているのが関の山だ。やれたとして、机が狭くなってきた際、店員に皿を下げさせるため、ちょっとだけ残っているカッチカチの冷めた鳥軟骨を処理する係ぐらいのものである。つまり、「輪から外されたくなくて参加した飲み会なのに、参加したところで輪に入れていない」ことがほとんどなのだ。参加したところで何の評価も得られないし、むしろ「こいつ全然動かないな」と評価を下げられる場合の方が多い。ならば逆に、参加しない方が良かったとも言えるのだ。しかし、飲み会を断る時に必要な心の強さというのは、行きたくない会の誘いにはっきりNOと言える強さだけではない。真に必要なのは、その後やってくる孤独に耐える強さだ。「断ったら輪から外されるかも」というのはある意味正解で、断り続けていたら誘いというのはこなくなるものである。そこで「行きたくなかったけど、いざ誘われなくなると寂しい」などと思うような惰弱な精神の持ち主は、もう大人しく飲み会に参加して、粘土と化したポテトを氷の溶けきったジンジャーエールで流し込んでおけばいい。私なども、OLの端くれとして、入社当初はランチに誘われることもあった。しかし相手が私を誘う理由は「職場の女性は全員誘ってるから」以外には何もなく、私も「行かなきゃ悪いかも」以外に行く理由はなかった。そんな動機であるため、ランチの間私は何もしゃべらず、話しかけられもせず、ただ他のOLが談笑するのに合わせ愛想笑いをしながら、399円のカルボナーラを胃に流し込むだけであった。当然そのパスタは腐葉土の味であったし、合わせて飲むコーヒーからはドブの臭いがした。そして、ある時開眼した。「なぜ貴重な昼休みに、腐葉土とドブを食わなければいけないのか」と。そう気づいた私は、前述の通り「用があるから」と言って、同僚からの誘いを全部断ることにした。その結果、見事に誘われなくなった。正直言うと、誘われなくなった時は一抹の寂しさを感じ、「私の選択は間違っていたのかもしれない」と思った。しかし、私の昼休みはそれから一変し、片手でクリーム玄米ブランを食いながら、もう一方の手で乙女ソシャゲをし、その合間にTwitterでエゴサをするという、パーフェクトすぎる時間を過ごしている。そして自信を持って「孤独になったのではない、自由になったのだ」と言えるようになった。しかし、社内で孤立しているのも確かであり、故に困ることもある。それが嫌だと思うならやはり多少我慢をして腐葉土を食っていた方がいいだろう。自由には責任が伴うというが、時として孤独もついてくるのだ。とはいえ、私もまだまだ修行中の身であり、ランチぐらいなら断って自由を謳歌できるが、出席しなければまずそうな飲み会などは、ヘコヘコと参加している次第である。もっと鍛錬を重ね、最終的には正月に必ず行われる夫の実家での親戚の集まりを「用がある」と言ってバッくれるところまで到達したいと思っている。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~3巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年4月12日(火)掲載予定です。
2016年04月05日今回のテーマは「ネット上のフレンド」についてである。私のTwitterアカウントをフォローしている人などには「こいつ24時間Twitterやってるな」と思われているかもしれないが、実際は48時間ほどやっている。時間軸が歪むほどTwitterをやる理由は話せば長くなるのだが、簡潔に言うと「イカれた理由を紹介するぜ!売名行為!…以上だ!」である。つまり、Twitterを通じて私の事を知ってもらいたいという気持ちが、理由の5億%を占めているのだ。そして、知ってもらった暁には私の単行本を全部買って、全部燃やして、また全部買ってほしいと思ってやっている。それ以外の理由は特にない。他に理由を探すとすれば、承認欲求を満たすためだろう。前に「漫画を描くのは金と承認欲求のため」と書いたが、Twitterも同じである。むしろ私がそれ以外の理由で動くと激しい下痢嘔吐をしたり、全国的に空からバールのようなものが降ってきたりするので、皆さまのためにも、それ以外の理由では1ミリたりとも行動しないようにしている。○カレー沢薫とインターネットの邂逅このように、現在ネットをコミュニケーションツールとしては使っていないので、実を言うと「ネットフレンド」というのはほぼいない。単行本などの情報は一方的に発信しているし、やりとりするのはリアルの知り合いか仕事の関係者のみである。もちろん、1日48時間Twitterをやっているので、熱心に応援してくれている読者の方などは自ずと覚える。だが、かといって密にやりとりしたり、いつもポケットに直入れしているぼたもちをこっそりあげたり……、などということもほぼない。そもそも「mixi疲れ」とか「Facebook疲れ」とかしてしまうのは、そこで人付き合いをしてしまったせいである。現実世界でも人を一番疲れさせるのは、人付き合いのはずだ。それをネット上でもやってしまったら、「そりゃ疲れるぜ」としか言いようがない。私も今でこそそう思っているが、漫画家としてデビューする以前は、もっぱらネットに出会いを求め、積極的に疲弊していたクチだ。私がネット環境を手に入れたのは、高校生の頃だった。僻地のオタクの惨状は最近書いたばかりだが、当然同志に恵まれているとは言いがたい状況だった。だから、その手の話がわかる数少ない友人にFAXを送りつけてまで自作のイラストや漫画を見せるという、相手が出るところに出れば逮捕されてもおかしくないようなことをしてまで承認欲求を満たしていたのだ(今思い起こせば友人は全く私を承認していなかった)。そのため、ネットで二次創作を載せている個人HPを見つけた時、こんな画期的な方法があったのかと衝撃を受けた。そして、パソコンに触るのすらほぼ初めてだったにも関わらず、「俺の描いた最強の“斜め45度を向いたイケメンのバストアップイラスト”を世界に発信してえ」という一念のみで、クソダサHPをこの世に産み落としたのだ。それだけではなく、他の二次創作サイトの掲示板に「ああああなたの描かれる●●(キャラ名)が超絶好みでドプフォ…!(鼻血)」などと書きこんだり、チャットに参加したりと、積極的に交友関係を広げようとした。もともと同じ作品が好きで、二次創作を趣味としている者同士、さらにネット上のみでのやりとりなので、割とすぐ仲良くなれたし、そういう人たちとの交流はとても楽しかった。それがなぜ疲れに繋がるかと言うと、まず作品に対する飽きがある。これはオタクの宿命であり、ずっと同じテンションで同じ作品を愛し続けられる人間は稀だ。「作品のことは好きだが、そのイラストや漫画を描こうというところまでの情熱がなくなる」日がほぼ確実にやってくる。そうなった時、今まで嬉しかったはずの、ネッ友(ネット上のオタク友達)たちによる「拙者!続きを全裸待機!」が一転して重荷になってくるのである。その結果、実際は暇すぎてあなたのキスや夜の足音の代わりに自分の指毛を数えているような状況でも、サイトのトップページに「多忙ゆえ更新を停止します」と掲げて行方をくらませなければならないこととなる。○オタ友をめぐる「責任」と「人間関係」さらに、ネット上のオタ友との関係も、お互いが「そなたのイラストは大変麗しゅうございますで候!ブヒブヒブヒー!」と褒め合っているうちぐらいは良いのだが、仲良くなりすぎて「二人はプリキュアだよね」というような段階にまで行くと危険信号だ。つまり同人用語で言うところの「相方」と呼び合うようになると、二人で悪と戦う代わりに「合同で同人誌を作ろう」とか「何かネット上で企画をしよう」という話になったりする。もちろんやりとげる奴らも多いが、途中で片割れが「あっこれ、めんどくせえ」と気が変わるパターンも少なくはない。私も去年同人誌を出してみてわかったが、好きな時に好きなキャラの絵を描いてネットにアップしている時は楽しかったのに、それが締め切りのある原稿作りになると、途端にクソ面倒くさくなるのだ。一人でも面倒なのに、相方がいるとなると「責任」という重荷が加わり、さらに関係者が複数人になるとその面倒くささは急増し、「やはり俺に仲間など必要なかったのだ…」と中二っぽいことをつぶやいてどこかに消えたくなるのだ。そこで再び「多忙につき」「体調不良により」「家庭の事情で」などと言って、企画自体をなかったことにしようとするパターンも散見される。だが、締め切りのある原稿を描くのは面倒くさくても、前述の通り好きな時に好きなものを描くのは面倒ではないため、「多忙」「体調不良」「家庭の事情」と言っておきながら、ネットにイラストなどをアップしてしまったりする。そんなことをすると、「お前忙しいんじゃなかったのかよ」と、約束を反故にされた相方は怒りの力によってキュア阿修羅へと変身し、相手が複数であれば「キレすぎて逆にスマイルなキュア某」たちに撲殺される。もちろん責任感のない奴が1番悪いのだが、こういうことが起こるのはネット上で密な人間関係を作ってしまったからだ。そういう相手がいなければ、好きな時に描いて、飽きたらやめれば済んだのだ。ネットのみならず、趣味というのは「責任」「強制」「人間関係」が入ると途端に嫌になってしまうものなので、いかにそれを排するかが重要なのかもしれない。そんなこともあり、私は、Twitterで特定の仲の良い人などを作らず、リプライも気が向いた時にしか返さず、できないことは言わないようにしていたのだが、先日ついうっかり「2月か3月にLINEスタンプを作る」と言ってしまった。正直に言うと全く作っていないのだが、もちろんそれは多忙かつ、体調不良、家庭の事情のためなので、件のツイートを読んでしまったみんなは今持っている武器を置いて、スマイルで待っていてほしい。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~3巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年4月5日(火)掲載予定です。
2016年03月29日今回のテーマは「親の期待のかわし方」である。誠に残念かつ遺憾、慙愧の念に堪えないのだが、当方、親にこれといって期待をされた記憶がない。この連載では、今まさにゴミ箱に頭を突っ込んでいる最中の人に対し「成功の秘訣は?」と聞くようなテーマがたまに寄せられるのである。○かんぴょうと酢飯からフレンチは生まれるか子どもに大した期待をかけない親のことは後ほど触れるとして、その対極にある「子どもへ過度な期待を寄せる親」というのも、何を考えているのかわからない。もちろん、自分たちが博士や大臣、松坂牛であるというのなら、子どもに同じような将来を望むのもまあわかる。だが、父がかんぴょうで母が酢飯なら、子はかんぴょう巻になることは大体予想できることであり、「シェフの気まぐれフォアグラテリーヌ~季節の野菜を添えて~」になれ、というのは酷なことである。原材料が自分たちであるということを忘れているんじゃないかと思う。もちろん、材料はともかく調理(教育)次第でどうとでもなるという意見もあるだろう。確かに、平凡な両親から偉人が生まれる例もあるが、残念ながらかんぴょうをフォアグラにするより、フォアグラを残飯にする方が簡単なのである。むしろ過度な期待と教育でかんぴょう巻にすらなれなれず、もはや「料理」というより「一般には理解されない系アート」みたいになってしまうこともままある。しかし親バカと言う言葉があるように、可愛さ故に、自分の子どもが実際より優れて見えてしまうのは、ある程度仕方のない事なのかもしれない。その点、私の両親が私に望んだことは一貫して「安定した職につき、豊かでなくていいから食べるに困らない生活をしてほしい」という、実に最低限かつ堅実なものであった。この決して高くないハードルを「売れない漫画家になる」という形で華麗にくぐって見せたものだから、もはやうちの親は私に何も期待していないだろう。おそらく、元々低かったハードルの高さが「逮捕はされるな」もしくは「実刑だけは食らうな」くらいにまで下がっていると思う。親の期待通りに育つことも親孝行かもしれないが、親に期待させすぎないことも立派な孝行であると思う。とはいえ、突然親の期待を裏切ってはいけない。どこに出しても恥ずかしくない自慢の息子がいきなりパンツ泥棒で捕まってニュースに登場するのは、これ以上ない親不孝だ。徐々に、親自身もいつ諦めたかわからないぐらい、自然に諦めさせなければいけない。つまり、何かやってしまった時、親に「まさかうちの子に限って!」などと言わせるようでは親不孝なのだ。無表情で「やはり…」と言わせるのが真の親孝行である。○親孝行はコツコツと、が鉄則正直に言うと、私は中学生の段階では勉強ができた。この「中学生まで」できた、モテた、という実績がいかにその後の人生の足を引っ張る要素であるかはまたの機会に言いたいと思う。とにかく、中学生時点ではまだ親に期待されてもいいぐらいだった。しかし、もうその時点で、親は私に期待というより不安を抱いていたのだ。何故なら、中学に入ってすぐ、担任が抜き打ち家庭訪問に来るという珍事が起こったからだ。それも、「いつも一人でいる」という理由で。一切仕込みナシの訪問だったためもちろん私も家におり、担任が親に「私には友達がいない」と話すのを、隣室からライブで聞いていたのだ。その時、手近なところに金属バッドがなくて本当に良かったと思う。本件、私も痛かったが、親にとっても激痛だっただろう。例え成績が学年1位でも、「こいつはヤバい」と思わせるのに十分な惨事であった。親にとって、自分の子が「勉強ができない」あるいは「運動ができない」と言われるよりも、「友達が作れない」と言われたほうがダメージは大きいのだ。本当に親を期待させたくなかったら、いかに人間的にヤバいか、社会性がないかをアピールすることが肝要なのである。その点、私は齢7歳で、親に「お前は被害妄想が強い」と断じられたエリートである。もちろん7歳であるが故に意味はわからなかったが「おっ! 今何かすごいこと言われた!」という記憶だけはある。他にも、友達がいないことはもちろん、片づけができない、もらった小遣いをすぐ使うなどまともな大人になれない要素満載であり、実際まともにならなかった。成人するころには、「頼むから他人に迷惑をかけないでくれ」くらいにまで親の期待値は下がっていたと思われる。時は流れて現在。私は前科もなく、屋根のあるところに住み、リボ払いやキャッシングはまだしていない(数十年の住宅ローンはある)状態である。つまり今、親は「思ってたよりは良く育った」と思っているはずなのだ。幼少のころからコツコツ親をがっかりさせたおかげで、今では立派な孝行娘というわけである。しかし、世の中には、意識しなくても成績優秀、運動神経抜群、人望も厚く異性にもモテてしまい、親にどうしても期待させてしまうという人もいるだろう。そういう方は、一点だけで良いので、親に不安を抱かせる要素をチラ見せしておけば良いと思う。男性ならお母さんより年上の熟女が登場するDVDを大量に隠し持つとか、女性なら男児用白ブリーフ(未使用)をコレクションしてみるとか、「法には触れてないが、そのうち何かしでかしそう」な雰囲気を出すのだ。つまり、親を安心させきってはいけないということである。いつか悪い意味で新聞に載ってしまう日に備え、平素は孝行者でも「いつ爆発するかわからないニトロを積んでいる」ということだけは、ちょくちょくアピールしておくべきなのだ。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月29日(火)掲載予定です。
2016年03月22日今回のテーマは「地方でオタクをやることのメリット・デメリット」である。カレー沢は地方のオタクである。ソシャゲに課金し、ピクシブを一日中巡回して暮らした、と、まさかの二回連続メロス引用による開幕である。しかしこれは私の表現力が低いのではなく、太宰がすごすぎるのだ。○地方はオタクにとって「マッドマックス」私は地方の生まれであり、生まれてこの方地元を出たことがない。おそらくこれからも、離婚や家の全焼、あるいはそれに類するようなよほどのことがない限りは出ないだろう。私の地元は住むには良い所だが、オタクとして活動するにはデメリットしかないようなところである。特にネットが普及する以前はひどく、当時坊主頭に麦わら帽子をかぶった中学生だった私はセーラー服の袖口を鼻水でカピカピにしながら、「コミケってどんなところだっぺなー」と、るろうに剣心あたりのキャラを模写しながら夢想したものである。同年代の女子が渋谷や原宿に憧れていたころ、私は一人ビッグサイトを思い描いていたのだ。人生というものは、割と早い段階から勝負がついているという好例である。都会住みでも、中学生から同人活動をしている人間は少ないだろうと思われるかもしれないが、おらが村に関して言えば本屋すらなかった。同人活動をする以前に、漫画等、萌えの燃料の補給場所すらなく、オタクにしてみればマッドマックス級に荒廃した世界観だったのだ。辛うじて、菓子や文房具を併売しているような個人書店で「週刊少年ジャンプ」ぐらいは読めたが、そこには10年前に刊行されていた漫画の単行本がさも最新のタイトルであるかのように並べてあり、それすらも何故か5巻だけ置いてあるという地獄の様相であった。よって最新の単行本を手にいれようとしたら、田舎の小中学生の大半が着用を義務付けられているヘルメットという名の兜に、蛍光色のチョッキという鎧をまとった上、ジープ(自転車)に跨り、「ヒャッハー!」と狸や鹿、果ては老人などが跋扈する荒野を30分ほど走って、緑の都(隣町のやや大きめの本屋)を目指さなければいけないのである。そして「チャリで来た」と宣言しながら店内に入り目当ての漫画を探すも、田舎の本屋には変わりないので、目当ての物はないことの方が多い。その場合は当然また30分かけて撤収だ。そしてその漫画を手に入れるには、静まりかえった店内で欲しい漫画の名を店員に告げて、待つこと数週間。荒野を1時間かけてもう一往復し、目的のブツを強奪しに行かなければならないのだ。○「キンプリはいい」かどうか確かめられない理由このように、ただ漫画を買うのにもエクストリームな行いが必要だった時代に比べると、通販で大体の物が手に入るようになった今、オタクにとっての地方格差はずいぶん解消されたと言える。しかし、イベント事、またはその場でしか手に入らないグッズなどの入手に関しては未だに歴然とした差がある。中学生の頃憧れたコミケは未だに憧れのままであり、21世紀になった今でもビッグサイトの方がこちらに来たということは一度もない。それに、やれ好きな漫画が舞台化するだの、声優がコンサートを開くだの言われても、我が村の公民館でやることはまずなく、大体都心での開催である。また、アニメ映画などもちょっとコアなものになるとこちらでは上映されない。今話題のアニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(キンプリ)も当然こちらでは未上映だ。しかも「キンプリってどんなの?」と鑑賞済みの他人に聞くと決まって「見ればわかるから、見ろ」と新興宗教に目覚めたブルース・リーみたいな顔で言われるのだ。だがこちとら見たくても見られない。世の中にはスターウォーズとワンピースしか上映せず、ミニシアターでやってるようなマニアックな映画を見て周りに差をつけたいサブカル野郎が憤死するしかない不毛の地があるのだ。悔しいので「キンプリってキングプリムゾンの略か」と100億人ぐらいが考えつきそうなことを言ったら、「キンプリを馬鹿にするな、不思議なプリズムで消すぞ」と怒られた。本当に地方のオタクに良いことはない。そして、オタクはどこ住みでも怖い。○1キロ先のにぎりめしと、ガンジス川のまんじゅうそれでも無理やり、地方でオタクをやることの利点を挙げるとすれば「諦めがつきやすい」という点だと思う。いくら都心住みでも、行きたいイベントに全て行き、買いたいものを根こそぎ買えるわけではないだろう。やはり時間的、経済的理由で断念せざる得ない場合もあると思う。その場合、行ける距離であればあるほど諦めがつかないものである。例えば、1キロ先の路上に握り飯が落ちていると聞けば、ほとんどの人が拾いに行って食うと思う。しかしインドのガンジス川にまんじゅうが浮いていると聞いたら、ちょっとは考えるが「さすがに無理だ」と思うだろう。地方のオタクにとって、都会のイベント事は「ガンジス川のまんじゅう」のようなものであり、最初から食うことを諦める姿勢をとる。たまに一念発起して拾いに行くぐらいのものだ。逆に、都会のオタクにとって、あらゆる都会のイベント事は「拾える距離にある握り飯」といえるだろうが、落ちている量があまりにも多すぎて、全部拾いには行けず、どの握り飯を諦めるかを考えなければいけない。だったら、最初から絶対拾いにいけない場所にあった方が良かったと思うだろう。かといって、「地方のオタクは誘惑が少なく経済的」かと言うとそうでもない。たまに「ガンジス川のまんじゅう」を拾いに行くためにおびただしい額の金を使うからだ。私にとって未だコミケはグランドラインぐらい遠い存在だが、同人デビューは去年果たした。巷では「同人は儲かる」などと言われているらしいが、活動にあたって必要な支出に「同人誌の印刷費」だけでなく、「飛行機代」、「宿泊代」が加算される時点で「お察しください」と言うしかない状態である。結局、都会だろうが地方だろうが「オタクは金がかかる」という点だけは共通している。やはりニコ動で無料アニメを見て、完全無課金プレイヤーなのにソシャゲのメンテ遅延に激怒し、邪智暴虐の運営を除こうとしているぐらいがちょうどいいのかもしれない。<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年3月22日(火)掲載予定です。
2016年03月15日