特別支援学校高等部卒業後の進路特別支援学校高等部卒業後の進路としては、大きく4つあると思います。1、障害者雇用枠での「企業就労」2、企業への就職を目標に訓練を行う「就労移行支援事業所」3、一般雇用が困難な人への訓練や就労の機会を提供する「就労継続支援A型・B型」4、障害者支援施設で過ごす「生活介護」息子が通っていた特別支援学校高等部は、生徒に合わせてクラスが分かれていました。「教育課程の類型」といい、生徒の特性や目指す進路に応じて適切な教科や科目の履修ができるというものです。まず、企業就労を目指すクラスがあります。また、就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型を目指すクラスがあり、こちらは食品加工班、接客班、事務班、清掃班などに分かれて授業に取り組んでいました。そして、生活介護を目指すクラスは、紙漉きや園芸、陶芸の作業を主にしていました。さて、当時このクラス分けは特別支援学校高等部入学後3年間、類型の移動などの変更はありませんでした。また就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型を目指すクラスのメンバーは高等部1年のときに接客班、食品加工班、清掃班、事務班の体験をし、高等部2年でこの中で適性を見極めて1つに絞り、卒業後の進路を決める形がとられていました。就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型を目指すクラスに所属していた息子、進路はどうする?息子は就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型を目指すクラスに所属していましたが、同じクラス内での何人かは最終的に企業への就労が決まったり、また企業就労を目指すクラスでも最終的には企業就労ではなく、福祉的就労に進んだ生徒もいましたので、必ずしも属しているクラスで進路が決定されるわけではありませんでした。息子にはどのような進路がいいのか、私は思いを巡らせていました。3年生の2学期頃から生徒たちの進路が決まり始め、企業への正式内定をもらう子も出てきました。定型発達でも受験期の保護者あるある話だと思いますが、保護者同士が親しくても進路先や結果はお互いに秘密にするという暗黙の了解を感じました。親しい友達でも「どこの企業に決まったの?」と聞いても「まだ決まっていない」と決まっていてもごまかされたり、「学校から口止めされているから企業名は言えないのよ」といった返事が戻ってくることもありました。そんな中、高等部に通っていた頃の息子の状態ではすぐに企業就労することは難しいと考え、就労移行支援事業所で高等部卒業後もスキルを学ぶことを希望し、活動を始めました。息子にあった就労移行支援事業所はどこ?私たちは居住区内にある事業所を何件か見学しました。ですが、私も息子もここならと思うところが見つかりませんでした。例えばとある事業所、そこはB型と就労移行支援事業所を併設していたのですが、袋詰めの作業をB型は座って行い、就労移行メンバーは立って行っていました。不思議に思った私が「違いは何ですか?」と質問すると「企業就労を目指すメンバーは身体を鍛えるため立って作業をしてもらいますが、B型のメンバーは着席で行ってもらっています」との返答でした。このようなこともあったので、私たちは居住区以外へも範囲を広め、探すことにしました。そして別の区のとある事業所へ見学にいきました。そこはパソコンに特化した訓練をしてくれ、支援員さんの雰囲気がとても良く、息子も私もここだ!とすぐに気に入りました。就労移行支援事業所の利用期間は原則2年間なのですが、コロナ禍で就職活動ができない期間があったため、息子はここに丸まる3年通うことになりました。そして、希望通り障害者雇用で内定をもらい、現在は一般企業で契約社員として働くことができています。就労定着支援制度できめの細かいフォローをしてもらっています現在の息子は就労定着支援制度を利用していて、月1度、就労移行支援事業所の職員さんが会社訪問をしてくれます。特別支援学校高等部卒業後に就労する場合、学校の先生が定期訪問にしてくれるのは最初のほうだけのようですが、就労移行支援事業所に通い就労定着支援制度を利用すれば約数千円の利用料で(所得により変動します)きめの細かいフォローをしてくれるので、とても助かっています。遠回りしましたが、いきなり企業就労せず就労移行支援事業所へ通って良かったなと今は思っています。進路を選択するということはとても大変なことですが、私たちの経験が参考になったら幸いです。執筆/立石美津子(監修:鈴木先生より)知的発達の程度にもよりますが、何ができるかに注目して、できるところを伸ばしてくれる職場が一番望ましいと考えています。神経発達症に理解のある職場だといじめやパワハラなどがなく、ストレスは少ないと思われます。知的発達に遅れのない神経発達症の患者さんの中には、会社に告知しないで頑張って働いている人も多くいます。そのため仕事量が多くなったり、指導を任されたり、ストレスが多くなることもしばしば聞かれます。教育も職場も自分に合ったところがいいのです。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年04月13日シアターコクーンの芸術監督である松尾スズキが、就任時から構想していた若手のための学び場COCOON PRODUCTION『コクーン アクターズ スタジオ』がいよいよ始動!新しい年度が始まった4月1日、オーディションを勝ち抜いた18歳から28歳の総勢24名が揃い、第1期生の開講式が行われた。地方から夢を抱いて上京してきた者、小劇場の劇団員、元市役所職員などなど、受講生のバックグラウンドはさまざま。中には三代続く家業の跡取りだった……という男性もいて、人生いろいろ、各々の思いを胸に、全員が初々しく晴れがましい表情を見せていた。これから1年間、シアターコクーンとゆかりの深い演劇人を講師とし、基礎と創作と発表を組み合わせたレッスンに励む。開講式では常任講師一人ひとりから歓迎の温かい言葉が送られ、受講生たちが真剣に聞き入る場面も見られた。講師のコメントは以下。■松尾スズキ(主任/演技基礎)僕がシアターコクーンの芸術監督に就任する条件のひとつとして、「スクールをやらせてほしい」という約束がありました。ただ初年にコロナ禍が始まり、ようやく収まってきたところで劇場自体が休館となり……結果こんなタイミングになりましたが、やっとスタートできます。一言お伝えしておきたいのは、決して劇場が休み中の穴埋め企画ではありません!何年も準備、構想していた企画に一流の講師の方が集まってくださり、1年間通して学べる機会は、とても刺激的で恵まれたことです。皆さんもったいないので、どうぞ休まないでください。■杉原邦生(演技基礎)僕は大学で演劇を始めました。そこには個性の強い演劇人の皆さんが揃っていて、一見全く統一感のない授業を受けて……当時はすごく頭がぐちゃぐちゃになったんです(笑)。でもそうした選択肢の幅が広い環境だったからこそ、自分がやりたいこと、表現したいことを見つけられた気がしています。ですから皆さんもぐちゃぐちゃになりながら、何かを見つける1年にしてください。年度末の卒業公演では演出も手掛けます。なんと松尾スズキさんの書き下ろし新作。僕自身が興奮しています。みんなで頑張りましょう。■オクイシュージ(演技基礎)僕は皆さんに、演劇で使える身体のキレを叩き込みたいと思っています。あと重要なのが、演劇における笑い。ここを正面から教える俳優養成所ってなかなかないんです。自分もかつては養成所に通っていましたが、50人程いた同期で、今も活躍しているのは平田敦子さんぐらい。そのくらい狭い門なんです。俳優は声がかからなかったら無職状態。どうぞ皆さん、たくさんの演出家、制作陣から信頼される、声がかかる俳優になってください。■ノゾエ征爾(演技基礎)僕は大学を卒業後にENBUゼミ第1期「松尾スズキクラス」を受け、松尾さんのもとで1年間学びました。その卒業公演の稽古で松尾さんがボソッと「君たちよりも俺は演劇を愛している」と仰った一言にズンときたんですね。そこから26年を経て、松尾さんが当時仰っていた「愛している」に僕は到達できているんだろうか?こうしてそばにいると、「まだ到底追いつけていないんじゃないか?」と考えたりもします。まだまだ僕も「これから次世代を担いたい」と思っていますので、一緒に頑張りましょう。■藤間貴雅(日本舞踊・所作指導)皆さんと同じ年頃、大学1年の時に下北沢ザ・スズナリで松尾さんの『ふくすけ』と出会い、それ以降大学の先輩たちの芝居が全部つまらなく感じるほどの衝撃を受けました。それから何十年も経て仕事でご一緒した際、松尾さんが「所作って大事だよね」と仰ってくださった嬉しさ!こうしてクラスに組み込んでくださったことを、古典芸能の人間として感謝しております。光を当てていただく貴重な機会をいただくわけですから、その効果を皆さんに実感いただけるアドバイスができればと思っております。■振付稼業air:man(ダンス指導)皆さんみたいに上手にお喋りできないので、一言だけ。こうして皆さんは、チャンスを掴みました。これを生かすも殺すも皆さん次第です。さまざまな講師の皆様がいらっしゃいますし、われわれ「振付稼業air:man」のメンバーもたくさんいます。レッスンのたびに講師が変わります。しかも、あらゆるジャンルの踊りを学んでもらいたいと考えています。どうぞ心して準備しておいてください。■蔵田みどり(発声・歌唱指導)料理の「さしすせそ」のように、皆さんには表現力を豊かにするための「ほかほか」という言葉を心に留めていただきたいです。「ほ=褒める(自分ができたことを褒める)」「か=書く(習ったこと、感じたことを日記のように日々記す)」「ほ=ほかす(こだわり、頑なさ、プライドを捨て、次のステップに進みやすくする)」「か=可愛がる(いい音を聞く、美味しいものを味わうなど五感を可愛がってエネルギーチャージし、直感を得やすくする)」……こうしたことを実践しながら、たくさんの楽しい経験をし、成長したと実感できる1年を過ごしましょう。なお上記の常任講師に加え、ゲスト講師として、井上芳雄(俳優論)、岩崎う大(コメディ)、鵜山仁(演技メソッド)、大根仁(映像演技)、黒田育世(身体表現)、茂山逸平(狂言)、友枝雄人(能)、ジャパンアクションエンタープライズ(殺陣、アクション)といった、演劇界の第一線で活躍する豪華な面々も迎え、各ジャンルの特別ワークショップも開催予定。その他、受講生はコクーンプロデュース公演の制作現場を見学、さらには出演するチャンスが与えられる。1年間の総決算である発表公演(有観客)は2025年3月。松尾が書き下ろす最新作を、杉原邦生が演出。松尾が若者の集団にどんな作品を書くのか、その内容にも注目だ。演劇界の未来を担う新たなスター誕生に、早くも期待が膨らんでいる。文:川添史子撮影:宮川舞子<企画概要>COCOON PRODUCTION『コクーン アクターズ スタジオ』【常任講師】松尾スズキ(主任/演技基礎)杉原邦生(演技基礎)、オクイシュージ(演技基礎)、ノゾエ征爾(演技基礎)藤間貴雅(日本舞踊・所作)、振付稼業air:man(ダンス)、蔵田みどり(発声・歌唱)【ゲスト講師】(五十音順)井上芳雄(俳優論)、岩崎う大(コメディ)、鵜山仁(演劇メソッド)、大根仁(映像演技)、黒田育世(身体表現)、茂山逸平(狂言)、友枝雄人(能)、ジャパンアクションエンタープライズ(殺陣・アクション)【第1期生 活動期間】2024年4月1日~2025年3月31日【発表公演】(タイトル・詳細未定)脚本:松尾スズキ演出:杉原邦生出演:コクーン アクターズ スタジオ第1期生日程:2025年3月中下旬(予定)場所:Bunkamuraシアターコクーン公式サイト:
2024年04月11日もっと早くに気づけていたら現在中学3年生の息子は、自閉スペクトラム症と強度行動障害があります。診断を受けたのは中学1年生の時でしたが、初めて児童精神科を受診してから診断を受けるまで3年近くかかりました。私が息子に発達障害があることを疑いだしたのは、小学3年生で行き渋りを始めた頃からでした。初めての育児で私の知識が乏しかったこともあるかもしれませんが、息子が突然学校に行けなくなるまで、「発達の特性があるかもしれない」と考えたこともありませんでした。息子は1歳半健診で言葉の遅さを指摘されたくらいで、そのあとの健診も幼稚園でも就学時健診でも、何ひとつ問題はありませんでした。小学校1〜3年生頃の家庭訪問や懇談では、担任の先生に相談することがなさすぎて5分もかからず終了。テストの点数もよく勉強もよくできてクラスの人気者。今では考えられないですが、それが学校に行けなくなる前までの息子の姿でした。Upload By 花森はなもしかして?と児童精神科を受診学校に行けなくなった = 児童精神科を受診しよう!とすぐに決断できたのは、私自身に精神科への受診経験があったからです。今は児童精神科を受診しようとすると私が住んでいる地域では半年は待たなくてはいけませんが、当時は1ヶ月程度で受診できました。初めての児童精神科で診察が始まりました。息子は、教室にいるのがとてもしんどいこと、担任の先生が強く叱るところを見るのがつらいことなどを話してくれました。話をしていくうちに、次第に息子の真の姿が見えてくるようでした。いつも私が見ている「優等生」の姿は、すごく無理をして彼自身が懸命につくり上げていたもので、もうその無理ができなくなってしまったのではないかと思いました。そのことも含めて病院の先生にお伝えしましたが、発達検査などには至らず、不安を和らげる薬の処方を提案されました。Upload By 花森はな転院をすすめられ……児童精神科に通い始めて3ヶ月、薬を飲み続けても気持ちが安定しないので、病院の先生から大きな病院への転院をすすめられました。そして、「この病院ではこれ以上のことはできないので、もっと詳しく知りたいなら転院しましょう」と言われました。その際に「発達障害ではありませんか?」とお聞きすると、「いろいろお子さんを診てきましたが、息子くんの場合は違うと思います」と言ってくださいました。ホッとする反面、私の中で「それでも、もしかして……」という気持ちがくすぶり始めたのがこの頃です。Upload By 花森はな小学4年生で大きな病院Aに転院し、通院し始めた頃に最初に出た診断は「幼児返り」。そして、その次に出たのは「解離性障害」でした。新しい診断が出るたびに「発達障害の可能性はありませんか?」とお聞きしましたが否定され、発達検査を希望しましたが「必要ありません」とのことでした。今思えば、まだかろうじて元気が残っていたこの時期に検査ができていたらよかったと思います。本人が元気じゃないと検査自体が受けられないですし、通院もできませんので……。その後、こちらのA病院の治療方針とも合わず、もっと大きなB病院でセカンドオピニオンを受けることになりました。息子は、実はずっと困っていたのかもしれない病院は「違う」という診断を出してくれているのに、「発達障害ではないか?」と疑問を持ち続けた私に対して、ほかの家族の目はとても冷ややかでした。「通院よりももっと子どものことを考えて」「息子を病気にしたいのか」とまで言われましたが、そこで折れてしまっては、息子の学校の困りごとも生きづらさも何も解消しないと私は思いました。学校に行きづらくなってくると、息子はこれまでは口にしなかった教室の雑音がつらい、何もしないで「待つ」という時間が怖い、ノートの字が荒れてきたり書けなくなる、突然癇癪を起こすなど、さまざまな問題が一気に出てきました。学校が合わないこと、教室をイヤだなぁと思ってしまうのは、そういった特性上の理由が隠れているのかもしれません。息子の話は、これまでもずっと聞いてきたつもりです。それでも足りなかったし、学校に行けなくなる前にもうちょっとできることがあったのではないかなぁと、何年も経った今も後悔の念が消えないです。たぶん、この先もずっと消えることはないだろうと思います。Upload By 花森はな執筆/花森はな(監修:室伏先生より)息子さんの診断が分かるまでの経緯について、共有くださりありがとうございました。はなさんも息子さんも不安や葛藤を抱えながら、いくつもの医療機関で受診を重ねられ、本当に大変な日々でしたね。他のご家族さんからの理解を得るのが難しい状況でも、「そこで折れてしまっては、息子の学校の困りごとも生きづらさも何も解消しない」と考えて行動され続けたはなさんを尊敬いたします。幼児期のお子さんとは違って、学童期以降のお子さんでは、ご本人と信頼関係を構築するのに時間がかかってしまったり、ご本人の頑張りや取り繕いなどにより特性が分かりにくかったりして、診断に時間がかかってしまうこともあります。発達障害は生来お持ちの特性によるものなのですが、息子さんのように、それまではご本人の努力で、適応して生活されてきていたけれど、学童期になって人間関係が複雑化したり、思春期になって身体も心も不安定になったりして、困りごとが表面化する、ということもあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。前の記事はこちら
2024年04月11日重度知的障害(知的発達症)の息子が苦手なもの。それは……息子は3歳の時に重度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。息子にはある苦手なものがあります。無発語なので言葉で説明することはできませんが、それは特定の人形や置物。どうやら形が関係しているようなのですが……。人形や置物をせっせとひっくり返す息子。もしかして……?私が気づいたのは息子が小学校4年生くらいだったと思います。ある日、棚に置いてあった特定の人形や置物の視線がこちらを向かないように、せっせと後ろに向けたり布をかけたりしている息子を見つけました。イライラしていたり、怖がっている風でもなく、いたって真面目に淡々と人形を後ろへ向けている息子。あ、もしかして人形にこっちを見てほしくないんだな?と思いあたりました。Upload By ユーザー体験談思えば、幼い頃から特定の柄や物に苦手意識があったのかもしれません。しかし、当時は苦手だということを訴える術がなかったのでしょう。幼い頃からある部屋に入るのを拒むということがありましたが、それは苦手なものがある部屋だったからかもしれません。そして観察してくと、どうやら息子は動物の人形や置物は大丈夫なのですが、人の形をした物、特に顔の部分が苦手なようだと分かりました。人形の視線が怖い……というのはなんとなく分かるのですが、息子は苦手な「形」もあります。息子はハニワが許せない!?真っ先にハニワを180度回転させます息子が苦手な形は「丸」です。すべての丸に対してではないので、丸は丸でもなにか違いがあるのだと思います。想像でしかないのですが、もしかしたら人の目のように見える丸が苦手なのかもしれません。苦手な丸を見つけると布をかぶせたり、自分から見えない位置に移動したりしています。たくさん物が置いてあるおばあちゃんの家へ行くと、息子の人形や形への苦手さがよく出ます。本人はおばあちゃんのこの部屋なら、あの置物とあの表示が嫌だと分かっているので、部屋に入ってすぐ毎回同じ物をひっくり返したり、布をかけたりしています。中でも一番に動かすのはハニワ。おばあちゃんのリビングには中央を向いてハニワが鎮座しているのですが、それを180度まわして窓の方へ向け、自分と目が合わないようにしています。ハニワの目と口、まん丸ですものね……。きっとかなり苦手な部類なのではないかと思っています。Upload By ユーザー体験談ちなみに、帰り際このハニワを元の方向に直すよう言うと、本人は素直に直してくれ、これが帰る合図ともなっており、そのまま帰宅する……というのがいつもの流れです。Upload By ユーザー体験談「そうだよね、なんとなく苦手ってあるよね」と息子と共感しあえた気分このような苦手さは今も続いています。ひっくり返したり隠したりする行為は、少し大げさですが自分にとって苦手な物を回避する訓練になるかと思い、また幸い存在するだけではパニックや癇癪に至らないので、空間から排除したことはありません。なかなか隠せなかったりするとパニック、癇癪が起きそうなので、常に布を用意したり、あらかじめテープを貼って隠したりしているものもありますが、幸いまだパニックになったことはありません。Upload By ユーザー体験談苦手意識が過度になると本人もつらいと思います。少しずつ克服してくれたらと気をもんでいるところです。でも、誰でもなんとなく苦手な模様や怖く感じる絵とかありますよね……?言葉を話さずコミュニケーションを取りづらい息子と、こういうところで共感し合えて、少し嬉しい気持ちもある私です。イラスト/keikoエピソード参考/あきこ(監修:新美先生より)お子さんによって、どうしても苦手なものがあることはありますよね。黒い丸が2個並んでいるのは苦手という方、時々いるようです。記事中で分析されていたように、目が連想されて不安になるのかもしれないですね。どうしても苦手なものがある場合、我慢しても気が散ってしまい、その空間で過ごすことがストレスになってしまいます。見えないようにする工夫は大事だと思います。息子さんの場合は、淡々と自分で見えないように向きを変えるなんてすごいですね。また布などで隠すなどもよいやり方だと思います。自閉タイプの方は「見えないものはないもの」と割り切りやすいので、見えないようにすることは良い工夫ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年04月08日より使いやすい学びのプラットフォームへと生まれ変わりました。株式会社わたしのお教室(本社・東京都港区、代表取締役 社長兼CEO 中屋 昌太)が運営する学びのプラットフォーム「manatea(マナティー)®」は、2024年3月にブラウザ版とアプリを大幅アップデートいたしました。mamanatea(マナティー)® 公式サイト : アップデート内容今回のアップデートでは、レッスンの検索から予約・受講に至るまでの体験を一新し、機能の追加や改善を行い、さらに使いやすくなりました。1. manatea ブラウザ版を公開しましたmanatea アプリ (iOS・Android) に加え、ブラウザからも、レッスンの検索、会員登録、予約ができるようになりました。さらに、ワクワクする学びの体験をお届けするため、今後、さまざまな特集やレッスン・先生紹介のコンテンツも拡充してまいります。mamanatea(マナティー)® 公式サイト : 2. グループレッスンが追加されましたプライベートレッスンやチャット相談に加えて、複数人の講座やワークショップ、セミナーなどのグループレッスンが受講できるようになりました。これにより、今まで以上に、ご自身のスタイルや予算に合わせて、レッスンを提供、選択いただけます。「manatea(マナティー)®」のサービス紹介「人生が変わる学びの体験と出会おう」をコンセプトに、先生と生徒の学びライフを応援するプラットフォームです。140以上のジャンルの中から、好みや目的にマッチしたレッスンが見つかります。また、チャット相談、リモート、対面、動画の4つのレッスンタイプから、あなたのライフスタイルに合わせて教える・学ぶことができます。さあ、manateaであなただけの学びの体験を始めましょう!運営会社「 株式会社わたしのお教室」について「人生が変わる学びの体験を世界に届ける」をミッションに、これからの時代に求められる、新しい学びのカタチを追求し続ける、Edu-tech企業です。会社名:株式会社わたしのお教室代表者:代表取締役 社長兼CEO中屋 昌太所在地:東京都港区南青山2-11-17 第一法規本社ビル3F会社URL: 公式YouTube: 公式インスタグラム: 公式X: 公式LINE(友だち追加): mamanatea(マナティー)® 公式サイト : アプリのダウンロードiPhoneの方はこちらから : Androidの方はこちらから : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年04月03日息子はお風呂好き!そしてこだわりもあって……息子は、3歳の時に重度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。賑やかな場が苦手で、いつもマイペースを貫いている穏やかな性格です。そんな息子はお風呂が好きなのですが、いくつかのこだわりがあります。本人はとっても楽しそう!浴槽のふちを平均台のように歩く息子10歳になった頃のことです。息子がいつのまにか浴槽のふちを歩くようになりました。息子はどちらかというと臆病で失敗を恐れるタイプなのですが、身体が大きく腕も長くなったため、そんなに広くない浴室では、ふちから落ちそうになっても少し手を伸ばせばつかまる所があることをなんとなく察して、始めたような気がします。Upload By ユーザー体験談初めて見たときは「危ない!」と思ったのですが、慎重に歩き、少し体を傾けると浴室の壁に手が届くので、意外にも落ちないのです。意外と落ちないな……と見守っていると、なんとも本人は楽しそうで、満足気に歩いています。息子の心地いい行動なんだなと思い、今は落ちないようにしっかりと注意しながらも見守るようにしています。それはちょっとやめてほしい……!シャンプーボトルたちへのこだわり平均台よりちょっと困ったのがシャンプーボトル類へのこだわりです。息子はシャンプーだけでなくコンディショナー、入浴剤といったボトルの中身を全部浴槽に流してしまうのです。始まったのは8歳だったと記憶しています。突然始めたので、こちらが気づくのがやや遅くなり、何とも言えない混沌とした色になった湯舟の湯の色を前に呆然としてしまいました。なんだこれ……と驚きしかありません。Upload By ユーザー体験談お湯を入れかえるのが面倒だなという気持ち、そして(あー、また新しい変なイタズラが始まった!)という今後の対策を練らなければいけないことへの憂鬱さ、このイタズラが頻繁に起こって上手く防げない場合、しょっちゅうシャンプーなど買うことになるのでは⁉という金銭面への負担……こんな時はどっと疲れてしまいます。ほかにも、ボトルをいつも同じ位置、同じ順番に並べ替えることにもこだわっていました。浴室に限らず所定の位置に物がないと落ち着かない息子は、ボトルが所定の位置にあることを好み、そろっていないと急に整理整頓を始めます。その日その日で、気持ちの許容量が違うようで、楽しそうにそろえている時と、怒りながらそろえる時があり、今日は機嫌がよくなかったんだなというバロメーターにもなります。Upload By ユーザー体験談家族の中で一番几帳面な性格なので、誰かが置きっぱなしにした物を片付けることに関しては、正直助かってもいます。ただ、湯舟に流すのはいただけない……。そこで防止策を取ることにしました。息子にあわせた対策を!結果は大成功!息子は、湯舟に「ボトルに入っている液体を流し入れること」が楽しいようだったので、シャンプーボトルの代替品としてペットボトルを何本か用意しました。それにお湯を入れおき、シャンプーボトルなどの代わりにそれを流すよう促しました。息子は、このペットボトルで満足してくれたようで、楽しそうにお湯を湯舟に流し込むようになりました。大成功です!Upload By ユーザー体験談このように何か良くない癖がつきそうな時は、うちの子の場合は以下のステップで対応しています。1.短い言葉で注意する2.代わりにそれに似たやっていいことを提案する3.癖が定着しないよう早いうちに止めさせることを心掛けるこのシャンプーボトル事件については、1、2の対応で尾を引かず収まることができました。息子も少しずつコミュニケーション能力が上がり、人に頼む、頼ることを覚えてきました。シャンプーボトルも自分で並べ直さず、きちんとそろえるよう周りの人に要求することも増えています。ただ、日によっては所定の位置に物がないことを不安に思うようです。「直して」と要求してくることがあったときは、必ずいつもこちらがその要求を叶えてあげられるわけではないことも覚えてほしいので、「大丈夫だよ」と声をかけ、妥協を知ってもらってもらえるようにしています。これからも息子のこだわりは新しくでてきたり、姿を変えたりと続いていくのでしょう。その都度、息子にあったやり方でこちらも声がけしていけたらなと思っています。イラスト/ネコ山エピソード参考/あきこ(監修:藤井先生より)子どもの困った行動は程度がさまざまです。気になる行動があった時、危険で怪我につながることは禁止・静止させ、やめるように伝える必要はあります。しかし、困った行動の多くは、危険で怪我につながることではないけれど困るということが多くを占めていると思います。息子さんのシャンプーボトル事件も、ペットボトル作戦で代替えすることができ、効果がありましたね。全ての行動を禁止するのではなく、やめさせるべき行動と、減らすべき行動と分けて考えると対応の仕方が分かりやすいですね。素敵な体験談を読ませていただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月30日母子共に強迫性障害(強迫症)私は23歳の時、強迫性障害(強迫症)を発症して入院していました。現在23歳の息子も23歳、ASD(自閉スペクトラム症)、知的障害(知的発達症)のほかに強迫性障害(強迫症)があり通院中です。私が実際に行った強迫性障害(強迫症)の治療には、薬物療法だったり、認知行動療法だったり、認知行動療法の中の暴露法だったり、森田療法などがあります。私は患者の会である自助グループに参加しているのですが、良い意味でとても凄く理屈っぽい議論が交わされ、多くの学びを得ています。ます。ただ、知的障害(知的発達症)のある息子には理解しにくい内容なので一緒には連れて行っていません。不安という感情を抱えながらなすべきことをなす私はある自助グループに通うようになり、このようなことを学びました。不安があったとき、みなさんはどのように考えますか?例えば飛び込み台から飛び込まなくてはならない状況の時、A.飛び込むのを止めるB.「怖くない、怖くない」と不安をかき消す言葉をかけながら飛び込むC.「怖い」と思いながらも、行動する。飛び込こんでみる飛び込み台の例は極端ですけれども、A.飛び込むのを止めると、これ以降も飛び込むことができできなくなります。B.怖くないという感情に意識が行きすぎてしまうと、反対に「怖い」という感情が強化されてしまいます。不安をかき消そうと不安にスポットを当てれば当てるほど、不安が増大してしまうからです。C.のように自分の自然の感情に蓋をしないで、その思いを持ちつつもともかく行動してみます。すると飛び込めた事実によって自信がつきます。このことを他のケースに当てはめてみたいと思います。私は著者で講演依頼を受けることもあるのですが、依頼を受けた時、とても苦しく不安な気持ちになります。というのも、緊張しすぎてお腹が痛くなるからです。過敏性腸症候群です(身体的には病気ではないのに、腸がギュルギュルしてしまう)。これを先ほどの例に当てはめると3つの方法があります。人前でスピーチをしなくてはならない時、A.話をすることをやめて、依頼を断るB.「あがってはならない」「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてスピーチに臨むC.不安、恐怖を抱えながらなすべきスピーチを行う人は自分の感情を自分の気合や努力で何とかできると思ってしまいますが、心臓や胃の動きを自分でコントロールできないように、自然に沸き起こる恐怖を自分の力でなくすことはできません。不安という感情はそのままにして、なすべきこと(飛び込む、スピーチをする)に意識を向け、それを行う。飛び込めた、スピーチできたという体験を通して自信になり、そのことによって不安という感情を抱えながらなすべきことをなせるようになるのです。このように考えながら、強迫性障害(強迫症)とつきあっています。定型発達の子とわが子を比べてしまう“比べる病”もコントロールできない感情。自分を責めてはいけないこの考え方は、発達障害のある子どもの育児でも参考になります。パートナーがいない時結婚式に招かれて、幸せな友人を見て素直に喜んであげられない自分を責める。妊活仲間が妊娠しても、自分の不妊治療がうまくいかないと「おめでとう」と素直に喜べない。これらも自然な感情です。「こんな風に思ってしまう私はなんて器が狭いんだろう。ダメな人間だ」と自分を責めてはならないと思うのです。同様に定型発達の子を見ては比べてしまい、「羨ましい」と思う。これも自然な感情、自分ではコントロールはできません。抑えつけてしまい「他の子をうらやむ自分はなんてダメな母親なんだ」と自分を責めないでほしいと思います。責めれば責めるほど、ますます、自分を追い込んでしまうからです。強迫性障害(強迫症)での体験を通して、自分の心から湧き上がる感情はコントロールできないことを私は学んでます。自分を責めない……まずそこを前提として、発達障害があるわが子と向き合うことが大切だと思っています。執筆/立石美津子(監修:森先生より)「自分の感情を否定しない」ということは大切ですね。人間誰しも、時にネガティブな考えが頭に浮かぶことはあります。そんな時に自分の感情に蓋をしてしまうと、後々になって感情が爆発したり、うつ病や心身症などの問題となってしまうことがあります。また、つらい状況であることが周囲からもわかりにくく、周囲から手を差し伸べることが難しくなってしまいます。不安、恐怖、嫉妬などなど……ネガティブな感情も、自分自身の心を構成する要素のひとつです。立石さんのように、ネガティブな感情も含めて受け入れて、感情とうまく付き合っていく方法を探していけるといいですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月25日「騒がしくてすみません……」謝ってばかりだった私が変わった3回の転機わが家には特別支援学級に通う小学校3年生の息子がいます。診断は重度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)ですが、ADHD(注意欠如多動症)とLD・SLD(限局性学習症)の傾向もあります。息子が2歳頃は、大きい声で迷惑をかけないようにしないと気を張り、「すみません……騒がしくして……」と周りにあやまってばかりでした。そんな中、息子が3歳、4~5歳、6~9歳の頃、育児の転機を経験しました。Upload By ユーザー体験談3歳の頃訪れた転機は「母」3歳の頃、1ヶ月ほど母、息子、私の3人で一緒に暮らしたことがありました。それまでも年に1、2回は帰省していましたが、長期間一緒に暮らすのは産まれてすぐの時以来でした。この頃の息子は、癇癪を起こすとジャンプしたり、壁を叩いて大きな音を出したり、大声を出したり。でも、注意すると逆効果でますます癇癪を起こしてしまうので、「おいで」と膝に座らせてお話をしたり、別の話題で気持ちを切り替えさせたり、物を投げそうな時は「こっちだったらいいよ」とタオルを渡したりしていました。お気に入りのラムネを準備しておいて、おやつ時間にして切り換えタイミングにしたりもしていました。母へは「息子に手がかかって大変だ」という話はよくしていたのですが、実際に目の当たりにしてびっくりしたのでしょう。「本当にこの生活は大変よ。全部一人でやってるんだもん」と分かってくれました。Upload By ユーザー体験談それからは、家族などで外出や外食の話題が出た際に、私が「いやぁ、食べるもの限られてるし、まだオムツだし、温泉一緒に入れないし、バス乗れないし……」などと話していると、母が「ほんとよ!この子連れていくのは大変だと思うわ。一緒に生活してみてよく分かった!」と味方をしてくれるようになりました。自分の口からいくら伝えても理解してもらえないときがあったのですが、第三者である母による、実際に経験したうえでの言葉は伝わりやすかったのだと思います。家族や親戚へ説明するのはなかなかの負担だったのですが、母が担ってくれるようになり、また一緒に面倒を見てくれるたことで、とても救われました。「彼はこのままでいい」という自由を与えてくれた海外生活2回目の転機は、年少の時から2年間海外赴任帯同で息子も連れて行ったことでした。それまで日本で通っていた幼稚園では、椅子に座らず歩きまわる息子をほぼ放置。歯磨きやお弁当箱の片づけについて、教えられた通りにこなす息子に笑顔はありませんでした。そんな環境のあと、海外で入った保育園に驚き!園中の先生が無理なく、しかし教えるべきことはしっかり教えながら息子に寄り添って下さいました。お迎えに行くと、園長先生のオフィスで先生の膝に座って一緒にパソコンでお絵描きしていたり、先生が仕事をする横に座って窓の外を眺めたりしていたこともあり、日本で通っていた幼稚園では考えられない「彼はこのままでいい」という自由を与えてくれました。個を大事にする、みんなと同じでなくてもいい、子どもらしさを大切にしようというおおらかさがあって救われました。Upload By ユーザー体験談この時、私自身が本当の意味で障害受容ができたと思います。周りの人に積極的に息子の障害のことを話して理解を求めたり、それでも息子のこんなところがすごいということを伝えるようになりました。放課後等デイサービスでどんどん成長した息子3回目は日本に帰国したあとに療育手帳を取得し、小学校の特別支援学級と放課後等デイサービスに通えるようになったことです。特に放課後等デイサービスはとても良い施設と出合え、明るい先生たちのご指導で困りごとが改善していき、いろいろなことができるようになりました。とても根気強く、スモールステップで対応してくださったので、息子は毎日学校と放課後等デイサービスを楽しみにし、どんどん成長していきました。スタート当初はおやつも1種類しか食べられなかったので持参していたのですが、好きなおやつの日を挟みながらいろいろな種類に挑戦させてくれ、息子が気に入る新しいおやつ(バウムクーヘン)を見つけてくれました。全員で取り組むダンスに参加したくない場合は、決まった場所に座って見るなどルールを作って許すなど、無理をさせ過ぎず、かといって自由にさせ過ぎない。ちょっと頑張る日もつくるという、ちょうどよいバランスをはかりながら、支援に取り組んでくれています。おかげで、最近ではお友達との交流もできるようになり、施設内や送迎の車内でも、声を掛け合いながら楽しそうに遊んでいる様子も見られるそうです。土曜日にはいろいろな公園や施設に連れて行ってくれるのですが、3年生になったくらいからは、放課後等デイサービスで行って楽しかった場所をママともいきたいと、日曜に私を連れて紹介してくれます。思い出や感情を分かち合いをしたいというところまで成長してくれたんだな~と日々感動しています。Upload By ユーザー体験談私だけで抱え込む必要はないこれらの3つの転機は、自分だけで子育ての悩みを抱え込む必要がないことを実感させてくれました。両手を広げて迎え入れてくれる存在は、息子にとっても、私にとっても、安心して息をつける時間を作ってくれています。息子が周りのたくさんの方に愛情を注いでくださっている分、息子の笑顔も増え、私も救われているということに、この文章を書きながら改めて気づきました。今後は、息子と一緒に新しい地へ旅行をして、一緒に新しい体験をしたいなと思っています。まだ将来のことは正直よく見えないところがありますが、楽しい思い出をたくさん作って、楽しい記憶でいっぱいの人生にしてあげたいです。イラスト/マミヤエピソード参考/おかんレベル9(監修:鈴木先生より)日本と海外では教育の仕方が全然違います。私自身も小学校の3年間は米国の地元の小学校へ通っていました。生活指導は厳しかったですが、宿題はなく、昼はランチボックス持参で外の芝生の上でみんなとランチしていました。帰国すると、毎日宿題があり、昼は給食当番まであり、みんなと同じ給食を黒板に向かって食べるという殺風景なランチになってしまいました。日本にいると普通だと思っていることが、もっと広い目で見たら当たり前ではないかもしれません。これからもどんどん新しい地へ旅をして新しい体験をするべきだと私も思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年03月14日小学3年生の3学期、突然学校を行き渋るようになった息子息子が学校に行きづらくなってしまったのは、小学3年生の3学期。いつものように集団登校で出発したはずが、突然家に帰ってきてしまいました。私は、行き渋る息子を学校に半ば強引に連れて行き、校門で先生へ受け渡す日々。そんなある夜、息子が「先生がこわいから学校に行きたくない」と告白してくれました。Upload By 花森はな小4の春休み、初めて児童精神科を受診幸い3学期ということもあり、残りの期間は無理をせず何とか登校。春休みに児童精神科を受診してみることにしました。この時は息子に自閉スペクトラム症があることは分かりませんでした。医師から「不安を取り除くお薬を処方しますね」と言われ、「新学期からは学校に行けると思いますよ」とのことでした。私は「本当に行けるようになるのかなぁ?」と不安に思いつつ、息子の投薬生活が始まりました。Upload By 花森はないざ新学期になってみると……行けない。行けませんでした。学校では泣いて暴れて、手がつけられず。それまで反抗的な言動も特になく、クラスメイトと同じように教室で勉強をして、友達と楽しく遊んでいた息子とはまるで別人のようでした。そして、薬の副作用で朝起きられなくなり、ますます息子は学校へ行きづらくなりました。そもそも息子の心はギリギリ状態で新学期のストレスが大きすぎたのか、ほかにもいろいろな要因が絡み合っていたのか……当時の私は、一人で悩みを抱えこむことしかできませんでした。Upload By 花森はな小6でコロナ禍の一斉休校。学校にも、外にも行けなくなってしまったその後、息子は特別支援学級に転籍し、4年生の間は私が付き添いをして何とか登校。5年生になると、送迎は必須であるものの何とか一人で学校にいられるようになりました。しかし新型コロナウイルス流行による一斉休校をきっかけに、6年生から本格的な不登校に突入。とうとう外へ出ることもできなくなってしまいました。その後、息子は中1で自閉スペクトラム症と診断され、強度行動障害も判定されました。中学3年生になった現在は現在の息子は、特別支援学校の中等部3年生に籍を置いていますが、学校に通えるのは年に数回だけ。それでも、前を向いて通信制高校にチャレンジしようとしています。不登校や行き渋りをきっかけに、子どもの抱える困難さや特性に気づくこともあると思います。私ももっと早くに気づくべきでした。たくさんの後悔があります。それでも、不登校になったことで、濃密な親子の時間を過ごすことができたと思っているし、子どもたちとの仲も以前よりずっと深まった気がしています。そういったことをこれから書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします!Upload By 花森はな執筆/花森はな(監修:初川先生より)初回のコラム(息子くんについての不登校の経過紹介)をありがとうございます。小学3年生で不登校になった際の学校側の環境調整はどうされたのかなとか、はなさんお一人で抱えることとなったと書かれていますが、そのあたり相談できる人がいなかったのはとても大変だったことと思います。そして息子くん本人が「怖くて行きたくない」と言っている中で、薬で不安を下げて登校させるアプローチを提案されたのは、はなさんからするとなかなか悩ましかったのではなかろうかなど感じます。どうにか登校が安定しつつあった小4、5を経て、コロナ禍……。そして中学校生活。「元気な不登校やっています」に至るまでさまざまなことがあったとお察しします。これからのコラムでこのあたりのいろいろも語られてゆくのかなというところで、今後のコラムを楽しみにしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月10日2024年4月に開講する、Bunkamura主催の演劇の学び場『コクーン アクターズ スタジオ』。Bunkamuraシアターコクーン芸術監督の松尾スズキをはじめとした7名の常任講師によるレッスンの他に、豪華なゲスト講師を迎えた多彩なジャンルの〈特別ワークショップ〉が行われる。演劇に関わる各ジャンルのエキスパートを講師として迎え、発声や身体表現、台本の読み解き方などを学ぶ基礎授業と創作・発表の実践を組み合わせたカリキュラムで多種多様なスキルを磨く場を創出する本企画では、1年間の成長を発揮する場として、2025年3月に有観客の発表公演を予定されているほか、受講生には、コクーンプロデュース公演の制作現場を見学、さらには出演するチャンスが待っている。昨年12月のゲスト講師第一弾発表では、井上芳雄、鵜山仁、黒田育世、茂山逸平、友枝雄人(五十音順)の5名が名を連ねたが、この度、岩崎う大(かもめんたる)、大根仁、JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)が追加講師として発表された。岩崎う大は、キングオブコント2013のチャンピオンであり、芸人の枠にとらわれず舞台の作・演出や漫画家としても活躍中の劇団かもめんたる主宰。岩崎う大大根仁は、映画監督デビュー作である『モテキ』にて日本アカデミー賞を受賞、シアターコクーンでは『マシーン日記』(2021年/作・松尾スズキ)の演出を務めるなど、映像・舞台など多くの話題作を手掛けてきた。大根仁JAEからは、数々の映画・テレビ・舞台などで殺陣やアクションの指導を行ってきた、現役で活躍中のアクションディレクターが参加する。総勢8名のバラエティ豊かなゲスト講師により、俳優として様々な現場で役立つスキルを学ぶ。JAE常任講師およびゲスト講師による授業レポートなども随時公開予定となっており、2025年3月には第1期生による有観客の発表公演をシアターコクーンにて実施予定。今後の『コクーン アクターズ スタジオ』の動向にぜひ注目したい。■第一弾発表のゲスト講師(五十音順)ミュージカルのみならずストレートプレイや映像作品などで俳優として数多くの作品に出演する井上芳雄井上芳雄芸術選奨文部科学大臣賞、読売演劇大賞最優秀演出家賞などの数々の賞を受賞、舞台芸術学院学長を務める演出家の鵜山仁鵜山仁アターコクーンで2023年3月に上演した再演譚vol.2『波と暮らして』『ラストパイ』が記憶に新しい、日本のコンテンポラリーダンス界を代表する黒田育世黒田育世古典はもちろん映画やテレビドラマなど現代劇でも活躍しながら、狂言と他ジャンルの数々のコラボレーションを手掛ける能楽師狂言方大蔵流の茂山逸平茂山逸平次世代の若手能楽師にスポットをあてた『渋谷能』に立ち上げ時から携わる、能楽師シテ方喜多流の友枝雄人友枝雄人<開催情報>COCOON PRODUCTION『コクーン アクターズ スタジオ』【常任講師】主任:松尾スズキ演技基礎:杉原邦生、オクイシュージ、ノゾエ征爾日本舞踊・所作:藤間貴雅ダンス:振付稼業air:man発声・歌唱:蔵田みどり【特別ワークショップ ゲスト講師】(50音順)井上芳雄、岩崎う大、鵜山仁、大根仁、黒田育世、JAE、茂山逸平、友枝雄人詳細はこちら:
2024年03月08日重度知的障害の息子にとって猫は得体の知れない存在で……私は猫が大好きです。出産前から飼っていた先代の猫が6年前に亡くなり、今の猫を飼い始めたのはコロナ禍真っ只中、4年前です。現在小学6年生の息子は、3歳の時に重度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。息子は無発語なので自分の気持ちを言葉で伝えることはできませんが、わが家の猫を世界で一番得体の知れない、不思議な存在と思っているような様子がひしひしと伝わってきます。猫に追い詰められて部屋の隅で固まって助けてアピール先代の猫も含めたら、長らく猫と同居している息子ですが、いまだに猫を怖がり、手を繋がないと猫の近くを通れないこともあります。いつも恐る恐る、猫の様子をうかがっている……といった感じです。Upload By ユーザー体験談朝、猫が部屋や階段の中央にいると、息子が身動きとれず家を出るのに時間がかかることもあります。また、猫がいたため部屋の隅に追い詰められた息子が、壁際で固まり、言葉は話せないながらも必死で助けてアピールをしていることも時々あります。小学6年生で156㎝、66kgと身体の大きい息子が、自分よりはるかに小さな猫を怖がり、部屋の隅に追い詰められている姿は、申し訳ないですがなんだかかわいらしく、おかしくも思えます。Upload By ユーザー体験談それ意味あるの?猫に対する息子の謎すぎる反撃一方猫はというと、息子に懐いてはいません。息子を意識しつつ、つねにある程度の距離を保っている……といった感じです。ですが、時々双方ともにちょっかいを出し合います。ちょっかいの程度はそれぞれ違います。猫は本格的に息子を攻撃するときがあるのですが、それに対して息子の反撃はなんともかわいいもの。タオルやティッシュをふわっと相手に投げたり、なぜが小さなおもちゃを猫の背中に置いてみたりと、ほぼ効き目のない反撃をしています。なぜ背中におもちゃを置くのでしょうか……。理由は皆目見当がつきません。当然猫はノーダメージです。人間相手だととっさに手が出てしまうことも多い息子ですが、猫に対しては手がでないのも不思議。猫に対しては明らかに及び腰で、猫の優勢は揺らぎません。ただし、そんな猫でも息子の癇癪やパニック時の様子は怖いようで、やや離れたところから様子を見ています。Upload By ユーザー体験談二人(?)の関係に変化が。息子があみだした猫対策は?そんな二人(?)の関係ですが最近変化がありました。息子が新たな猫への対応方法を身につけたのです。それは、「リビングのドアを開けて、猫を退室させること」。息子は(あ、猫がいる)と気づいたら、さっとリビングのドアを開けます。すると、なぜか猫がドアの方へ吸い込まれるように進んでしまい、そのまま部屋を出ていくのです。猫が吸い込まれない場合は、息子が猫を誘導するような動きを見せて、猫にご退室いただいています。(無発語で喋ることはできないけれど、そんな風に猫に対して気持ちを伝えようとしているんだ!頑張っているな!)とほほえましく思います。猫を相手に学び少しずつ成長している息子。いつかもう少しだけでいいので仲良くなってくれたら嬉しいな、と思う日々です。Upload By ユーザー体験談イラスト/まるエピソード参考/あきこ(監修:森先生より)ペットは、親や先生、お友達とも違って予測不可能な動きをしますから、不思議な存在ですよね。猫ちゃんもお子さんも、きっとお互いに一生懸命に観察して、相手の習性を理解しようとしているのでしょう。お互いにちょっかいを出しながらも、お子さんは猫がイヤがることはしないようにしつつ、自分達なりの快適な距離感をはかっているのかもしれませんね。発達障害の傾向がある方には、他人の感じ方を理解するのが難しいという特性があります。人間相手では「なんで気持ちを理解してくれないんだ!」とイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、動物相手であれば「自分とは感じ方が違って当然」と思って、かえって自然に受け入れることができるのかもしれません。猫の習性を理解しようと頑張ることは、他人の感じ方を考えたり、良好な関係を築くために、きっと役に立ちますよ。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月05日障害受容をし、息子に無理させないよう丁寧に育てたつもりだけれど、二次障害として強迫性障害(強迫症)に現在、息子は23歳。知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)です。息子は療育手帳を持っていますが、中学の時に二次障害として強迫性障害(強迫症)を発症したので、精神障害者保健福祉手帳も持っています。息子は2歳3ヶ月のとき自閉症(※)が分かり、診断を受けました。医師からは「こんなに小さいうちから自閉症の診断を受けられたんだから、将来二次障害を起こさないように特性にそった子育てをしましょう」と何度も何度も言われました。私は療育の鬼になるのをやめ障害受容をし、息子に無理をさせることなく丁寧に丁寧に育てたつもりでしたが、その10年後に強迫性障害(強迫症)になったのでした。※以前は「自閉症」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。私も強迫性障害(強迫症)だった実は私も、就職した直後に強迫性障害(強迫症)を発症しました。そして、通院治療では治らないほどこじらせ、精神科に9ヶ月入院した経験があります。退院後も自宅に帰ると再発するといわれたため、1年間社会復帰施設に入所していました。入院中はベッドに手足を縛られ拘束され、オムツをし、たくさんの服薬をするという毎日で、今振り返っても地獄の日々だったと感じます。今までの人生の中で一番つらい時期でした。その後、未婚の母として息子を産み、シングルマザーとして育てているなかで息子の障害が分かり、さまざまな茨の道もありましたが、こんな経験があったので、いつも「あの入院時代に比べると、こんなことは大したことない」と思え、乗り越えられたのだと思います。そういう意味では、私のつらく悲しい入院生活は意味があったことだと思うようにしています。息子の異変にすぐ気づくことができたのは、私の経験があったから自分が強迫性障害(強迫症)になった経験があったので、息子の異変にはすぐに気づきました。ある日、いつものようにスイミングスクールに行く際、息子が道中プールの道具を何度も何度も確認するのです。ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは同じことを繰り返したり、確認行為を繰り返したりすることがありますが、強迫性障害(強迫症)の場合も同じような確認行為をすることがあります。でも、本人が望んで確認行為をするASD(自閉スペクトラム症)の行動と強迫性障害(強迫症)のそれとは似て非なるものです。忘れ物の確認、ガスの確認、物が同じ向きになっていないと気になって仕方がないなどの不完全恐怖、「4」などを極端に避ける縁起恐怖などの強迫性障害(強迫症)、本人も「こんな行為はばからしい」と自覚していても、それをしないと苦しくなってしまいます。息子の強迫性障害(強迫症)は発見が早かったため通院治療で済んでいますが、もし「これもASD(自閉スペクトラム症)の特性だ」と放置していたら、こじらせて入院していたかもしれません。ASD(自閉スペクトラム症)の特性による行動なのか、強迫性障害(強迫症)なのか……判断がなかなか難しいと思いますが、私の経験が生きた出来事でした。執筆/立石美津子(監修:森先生より)お子さんに愛情をかけて、お子さんをよく見ているからこそ気付けたのですね。ご自身のつらい経験も活かされましたね……。お子さんは、保護者の方や療育の専門家と接する場だけでなく、あらゆる環境に晒されてストレスを受けながら育つもの。「気をつけたから二次障害を起こさない」というものではありませんよね。お子さんの異変にすぐに気付いて、お子さんに合ったやり方を模索したからこそ、重症にならずに踏みとどまれたのでしょう。療育には正解はなく、愛情を持って一人ひとりに合わせた支援をしていくことが大切ですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月10日阪急阪神ホールディングスとウェルビーイング阪急阪神では、春休み期間中の小学生に学びの場を提供するイベント「ゆめ・まち×スタジモ こども学びウィーク2024」を3月25日(月)~29日(金)に開催するにあたり、その参加者を募集します。本イベントは、お客様参加型の取組「阪急阪神 ゆめ・まちソーシャルラボ※1」の一環として2021年にスタートしたもので、4回目となる今回は、ウェルビーイング阪急阪神が運営する「スタジモプロジェクト※2」の参加団体や沿線の市民団体の方々が講師となり、小学校で学ぶ教科に関する10種類の体験学習プログラムをオンライン形式で開催します。具体的には、うどんづくりを体験して食の大切さを親子で感じていただくプログラムや、放置竹林の整備のために間伐された竹を使った手毬づくりから自然環境を学んでいただくプログラムなど、こども達の新たな発見につながる、さまざまな体験学習の機会をご用意しています。このほか、どなたでもご参加いただける特別プログラムとして、お金の使い方や身近な植物の生態について学ぶウェビナーを開催します。当社グループでは、今後も、持続可能な社会の実現に向けて、次世代の育成に取り組んでまいります。本イベントの概要と募集要項は次のとおりです。1.実施期間:2024年3月25日(月)~29日(金)※実施日はプログラムごとに異なります。2.募集対象:小学生 ※保護者の同席が必要です。3.募集人数:122名 ※応募多数の場合は抽選となります。(特別プログラムは除く)4.料金:無料 ※通信料は各自ご負担ください。5.応募期間:2024年2月8日(木)~3月4日(月)6.応募方法:公式ウェブサイト( )よりご応募ください。7.実施体制:共催 阪急阪神ホールディングス株式会社、株式会社ウェルビーイング阪急阪神後援 西宮市教育委員会、豊中市教育委員会、宝塚市教育委員会8.お客様からのお問い合わせ先こども学びウィーク事務局(ウェルビーイング阪急阪神内)TEL:06-6676-8010(平日10~17時)※1「阪急阪神 ゆめ・まちソーシャルラボ」とは阪急阪神ホールディングスグループの社会貢献活動「阪急阪神 未来のゆめ・まちプロジェクト」の一環として実施している取組です。沿線の市民団体やグループ各社などが協働して、お客様参加型のワークショップやセミナーを定期的に開催しています。具体的には、同プロジェクトに関する情報発信のほか、大人向けに被災地支援につながるセミナーや、こども向けに身近な環境について学ぶイベントなどを行っており、地域住民の皆様に社会課題を知る機会や学びの場を提供することで、「未来にわたり住みたいまちづくり」への共感や機運を高めることを目指しています。( )※2「スタジモプロジェクト」とは健康寿命が延び、幸せな人生を送ることができる沿線の実現を目指して、「ヘルスケア」「コミュニティデザイン」領域における地域課題・社会課題を解決していく株式会社ウェルビーイング阪急阪神が行う、まちづくりプロジェクトです。「大好きな地元で、あつまる・つながる・つくる!」を合言葉に、個人の興味・関心や得意なことをきっかけにゆるやかにつながる新しい地域コミュニティの醸成を目指して、ネットワークを大切にしながら交流・発信の機会を創出し、阪急阪神沿線の魅力をさらに高めていく事業を進めています。( )参考資料: 阪急阪神ホールディングス株式会社 株式会社ウェルビーイング阪急阪神 リリース 発行元:阪急阪神ホールディングス大阪市北区芝田1-16-1 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年02月08日障害者手帳には3種類ある「障害者手帳」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類の手帳の総称です。身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認定された方に交付される手帳です。障害の種類や程度によって1級から7級の等級が定められています。療育手帳は、知的障害(知的発達症)があると判定された方に交付される手帳です。自治体によって名称が異なる場合があり、例えば東京都や横浜市では愛の手帳、青森県や名古屋市では愛護手帳という名称で療育手帳が発行されています。知的障害の程度によって手帳の等級が判定されますが、判定基準および等級に応じた支援サービスの内容などは、各自治体によって運用が異なっています。精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることが認定された方に交付される手帳です。手帳の交付は精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態から総合的に判断され、その程度によって1級から3級に等級が定められています。参考:障害者手帳|厚生労働省上記のいずれの障害者手帳も、取得することでさまざまな支援や福祉サービスをうけることができますが、手帳の等級(障害の重さの程度)などによって、その内容は変わります。このコラムでは、・障害者手帳取得のメリット、デメリット・障害者手帳がない場合に、将来受けられる支援や合理的配慮についてなど、障害者手帳についてのギモンから、将来に役立つかもしれない情報まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】障害者手帳取得にはメリットがある?分かりやすく解説!ここからは障害者支援制度に詳しい行政書士の渡部伸先生に、障害者手帳取得についての質問にお答えいただきます。(質問)子どもに知的障害(知的発達症)があり、「療育手帳」を取得できる可能性があると言われました。取得のメリットやデメリットを知りたいです。また、取得できないのはどういう場合でしょうか。取得できないと療育が受けられないのではないかと不安です。(回答)療育手帳を取得することには、さまざまなメリットがあります。たとえば、働く場面での選択肢が広がります。企業などで働くことを希望する際に、一般の人と同じ方法での採用が難しい場合、障害者雇用の枠で働くという可能性が生まれます。障害者雇用で働くためには、手帳があることが条件となります。またそれ以外の場面でも、医療費の助成や公共交通機関の割引、NHKや携帯電話料金などの割引、映画館などレジャー・スポーツ施設の割引、所得税など税金の控除など、多くの経済的なメリットもあります。これらは、手帳の等級や自治体などで異なる場合があります。デメリットは基本的にはありません。周囲に手帳を持っていることを知られたくない、といった心理的な負担を感じる人はいるかもしれませんが、サービスを利用するとき以外、他人に持っていることを知られることはありませんし、普段はしまっておけば大丈夫です。療育手帳が取得できるかどうかは、18歳未満の場合、児童相談所でIQや日常生活の動作などから総合的に判定されます。なお療育についてですが、療育を行っている公的機関や民間の障害児通所支援などを利用する際には、「受給者証」が必要になります。こちらは手帳とは別の制度なので、療育手帳がないと受けられないものではありません。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが療育手帳(愛の手帳)を取得していましたが、更新できず返納しました。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できますか?取得の目安の年齢があれば知りたいです。また、取得するとどんなメリットがあるでしょうか?(回答)発達障害がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。目安の年齢は特にありません。最初に精神科を受診してから6ヶ月経過していれば申請可能です。医師の診断書など必要な書類をそろえて、役所の障害福祉窓口で申請します。精神障害者保健福祉手帳は、ほかの障害者手帳と異なり、取得後も2年ごとに更新する必要があります。メリットですが、療育手帳や身体障害者手帳と比較すると、受けられる支援は限られる場合があります。例えば、各自治体で行っている重度心身障害者への医療費助成は、重度の身体障害者手帳や療育手帳の所持者はほとんどの自治体で対象となりますが、精神障害者保健福祉手帳の所持者は1級のみ、あるいは対象外としている自治体もあります。そのほか各種の割引や減免など、手帳の等級や自治体などによって受けられるサービスもあります。障害者雇用については、2018年から精神障害者も対象となっていますので、将来の進路の選択肢が広がるという意味で、大きなメリットがあると思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)障害者手帳がなくても、将来的に、高校や大学などの受験や、就職する際など、支援や合理的配慮を求めることはできるのでしょうか?(回答)合理的配慮とは、障害のある人が教育や就業、その他社会生活において障害のない人と平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことで、行政や学校・企業などの事業者には、この合理的配慮を可能な限り提供することが求められています。この合理的配慮の対象となる障害者は、障害者手帳を持っている人に限定されません。手帳がなくても、障害により日常生活に困難のある方も含まれます。受験に際して合理的配慮を求めるためには、医師の診断書や個別の教育支援計画、学校内で行ってきた支援の実績など「配慮の必要性」を示したうえで、事前に申請をする必要があります。具体的な配慮の内容としては、集中しやすいように別室受験やイヤーマフの持参、拡大文字の問題冊子の配布など、本人の困りごとに応じた支援を依頼することができます。ただし、学校などによって対応できることは異なるようです。就業の場においては、募集や採用の時点で、本人や支援者などから必要な配慮についての意思表明を行います。そのうえで本人と企業の間でどのような配慮ができるかを相談、検討し、合意したうえで配慮を行います。就業の場合は受験と異なり継続的な支援になりますので、定期的な見直し、改善が行われることになります。Upload By 発達障害のキホン障害者手帳についての関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年02月04日“学びの楽しさ”を感じられるイベント「大人の学びフェス」が2月18日(日)に有楽町朝日ホールで開催される。この催しは、イマジニア株式会社が運営する教養動画サイト「テンミニッツTV」、株式会社朝日カルチャーセンター、学校法人早稲田大学エクステンションセンターの協同企画。当日は4部構成で、さまざまな切り口で大人の学びについてのトークが展開。いかにして学ぶのか? 学ぶことで得られる楽しさとは? 学びの世界の広さと奥深さ、学びの力を多角的に知ることができる。「大人の学びフェス」■チケット情報()2月18日(日)有楽町朝日ホール第1部(11:00~12:10)【基調】大人の学び~発展しつづける人生のために柳川範之(東京大学大学院教授)×為末大(Deportare Partners代表)人生100年時代、「学び」こそが人生を充実させ、高めてくれます。大人にとっての「学び」とは。どこに難しさがあり、どこに可能性があるのか。また、他の世界を学んでみることや、最近話題の「アンラーン」などには、どのような意味や楽しみがあるのか。そして、人生のキャリアについて考えることが、なぜ必要なのか。大人の学びの第一人者のふたりが縦横無尽に語ります。第2部(13:20~14:30)相撲の過去、現在そして未来二所ノ関寛(元横綱・稀勢の里)×荒井太郎(相撲ジャーナリスト)神事、文化、生活、芸術、スポーツなどのあらゆる側面で現代まで息づいてきた「国技」相撲。二所ノ関寛(元横綱・稀勢の里)が、相撲の歴史を踏まえ、その魅力を後世へ残すために必要なことを語ります。さらに引退後に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で学ぶことで見つけた「新しい相撲部屋経営の在り方」にも迫り、「学び」の大切さと可能性についても語ります。第3部(15:20~16:30)「源氏物語」の深い魅力林望(作家・国文学者)×ロバート キャンベル(早稲田大学特命教授)2024年のNHK大河ドラマでも注目を集める『源氏物語』。物語としての価値はもちろん、時代背景、日本文化理解、奥深い心理描写、倫理・道徳の考察など、教養として幅広い価値を持つ文学作品です。海外の文学作品と対比させて見えてくる『源氏物語』の特徴、登場する女性たちの魅力、さらにふんだんに盛り込まれた「詩歌」の味わいなど、深い魅力を語り尽くします。第4部(17:20~18:30)「動くガンダム」から考えるロボット工学と未来橋本周司(早稲田大学名誉教授)×市川紗椰(モデル)横浜で3月末まで公開中の「実物大の動くガンダム」プロジェクトを監修した橋本名誉教授。実物大のロボットを動かすことの意味とは。実現する難しさと面白さはどこにあるのか。「とにかくつくる」をモットーとする「工学的な発想」が、なぜ必要なのか。そして、人間と機械の協同で、いかなるものが創造されるのか…。ロボット工学を知れば、夢ある未来が見えてきます。テンミニッツTV朝日カルチャーセンター早稲田エクステンションセンター
2024年01月27日障害のある子は親を選んで生まれてくるってホント!?新年早々、なんだかいきなり波乱を呼びそうなテーマですが、けっこう私はこの手の話を耳にするんですよ。「子どもは親を選んで生まれてくる」って。そして、「障害のある子どもは、それに耐えうる強い親を選んで生まれてくる」と……。こういった話について、障害のある子どもを育てている親御さんの反応はさまざまだと思います。「そうか!だからか……!だからうちを選んで生まれてきたのね!」と、救われるような気持ちになる人もいれば、「は?そんなことある訳ないわ」と否定する人もいることでしょう。じゃあ、私の場合はどうだったかというと……。「いや、もしそうだったら選び先間違えてるんじゃない?」と正直思いました。だって私ときたらズボラでいい加減で、家事だって下手くそだし、どう考えてもできた親じゃないし、今もきいちゃんをフォローしきれていないことがたくさんあるからです。おうち療育だって正直面倒くさい(というか、ほぼできていない……)生まれてくるなら、もっと私よりもテキパキしてたり、イライラしなかったり、向いてそうな人、たくさんいるやん!!と(もちろんそういうすばらしい親御さんもたくさんいます)。Upload By 星きのこそして、実際のところ、私の周りにいる障害のある子どもの親御さんたちも、定型発達の子どもの親御さんと何ら変わりがないわけですよ。つまり、すごいなと思う人もいれば、ズボラな人もいる。お洒落な人もいればそうでない人もいる。たまたま、障害のある子どもが生まれたってだけで、別に障害がない子どもの親御さんと何も変わりません。Upload By 星きのことにかく明るい!初めて「親の会」に参加して私が初めて親の会に参加させていただいた時のこと。私のまったくの偏見なのですが、障害のある子どもの親御さんって、お洒落にも気を遣う余裕なんてなくて、とっても疲れているというイメージを持っていました(本当にごめんなさい……!汗)。でも、実際にお会いしてみると、すごくお洒落な方や、バンドマンみたいな個性的なお母さんもいて(笑)。本当にいろんな方がいてビックリしました。そりゃそうですよね、子ども産んだからっていきなりその人の個性が変わる訳はありません。もちろん、子どもを産んでからは自分自身に手がかけられなくなるのは、定型発達の子どもも、障害のある子どものお母さんも、皆一緒です。それどころか、わが子のエピソードをネタにして、大笑いしているのにビックリしました……。「うちの子、この前、電車乗り間違えて大変だったのよー!」「うちの子がお風呂の中でウンチしちゃって、プカプカ浮いちゃって……」「うわ~!! うちなんてね……」あ、明るい……!皆さま、とても明るい……!! と、衝撃を受けました。反対に、親の会のメンバーから見た私の初対面の印象は、「く、暗い……!このママ、大丈夫かしら!?」だったそうです。最近、先輩ママさんに「きのこさん、明るくなってよかったわー!あの時、暗すぎてどうしようかと思ったもの」と言われました(笑)。と、言っているその先輩ママさんはなんと暗黒期が6年間もあったそうです! 皆、それぞれいろいろなことを乗り越えて今があるんだなあと思いました。Upload By 星きのこ「障害がある子の母は強い」なんて言われがちだけど、実際は結局、何が言いたいかというと、「子どもが親を選んで生まれてくる。障害のある子どもの母は強い」と言われますが、皆、周りの助けを得ながら少しずつ強くなっているんです。私には分からないけれど、もしかしたら本当に「子どもは親を選んで生まれてくる」なんてこともあるのかもしれません。私自身は、そういった考え方については否定的でもなく肯定的でもないのですが(むしろちょっとロマンチック~なんて思ったりもします(笑))、でも、そういう言葉で、心が弱っている母親に付け込むような商売をする人たちもいると聞いたことがあります。ですので私は、ちょっとお金儲けの匂いや怪しい感じがする団体には近づかないようにしています。いつか遠い遠い未来に自分もきいちゃんもあっちの世界(?)に行った時に、「ねえ、本当はどうだったの?ママ、すっごく驚いたんだけどー!」ときいちゃんに笑いながら聞いてみたいと思います。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)以前にもお話ししましたが、ダウン症児の親の集いである「こやぎの会」発行の「ダウン症の健康手帳」1ページ目に書いてある詩の一部を紹介させていただきます。「会議が開かれました。(中略)天においでになる神様に向かって天使たちは言いました。“この子は特別な赤ちゃんでたくさんの愛情が必要でしょう。(中略)どうぞ神様この子のためにすばらしい両親をさがしてあげて下さい。(中略)天から授かった特別な子どもなのです」あなたは子どもが、そして天使たちが選んだ親なのです。あなたでなければ育てられなかったと天使たちの会議では結論したのです。豊かな愛を抱いて育ててくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月23日週2日保育園のお迎え&預かりをしてくれる両親現在6歳の息子がいます。実家の両親は、週2日、息子の保育園のお迎え&預かりに協力してくれています。父は息子と一緒に家庭菜園の収穫をしたり、外遊びをしてくれたりするので、息子は「じいじ大好きっ子」です。母も、息子が来る日は夕ご飯を用意してくれていましたし、教育熱心なところもあるので、パズルや塗り絵、簡単なドリルなどを息子のために買ってきてくれて、一緒にやってくれています。息子にとって、優しいじいじは安心して甘えられる存在、そして、勝ち気なばあばは良きライバル(ケンカ友達?)として見ているようで、どちらのことも大好きです。息子は3歳6ヶ月児健診で、できることとできないことの差があると指摘され、3歳9ヶ月で「新版K式発達検査」を受けたところDQが80で3歳0ヶ月相当、境界域であることが分かりました。Upload By ユーザー体験談息子を預かってもらっていますので、両親へは息子の発達に関することについてこまめに話していました。発達検査を受けたこと、その結果、療育に通い始めたこと、就学相談を受けること……。最初は両親とも「〇〇くんはちょっと落ち着きはないけど、あんたの気にしすぎじゃない?」という反応でした。特に母は発達検査の結果が出たあとも、「私たちには○○くんは発達に遅れがあるようには見えないけれど……」と納得がいかない様子。ですが私が読んできた発達に関する本を「私たちも読みたいから貸して」と言って、読んでくれました。Upload By ユーザー体験談前向きな選択として決めた特別支援学級。でも母は「通常学級がいいのでは?」と反対でそして就学を控えた今年、私たち夫婦は就学相談に行きました。息子には偏食が強い、服が濡れることや大きな音を嫌がる、初めての場所が苦手、じっとしているのが苦手、人の話をじっと聞けずに途中で話をさえぎってしまう、会話が一方通行になりがちといった傾向があります。また、人に筋道を立てて物事を説明することや、人が決めたルールや指示を正確に理解して、それに沿って何かをするといったことも苦手です。息子のこうした面が、小学校で集団授業で受ける際にしんどさとなるのではと感じていた私は、息子の就学先として特別支援学級を視野に入れていました。私と夫は、息子が学ぶことや人と関わること、学校という場所を好きでいられることが大切だと思っています。そしていつか社会に出たとき、臆せず人に助けを求めることができたり、他者と良好な関係を築けたりするようになってほしいと思い、息子にとってなにがいいか何度も話し合いました。そして、特別支援学級に進むことに決めたのです。息子にとって最善な選択だと前向きに決めました。ですが、母は「どうして通常学級に行かせないの?」と難色を示し、反対したのです。Upload By ユーザー体験談「発達障害の本の内容に当てはまらない」と息子の発達障害を受け入れない母「発達障害の本は読んだけど、すべてが○○くんに当てはまるわけじゃない。発達障害ではないんじゃない?」「認知面に苦手さがあるって言うけど、あの子は記憶力もいいし、口も達者でしょ」「○○くんは、癇癪を起こすとか、友達とトラブルになるとか本にあった体験談に出てくるようなことはないよ。協調性があるように見える」「空気が読めないって聞くけど、○○くんはそんなことないよ」「境界知能っていうけど、○○くんは理解力があるし、賢い子だと思う」母は読んだ本にあった発達障害の特性と息子の特性は必ずしも同じではない、特別支援学級ではなく通常学級にしたほうがいい、と頭ごなしに言ってきます。確かに息子はどちらかというとおとなしいほうで、対人トラブルとは無縁。園のお迎えに行っても、お友達と楽しく遊んでいます。また、息子は人の顔色などに敏感なほうで、特に相手がイライラしていると、その空気をすぐ察します。母はそうした息子の姿をよく見ているので、そう言うのでしょう。母との話し合いは平行線のままでした。その後も母からはいろいろ言われましたが、なかでも一番こたえたのが、「家系的に発達障害の人はいないし、高齢出産だったのが原因かしらね」でした。発達障害についていろいろと調べた私は、発達障害の原因は私が高齢出産だったからだとは考えていません。ですが、私は41歳で出産しましたし、フルタイム勤務でストレスフルな職場でした。関連はないと思っていても人から言われると結構傷つくものだなと思いました。そんな話し合いが続いたのち、ある日母がぼそっと言いました。「まあ、私が『あの子は発達障害だ』と認めたくないからそう思うのかもしれないけど」。その姿は、かつて私の姿でした。確かに私も息子は発達障害ではないと思いたい時期がありました。でも、やはりなにか違うと感じましたし、息子のためにできることはしなければと思いました。たとえ、今は困りごとがなかったとしても、いつかトラブルが起こることを防ぐため、息子にあった環境で過ごせるようにすることが、なによりも大切だと考えるようになったのです。母は障害受容の手前。少しずつ分かってもらえたら今の母は「まあ、あんたたちが決めたことやから反対はしないけど」と言うようになりました。ただ、「○○くんの能力が伸びてきたら、通常学級に戻るつもりやんな?」と完全には認めてくれていない様子です。母は障害受容の手前で葛藤している状態なのだと思います。息子は、まだ医療機関で診断を受けたことがないので、息子の障害にまだ名前がついていない状態なのも、母にとってはややこしいのかもしれません。一方父は、息子の発達に関して私に直接何か言ってきたり聞いてきたりすることはありません。先日私に「○○ちゃんは年齢とともにできることが増えてきたね。がまんもできるようになってきたし」と言ってくれました。他人と比べてではなく、息子だけを見て、良い変化を見つけて喜んでくれているのがうれしいですし、母のように「息子を発達障害ではないと思いたい!」という圧を出さないでいてくれるのも私にはありがたいです。Upload By ユーザー体験談完全に理解してもらうのは難しいかもしれませんが、今後の私たち親子の姿を通して、いつか母にも息子に合った環境を選ぶことの大切さを分かっていってもらえたらと思っています。イラスト/まるエピソード提供/苗(監修:鈴木先生より)息子さんはあなたのお子さんです。いくら祖父母が子育てを手伝ってくれているにしても祖父母の子ではないのです。自分の子どものことは親が決めていいのです。発達障がいは症候名で具体的な病名としてはASDやADHDなどがあります。「発達障がい」という「障がい」だけが祖母の脳裏に刻まれており認めたくない気持ちがあるのかもしれません。今は発達障がいと言わず「障がい」がなくなり、神経発達症と言われています。「ASDは特性でADHDは慢性疾患で障害ではありません」と日頃私の外来では説明しています。具体的な診断をかかりつけ医に相談して早めに方向づけを行うのがよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月18日5歳の息子は発達障害で、かんしゃくを起こすことが多いです。ある日そのことを実家の母に打ち明けると、心無い言葉をかけられました。さらに後日、運動会でまさかの言葉を言ってきたのです……。そんなこと言わないでよ……。わが家には5歳の発達障害の子どもがいます。自閉症スペクトラム障害で、見通しが立たないことがとても苦手。うまく気持ちが伝えられなくて、かんしゃくを起こすことも多いですが、療育を行って少しずつ自分の特性との付き合い方を学んでいるところです。 しかし、私の母からはなかなか発達障害への理解が得られず、発達障害であることを打ち明けた際には「母親がしっかり叱らないからじゃない?」と言われました。叱ることは逆効果になることがとても多く、かんしゃくをおこして子どもも私もしんどくなったことがあります。そのため、今では最低限しか叱りません。 運動会のときは、先生が配慮してフォローしやすい端っこにしてくれたのですが、母は「なんで端っこなのよ!」と私に文句を言ったのです。理解してもらうのは難しいと分かってはいるものの、悲しい気持ちになりました。 発達障害の子のパニックやかんしゃくを人に理解してもらうのは難しいと、日々感じています。しかしやはり身内には理解してもらいたいため、母には私から少しずつ発達障害について説明し、考え方を改めてもらうように頑張っている最中です。 ◇ ◇ ◇ 小児科医の松井先生は以下のようにおっしゃいます。 「自閉症のお子さんは叱るのではなくタイムアウト(小休止)して場所を変え、感情を出さないようにしたり、うまくできたときは褒めてあげましょう。このママさんのように、療育に通うとその子の特性にあった接し方を説明してもらえ、無理なく成長を促すことができ、そうしていくうちに、パパやママも安心できるようになるとのことです。 また、ご両親や周りの方からの理解を得られず悲しい思いをする方も多いですが、その場合は少しずつ発達障害について説明をし、それを繰り返してみてください。お子さんの成長を見て、周りも徐々に分かってくれるようになるでしょう」 周囲も少しずつ理解が深まっていくと良いですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 作画/森田家著者:杉浦更紗監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生
2024年01月14日息子がいないお正月、実家と義実家へ息子の不在を説明しなければならず……公立中学の自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する中学3年生の息子と公立高校に通う高校2年生の娘がいます。2人とも小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。息子は小学校までは通常学級に所属していましたが、小5の時、コロナ禍による休校をきっかけに『いつから学校に行けるのか?』とパニックとなり、昼夜逆転や家庭内暴力が始まりました。自宅で過ごすことが困難となり、小児精神科に入院などもしましたが、今までの生活様式が一変してしまいパニック症状は悪化するばかり。中学校では特別支援学級に入るも環境に馴染めず、学習意欲も低下して不登校、昼夜逆転、家庭内暴力がさらにひどくなってしまいました。息子と話し合い「生活習慣を整えて、中学3年生の4月から家に戻れるよう目標を立てて、一緒に頑張ろう!」と一緒に目標を立てたうえで、息子は中学1年生の冬から児童養護施設に入所しました。息子の生活と精神面を整えるための決断でした。そして、わが家は息子がいないお正月を迎えることになりました。いつもでしたら、年始の挨拶で義実家、実家を訪問していたのですが、息子を連れて出かけることはできません。そのため、義父、義兄夫婦、実母、弟に息子の施設入所について伝えなければなりませんでした。「帰ってきたら鰻を一緒に食べに行こう」優しい義父義実家は、80代の義父と義兄の二人暮らしです。義母はすでに亡くなっています。義父たちへは訪問前に夫から電話で説明してもらいました。夫からの電話を義父は「うん、うん……」と穏やかに聞いてくれたそうです。分かってくれたようだよという夫の言葉にホッとしつつも、いつもより緊張して義実家へ訪問しました。久しぶりにあった義父たちは我々を温かく迎えてくれました。義父は息子の障害については全く触れず、「帰ってきたら、孫の好きな鰻を一緒に食べに行こう」と言ってくれました。その優しさに、私は涙ぐんでしまいました。義兄も特に何も触れず微笑んでいました。義兄の優しさを感じました。また後日、義姉からは「気がつかなくて、ごめんなさい。大変な子育てをしてきたんだね。困ったときは相談してね」とメールをもらいました。このような義実家の優しさは、いっぱいいっぱいだった私の心を支えてくれました。感謝してもしきれません。Upload By ユーザー体験談「なんてかわいそうなことをしたんだ!」激怒する実母私の実家は父は亡くなっており、母と私の弟が暮らしています。子どもたちが小学校低学年だった頃、私は子どもたちの発達障害について母に伝えたことがありました。ですがそれ以降、母は自分で調べた薄い知識や偏見で、「あの子たちがかわいそう」「おまえ(私のこと)の育て方が悪かったんだ」「テレビで発達障害の番組を観たけど、将来はどうするの?お先真っ暗じゃない」「仕事をするのは無理かもね」など、ことあるごとに、私や夫、子どもたちの前で言ってくるのです。そんな経緯があったため、年始の挨拶前までに私から実母に息子の入所について伝える勇気はでませんでした。さらに非難されるのが嫌で嫌でたまらなかったのです……。そして来てしまった訪問当日、私はとうとう息子がいない理由を伝えるしかありませんでした。案の定母は「施設に子どもを入れるなんて!なんてかわいそうなことをしたんだ!」「障害を持っているから、こんな事になったんだ!」と激怒。しかも、これを娘の前で言ったのです。自身も発達障害がある娘がどれだけ傷ついたか……。もう私は覚悟を決めるしかありませんでした。Upload By ユーザー体験談母からの謝罪。でも私が選んだのは……「今の私の家族を傷つける言動をするのは困る。家族を守るため、実家には行きません」母は黙って聞いていました。そしてその数日後、母から電話がありました。「私は人の気持ちが分からないの。あんたを傷つけているとは思っていなかった。ごめんね」と。それでも、私は今までの経緯があったため、母を許すことができませんでした。「今後は実家には帰省しない」と絶縁宣言をしました。Upload By ユーザー体験談努力した息子。今は将来の夢に向かって頑張っています!あれから3年ほど経ちましたが、母とは連絡をとっていません。義実家へは年始の挨拶やお盆など、定期的に訪問しています。義父は、変わらず子どもたちを大事にしてくれ、「一緒に外食に行こう」「孫の好きなものを食べさせてやりたい」と声をかけてくれます。毎回子どもたちへお小遣いもいただき、それは子どもたちの通帳に貯金しています。そして、息子はとても努力して生活習慣を整え、目標通りに退所し、現在は一緒に暮らしています。今は受験生として、幼少期からの夢をかなえるため奮闘中です。息子はまだまだ成長期です。さらに自分を高めて、どうか自身の夢を叶えて欲しいと願っています。そして安定した気持ちで就労できるよう、これからも支援し続けていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)「お子さんを守ること」「お子さんの生活習慣を整えること」を最優先に行動できたのは素晴らしいですね。発達障害の支援の中で、家族や親族の理解を得られないという問題はしばしば見られます。「適切な支援を受けることを拒絶する」といったことも時にはあります。専門家とも相談しながらお子さんの生活習慣を整えるために出した結論に、親族の方から理解をしてもらえないこともあるでしょう。障害や支援に対して理解してくれない理由としては、気が動転してしまったり、お子さんへの愛情が強すぎるがゆえの不安な気持ち溢れてしまっているといったことがあります。ただし、その不安な気持ちを保護者の方が受け止める必要はありません。不安な気持ちをぶつけられることによって、お子さんや保護者の方が傷ついたり疲弊してしまっては本末転倒です。そういった場合は、「この子の親として、最も良い方法を探しているところだから、信じて見守って欲しい」ということを説明して、状況によっては一旦距離を置くことも必要なのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月12日『目に見えるだけが障害じゃないと知ってほしい。』24万人もの方が、20歳以降に発達障害と診断されている現代社会。(大人の発達障害ナビより引用)そんな中、発達障害(ADHD)のパートナーをもつ人は、日々の生活をどのように暮らしているのでしょうか。そこで今回のMOREDOORでは、ADHDのパートナーと結婚して10年目になるBさん(仮名)にインタビューを実施。Bさんの日々の暮らしと、夫婦関係の専門家カップルセラピストからの意見をご紹介します。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。さまざまなところに違和感を覚え……ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Bさん:生活面だと片付けられないところです。やったらやりっぱなしです。人間関係も広くは付き合わないし、飲み会も行きたがらない。金銭面もあったらあった分だけ使ってしまいます。コミュニケーションも一方的で人の話は聞かなくて……。そういったさまざまな面を見て「ADHDなのでは?」と気が付きました。ーー日常生活を送る上で、悩んでいることは?Bさん:やはり片付けられないことですね。ーー解決に向けてどんな工夫を?Bさん:その都度伝えて、パートナー自身に気づかせてました。ーーパートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Bさん:今のまま仲がいい夫婦のままがいいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことは?Bさん:まだADHDの認知度も低いので目に見えるだけが障害じゃないことを知って欲しいです。仲良し夫婦のままでいたい片付けが苦手なところや、コミュニケーションが苦手なところを見て、「パートナーがADHDなのでは」と気が付いたBさん。普段から相手をよく見ているからこそ、気が付けたのかもしれません。またADHDの症状は「怠慢、サボりだと勘違いされやすい」とも言われています。愛するパートナーの特性を上手に乗り越えてきたBさんだからこそ、世間の人にもっと知ってほしいと強く願っているようですね。カップルセラピストは2人の関係をどう見る?パートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポートしてきたカップルセラピストの坂崎さんに話を聞きました。ーーBさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト坂崎さん:結婚10年目で、「今のまま仲が良い夫婦のままがいい」と言えるのは素晴らしいと思います。その言葉が言えるまでになった背景には、「その都度伝えて、パートナー自身に気づかせる」という努力の賜物だと思いますし、辛かったことも葛藤もあったことでしょう。ADHDといっても、もちろん人それぞれで、共通点はあるものの、性格も違えば必要な対応も違っていきます。決定的に改善が難しいものもあれば、工夫次第で改善可能なことも多いです。片づけはその中でも、工夫してきたが諦めることやむなしと思っておられる部分なのかもしれませんが、その工夫をお互いの協力で見出していくことが重要ですね。向き合うことの大切さADHDのパートナーをもつと大変な面ばかりがクローズアップされがちです。しかし、実際のパートナーをもつ当事者Bさんからは、お互いに症状と向き合うことで、素敵な関係性を築けることが伝わってきました。ADHDといってもひとくくりにはできず、個人と個人として向き合う中で見えてくる解決策があるのではないでしょうか。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?コメント・監修者:坂﨑 崇正(さかざき たかまさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2010年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、男性相談員、就労支援相談員、専門学校講師等を経て、2021年よりCOBEYAにカップルセラピストとして参画。これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月05日ももさんは、年長の息子・イツくん、パパとの3人家族。イツくんの発達の遅れが気になっていたももさんは、小学校へ入学する前に発達障害の検査を受けたいとパパへ相談しました。しかし、パパは検査を受けることを全否定。「自分のほうがイツくんのことを理解している」と自身を正当化し、ももさんを責めました。しかし、ももさんはそんなパパに「ばかにするな!」と怒鳴ったのでした。翌日、パパは「イツくんの育児に十分関わっている気になっていた」とももさんに謝罪。ももさんも、パパの気持ちに共感しつつ、イツくんの将来のためにも発達検査を受けることはマイナスにならないと説明しました。 すると、パパはようやく発達障害の検査を受けることに前向きになってくれたのでした。 夫婦で何度も話し合い、悩んで決めた結果なのに… 夫婦でぶつかり合った末に受けた発達障害の検査。医師の意見を聞いたり、体験談を調べたり、夫婦で何度も話し合ったり……たくさん悩んでようやくイツくんを支援級へ行かせるという選択をしました。 しかし、そんな過程を知らない義両親は、ももさんたちの報告を受け、頭ごなしに「支援級なんて必要ない!」と否定するのでした。 子どもの発達の遅れをやっと受け入れたパパでしたが、次なる相手は義両親……。パパ同様に、受け入れるまでに時間がかかるのでしょうか。 両親が話し合って決めたことなので、頭ごなしに否定するのではなく、イツくんのためにどうするのがベストなのかを考えてほしいですね。 >>次の話 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター メイ
2023年12月23日息子の困った行動と、ある日の夕方の出来事Upload By べっこうあめアマミある日の夕方のことです。その日は子どもたちが持ち帰った汚れ物が大量で、私は大量の汚れ物の予洗いをしていました。すると、居間から娘が私を呼ぶ声がしたので急いで見に行くと、居間は大惨事となっていたのです。息子には感覚刺激を求めて遊ぶくせがあり、私が居間に駆けつけた時も、ちょうど夢中になって遊んでいるところでした。この行動自体は息子の自己刺激の一種で、日頃からよくあることではありました。しかし、その日は帰ってから息子がなかなか玄関から動かないなど、いろいろと続いており、さらに、疲労に加え体調不良もあって頭が全く回らない状態だった私。思わずカッとなって、息子にひどい叱り方をしてしまったのです。自分の育児に自信がなくなって……あふれる涙息子を激しく叱って泣かせてしまうと、過去のいろんな出来事や今の自分の状況が頭を巡り、私も涙がとめどなくこぼれました。自分がこれまでしてきたことは正しかったのか……何も現状が変わっていないように思えて、虚しく思えたのです。そして同時に、自分があまりにいっぱいいっぱいであることにも気がつきました。夫の帰りはいつも深夜が当たり前で、私の実家は遠方です。ワンオペ育児の疲労からか、頻繁に吐き気や頭痛に襲われる状態で、さらに自分自身の持病の不安も加わり、精神的にも不安定でした。相談しようと思えばできる人がいたと思うのですが、自分の弱さをさらけ出す勇気が出ず、誰にも言えない悩みやつらさだらけで、 追い詰められていました。次の日の朝、息子の反応はUpload By べっこうあめアマミ次の日の朝、ひどい頭痛で起きられずにいると、夫が息子の支度をすべて完了してくれていました。私は昨夜のことが気まずくて、息子にどう接していいか分からずにいました。すると息子は、家を出る時に私にぺこっと頭を下げ、手を挙げて「いってきます」のポーズをしてくれたのです。その姿に、激しい罪悪感に苛まれていた私は、勝手ながら少し救われた気がしました。息子は話すことができず、本心を知ることはできませんが、いつも通りの一日を始めることができました。ただ、また夕方が近づいてくると、息子にどう接していいのか不安になると共に、また昨日のようなことが起きないかと不安がどんどんふくれあがっていきました。息子の担任の先生に電話、先生の言葉に救われてUpload By べっこうあめアマミ夕方、私は散々迷ったあげく、昨日の出来事を誰かに話さなくてはならないような気がして、息子の学校の担任の先生に電話をしました。その日の息子の様子が気になって、このまま息子と顔を合わせるのが怖かったからというのもあります。電話口に先生が出ると、何から話していいか分からなくなりましたが、最近あったことをポツポツと話し始めました。先生はその話に一緒に驚き、共感してくれました。孤独感を強く抱いていた私でしたが、先生とは一番近い感覚で、息子の現状を共有し合えている気がしました。先生こそが、息子に対して私と一番近い認識を持ってくれている相手だと確信したのです。そして、話の流れから昨日の出来事を話しました。先生は私の話を聞いて、まず、「話してくれてうれしい」と言ってくれました。「お母さんが話してくれたから、助けようとすることができる、だから話してくれる存在になれたことがうれしいんです」と。続けて「親だってそうなってしまうことはある」と、気持ちに寄り添ってくれました。私のことを一切責めず、否定せず、共感し、労わってくれたのです。「すでにお母さんはこの電話をするまで、いっぱい反省したと思う。この電話をかけることもすごく勇気がいったと思う。だから、もう昨日起きてしまったことは、難しいかもしれないけど一旦考えないようにしましょう。もう自分を責めないで。」先生の言葉に、私は涙が止まらなくなりました。特別支援学校は、特別な支援を必要とする子どもだけを支援する場ではないUpload By べっこうあめアマミ先生は、息子の気持ちについても言及してくれました。今朝の出かける時の反応がすべてだと思うと。「気にしてないよ、大丈夫だよ」ということだと思うと。たぶん、何を言ってもやってもヘラヘラしているように見えるのは、息子本人もなんで怒られているのか分かっていないからで、まだ理解が難しいんだと思うとも話してくれました。そしてその上で、学校でどんな対策をしているかなども教えてくれました。先生は、こうも言ってくれました。「特別支援学校は、特別な支援を必要とする子どものためだけに支援をする場ではないと思っています。そうしたお子さんのご家族の支援もしていきたいから、これからも、何かあったらどんどん電話してほしいし、連絡帳にも書いてほしい。夜も寝られず悩むことがあったら、長文の手紙にして連絡帳に挟んでくれてもいい。学校に話しに来てくれてもいい。だから、いっぱい話しましょう。」そして、「お母さんって本当にすごいと思います、だって朝から夜寝るまで、ずっとですもんね」と言ってくれました。先生は、家で障害児をみる親の大変さを理解してくれていたのです。その上で、息子だけでなく、私や家族も支援したいと言ってくれました。学校は子どものためのもの、担任の先生は息子の担任であって、あまりご迷惑をかけてはいけないと思っていましたが、このときの先生の言葉に、私は心底救われたのです。私が欲しかった言葉をくれた先生、息子だけでなく、私にとっても頼れる存在娘のお迎えの時間がせまっていて、さらに泣きすぎてうまく受け答えができずにグズグズな情けない姿をさらしてしまいましたが、先生と話したことで、私の気持ちは落ち着きました。先生は、私が欲しい言葉を全てくれた気がしました。こうして私は、先生と話したおかげで、ずっと落ち込んでいた気持ちがすっきりし、「いつもの自分」で子どもたちのお迎えに出発することができたのです。次の日、なんとまた先生が電話をくれました。私の様子を心配しての電話でした。「何かあったら積み重なる前に、どんどん相談してください」と、また心強い言葉を言ってくれたのです。先生との電話を終えて連絡帳を見ると、そこにも心遣いのメッセージがありました。「迷うこと、不安になること、ママにしか分からないことがあっても、絶対に一緒に戦います。味方はいっぱいいます、頼ってください。」先生からの一つひとつの言葉に支えられて、今の私がいます。息子だけでなく、親である私のケアまでしてくれて、明日への力をくれる、そんな特別支援学校って最強だなと感じた思い出です。執筆/べっこうあめアマミ(監修:初川先生より)担任の先生の言葉に救われたエピソードのシェアをありがとうございます。特別支援学校だからこそ障害についての理解や障害のあるお子さんを育てる大変さをよくご存知で、少人数で支援が行き届きやすいといった側面はありますが、おそらく読者の方の中には、特別支援学級や通級指導教室、通常学級であっても担任の先生の言葉に救われたことに思い当たる節のある方もいらっしゃるかもしれませんね。家庭と学校はお子さんが長く過ごす場です。お子さんの難しさやずっと一緒にいることでそばにいる大人にかかる負担など、先生方と保護者の方とでは共有できるものがたくさんあります。アマミさんはずっとこれまで親だから自分で頑張らなければ、担任の先生は子にとっての先生であって自分が頼る相手ではないとかなりご自身を律してこられたのだな、とこのエピソードを読んで思いました。ただ、どんな人にも気持ちやコンディションはあって、いつもいつも頑張れるわけではないです。そして、お子さんに障害などの難しさがあったらなおのこと、負荷がかかっている面があるのも当然だろうと感じます。保護者の方がいっぱいいっぱいになられた際に、弱音を吐いたり、つらいと言えたりする相手や場があるといいなと心から思います。アマミさんのように担任の先生がそのお相手となることもありますし、場合によっては養護の先生や特別支援コーディネーターの先生であることもあるかもしれません。スクールカウンセラーや地域の子育て相談窓口がそこを担うこともあると思います。「何かあったら積み重なる前に」「相談してほしい」と思っている支援者は探してみると近くにいるのではと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月23日ももさんは、年長の息子・イツくん、パパとの3人家族。イツくんの発達の遅れが気になっていたももさんは、小学校へ入学する前に発達障害の検査を受けたいとパパへ相談しました。しかし、パパは検査を受けることを全否定。ももさんがどんなに説得しても、パパはももさんの考えを否定するだけでした。さらにパパは自分のほうがイツくんのことを理解し、考えていると発言。「もうちょっと(イツくんのことを)考えて行動してあげたらいいのに」とパパに責められて、ももさんはとうとう黙っていられず「ばかにするな!」と怒鳴ったのです。その後……。 発達障害の検査を全否定していた夫がまさかの… その後、パパはももさんと同じように育児をして、イツくんと関わっている気になっていたとももさんへ謝罪。 同時にももさんも、パパにはイツくんの発達障害を受け入れるための時間が必要だったことがわかったよう。パパに寄り添った上で「検査を受けることはマイナスにならない」と説明しました。 ついにももさんの気持ちが届き、パパが発達障害の検査を受けることに前向きになってくれたのでした。 イツくんが発達障害かもしれないという事実に目を背けるパパに、一時はモヤモヤしましたが、イツくんの状態を知ることはイツくんに合った関わり方が見つかるということ。パパはママよりも時間がかかってしまいましたが、受け入れてくれて良かったですね。 >>次の話 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター メイ
2023年12月22日冬の感染症の大御所!息子がインフルエンザにかかってしまいましたUpload By 丸山さとこ今年は秋に入ってから、全国的にインフルエンザがかなり流行っているとは知っていましたが……ついに息子のコウがかかってしまいました。家庭内での感染拡大を防止するため、1週間の間、コウにはリビングへの進入禁止とマスクの着用を徹底してもらいました。Upload By 丸山さとこ「リビングに入るのはダメ。用があれば私に言って。部屋から出たら、廊下に置いたアルコールですぐに手を消毒して。マスクは必ず部屋のゴミ箱に捨てること」……と繰り返し注意を促すうちに、コウは少しずつ感染拡大防止に対する意識を持つようになっていきました。彼は花粉アレルギーがあるので、「今、全身に花粉がついていると思ってね」という指示はイメージしやすかったのかもしれません。コウとリビングの仲介役をすることで、だんだんと私が疲れてヨレヨレに……ASDとADHDがあるコウには、日常から私は何度も同じことを繰り返し声かけしている傾向があります。インフルエンザにかかってから、コウが感染対策を意識して動けるようになるまでは、私はいつも以上にコウの行動に気を払い続けていました。そのため、コウがインフルエンザにかかってからの1週間は予想以上に疲れました。Upload By 丸山さとこまた、コウとリビングの仲介役をすることで小まめな作業が増えたことも、地味に大きな負担になりました。食事の提供・食器洗い・洗濯・浴室清掃などを、不規則に寝起きするコウのペースに合わせて行った結果、家事の量が倍増してしまいました。感染防止に加えて「私の疲労防止」も意識するようにしました「このままでは私が感染しそう」と思うくらいヨレヨレになった私は、「感染拡大だけでなく、私の疲労防止も大切にする必要があるな……!」と強く思いました。まず、コウが普段通りの食事をとれるようになってからは、私の部屋に朝食用の総菜パンやおにぎりを用意しておくようにしました。コウと私の部屋は隣同士なので、これだけでも移動の負担がかなり軽くなりました。Upload By 丸山さとこまた、昼食や夕食を渡す際に「お腹が空いたら食べてね」とパンやお菓子を添えることで、コウからの「小腹が空いた~。何かない?」に対応する手間も省けるようにしました。食事はできるだけワンプレートにまとめて、洗い物の量も減らしました。それらの小さな工夫の積み重ねで私の負担はかなり軽くなり、精神的にも肉体的にもかなり楽になりました。日常の小さな負担を見直すきっかけになりましたそうこうしているうちにコウの出席停止期間も終わり、私と夫への感染も何とか防ぎきってわが家のインフル騒動は終結しました。インフルエンザに振り回された数日間を振り返ると、「感染そのものよりも、病み上がりの状態で行っていた『コウとリビングの仲介役』が一番大変だったな」と思います。その分、負担を見直すことの大切さを実感する機会にもなりました。短期間だからできる対応や、長期間になると省けない要素があることは意識した上で、「日常生活の中で減らせる負担はないかな?」と考えていきたいと思いました。執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)インフルエンザのサポートお疲れ様でした。感染対策をしながら看病をするのはただでさえ大変なうえに、お子さんの特性にも留意するとさらに大変ですよね。衝動性が高いお子さんですと、感染防止のためにお願いしたルールをうっかり忘れて行動してしまったり、狭い部屋の活動に飽きてきてしまったりすることがあるかもしれません。感染防止対策をする理由を丁寧に説明して分かってもらえるようにすることは大事ですね。見えるところにお願い事項を貼っておくのもいいかもしれません。またやり取りにはICT機器(古いスマホをWi-Fiで使うなど)を活用するなどもありかもしれません。看病する保護者さんの手間がかかりすぎると大変なので、記事にもあるように、できるだけまとめて対応、ワンプレートなど手間を最小限にできる工夫はいいですね。ディスポーザブル製品を積極的に使うのもオススメです。こうした非日常の対応がきっかけで、時には日常に活用できるヒントが見つかることがあるかもしれません。なんにせよ、家族感染が予防できて、日常が戻ってきたようでよかったです。コウくんもご家族もみなさま、おつかれさまでした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月19日なぜ平日だけでなく、土曜日も利用するのか?Upload By べっこうあめアマミ私は当初、息子の放課後等デイサービス利用は平日だけを考えていました。なぜなら放課後等デイサービスの利用日数には限りがあるからです。私は在宅ですが仕事をしていますし、平日、息子が学校のあとに過ごす場所があることが最も助かると思っていました。しかし、息子の特別支援学校入学前、夫と放課後等デイサービスの利用日を話し合った時のことです。夫から、「土曜日を入れたほうがいいんじゃないか」という提案がありました。わが家には、息子より4歳年下の娘がいます。「娘には息子の事で我慢させてしまうこともあるかもしれないから、土曜日は娘だけのチートデイにしてはどうか」というのが夫の意見でした。それを聞いて、私も「確かに」と思ったのです。娘は毎日保育園に通っているので、平日の放課後等デイサービスがない日は、娘より息子のほうが早く家に帰ってくることになります。平日の放課後等デイサービスがない日は息子の日、そして土曜日は娘の日、そうやってそれぞれに向き合う時間をつくるのもいいのではないかと思ったのです。きょうだい児の娘にも、やりたいことを我慢してほしくないUpload By べっこうあめアマミ娘は今5歳。女の子向けのアニメにもハマっていて、映画やキャラクターイベントにも行きたいと言い出すお年頃です。そして、活発な娘は思いきり体を動かす公園や、動物と触れ合える場所なども大好きです。しかし、そういう場所に休日に行くと、どうしても混雑はまぬがれません。息子を連れて行ったらぐずってしまわないか、動きづらくならないかと不安もあります。しかも、息子は娘とは逆であまり動きたがらない性格なので、公園遊びなどのアクティブなことはあまりしないのです。そうなると、娘と息子、2人とも楽しめる場所というのはなかなか難しいものでした。しかし、土曜日に息子が放課後等デイサービスに通うようになってからは、娘が行きたい場所は、土曜日に心置きなく行けるようになりました。娘はきょうだい児だけど、できる限り好きなことをさせてあげたいし、息子がいるから……と、やりたいことを我慢させたくない。私にはそんな強い思いがあったので、土曜日は重要な意味のある日になったと思っています。親としても、混雑する場所やアクティブな遊びの場へ行く際に、子どもを2人連れていくよりも負担が減るので、助かっています。息子にもメリット、土曜日だからこそできる活動もUpload By べっこうあめアマミ土曜日の放課後等デイサービスは、息子にとってもメリットがあると感じています。土曜日は平日よりも時間が長いので、平日はできないようなプログラムが組まれることもあるのです。学校がある平日では行けない、ちょっと遠い所へのお出かけなどに連れて行ってもらえることもあります。お昼ごはんやおやつをみんなでつくる日もあります。このように、息子は息子で土曜日を楽しめているのではないかと思うのです。息子としても、妹につき合って苦手な場所に行くよりも、大好きな先生やお友達とのんびり過ごすほうがいいことだってあるかもしれません。日曜日は家族でのんびり過ごす日Upload By べっこうあめアマミ土曜日は娘のチートデイとして、娘がしたいことをする日にしているわが家ですが、日曜日はだいたい家族で一日のんびり過ごします。息子も行けそうな場所なら家族4人でお出かけすることもありますし、特に何もせず、家でゆっくりすることも多いです。そうして昼下がりに家族で夕飯の買い物に行って、近所のショッピングモールをぶらぶらしたり、または外食をしたり。そんな、家族水入らずの過ごし方をしています。放課後等デイサービスのおかげで、バランスのとれた一週間にわが家が放課後等デイサービスの利用を始めてから3年が経ちますが、一週間がうまい具合にバランスがとれて回っていると感じています。息子は小学1年生の頃より成長し、今ではそれほど苦手な外出先もないかもしれません。しかし、それでも娘は今後成長していくと共に、きょうだいと一緒の外出しかできないことに不満を感じたり、親も気がつかないうちに我慢をさせてしまうことがあるかもしれないと思うのです。今後も土曜日という娘のための日を維持していくことで、娘の発散になってほしいと思いますし、何かあれば普段は言えない気持ちを聞ける日になるといいなと思います。私たち家族の生活は、平日も土曜日も放課後等デイサービスに支えられており、先生方にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、放課後等デイサービスのお世話になりながら、子どもたちそれぞれに向き合っていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)土曜日を娘さんの日にして、お子さんそれぞれに向き合う時間をつくったとのこと、とても良いアイディアだと思います。曜日が固定されていることは、こだわりのあるASDのお子さんにとってもいいことだと思います。外来で爪を噛んでいるお子さんにも「毎週土曜日は爪を切る日にしようね」とお話ししています。病気や障がいを持ったお子さんのきょうだいには、どうしてもストレスや負担がかかりがちです。特に入院されているお子さんの場合は、付き添いなどで保護者の手が取られてしまうので、きょうだいは甘えたい時に甘えることができません。その結果、きょうだいが腹痛や頭痛など心身症の症状を呈する場合もあります。子どもだけでなく、ご家族の一人が病気になった時も同じです。アマミさんのご家庭のように、放課後等デイサービスなども利用しつつ、家族みんなで協力してやっていくことが大切なのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月23日わが家の少数派?おそらく定型発達の夫ですUpload By 丸山さとこわが家は夫と息子と私の3人暮らしです。息子と私が神経発達症(発達障害)のため、おそらく定型発達である夫は、この家では少数派な存在です。息子や私に比べて一般的とされる感覚を持っているはずの夫ですが、わが家ではその「一般的な感覚・普通の感覚」があるがゆえに苦労をすることが多いそうです。今回は、そんな夫に「息子が発達障害だと告げられた時、どう感じていたか」「どんなところに苦労しているか」などいろいろとインタビューしつつ、わが家の子育てを振り返りました。息子のコウは3歳児健診の際に発達検査を受けるように提案され、「ASD(自閉症スペクトラム症)の可能性が高い」として療育園を勧められました。夫は私からその説明を受けた際、「うすうす感じてたけど、やっぱりそうか」と思ったそうです。ショックや不安は特になかったと言います。「ASDであろう妻が普通に暮らしているのだから、息子も本人なりに工夫をしていけば何とかなるだろう」と考えて特にショックは受けなかったそうです。(当時の私はまだ未診断でしたが、夫は私のことをASDだろうなと思っていたのだそうです)Upload By 丸山さとこただ、発達検査の結果には納得したものの、療育園に行くのは「わざわざ?家では一応意思の疎通がとれているし、行かなくてもいいのでは?」と思っていたそうです。私の説明を受けて『なら行くのもいいかな』とは考えたものの、必要性はそこまで感じていなかったとのことでした。私はこれらの話を聞いて、「それくらい、コウが就学するまで夫は大きく困っていなかったのだろうな」と思いました。これは、当時夫がとても忙しく、コウとゆっくり接する時間が少なかったことも影響したかもしれません。また、実際に未就学児の頃までは大きな問題が出にくかったことからも、「夫がコウの障害を感じる機会は少なかっただろうな」と思いました。未就学児の間は周囲の子どもも幼いため関わる大人の手も厚く、コウの苦手なところが目立ちにくい時期でした。コウの特性ゆえの言動に振り回されるようになった小学校時代その後コウが小学校に入学し、未就学児までの周囲のフォローの手厚さがなくなってからは、夫も『コウと周囲の子どもたちとのズレ』を感じるようになったそうです。小学1年生の時にはすでにハッキリとズレを感じていたと夫が言うので、私は意外に思いました。未就学児の頃ほど手厚くないとはいえ、1年生は『まだ小学校生活に不慣れな学年』として学校からのフォローが多い時期だったため、大きなトラブルは目立っていなかったからです。夫は、トラブルの有無だけではなく、普段の学校生活でもコウの様子を丁寧に見ていたのだなと感じました。Upload By 丸山さとこ「コウに関して、今までで一番大変だったと感じた時期はいつ?」と夫に聞くと、「小2の後半から小5の辺りかな~」と言うので、「分かる分かる。私も同じ」とうなずきました。小学2年生以降は周囲の子どもがルールや集団行動に慣れはじめる時期です。大人のフォローが減ってくることもあり、コウにも大小さまざまなトラブルが起きるようになりました。その頃からは、夫も生活の中でコウに対して「話が通じないのは困る」と感じることが増え、ストレスが強くなっていったそうです。小学校6年生から少しずつ落ち着いてきたコウは、中学生の今、話が通じずに思い込みでパニックになることがグッと減ったと感じます。夫も「今のコウと接するのは、あの頃(小2~5)よりもずっとマシ」としつつ、今でもイライラすることは多いと言います。「分かってることなんだから、毎日のことなんだからやろうよ! となってイライラしてくる。障害だからとは分かってるがムカッとしてしまう」と夫が言うのを聞いて、今、それを素直に口にできる家族関係でいられたことは良いことなのだろうなと感じました。ムカっとするとは言っても、夫は息子に毎日キーキー怒ることはありません。私は毎日ギャーギャー怒っては、ときどき夫に止められています。そのため、今回のインタビューで夫が「さとこがコウと接しているのを見て『ああいう関わり方をできたらコウも自分も楽だろうな』と思う」と言ったのは意外に感じました。Upload By 丸山さとこ「私からコウへのどういう関わり方をよいと感じるの?」とさらに聞くと、夫はウンウン悩みながら答えてくれました。「やれ!と言って強要するのではなく、コウが自分で選んだと感じるような関わり方をしてるよね。選択肢はこれだ、今の状況はこうだっていうのを根気よく話してる」「コウの『何で』に応えてるからすごいなと思う。俺は『何でじゃないよ、やれよ!』ってイライラしてくる」とのことでした。それらの夫の言葉を聞いていた私は、「いやもうその気持ちめちゃくちゃ分かりますけど!?」と全力で同意しました。Upload By 丸山さとこ私も毎日『何でじゃないよ、やるんだよ』『何でかについては100万回説明しましたが?』と思いながらコウと接しています。そしてそれを夫に愚痴ったりもしています。夫はそれらの私のもがき方を知った上で「いい関わり方をしている」と思ってくれているのだなとありがたく感じました。理想と現実の間をアクロバット飛行している感じの毎日です最後に、「コウとの接し方について本など読んだことはある?」と改めて夫に尋ねてみると「発達障害(神経発達症)については本やインターネットで多少勉強したが(コウのことは)よく分からない」と言いました。「全然分からないわけじゃないし、ASDやADHDの特性やあるあるに関しては『コウもそうだな』と思うことはたくさん書いてある」「けれど、生活の上で困ったことに対して、本やインターネットに書いてあるようなことは既にやっていて、それでも解決していないわけで。そこを補う情報はないなと感じる」これらの夫の発言を聞いて、現役の保護者としての重みのある言葉だなと思いました。私自身も日々、同じように感じています。Upload By 丸山さとこ私の場合は、SNSなどで支援者の方のお話を聞いて「私が保護者としてブレない対応をできてないのが良くないのだろうな~!」と思うこともしばしばあります。ですが、夫と私のかわいい子どもはこの『ASDとADHDがある話が通じにくいコウ』であり、そのコウの親は夫と私のほかにはないわけで……。『話がスッと通じる息子』という幻想を追いかけても仕方がないように、『上手いこと子どもに対処できる安定した親』という幻想を追いかけても、現実的ではないのだろうなと思います。ヒートアップするお互いを「どうどう」と制しつつ、「助け合って子育てをしていきたいな」と改めて感じさせられた夫へのインタビューでした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生)夫さんにここまでの子育てを振り返ってのインタビューをしてみたエピソードをありがとうございます。さとこさん、夫さんそれぞれお互いへのリスペクトもありつつ、そしてお互いに共感する苦労もありつつ、素敵なパートナーシップだなと感じました。日々の子育て、そしてそこに関わる自分たちという状況から一歩引いて、俯瞰して振り返る・語り合うことができているのがいいですね。発達障害(神経発達症)がある子どもへの対応のコツなど、本やインターネットに出ている情報は助かる面もありますが、しかしいまひとつフィットしない面もあると思います。それは、同じ障害があったとしても、誰一人として同じ人がいないからです。そして、さとこさんも書かれているように、お子さんや保護者の側にうまくできる時とできない時があるなど、コンディションによる面もありますし、理想や幻想を追ってしまって実際の様子とは違うのにぐいぐい強行してしまう時もあると思います。対応のコツに関した情報などは使えそうな面は取り入れつつ、わが子のために少しカスタマイズしたり、そのような試行錯誤のプロセスごと子育てのパートナーや支援者などとまた話し合うなどを通して、ときどき冷静になって振り返りの時間を取れるとよいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月20日みなさんは『更年期障害』を知っていますか?聞いたことがあっても、どうして障害になってしまうのか知らない人が多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画『更年期障害と家族』をご紹介します。本作品には『更年期障害』を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。症状には個人差があります。あくまで一例としてお読み頂けますと幸いです。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ専業主婦の佳代(56歳)は大学生の里奈と会社員の良一の3人家族。ある日、体に違和感を覚えた佳代。まさかこの症状が「更年期障害」だったとは……。優しかった佳代がだんだんと良一や里奈に”イライラ”するようになります。病院へいくと『更年期障害』だと診断されました。家族で散歩へ読者の感想は……『自分がどうかしてしまったと感じていたら怖くなって当然だと思うので、病院に行くのを考えられないというのも分かる気がしますし、それでもきちんと自分と向き合えているのは立派だと思います。』『家族も献身的にサポートしてくれていますし、パートを始めてみようという前向きな考えも出てきたようなので、このままうまく更年期障害と付き合っていってほしいです。』『家族の理解は不可欠ですよね。私も更年期に確実に足を突っ込んでいて辛いです。』『更年期障害にこんなに理解ある家族がいるの素敵ですね。ご主人も娘さんも思いやりがあり、幸せですね。パートに行こうとする前向きな気持ちもすごいです。』『精神的な負担が少しでもなくなると、更年期障害の症状が楽になるんだなと思いました。周りに信頼できる人がいると回復のスピードも早そうですね。』など、実にさまざまな声が寄せられました。その後は……病院で更年期障害と診断された佳代。今までの原因について家族と話し、理解を示してくれたことで更年期障害と向き合うことができるように……。そして、家族で改善の糸口を探していくのでした。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この漫画はフィクションです。■作画: ミノル■脚本:華丘侑果(MOREDOOR編集部)
2023年11月19日他所のお宅では予想できるトラブルが多すぎて大変!自閉スペクトラム症と重度の知的障害のある次男Pは、親戚やお友達の家などにお邪魔しても、わが家でいるのと同じように過ごしてしまうので就学するまではヒヤヒヤすることが多々ありました。他所のお宅にお邪魔する機会があるときには、Pには障害があることを相手に事前に伝え、もしかしたらこんなことがあるかもしれないけれど……と予測できるトラブルなども、ある程度話した上で、お邪魔するようにしています。初めて行くお家では、このドアの向こうは?階段の上は?何があるんだろう?どうなっているんだろう?とPは気になってしまうことばかりで、じっとしていられずにあちこち触ったり動き回ったりしてしまうため、私はPのそばから片時も離れることができず、何かしようとする度に予防をしていました。Upload By みんいくら気をつけていても、防げなかったトラブル!Pがまだ未就学児だった頃は、私がママ友とゆっくり座って話をしたくても、Pは基本的にお菓子やジュースを与えていないと大人しくすることができなかったので、P用に用意したおやつを多めに持って行き、すぐになくならないように時間をかけて与えるようにしていました。でも自分のお菓子がなくなったら、次は人のおやつまで平気で取ろうとするし、私のかばんの中はもちろん、ママ友のかばんの中まで漁ろうとして、最後は冷蔵庫の前で号泣することもありました。そんな時はこれ以上迷惑にならないようすぐに家から出て散歩へ行くなど、Pの気分を変えるようにもしていました。そんなふうに気をつけて過ごしていても、何か起きる時は起こってしまうものです。ある日、長男のお友達の家へPも一緒に連れて行って遊んでいた時のことです。Pはお友達の玩具を自分の物のように扱ってしまい、玩具を床に落として壊してしまったのです。Upload By みん親としてどう対応し、どう謝罪するのか?お友達のお母さんは「もう遊んでない玩具だから気にしなくても良いよ!」と優しく言ってくれたのですが、だからと言って、やってしまったことが許されるわけではないと思ったので、新しいものを買って返そうと考え、帰宅してすぐ同じ玩具をインターネットで探しました。しかし、もう販売されていない物だったので、残念ながら見つけることができませんでした。仕方なく、ギフトカードに菓子折りを添えて、改めてお詫びに行くことにしました。長男のお友達は快く許してくれましたが、物によっては取り返しのつかない場合もあったと思います。そしてもうP君を家に連れて来ないで欲しいと思われていたかもしれません。Upload By みん障害のある子を連れて訪問をするのは気を遣うし、大変なこともあるけれど……障害のある子どもと外出したり他所の家にお邪魔したりするのは本当に気を遣います。いくら気をつけていても防げないこともあるかもしれません。正直、家で過ごしているほうが気持ちがラクなので、このようなトラブルがあるたびに、家に引きこもってしまいがちになってしまいます。でも、それじゃあ障害がある子どもは家に閉じ込めておけば良いのか?となるのもやはり違うと思うので、私たち親子を受け入れてくれる場所であるなら、私はできるだけPを連れて外へ行きたいと思っています。大切なのは、たとえばトラブルが起きてしまうことを予測し予防することや、念のために保険に入っておくなどの安心材料を増やしておくこと、そしてトラブルが起きたあとの親である私自身の態度や、対応力も大切だと思っています。これらは子どもに障害があるなしはあまり関係ないことかもしれませんが、やはり定型発達の子どもよりもトラブルが起こるリスクが高いと思うので、出先では常に意識しながら過ごしてきました。現在、Pは8歳になり、誰かの家に遊びに行っても、無闇に動いたり物を触ったりすることもほとんどなくなり、おやつを大量に持っていかなくても大人しくしていられることが増えてきました。それでも突然奇声を発したり、ジャンプしたりすることもあるので、まだまだ油断はできませんが、これまで大変な中でもさまざまな場所へPを連れて行く経験を積み重ねてきたことは、P自身にとって初めての場所でも落ち着いて過ごせることにつながっているのかもしれないと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:室伏先生より)お友達のお家でのP君のご様子と、みんさんの工夫やトラブル時のご対応などについて、詳しく共有してくださりありがとうございました。大変な中でもさまざまな場所へ一緒に出かける経験を積み重ねる、みんさんの努力が素晴らしいなと思います。P君がこれから外へ世界を広げていくための重要な経験になっていることと思います。これからもP君がさまざまな場所へ安心してお出かけできるように私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月14日「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日年中から始まった個別療育Upload By まるついに念願の個別療育が始まった。過去に記事にも書いたことがあるのだが、去年の夏頃から個別療育に行きたいと思い、見学を始めたのだがどこも定員がいっぱいだったり、都合の悪い時間帯1コマしか空いていなかったり……。結局、個別療育を始められたのが今年の4月からだったのだ。ちなみに、夏頃に3ヶ所ほど気になる療育施設の予約を入れて、どこも1月〜3月あたりに空きが出たと連絡がきたので、気になっている療育施設がある方は早めに見学に行って予約を取ることをおすすめしたい。現在は週1回の個別療育と月2回ほどのST(言語聴覚士)の授業を受けている。ひとり親で働きながらという事情もあり、2ヶ所も通えるのかと悩んだが、療育で他人との関わり方やルールを学び、STさんに発音や言葉の引き出しの増やし方を教えてほしいと思い親子で頑張って通っている。個別療育と集団療育の違いUpload By まるUpload By まる息子が行っていた集団療育は幼児数人でリトミックをしたり、功技台(はしごや滑り台などを組み合わせて、いろいろな運動ができる室内遊具)を使って体の動きなどをサポートして教えてくれる感じだった。集団療育だとお友達との関わり方や集団行動でのルールなどが強化できる印象があるが、まだ息子が今よりも幼かったこともあり、子どもたちがお互いにあまり興味がなく、そこまで他人との関わり方を学べる感じではなかった。個別療育はそれとは違って、息子のレベルに合わせたトレーニングをマンツーマンで細かく指導してくれる。椅子に座ってお絵描きやシール貼り、先生とゲームなどをやったり、体を動かすようにボールや平均台などを使用したりもする。ちなみにSTの授業は、基本的には椅子に座って行い、物の写真やイラストを見て名称を答えるゲーム形式のもの、発音の練習、鉛筆を使ってなぞり描きなどが主になっている。現在加配保育で保育園に通っていることもあり、集団でのルールなどは保育園で学ぶことができる。ある程度指示が入るようになってきた息子にとって、とてもいいタイミングで個別療育を受ける機会に恵まれたと思っている。息子の個別療育での様子Upload By まる現在通っている個別療育では、親は別室でモニターを見ながら療育の様子を見ることができる。1時間のうち45分が先生と息子との授業、残りの15分で保護者へ本日の授業の振り返りを行う。挨拶から始まり、絵本を読んだり先生とゲームをしたり体を動かしたりして過ごしている。その一つひとつにも息子との関わり方で勉強になるなぁと感じることが多い。例えば、絵本の読み聞かせをしながら、登場人物のおじいさんは今なにしてる?の問いかけに息子は答えることができないが、おじいさんは立ってる?座ってる?の問いかけには「座ってる!」と答えることができた。先生とゲームをした後に、今のゲーム楽しかった?悲しかった?の問いかけに「楽しかったー」と答えることができた……など、私も知らない息子の言葉を引き出してくれるのだ。おもちゃの順番の貸し借りなども「リュウちゃん使ったから次先生の番だね?貸してくれる?」の問いかけにすんなりとおもちゃを渡すなど、毎回私が『おお……こんなことできるんだ……』という発見がある。もちろん場合によって不機嫌になってしまうこともあるが、これはできるけど、これはできない、と息子の反応を注意深く見てくれて、この声かけ方法なら伝わるかなど息子に合った支援に繋げてくれているので、私は息子の成長がとても楽しみになっている。参考:施設情報執筆/まる(監修:新美先生より)個別療育の実際について詳しく教えて下さりありがとうございます。個別療育と集団療育、それぞれに目的があり、お子さんの特性や発達段階、療育以外の生活環境によってどちらが適しているかはさまざまです。個別療育では、お子さんの発達段階や興味に合わせて、マンツーマンで適した活動を行ってくれるというのがなによりいいですね。ほかのお子さんなどの刺激に左右されず、お子さんのその日のコンディションに合わせて対応してもらえるメリットもあります。個別療育では環境も関わり方も、お子さんに合わせてやっていただける分、普段見られないようなお子さんのベストパフォーマンスを見られるのもうれしいですね。普段の生活にも役に立つ、お子さんに適した環境設定や関わり方などを教えてもらえるのもいいです。保護者さんとの振り返り、相談の時間が設定してある場合、ちょっとした気になることなどを気軽に相談しやすいのもいいですね。まるさんが書いていただいたように、個別の療育で、お子さんのことをよく分かって専門的にアドバイスももらえることで、お子さんの成長をさらに楽しみに思えるのは何よりよかったと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月18日