声優・森川智之が、フジテレビが毎週木曜深夜に放送している「#ハイ_ポール」内の新ショートアニメ「神々の記」に出演することが決定した。今回放送される「神々の記」は、約紀元前3000年くらい、エジプトはナイル川のあたりを舞台としたアニメ。エジプト神話における謎の神“メジェド”や太陽神“ラー”、冥界の神“アヌビス”、豊穣の神“バステト”などの神々が、キュートなキャラクターとなって登場。そんな神々のお世話係をする“イアビ”とその友人“アーケウ”が、気まぐれな神々にふり回される日常を描く悲喜交々の物語となっているようだ。本物語の声優を務める森川さんは、洋画吹き替えではユアン・マクレガーやトム・クルーズ、キアヌ・リーブスなどを多く担当し、「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」「戦国BASARA」「トリコ」などアニメ作品でも活躍する大人気声優。今回森川さんが演じるのは、“イアビ”や“アーケウ”を始めとした人間のキャラクターだけでなく、神々や群衆の声に至る全ての役!さらには、主題歌である「神々を讃える唄」も歌唱する。森川さんは「1人全役というキャスティングを聞いたときは『ウソだろ!?』って思いました(笑)」と最初は驚いた様子で、「どういう風に演じ分けしているかも楽しんで貰いたいです。 ひとつのアニメ作品として面白いと言ってもらいたいので、観ている人が1人で演じていることを忘れてしまうくらい楽しめるように演じようと思っています」と意気込みのコメントを寄せた。また、“ラー”、“バステト”神々のキャラクターデザインは、アナログ・デジタルイラスト・立体作品など幅広く活躍し、海外にも多くのファンを持つイラストレーター・こなつが担当。そして監督には、「英国一家、日本を食べる」では演出、「JKめし!」2期では監督を務めた日野トミーが務める。本アニメの元となった“メジェド様”は、エジプトの古文書「死者の書」第17章に登場する謎の神。そのフォルムと存在感から、2014年頃から一部のSNS上で話題。すでに販売しているぬいぐるみやカプセルトイ・ソフビフィギュアも人気を博しており、アニメ放映開始と同時に、フジテレビショップなどで新作含めたオフィシャルグッズを販売することも決定している。「神々の記」は11月24日(木)25時25分~フジテレビにて放送(「#ハイ_ポール」内)。(cinemacafe.net)
2016年11月10日ファッションエディター・ライターとして活躍中の首藤和香子さん。コートや靴、ジュエリーからネイルまで抜かり無く洗練された首藤さんは、自身のスタイルと同様、買い物や食事の楽しみ方にもこだわりが。7歳の息子さんと旦那さん、そして飼い犬のチワワを愛する彼女の、銀座のオススメをガイドしてくれました。この春、デートに女子会に、そして家族と過ごす時間にもパーフェクトなスポットに繰り出してみては!SPOT1. 銀座バール・デールソーレ 2Due本格的なイタリア料理を味わえる「銀座バール・デールソーレ 2Due」は、並木通りに面した、テラス席が目印のバール。ドリンクやスイーツ・ジェラートのテイクアウトも可の、街歩きの途中にふらっと立ち寄れるお店です。本場イタリア発祥のバンコ(立ち飲み)スタイルでの飲食なら、お得に飲食できるサービスも。お手軽なランチから贅沢なディナー、イタリア本国の協会から正式認定された本格エスプレッソで一息…など、日常のさまざまなシーンによって使い分けられるからリピーター率も高いそう。取材時には定番メニュー、平日限定日替わりバール定食ランチ(税込1,050円)をいただきました。ハーフサイズがちょうどいいトマトソースパスタ。メイン料理とミニサラダ&イタリアン・アンティパストもついて、ライス or パンはお替り自由肉か魚から選べるメイン料理。チョイスした魚料理は、色合いも春らしく可愛らしいコメント: つけ合わせも贅沢で、もちろん味も抜群。このクオリティーでこのお値段は優しい!【店舗情報】「銀座バール・デールソーレ 2Due」住所:中央区 銀座 2-4-6 銀座ベルビア館 1階電話番号: 03-5159-2020営業時間:月~金11:00 ~ 24:00土10:00 ~ 24:00 日・祝10:00 ~ 23:00定休日: 無休 (1月1日を除く)URL: 回転寿司酒場 銀座沼津港「銀座でお寿司!」というとやはり予算の心配をしてしまいますが、ここなら気負わなくて大丈夫。銀座で唯一の回転寿司で、もちろん子連れでもOK!日本酒やワインも豊富に揃い、様々な楽しみ方ができるお寿司屋さんです。おすすめは濃厚な味わいのウニや、ぷりぷりの桜海老、さらに贅沢なマグロの3種盛。新鮮な味わいに唸ります。一品料理や丼もののメニューも人気。広々としたボックス席では、ゆったりと過ごすことができます。変わり種として、芽ネギにもトライ。シャキッとした爽やかな味わい。(コメント) 珍しいネタも、お酒もたくさん揃って新鮮。お寿司屋さんでスパークリングワインが飲めるのも嬉しい。【店舗情報】回転寿司酒場 銀座沼津港住所:東京都中央区銀座1-8-19 キラリトギンザ8階電話番号:03-6228-7171営業時間:11:00-23:00 (L.O. 一品料理21:30 寿司22:00)定休日:不定休URL: バーニーズニューヨーク銀座本店首藤さんのお買い物の定番ショップ「バーニーズニューヨーク」の中で、首藤さんが特にお気に入りなのは銀座本店。外観の建築もオーセンティックで、内装も商品のディスプレイも贅沢な空間使い。商品だけではなく、特徴的なインテリアの装飾にも惹かれるという首藤さん。オリジナリティ溢れるショップデザインそのものが、首藤さんの気分を高めてくれる秘訣なのでしょう。シックで上質なソファで試着できるのも嬉しい淡いピンクのラインアップは、脳内でコーディネートを繰り広げてくれるそうコメント: 銀座に行く度に立ち寄るお気に入りの場所。買い物をするなら、ここみたいに洗練された空間だと嬉しいですね。【店舗情報】「バーニーズニューヨーク銀座本店」住所:中央区銀座6-8-7 交詢ビル電話番号:0120-137-007 (バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター)営業時間:11:00~20:00 金・土は11:00~20:30定休日:無休 (元日を除く)URL: 銀座についてのコメント:子どもの頃、「買い物」といえば親に連れられて来る銀座でした。そのノスタルジーもあってか、今でも銀座は特別な街。独特な高揚感があるから、買い物でも食事でも楽しめるんです。PROFILE:ファッションエディター、ライターとして、学生時代より活躍。雑誌、ウェブ、広告を手掛ける。2005年、編集プロダクションを設立。
2016年03月09日「現代の名工」と称される職人達がいる。これは国が認めた「卓越技能者」に送られる表彰制度の通称であり、そのうちの一人がジュエリークラフトマンの首藤治氏だ。首藤氏は名古屋に店舗兼工房を構えながら、日本の名だたるジュエリーブランドのハイジュエリー作品を製作し続ける、まさしくジャパニーズジュエリー界における最高峰の技術を擁する一人。七宝や金、プラチナ、そして数々の宝石が織り成す美しい世界に思わず息を飲み、吸い込まれて目が離せなくなる不思議な魅力を持つ首藤氏の作品の数々。七宝で再現された葉の透き通るような瑞々しさ、葉脈までも表現する繊細な地金のライン。あるいは、まるで息遣いを感じるような動物達の愛らしいフォルムや瞳。作品はすべて表も裏も同じように緻密に細工が施され、どの角度から見ても優美な趣を感じられる構造となっている。どうしてここまで巧緻を極められるのだろうか。作品を生み出す首藤氏のジュエリーへの想いとは? またその発想を生み続ける首藤氏のルーツとは? 初の個展を行ったばかりの首藤氏に話を伺った。ー技術の素晴らしさはもちろん、一つのジュエリーにこれだけの力を注ぎ、美を追求する首藤さんの情熱はどこから生まれたものなのでしょうか?私は幼少時代から絵を描くことが大好きで、いつかは絵描きになりたいと思っていた程です。ただ、家業の都合もあり日々猛然と働くうちに、夢から遠のいていました。20歳になったときに「やはり美術の仕事に就きたい、自分の作りたいものを作れる道に進むしかない」と決意し、金属装身具制作の仕事に就きました。電話帳をめくっては電話をかけ、ようやく師となる岡村光也氏に出会えた。どうしてもここで働きたいとお願いして採用されました。鉛筆を削るテストなんかもありましたね(笑)。ー美術を一時は離れ、再び美術に立ち返った首藤さんがジュエリーに魅了されたのは何故でしょう?やはりジュエリーしかないと感じたのは、師匠である岡村氏の仕事ぶりや作品を見た時です。ー師との出会い、貴金属装身具制作の仕事は現在に大きな影響をもたらしているのですね。では、首藤さんの考えるジュエリーとは?流行に押されて同じようなものが大量生産され消費されてゆく、ジュエリーというのはそのような商業的なものではないと思っています。大切なのは身につける人の「その人らしさ」を表現すること。師である岡村氏から学んだことは「最後に笑顔になることをイメージしてつくる」という、作品に思いを込める大切さです。ジュエリーには、その人らしさを発揮させる力があると学びました。ーまさしく笑顔を引き出す作品ばかりです。これらを生み出すインスピレーションというのはどこからくるのでしょうか?生まれ育った熊本県阿蘇の大自然が原風景でしょうか。子どもの頃の景色を思い出して湧いてきたイメージを描きとめています。細かく見すぎないほうが思ったままを容にできる。たとえば動物なら、しぐさや表情は頭の中のイメージから直接デッサンに起こし制作しています。心がけているのは「優しさ」「品のよさ」「おしとやかさ」などが漂うようにということでしょうか。ー植物や動物の自然の営みを表した「ピクチャーシリーズ」や、貴石が煌めく「デコラティヴジュエリー」、アンティークな魅力の「クラシックジュエリー」など、趣向は違えどもすべての作品に通じる美しさがあります。首藤さんが考える美しさとは?どの作品でも根底にあるテーマは「静から動へ」。静止しているものが動き出すときの躍動感、放たれるエネルギーを表現し、見た人にそれを感じてもらう作品を作りたいと思っています。古くから使われる伝統技巧も用いますが、それは宝石をいかに美しく見せるかという方法を追求していくと自然と古代の技法に戻ってしまうから。やはり数千年にも渡り続いてきた技法は理にかなっているのだと思います。ただ、現代ならではの制約もあり、たとえば「プリカジュール」の葉の透け感を表すための七宝は、薄さを追求すると気泡が目立ち濁って見えてしまう。なのに、どうしてルネ・ラリックの作品はあんなに透き通って美しいのかと調べたら、現在では使用できない薬品が使われていました。そんな制約のある中で現代の技術、技巧を最大に生かした作品づくりに挑戦することも大切にしています。ー先日、生涯に一度だという個展「首藤治展~静から動への軌跡~」がイセタンサローネで開催されました(現在は終了)。いま、このタイミングで個展を行った気持ちはどんなものでしたか?いつかは個展を開きたいという気持ちでいました。ただ、商業的な個展を何度もやるものではないという考えもあり、一生に一度、自分の道が定まったときに行いたいという思いもありました。20歳でこの道に入って40年、還暦という区切りもありましたね。昔の作品を振り返ると、それぞれ満足ではありますが、今ならこうするとか、やりすぎたところや足りないところが見えてくるものです。ー首藤さんの工房では若手職人の育成にも力を注がれています。どのような思いでお弟子さん達と向き合っているのでしょう?若手育成というと大仰ですが、「全てを隠さず教えよう」というのが私の考えです。見て覚える昔の時代なら習得まで10年かかったことも、いまのように説明しながら教えれば3年でできるようになるでしょう。しかし、何より大切なのは技術と同時に「心」も教えることです。技術が成熟していても、心のないジュエリーは、“作っては売る商業的なジュエリー”と同じで人の心にも手元にも残りません。「心」を教えることを意識しながら、弟子達の目線にまで降りて一緒に「どう感じるか」を考えています。優しく、時には厳しく「飴、飴、鞭」で接しています(笑)。ー最高峰の技術を持ちながら、次の世代の職人に技や心を伝えようという熱意はどこから湧いて来るのでしょう?私自身、師の教えから現在の基礎をつくり、その後2代目の元から独立していつか認められるまで頑張ろうとしてきました。続けるうちにようやく、師匠がやりたかったこと、言いたかったことが分かるようになった。若い職人達も育ってきて、今はチームでスクラムを組んで作品作りに向き合っている状態です。私が彼らと共に、世に作品を出すことでその教えを繋いでいけると思っています。そして、若い職人達にも技術と心が生み出す「これだ!」という表現を身につけてほしいと願っています。【プロフィール】首藤 治(しゅどう おさむ)1955年熊本県生まれ。1975年より故・岡村光也氏に従事。1984年に国家技能検定一級技能士を取得し1986年名古屋にジュエリークラフトシュドウ開業。その後も第12回一級技能士全国大会「技能グランプリ」金メダル及び労働大臣賞受賞や卓越技能者表彰(現代の名工)など数々の受賞歴がある。2015年秋の黄綬褒章受章。アイビーファッションVANのコレクターという一面のほか、幼少期から犬や鳩、カエルなどを飼う動物好き。現在の愛犬はペコちゃんとゴマちゃん
2015年12月16日この秋、黄綬褒章を受章した現代の名工・首藤治氏が自身の還暦を記念し、六本木・東京ミッドタウン内にあるイセタンサローネで2日から8日まで個展を行う。「還暦の年に生涯に一度の個展をしたいと長年考えていた」という首藤氏。この個展を「首藤治展ー静から動への軌跡ー」と題し、新作17点に加え、個人蔵の作品も含めたアーカイブ作品29点を展示及び一部販売する。首藤氏は日本のハイジュエリーブランドの逸品を多く手がける、知る人ぞ知る現代の名工であり、作品を長年待ち続けるファンも多い。国家技能検定一級技能士でもあり、「技能グランプリ」全国大会での金メダル・大臣賞受賞という圧倒的な技術力を誇る。その作品は、流れるような葉のモチーフなど自然の営みをモチーフにした「ピクチャーシリーズ」、細かなパーツを一つ一つ組み立てる楽器シリーズ、愛らしい表情の動物をモチーフにしたものなど多岐に渡る。宝石や地金といった素材のもつ輝きを引き出しつつ、細やかな表情を導く精巧なつくりは、首藤氏以外では実現できないといわれるほど。緻密で技術が詰まる崇高な美術品でありながらもどこか優しく、首藤氏の想いや人柄が伝わる。同展では、実際に購入できる作品の他、個人蔵の作品もオーナーから借り受けて展示。約50点が一同に会する初の大型展示会であり、首藤氏が還暦を迎えた節目となる今、これまでの軌跡を辿るという趣向。首藤氏が美意識をつきつめたコレクションの数々は、一見する価値あり。ジャパニーズジュエリーの細やかな手仕事の魅力を存分に味わえるこの機会にぜひ足を運んでほしい。同時期イセタンサローネでは、フランク ミュラー(FRANCK MULLER)が手がけるテーブルウェアコレクション「フランク ミュラー フューチャーホーム」や、クロエ(Chloe)のクリスマスエクスクルーシブコレクションなど、ホリデーシーズンを華やかに彩る企画が目白押し。美しいものに包まれた空間で贅沢な気分に浸るのはいかがだろう。【イベント情報】「首藤治展ー静から動への軌跡ー」会場:東京ミッドタウンイセタンサローネ2階住所:東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン・ガレリア1階・2階会期:12月2日から8日営業時間:11:00~21:00
2015年12月01日グラフの使い分けにも配慮し、いよいよ資料は完成!安心する主人公に、菩薩様から「最後の教え」が伝えられました。○プレゼンの最後の「仕上げ」プレゼン資料が「文字だらけになる」ことを悩んでいた主人公。こむぎこ寺では「初対面の人々に、短時間で共感してもらえるようなスライドを作る」という姿勢を学び、相手が心地よく感じる色・かたちの使い方や、グラフの適切な使い分けについても学んできました。こうして伝わりやすいプレゼン資料を作った主人公ですが、「本番」では自分の口で発表をしなくてはなりません。分かりやすいプレゼン資料はきっとその場を助けてくれますが、自分自身の言葉で発表してはじめて「プレゼン」が完成するのです。大企業のトップが「プレゼン」の練習を行って立ち居振る舞いや声の出し方、伝える内容まで磨き上げるのは、生の声で伝えることにとてつもない力があることを知っているからです。とはいえ、ふつうのサラリーマンが練習のためだけに長い時間をかけるのは、なかなか難しいのが現状。ですが、「完璧な資料作りのためだけに時間を使い切り、発表はぶっつけ本番」とするのではなく、「心地よい資料づくりのポイントを押さえて、残った時間で少しでも発表の練習をしてみる」など、配分に変えてみるのがよいかと思います。資料作りのヒントについては、この連載のバックナンバーが一助になるかもしれません。資料づくりのみならず、ついつい日本のビジネスマンは「完璧」を目指して行き詰まりがちです。プレゼンの場にはいろいろな立場、意見の人がいるもので、全員を心の底から説得しつくす、というのはあまり現実的ではありません。本連載の監修・首藤さんは、「聴衆の3/4が発表者に共感できる結果」がひとつの目標として挙げています。もっと詳しく知りたい人は、首藤さんへのインタビュー記事も併せて読んでみてください。またどこかで「こむぎこ寺」にみなさまを誘う機会が得られますように。全5回と短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました!(文・編集部)首藤智之1990年~2013年までソニーに在籍中、会社の対外プレゼンテーションのデザインディレクションを行う。現在はプレゼンテーションに使用するスライドをデザインする「ゲッコープロダクション」を設立。本連載では監修を行う。Jecyイラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。現在、最新作「こむぎこをこねたもの その2」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。本連載では漫画を担当。
2015年09月14日○円グラフばかり使っていませんか?菩薩様の導きでプレゼン資料を「整えた」主人公。すっかり満足してしまっていましたが、円グラフばかり使っていたことを指摘されてしまいます。円グラフは確かに情報伝達の際によく使われるグラフの種類のひとつですが、ついついクセで選んでいる人も多いのではないでしょうか。使いやすいから、親しみがあるから円グラフを使うというのではなく、プレゼン対象へ「伝えたいこと」を中心に据えて、グラフの種類を選ぶことが大切です。伝えたいことに合わせてかたちを選ぶ例えば、「A社の売り上げ」という項目があったとします。「ここ10年の売り上げ推移で今年が一番売り上げが多かった」という内容が主題であれば、棒グラフを使った方が相手に伝わりやすいでしょう。過去数年の棒グラフより、今年の棒グラフを色で強調することで、よりいっそう伝えたいことが明確になります。一方、「売り上げにおける、商品の種類ごとの比率」を伝えたいのであれば、項目ごとの比率を伝えられる円グラフが適切でしょう。その場合、第3回で菩薩様が教えたように、真ん中はくりぬいてしまったほうが、心理的に伝わりやすくなります。「商品の種類別」、「事業別」など異なるカテゴリ分けの比率を表示する際は、中央にその内容を記載することで、それぞれの違いもすぐに識別でき、スムーズに理解してもらえる資料になります。次回は、いよいよ最終回。プレゼンの最後の「仕上げ」のお話です。首藤智之1990年~2013年までソニーに在籍中、会社の対外プレゼンテーションのデザインディレクションを行う。現在はプレゼンテーションに使用するスライドをデザインする「ゲッコープロダクション」を設立。本連載では監修を行う。Jecyイラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。現在、最新作「こむぎこをこねたもの その2」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。本連載では漫画を担当。
2015年08月28日○相手に「共感」してもらえるプレゼンのために「こむぎ寺」でお菩薩様とこむぎこをこねたものから、プレゼンの極意を教わっている主人公。プレゼン資料を「整える」ことが大切と言われていますが、いったいどういうことなのでしょうか?プレゼンの目的である「相手の共感」を得るには、理詰めの正しさではなく、納得できる内容であることが重要。そうした心の動きには、人間の脳の古い層の働き、動物的な脳の機能に訴えかけるのが効果的です。とはいえ、何も難しいことではなく、聞いている人が不安になったり、違和感を覚えたりしない、心地よく見られるものを提示すればいいのです。もちろん、実際のプレゼンの場では語り口や語る内容も大切になりますが、プレゼン資料ではビジュアル面でも相手への共感を妨げないような作り方をするのが大切です。補色は使わない目がちかちかするような色遣いを見ると不安になるのは、動物的な脳の働きによるもの。毒キノコや毒蛇など、危ない動植物の色はそうした意味でも補色関係になっていることが多いです。目立たせようとするあまり派手さを追求すると、補色関係になったり、多くの色を使いすぎてごちゃごちゃしてしまうので、気をつけましょう。先端は強い印象を与える人を指さす行為はある種とても威圧的ですが、逆に注目を集める効果も高いもの。先のとがった図形をプレゼンで効果的に使えば印象的な演出になりますが、そうでない場合、無用な不安感を煽ることになります。ありがちなのが、円グラフの中央にできる三角形。特に効果を狙ったものでないのなら、中央を抜いてドーナツ型にするだけで、安定感があり見やすいものになります。次回は、プレゼン資料によく使う「グラフ」の基本のお話です。首藤智之1990年~2013年までソニーに在籍中、会社の対外プレゼンテーションのデザインディレクションを行う。現在はプレゼンテーションに使用するスライドをデザインする「ゲッコープロダクション」を設立。本連載では監修を行う。Jecyイラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。現在、最新作「こむぎこをこねたもの その2」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。本連載では漫画を担当。
2015年08月10日○プレゼンは「はじめて」の人のためにオフィスでプレゼン資料を作っていたはずが、「こむぎこをこねたもの」(以下「こむぎ」)たちが住んでいる「こむぎ寺」へ呼び寄せられてしまった主人公。彼女が一生懸命作ったプレゼン資料を見るなり、何とこむぎたちはすやすや眠りはじめ、菩薩様には悟りをうながされてしまいました。それもそのはず、主人公は無意識のうちに、自分が知っていることは「相手も分かっているはず」という前提に立ってスライドを作っていたので、こむぎたちには理解できなかったのです。「プレゼン頑張ってるのに、みんな、なんだか眠たそう」……こんな経験がある人も少なくないかもしれません。また、1話の主人公のように、スライドを作った制作者自身も、作業中に睡魔に襲われてしまうことだってあります。こうした「眠いプレゼン」の原因のひとつは、「相手が知識を持っている」前提の資料にあります。仮に、聴き手が社内で同じ仕事をしているひとたちで、話し合いの目的が議論を深めることにあるのなら、詳細な資料を作るのは何も間違ったことではありません。ですが、今回彼女が臨む「プレゼンテーション」は、基本的に「何も知らない初対面の相手」、すなわちこむぎたちのような相手の共感を得ることが目的です。プレゼンターがコメントしなくても、画面を読むだけで事足りてしまうような文字だらけのスライドは、予備知識のない聴き手にとって理解しにくいものです。そのため、訴えたいことを理解してもらえないどころか、悪い印象を与えてしまうことにもなりかねません。また、プレゼンの持ち時間は多くの場合30分程度か、それ未満であることもしばしば。伝えたいことのすべてを詰め込むには短い時間です。だからこそ、初対面の人々に、短時間で共感してもらえるようなスライドを作ることが大切なのです。次回は、聴き手の目をひくためには不可欠な、スライド上で用いる「色」や「形」のお話です。首藤智之1990年~2013年までソニーに在籍中、会社の対外プレゼンテーションのデザインディレクションを行う。現在はプレゼンテーションに使用するスライドをデザインする「ゲッコープロダクション」を設立。本連載では監修を行う。Jecyイラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。現在、最新作「こむぎこをこねたもの その2」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。本連載では漫画を担当。
2015年07月13日洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で、19日(21:00~23:30)に放送される映画『アウトロー』で、主演トム・クルーズの吹き替えを担当した、声優の森川智之がこのほど、報道陣の取材に応じ、トムへの熱い思いを語った。2012年の米映画『アウトロー』は、トムが孤高のヒーローを演じ、自らカースタントや肉弾戦を熱演した作品。森川は、トムについて『ミッション:インポッシブル』のイメージが強いことから、「等身大のヒーローが現れたなという感じがして、ものすごくリアルに感じました」と、新境地と言われた同作の印象を語る。その上で、「展開が早い映画ではなく、間を見せながらどんどん進行していくような作品」と捉え、「間で芝居をする」という点を意識して吹き替えを行ったという。森川が初めてトムの吹き替えを担当したのは、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ・ワイド・シャット』。この収録には、キューブリックの右腕と言われた助監督のレオン・ヴィタリ氏も同席し、監督の演出やトムの役づくりなどを知ることができたため、森川は「『吹き替えの演技』に対する物の見方を開眼できるきっかけになりました」と振り返る。レオン氏の情熱はすさまじく、徹底的にリアルを追求。森川は、何十テイクの録り直しはもちろん、ベッドシーンの際にソファーベッドで寝ながら収録したり、実際にトムが使ったマイクを使用したといったエピソードを披露した。収録期間は1週間にもおよび、終了したのは深夜3時になっていたという。完成した作品は、レオン氏も太鼓判で「日本語吹き替え版が一番良かった」と、手紙で絶賛されたという。森川はこれ以降、トムの吹き替えを担当する際は「セリフや、見えを切ったり、格好良く言うとかではなくて、"呼吸"を見て役を作っています」と話す。『アウトロー』が公開された際、森川は東京でのレッドカーペットでトムと対面し、彼の作品に対する思い入れを強く感じたと振り返る。その上で、「これほど痛みというものや、トムの演技を肌で感じる作品っていうと、やっぱり『アウトロー』が抜群」と、作品の見どころを語っている。ザ・シネマでは、19日21時からの『アウトロー』を皮切りに、翌20日21時までの24時間にわたり、新旧アクション映画11タイトルを吹き替えで一挙放送。『アウトロー』は、18日(21:00~23:30)に字幕版も放送し、森川は、今回の『アウトロー』の放送を盛り上げるため、番宣などのナレーションも担当している。
2015年07月10日○プレゼンの「準備」、できてますか?発表の前日の夜、スライドの準備でてんてこまいになっている主人公。プレゼンテーションをしたことがある人であれば、同じような思いをした人も多いのではないでしょうか?いまやビジネスマンから学生まで、多くの人が行う機会のある「プレゼンテーション(プレゼン)」。Apple創設者のスティーブ・ジョブズのように、聴衆のほうを向いて堂々と語るスタイルが「お手本」とされる風潮はあります。ですが、実際のところ、プレゼンをする側は資料を作るのに精一杯で、本番のトークはぶっつけ本番。聴く側はスライドと同じ内容が朗読されるのを聞いているうちに途中で眠くなる……という状況に陥りがちです。プレゼンの天才とされるジョブズですが、実際は"プレゼンのプロ"のサポートを仰ぎ、何度もリハーサルを重ねて本番に臨んでいました。つまり、ジョブズのような人でも、プレゼンの前にはそれだけの備えをしていたのです。逆に言えば、「見やすい工夫」「分かりやすくする工夫」をちりばめることで、プレゼンの完成度はぐっと高くなります。そもそも、プレゼンは聴き手に語り手のアイデアや企画を伝達する場所。お互いの理解度が高まることで、発表する人も聴く人も、両方がハッピーになるはずです。この連載では、「仕事や勉強」の場で個人がつくるプレゼン資料に焦点を当てて、「いつものプレゼンがちょっと楽しく、わかりやすくなる」Tipsを、LINEスタンプで人気のキャラクター「こむぎこをこねたもの」と一緒に、ゆるりと、だけどまじめに学んでいきましょう!(文・編集部)首藤智之1990年~2013年までソニーに在籍中、会社の対外プレゼンテーションのデザインディレクションを行う。現在はプレゼンテーションに使用するスライドをデザインする「ゲッコープロダクション」を設立。本連載では監修を行う。Jecyイラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。現在、最新作「こむぎこをこねたもの その2」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。本連載では漫画を担当。
2015年06月25日長塚圭史(作・演出)、首藤康之、近藤良平、松たか子という4人の実力派が“鏡”をテーマに繰り広げる舞台「かがみのかなたはたなかのなかに」が7月6日(月)に新国立劇場にて幕を開ける。初日まで1か月を切った稽古場に潜入。本作の魅力に迫る。舞台『かがみのかなたはたなかのなかに』チケット情報この4人の組み合わせは2012年から13年にかけて上演された「音のいない世界で」に続いて2度目。長塚は「当時から家族的な雰囲気があり、4人で『もう1回やろう』と言っていた」と語るが、それが実現してしまうのは、よほどの手応えと充実感があったからこそ。鏡のこちらと向こうでタナカ(首藤)とカナタ(近藤)、コイケ(長塚)とケイコ(松)が対をなすという物語。カギとなるのは首藤と近藤のふたりのシンクロ率の高さ。この日も、タナカとカナタが初めて顔を合わせる序盤、ヒロインのケイコを巡りふたりが対峙するクライマックスのシーンが重点的に行われたが、セリフおよび動きに関して同じ動きを何度も繰り返し、試行錯誤しながら少しずつシーンを作り上げていく。共に“ダンサー”という原点を持ちつつも、これまで異なる道筋を歩んできた首藤と近藤。当然、個性も違うわけだが長塚は「まずは全く同じ動きを作り上げる。その精度の高いシンクロがあってこそ、(物語が進むにつれ)ずれていく驚きがあり、それぞれの個性が見えて面白い。この最初の動きを合わせるのが非常に重要なんです」と語る。前作に続き、本作は大人も子どもも楽しめる演劇を、と企画された作品だが、子どもたちは言葉以前にまず目で見て、このふたりの身体性の凄まじさを感じるはずだ。そしてこのふたりに、松が演じるヒロインのケイコがどう絡んでくるのかも楽しみなところ。男性陣とはまた異なる魅力と個性を持ったキャラクターであり、鏡を挟んでケイコと対をなすコイケが、彼女とは似ても似つかないという点もまた、その美しさや個性を色濃く浮かび上がらせる要因となっている。単なる美しいヒロインにとどまらぬ、小悪魔的な要素を含め、松が楽しんで演じているのがうかがえる。長塚曰く「チャーミングでありつつ、子供たちが見て何を思うか……(笑)」。こちらも反応が気になる。「鏡」というモチーフを長塚は「子どもに何かを伝えるという上で、想像力を広げる格好の道具」と言う一方で、「稽古場では『これは子どもに理解できるか?』という視点で作ってはいない」と子どもたちの感受性を信頼する。「夏なので、ちょっとヒヤッとするような怖さも味わってもらえると思う」と手応えをうかがわせた。公演は東京・新国立劇場小劇場にて7月6日(月)より26日(日)まで。チケット発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2015年06月18日●日本のプレゼン用スクリーンが「文字ばかり」になる理由新製品の発表や企画会議、コンペなどの場で披露される「プレゼンテーション(以下、プレゼン)」。この単語を聞いてワクワクと心おどらせる人は正直なところ、少ないのではないだろうか。薄暗い会場の中、スクリーンに映し出された「PowerPoint(パワポ)」の資料には、テキストがびっしりと並んだページ、"お決まりの色"のグラフ、空いたスペースに入れ込まれたデフォルト収録のイラスト。プレゼンターはうつむいて原稿を淡々と読み上げ、聴衆の中には夢の世界に旅立ってしまった人もちらほら……。日本のビジネスシーンでたびたび遭遇する「プレゼン」は、こんな印象が強いといえよう。今回は、"プレゼンのデザイン"専門のデザイナーであるゲッコープロダクション 首藤智之氏に、プレゼンにおける日本人の「雑」な部分、そして魅力的なプレゼンのために必要な事柄に関してお話を伺った。○スライド専門のデザイナー首藤氏は元ソニーのデザイナーで、在籍中は当時の取締役社長のプレゼンを担当して以降、プレゼンテーション周辺の業務に携わってキャリアを積んできた。そんな同氏がなぜ独立し、「プレゼン」専門のデザイン事務所を立ち上げたのか、その起業の理由を尋ねた。すると、「Googleの画像検索の結果を見ていただけると分かりやすいかもしれません」と意外な提案が。「presentation design USA」、「presentation design UK」、「プレゼンテーション デザイン 日本」でと3パターンの検索結果を比較した画面を提示された。「USやUKは明らかに色彩を取り入れており、ビジュアル面に配慮しているが、日本はスクリーンに用いる文字の量が多い。これが日本と欧米のギャップだと思います」と語る首藤氏。この「ギャップ」にビジネスチャンスを見いだして、ソニーを飛び出したのだと語った。○日本のプレゼンに「ビジュアル」を取り入れにくい理由プレゼン用のスクリーンに関して、首藤氏は「ビジュアルを活用することで、印象的なものになる」と語り、自身が作成した架空の食肉普及団体のプレゼン用ビジュアルを披露してくれた。2枚のスクリーン用画像の見た目は大きく異なるが、表す情報の内容は同じ。確かに、シズル感のある写真を用いたスクリーンは、一般的な日本のビジネスの文法にのっとった物よりも魅力的に見える。しかし、「ビジュアルを重視したスクリーンを、日本の現場で採用するのはなかなか難しい」と首藤氏。その理由は、「プレゼンの本番前に練習する時間がない」ためだ。基本的に日本のビジネス現場では「プレゼンの練習」をする習慣がなく、口頭で補う部分が多いビジュアルメインのスクリーンは採用しづらい。また、原稿が頭に入っていないために、表やグラフに書かれているキーワードを見ないと発話のきっかけをつかめない人も多い。そのため、どうしても「表やグラフをメインとしたスクリーン」になってしまうという。デザイナーとして、首藤氏はここにジレンマを抱えている。「文化的背景の違いだと思っています。海外(欧米)では、プレゼンテーションに対し、練習時間など、多くのコストを払うのが一般的です。こうした認識が国内でも広がれば」と語り、その例として、日本でもよく知られているAppleの創始者・スティーブ・ジョブズ氏の製品発表プレゼンを挙げた。ジョブズ氏のプレゼンは、自然なふるまいとサプライズ(One more thing)が印象的で、実際、国内のビジネスマンの中には、彼の「まね」をして、思いつきで話そうとする人もいたそうだ。しかし、同氏のプレゼンは「演出家がつき、(ジョブズ氏自身が)何度も練習した結果」であり、決して「思いつきで話しているのではない」と強調した。首藤氏は、クライアントに対して、スクリーンのデザインだけでなく、「スピーチの練習」を提案するようにしていると語った。●「日本のプレゼン道」は海外に通用するか○日本の「プレゼン道」話は変わり、首藤氏は日本式のプレゼンを、歴史上の出来事「元寇」になぞらえた。まず名乗りを上げてから相まみえる日本人の戦のスタイルをモンゴル軍相手に行ったら、名乗りの途中で矢を射られてしまったというエピソードが、日本のプレゼンの現状に近い、と語る。日本企業のプレゼンの多くが、創業の歴史や事業説明、売り上げ報告などから始まるが、確かに「名乗り」に近いかもしれない。首藤氏はこうした日本国内で暗黙の了解として守られている形式、いわば「プレゼン道」とでも呼べるようなしきたりは、「国際競争力の面では弱い」と語る。海外では、企業紹介ひとつ取っても、「この間会社が爆発したんですよ」など、「ツカミ」の部分を設けてから、「商品開発をしていまして、実は爆発したのは3回目です。でも、4回目は絶対成功します」と続け、聴衆の注意をひきつける。それから創業の歴史を語れば、耳を傾ける人も多くなるだろうと、その「作法」の違いを解説した。○「プレゼン」と「会議」の違いそして、日本の「プレゼン道」が編み出された原因のひとつとして、「社内会議とプレゼンの同一視」があるのではないかと語った。社内会議は関係者同士の会話になるため、例えるなら「98%の知識がある人と96%の知識がある人とのすり合わせ」が実施される。非常に細かな部分に話が及ぶため、膨大な資料が必要になることもある。しかし、プレゼンとなると、聴衆の知識はゼロと考えるのが基本だ。何も知らない人に、どれだけ早く70%程度の知識をつけてもらうかというのがプレゼンの役割だが、そこで日本企業は「社内会議」用の緻密な資料を出すために、ミスマッチが起こるというのだ。また、首藤氏によれば、プレゼンを聞いているのは「4種類の人間」という。具体的には、「(プレゼンターのことが)好きな人」、次に「好きと嫌いの比率が半々の人」、「明らかなアンチ派」、最後には「特に意見を持たない人」。1回30分程度のプレゼンで、これらすべての立場の人をひっくるめて、少なくとも70%の聴衆に好印象を持たせなくてはならない。そんな場面では、緻密で詳細な資料を延々と提示するのではなく、わかりやすい話をまず「好きな人」向けに出して、次に反対派を納得させるような情報を出し、攻略を進めていくのがコツだと話した。「日本には欧米式のプレゼンをせずとも、「事実を話していけばいつかはわかってもらえる」という方も多いです。実際にそのようなこともあるかもしれませんが、それは(一般的なプレゼンの持ち時間である)30分では絶対に達成できなません」。この点において、首藤氏は国内外の感覚の大きな差を感じたそうだ。○理解と共感の違い「わかってもらえる」という言葉ひとつ取っても、そこには「理解」と「共感」という異なる意味が含まれてしまう。おそらく、日本企業のビジネスマンの多くは、「理解」を目標にプレゼンしていることだろう。しかし、「共感できないプレゼンはダメなんです」と首藤氏はきっぱりと断言する。首藤氏自身も、過去に「言っていることは正しいけれど、合意したくない」という反応を受けたことがあり、こうなるとプレゼンの結果としては「負け」なのだと指摘。その逆の例として、「言っていることは穴だらけだけど、面白そうだからやろう」という展開になったこともあるという。後者のように、相手に「共感」を覚えさせるためには、主張する事柄の面白さをどう伝えたら良いかという部分がキモとなり、それには写真などのビジュアルの活用が不可欠だと語った。そして、対外的に行うプレゼンでは、ゲッティ イメージズのような有料の商用素材を使うのが「かえって安上がり」になる可能性もあるとのこと。というのも、フリーの写真素材の場合、モデルリリース(被写体の人物から取得する写真の利用許可)をとっているかどうかはカメラマンのリテラシーに依拠するのが現状で、海外では訴訟問題にも発展した例もあるという。信用のおける素材を使うことも、ビジネスを円滑に進める上では大切になるということだ。○プレゼンの目的は「好きになってもらうこと」「日本人は几帳面」……国民性を語る際、よく挙げられるポイントである。実際、工業製品やサービス業などにみられるこだわりには肯定的な声も多い。しかし、首藤氏はこの「細かさ」が、プレゼンにおいてあだになり、逆の効果をもたらしているパターン、聴き手に「雑なプレゼン」という印象を与えることもあると指摘する。「日本人には、ディティールにこだわりすぎる傾向があるようです。売り上げなどの数値を端数まで正確に読み上げたり、グラフの配置を1ミリずつずらしたり、そういった部分にフォーカスしてしまいがちです。しかし、プレゼンテーションの目的というのは、聴衆の心をつかみ、プレゼンター自身のことを好きになってもらうことです」。首藤氏は力強く語った。同氏は、古巣であるソニーの創業者・盛田昭夫氏の「プレゼンをするときに、原稿を絶対読むな」という印象的なフレーズを挙げた。これに続けて、「女性を口説く時、原稿を読み上げるわけがない。プレゼンも相手の心をつかみに行くのだから。相手の目を見て話すべきだ」と語ったそうだが、確かに、人の心を動かす場面で、視線をそらすというのは致命的と言える。視線をあげるために、首藤氏はスクリーンに映された原稿を読み上げるにしても、プレゼンターの視線の先にプロンプター(原稿を表示するモニター)を設置すべきとコメントした。そして、本番前には必ず近くにいる人に依頼して、話している様子を見てもらうことが重要とも指摘。資料を作っている段階では分からないが、声に出してみると読みづらい部分などが明確になり、ブラッシュアップされる。練習できる時間がたとえ10分~20分でも効果はあるため、まったくやらないより、短くても練習はぜひ取り入れてほしいと話した。そして、最終的には不完全な部分を「個性として割り切ったほうがよい」という。例えば、プレゼンの最初に「私は噛みやすいです」と宣言すれば、たとえつかえて話すことになっても、致命的なミスにはなりにくいそうだ。日本国内の傾向として、「プレゼン」という機会に対して完璧を目指し、技巧を凝らした演出やよどみない読み上げにこだわる向きが強く、プレゼンの「テクニック」を知りたいという声も多いという。しかし、首藤氏は「まずは一生懸命伝えようとすることが大前提で、最も大切なことです。たとえその結果、プレゼンの作法にのっとっていない部分があったとしても、聴衆には思いが伝わります」と強く語り、話を締めくくった。122609607, Datacraft Co Ltd/ imagenavi(c)iStock.com/szefei, 24712984(c)iStock.com/annamoskvina, 27402407(c)iStock.com/Wiktor Rze?uchowski, 42153708(c)iStock.com/Kemter, 42605232
2014年11月06日首藤康之のダンス公演『DEDICATED 2014 OTHERS』が明日、10月24日(金)よりKAAT 神奈川芸術劇場 ホールで開幕する。2011年にダンサーの首藤がスタートさせたダンスシリーズ『DEDICATED』の第3作。シリーズのテーマは「ダンスを通して自分の思いを捧げること」。今回は、“OTHERS”(他者)と題し、首藤康之ソロ作品『ジキル&ハイド』(構成・演出:小野寺修二)と、首藤康之・中村恩恵のふたりのダンサーに女優のりょうを迎えた『出口なし』(構成・演出:白井晃)の豪華2本立てで上演する。開幕を目前に控えた稽古場を取材した。『DEDICATED 2014 OTHERS』チケット情報『ジキル&ハイド』は、2011年『DEDICATED』立ち上げの公演で、首藤が最も信頼する演出家のひとりである小野寺修二とタッグを組み上演、好評を博した作品。初演時の会場であるKAAT大スタジオから今回はホールに会場を移し、さらにダイナミックかつ緊密な世界を展開する。リハーサルでは、実際の舞台装置になる鏡や小道具を使い、作品の流れの中で動きの動機を探る細かい作業を積み上げ、本番さながらの通し稽古が行われていた。さまざまなイメージを喚起する舞台美術と構成、それらとせめぎ合う首藤康之のダンスに目を奪われる。『出口なし』はサルトルの同名戯曲を題材にして、KAATのアーティスティック・スーパーバイザー白井晃が構成・演出する作品。稽古場の空気は出演者、スタッフ全員が集中し、その密度は高い。ダンス作品演出に初めて挑む白井、ダンサーの首藤と中村、女優のりょうの4名いずれもが「新しい経験」と話すクリエーションは、言葉とダンス、声と身体を交錯させながら、新たなイメージを立ち上げていく。それぞれがこれまでにない挑戦をしながらも、最終的には同じ方向へ向かっていく、そんな不思議な創作のプロセスが垣間見られた。“OTHERS”(他者)と題された今作。他者を通して見えてくるものとは…。自己の中に潜む他者とは…。2作品の連続上演を通し、人間存在について深く考えさせられるような公演になりそうだ。公演は10月24日(金)から26日(日)まで。
2014年10月23日現在公開中の、ピラミッドにまつわる誰も知らない真実を明かしたドキュメンタリー映画『ピラミッド 5000年の嘘』。本作でナレーションを務めた声優の森川智之が、2月25日(土)に行われた舞台挨拶に登壇し、自らの役柄について語った。その他の写真本作は、世界4大文明のひとつ古代エジプト文明の象徴で、紀元前2700~2500年代に建造されたとされるクフ王の墓、ギザのピラミッドにまつわる謎を捉えたドキュメンタリー。37年間にもわたる調査と研究、検証に6年間をかけて“新たな真実”を明らかにしたという。森川は、TVアニメ『BLEACH』の主人公の父親・黒崎一心や、洋画でもジュード・ロウやブラッド・ピット、トム・クルーズらハリウッドスターを多く担当。好青年から二枚目、お調子者など幅広い役柄を演じている。今回、多くの専門用語を用いるドキュメンタリーならではの淡々と語るだけのナレーションではなく、場面に応じて感情を移入させる“超ナレーション”に挑んだ彼は、「台本を開くと、めくれどめくれど僕のセリフしかなかった」「男性と女性の掛け合いがあって、とうとう女性の声もやるのか」と、難しい役柄に抜擢された時の心境を明かした。本作では、天体の動きや鉱物の結晶、人体の比率など、物質を構成するもっとも美しい数字“黄金数”など、一般的には分かりにくい単語が登場するだけに、「かなり練習しました。ピラミッドをずっと追いかけてきた人が作った映画なので、スラスラ言えなくては」と、プロとしての心構えを見せる発言も飛び出した。また、当日は映画のタイトルにちなんで“モリモリのホントとウソ”と題した特別企画を実施。会場に集まった観客に森川に関する質問をして、ウソかホントか正解だと思った方に拍手をするというもので、「(森川が)声の吹替えをしたハリウッドスターに、黄金数と関わりがある人はいる?」という問題に対して、「トム・クルーズの顔が黄金数です。数学的に見ると完璧な顔立ち。ちなみに僕の顔は黄金数ではないです(笑)」とジョークを飛ばし、会場を沸かせた。『ピラミッド 5000年の嘘』公開中
2012年02月27日