20年間にわたってIBMに在籍していたという著者による『ひきずらない技術』(深谷純子著、あさ出版)は、IBMでの経験から得たものを「ひきずらない」ための技術としてわかりやすくまとめた内容。というのも同社には、やりたい仕事があると、自分から「やります」と手をあげることができる社風があるというのです。いってみれば、社員の意思が尊重される社風だということ。そんな環境下において著者は、「ひきずりやすい人」と「ひきずりにくい人」には共通点があるということに気づいたそうです。だからこそ、彼らの特徴を研究すれば、「高いパフォーマンスを発揮できるノウハウ」を見つけられるというわけ。「ひきずらない技術」を身につけることによって、「ストレスフルな現場で、いかに適応しながら結果を出していくか」を学ぶことができるということです。著者によれば、引きずってしまういちばんの原因は、「ストレス対応力」の弱さ。つまり裏を返せば、ストレス対応力を鍛えることが、ひきずらないためのいちばんの方法だということ。なお、ストレス対応力を鍛えるためには次の4つのステップで進めていくのだといいますが、どの段階でストレスが解消できるかはその人の感じ方によって違うとか。■ステップ1:ネガティブ感情を受け入れるネガティブ感情を放置すると、心理的に落ち込むだけではなく、食欲低下や不眠などの身体的不調、生産性の低下やミスなどの行動面にも影響が出るもの。それが、ますますストレスを増幅させる原因となるわけです。大切な基本は、心のなかで絡み合うモヤモヤをじっくりと紐解いて受け止めること。喜怒哀楽があるのが人間で、ネガティブ感情がまったくない人はいないので、否定せずに受け止めることが大切だというわけです。ネガティブ感情がわかったら、・腹式呼吸(おなかからゆっくり吸って、ゆっくり吐く。吐くときにネガティブ感情を外に出すイメージで)・エクササイズ(ジョギング、水泳などの有酸素運動を行うことで、心身の安定をはかるセロトニンが分泌される)・集中してできる作業や趣味(作業に没頭することでイヤなことを忘れる。料理や楽器の演奏、カラオケなど)などを試してみると効果的だそうです。■ステップ2:思い込みを見なおす感情の多くは、「思い込み」から生まれるといいます。たとえば過去に失敗を経験した人は、同じような状況に遭遇すると、「今回も無理だ」「自分にはできない」をいうネガティブ感情を持ってしまい、行動をためらうということ。思い込みは過去の経験がつくりだしたものなので、とても大切。しかし、頑固な思い込みはストレスの原因にもなるため、本当に正しいか、間違っていないかを見なおす柔軟さが必要だということです。思い込みの扱い方で重要なのは、ネガティブ感情を感じたら、自分に問いなおしてみること。思い込みとは、一事が万事そうだと決めつけてしまう心の動き。「きょうはちょっと都合が悪い」といわれただけで全否定されたようにとらえてしまい、「いつも断られる」などと思い込んでしまったりするわけです。だからこそ環境や人のせいにせず、当たり前と思っていたことを疑ってみると、突破口が見つかるかもしれないということです。■ステップ3:肯定的な意味づけをするこれは、ネガティブ感情をいったん横に置き、問題に視点を変えてみるということ。自分にとってプラスになることはないか、肯定的にその状況をとらえてみる。感情を切り離し、ストレスの原因となった状況を冷静に見るために、傍観者となってみる。いってみれば、他人事だと思って自分にアドバイスをするということです。ポイントは、どんなことにも肯定的な見方が必ずあると信じること。■ステップ4:脳によいレッテルを貼っていくここまでやってきて、まだストレスを感じている場合は、自分からストレスのある状況を変えるために行動することが必要。その際に重要なのは、どんな小さなことでも行動に移すこと。しかもその際、脳が喜ぶ感情のレッテルを貼ると効果的なのだとか。なぜなら、人の感情はパフォーマンスに大きく影響するから。私たちは情報を目や耳からインプットし、それを脳で「受け取り」→「感じ」→「理解し」→「考えて」→「記憶」するもの。このとき脳が好きな情報だと一連のサイクルが活発になり、嫌いな情報だと鈍くなるのだそうです。つまり、好きか嫌いかと言う感情によって脳のパフォーマンスは左右されるということ。だからこそ、脳によいレッテルを貼っていくことが意味を持つわけです。*本書では他にも、「ひきずり」状態から抜け出すためのさまざまな方法が紹介されています。活用すれば、「ついひきずる」回数を減らすことができるかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※深谷純子(2016)『ひきずらない技術』あさ出版
2016年05月23日IBMは3月31日(現地時間)、Salesforceのトップ・パートナーの1つで、クラウド・コンサルティングおよび実装サービスの分野を手がけるBluewolf Group LLC(Bluewolf)の買収計画を発表した。Bluewolfは、Salesforceのパートナーの1社であり、米国、ヨーロッパ、オーストラリアの各国に12のグローバル・オフィスと、500人を超える従業員を擁している。また、同社はStanley Black & Decker、Sapa Building Systems、Vodafone Hutchinson Australiaをはじめ、さまざまな顧客のSalesforceプロジェクトを9500件以上成功させた実績を有しているという。買収手続きは、規制当局の承認など慣習的な完了条件を満たした後、2016年第2四半期に完了する見込みとなっており、BluewolfはIBMグローバル・ビジネス・サービスのInteractive Experience(IBM iX)事業に加わる。これにより同社は、コンサルティング能力を高め、Salesforceソリューションの採用を検討している顧客を支援する。IBM iXの持つエクスペリエンス・デザインやデータ統合と、Bluewolfが持つクラウド・コンサルティングと実装能力が融合することで、IBMでは1110億ドルと予測されるSalesforceのプロフェッショナル・サービス業界のミッドマーケット市場とエンタープライズ市場双方で独自の地位を築くことになると想定している。
2016年04月06日米ローレンス・リバモア国立研究所は3月30日、IBMが開発した、脳に着想を得たディープ・ラーニング・インフェレンス(深層学習推論)向けスーパーコンピューター・プラットフォームを購入したと発表した。同プラットフォームは、IBM TrueNorthと呼ばれるニューロシナプティック・コンピューター・チップをベースにしており、1千600万のニューロンと40億のシナプスに相当する処理を行う。16個のTrueNorthチップに対して2.5Wしか消費せず、パターン認識や統合感覚処理といった複雑なコグニティブ・タスクを従来のチップよりもはるかに効率的に推論することができるとしている。TrueNorthプロセッサは、米国国防省国防高等研究計画局(DARPA)の助成の元、コーネル大学と協力において開発された。54億個のトランジスタで構成され、それらがワイヤー接続されて100万のデジタル・ニューロンとなり、それらが2億5600万個の電子シナプスを経由して相互コミュニケーションを行う。0.8Vで、70mWの電力を消費し、1秒あたり46ギガ・シナプティック・オペレーションを提供する。IBMは「このテクノロジーは、過去70年にわたって普及してきたコンピューター・デザインからの根本的な脱却を象徴し、今日の最も先進的なペタフロップシステムよりも50倍(あるいは2桁の規模)高速なエクサスケールの速度で機能する次世代スーパーコンピューターの開発を強力に補完するものとなる可能性がある」とコメントしている。なお、ローレンス・リバモア国立研究所が購入した新システムは、米国のサイバー・セキュリティや国家の核抑止力ならびに核不拡散の責務を担うコンピューティング・ケーパビリティーを研究するために活用されるという。
2016年03月30日日本IBMは3月25日、住信SBIネット銀行が保有するアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)の開放において、API管理・運用ソフトウェア「IBM API Connect」とゲートウェイ・アプライアンス製品「IBM DataPower Gateway」で効率的なAPIの管理・運用と強固なセキュリティーを実現したと発表した。今回のAPI開放により、同行は金融とテクノロジーを組み合わせて新たな金融サービスを実現する「FinTech(フィンテック)」に注力するベンチャー企業などが銀行のデータを活用しやすい環境を整えることが可能となる。同行がAPIを開放することで、アプリ開発者はこのAPI群を活用して残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といった同行のデータを連携させたアプリを円滑かつ迅速に開発することができる。また、同行は「IBM API Connect」および「IBM DataPower Gateway」を活用することで、セキュアかつ容易にAPIを作成、公開、運用、分析するとともに、開放したAPIの適切な管理が可能となるという。今後、同行は開放したAPIの活用を促進し、顧客の利便性をさらに向上するサービスを提供することを目指すとしている。
2016年03月28日インターコムは3月23日、IBMメインフレームの専用端末と同等の機能をWindows搭載PCで実現できるようにする端末エミュレーターの最新版「FALCON 3270 Ver.5」を新開発し、即日発売を開始した。同商品は、今後基幹業務での採用が進む文字規格「JIS X 0213:2004」に対応している。基幹システムと接続したWindows 10搭載PCを使って、「JIS2004」で規定された計1万1233字の文字や記号を画面表示・入力、ホスト印刷、ファイル転送で使用できる。「FALCON 3270 Ver.5」は、z/OS、OS/390、MVSなどが動作するIBMメインフレームへの入出力装置として機能する端末エミュレーターの最新版。IBM純正端末「Personal Communications」(PCOMM)と高い互換性を持ち、基幹業務に必要な機能をWindows搭載PCで使用できるという。今回、「JIS2004」の内容を取り込んだIBM日本語ホストコード「CCSID 1390/1399」に新たに対応した。同製品を導入する金融機関や生損保会社では、個人名や地名が記載される帳票発行などの業務を最新の文字環境(JIS2004)で行うことが可能。加えて、IBMメインフレームが独自に保有していた特殊記号などが外字ではなく標準で使用できるようになる。オープンシステムはもちろん、クラウドで基幹システムを構築する動きがある中、金融サービスや公共サービスなどの高い信頼性を必要とする業務では、メインフレームを使ったシステムが依然として稼働している。そして、メインフレームと接続する業務用端末は、現在、その多くがWindows 7を搭載したパソコンとなっている。メインフレームと接続する業務端末の多くは、Windows 7を搭載したPCだという。しかしながら、Windows 7のメインストリーム サポートは2015年1月に終了しており(延長サポートは2020年1月まで)、今後の業務用端末にはWindows 10搭載PCの導入が進むと考えているという。しかし、Windows 10(Windows 8/8.1以降)では「JIS2004」のみに対応し、Windows 7以前で使用できた「JIS90」に対応していない。そのため、「JIS90」で行われていた基幹業務においても、Windows 10の導入を機に「JIS2004」へ移行する動きが始まっている。基幹業務を担う端末エミュレーターでも「JIS2004」に対応する必要が出てきたとしている。「FALCON 3270Ver.5」では「JIS2004」に対応することで、今後普及が進むWindows 10搭載PCでの基幹業務をサポートしていくという。
2016年03月24日日本IBMは3月22日、北海道システム・サイエンス(HSS)の次世代シーケンスによる受託DNA解析を行うインフラ環境として、IBMのクラウド「SoftLayer」が採用されたと発表した。HSSは、次世代シーケンサーであるIlluminaの「HiSeq2500」「MiSeq」、Pacific Biosciencesの「PacBio RSⅡ」を用いた高速DNAシーケンスを実施している。次世代シーケンスは現在、一人あたりのヒト遺伝子の解析を数日で行うことが可能になっており、これに伴い、1台の次世代シーケンサーからは短時間に膨大な解析結果が出力され、2008年当時に比べてデータ量は約10倍に増えているという。SoftLayerは、必要なときに必要なIT資源を利用できるハイパフォーマンスクラウドサービス。今回HSSは、東京データセンタおよび世界の多拠点にあるデータセンタを利用し、メモリが最大3TBまで使用できるベアメタルサーバ、グローバルの高速ネットワークサービス、ファイアウォールなどといったSoftLayerのさまざまなサービス・機能を活用することで、インフラ構築に取り組んでいくとしている。HSSは、遺伝子データを処理するDNA解析案件をSoftLayer環境で実施することにより、これまで1年程度の期間を必要とするような大規模解析の納期を3カ月程度に短縮することを見込んでいる。
2016年03月22日デルとメディアマートは3月15日、IBMの統計解析ソフトウェアである「IBM SPSS Statistics」をデルの検証されたハードウェアとの組み合わせで販売協業すると発表した。これまでメディアマートは、「IBM SPSS Statistics」の販売において実績を持っており、中でも医療機関に対して成果を上げてきたという。一方、デルは顧客に直接販売する「デルモデル」で拡大成長を続けており、現在パートナー制度を再整備し、パートナー経由での販売を強化している。直接販売を通してエンドユーザーのニーズに対応するデルのノウハウを活かし、今後はパートナーと協業して顧客に各種のハードウェアからソフトウェアまで、トータルでのソリューションを提供していく考えだ。エントリーモデルの推奨構成は、IBM SPSS Statistics Base、IBM SPSS Regression、IBM SPSS Advanced Statistics、Dell Latitude15 3000となり、価格は税別で30万2480円~。両社は2016年、デルのハードウェア製品に実装して動作確認を終えたデータ解析ソフトウェア「IBM SPSS Statistics」を、全国およそ150の医療機関に導入することを目標に掲げている。まずはコラボレーションモデルを推進しながら、デルが直販で培ったインサイドセールスにより案件の発掘を行い、メディアマートと共同でマーケティングおよび市場の開拓を開始する方針だ。
2016年03月16日日本IBMは、コグニティブ・コンピューティングとIoTが密に連携する新たな次元の「つながる」ソリューションを業界ごとに創出するWatson IoT事業部を3月1日から新設する。新事業部は、日本を含む、アジア、欧州、米国の8カ所の「Watson IoT Client Experience Center」と連携して、顧客とパートナー向けに 、コグニティブ・コンピューティングを活用した新しいソリューションの開発・作成に必要なテクノロジー、ツールを提供する。IBMは、WatsonのAPIおよびサービスをIBMのクラウド上で提供し、コグニティブIoTのソリューションとサービスの開発を加速させている。IBMではIoTが効果を発揮する領域として、「つながるクルマ」「スマート・マニュファクチャリング」「コネクテッド・ライフ」「ヘルスケア」「スポーツやエンターテイメント」「小売業の店舗」など、6つのユースケースを想定し、ビジネスを推進している。スマート・マニュファクチャリング分野では、三菱電機とIoT技術を活用した次世代スマートファクトリー実現に向けて技術協力することで合意、コネクテッド・ライフの分野では、ソフトバンクとIoTを活用したソリューション提供において協業することで合意している。
2016年03月01日日本IBMは2月29日、「2015 Securing the C-Suite(2015 IBMセキュリティー・スタディー)」と「2015年下半期Tokyo SOC情報分析レポート」を発表した。○2015 IBMセキュリティー・スタディー2015 IBMセキュリティー・スタディーでは、世界28カ国18業種、702名のCEOやCOO、CFO、CIO、CMOなどのCレベルを対象にセキュリティに関する調査を行った。CISOを調査対象から除外しており、セキュリティ専門ではない経営層の傾向を掴めるとしている。これによると80%の経営層は、2年以内に自社でサイバーセキュリティ事故が起こる可能性を「50%以下」と回答した。ただ、CEOのうち、セキュリティ対策に自信を持っていると回答した割合は51%にとどまり、これはほかの経営層と比較しても低い数字にとどまったという。経営層が最大の脅威としてあげていた対象は「悪意を持った個人・組織・ハッカー」で70%を占めたものの、これらの対象は専門家の意見は「脅威レベルは低い」ものだという。一方で、脅威レベルが高くなりやすい「組織化された犯罪集団」は54%、「外国政府の攻撃」は19%にとどまるなど、脅威に対する認識の相違が見られたとしている。○2015年下半期Tokyo SOC情報分析レポート2015年下半期Tokyo SOC情報分析レポートは、東京など全世界10カ所のIBM SOCで観測したセキュリティイベント情報をまとめている。これによると、次の3点の傾向が見られたという。1. 約74%の組織でドライブバイダウンロード攻撃を確認ドライブバイダウンロードの攻撃検知数は依然として増加傾向で、攻撃の9割はAdobe Flash Playerの脆弱性を悪用していた。2. 不特定多数を狙ったメール攻撃は短期集中型で使い捨て不特定多数を狙ったメール攻撃は、2015年10月以降に多数観測されており、Tokyo SOCが最初に観測したとあるメールから2時間以内にほとんどのメールが送信されていた。3. ランサムウェアを利用した攻撃活動が増加ランサムウェアも2015年11月以降に、攻撃活動を継続的に観測しているという。IBMでは「ドライブバイダウンロード攻撃や不正メールの増加との関連性が見られる」としている。
2016年03月01日●Watsonはデベロッパーのもの、4つのAPIを紹介米IBMが米ラスベガスで開催中のクラウド/モバイルカンファレンス「InterConnect 2016」の会期2日目となる2月23日に行われたゼネラルセッションでは、「IT Transformation」をテーマに、IBMクラウドにおける統合的なAPI戦略とともに、IoTやデータ活用、セキュリティなどの取り組みについて言及した。最初に登壇したのは、初日のゼネラルセッションと同様に、IBMの顧客だ。WPP CoretechのPrincipal Solutions & Enterprise ArchitectであるMark Keller氏は、「映像編集や映像検索、管理などには多くの時間とリソースを必要とする。そうした課題を、オブジェクトストレージによって解決することができた。これはIBMが買収したCleversafeによるものであり、今後の進化に期待している」と述べた。IBMはCleversafe社のテクノロジーとIBMクラウドを組み合わせ、オブジェクト・ベースのストレージ・サービス「IBM Cloud Object Storage」を発表している。このゼネラルセッションでは、米IBMの各部門のトップが登壇する一方で、顧客が登壇して実際の事例を紹介すると内容となった。顧客中心のカンファレンスという今回の特徴を表現するセッションになったと言えよう。米IBM IBM Systems担当シニアバイスプレジデントのTom Rosamilia氏は、「新たな技術は受け入れなくてはならない。そして、多くの企業が破壊的なビジネスモデルも、受け入れなくてはならない環境にある」と切り出した。「ハイブリッドクラウドは、すべての企業が避けては通れないものになるが、IBMは、ハイブリッドクラウドに最もコミットしている企業である。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドを行ったり、来たりできるほか、一貫性を持ちながらも、柔軟な環境を実現できる。そして、ハイブリッドクラウドを実現するということは、エコシステムに対してAPIを解放することでもある」などと述べ、ハイブリッドクラウドにおける同社の強みを強調。さらに、インテグレーション、データ、オペレーションという3つの観点から、具体的なユーザー事例を示し、IBMクラウドを活用して得られた意思決定の迅速化、コスト削減、レスポンスタイムの高速化などの成果を説明した。続けて、米IBM IBM Watson担当ゼネラルマネージャーのDevid Kenny氏は、「Watsonは、デベロッパーのためのものである。ぜひ、これを活用してもらいたい」とし、今回のInterConnectで発表した4つのWatson APIについて説明した。Tone Analyzerは、言葉の裏にあるトーンを理解するものであり、オンラインデーティングサービスのConnectidyでの活用事例を示しながら、「書いたものを意図した通りに、Watsonが理解できる機能になる」とした。また、EXPRESSIVE TEXT TO SPEECHは、「表現豊かで、感情を持ったスピーチが可能になり、相手にニュアンスを伝えることができる機能」とし、EMOTION ANALYSISは、「相手の怒りや嫌悪感、喜びなど、どういう気持ちでそれを語っているのかということを、Watsonが理解することができる」という。そして、VISUAL RECOGNITIONは、「最も大きな進化を遂げた技術であり、静止画、動画を問わず、画像をピクセル単位に分析して、過去の映像と比較して、どんな画像かを判断することができるもの。野球のシーンなのか、クリケットのシーンなのかも判別できる」とした。続けて、米IBM IBM Analytics Platform Services and Cloud Data Services ゼネラルマネージャーのDerek Schoettle氏は、同社が打ち出しているOpen for Dataについて説明。オープンソースのデータを活用することで、アプリの活用や意思決定のスピードを高めることができ、迅速な革新へとつなげられることなどを示した。さらに、IBMとして、20以上のデータアナリティクスサービスを提供していることなどにも言及。Dimagiでのデータ活用事例や、IBMが買収したThe Weather Companyにおいて、ビッグデータとアナリティクスを活用することで、天気予報の予測精度を高めている事例などを紹介した。●IoT、セキュリティの観点からWatsonについて説明米IBMのWatson Internet of Things, Commerce and Education ゼネラルマネージャーのHarriet Green氏は、IoTへの取り組みについて説明。全世界で290億のセンサーが使われることや、そこから収集されるデータのうち、9割が不要なものであり、さらに残ったデータのうち、3分の2が翌日には意味を持たないデータになることを示した。「だが、こうしたデータを活用することが、ビジネスのやり方を劇的に変えることになる。このワークロードへの対応は、Watsonにしか対応できないものである。IoTによって、11兆ドルの経済効果が期待されており、自動車、電機、通信、金融など、ありとあらゆる業界を破壊することになるだろう。WatsonとIoTを組み合わせることで、コグニティブIoTが実現できる。WatsonのAPIを活用することで、アプリを開発し、Watson IoTプラットフォームを生かしてほしい」(Green氏)また、IBMでは、IoT分野において、750の特許を持っていることや、4000以上のIoTクライアントに対応、1700社以上のIoTパートナーがあることなどを示してみせた。IoTに関しては、シーメンスによるインテリジェントビルディングでの活用実績や、KONAによるエレベータ、エスカレータにおける効率的な人の移動をサポートする新たなビジネスモデルの提案などについて触れた。米IBMのCloud Integration担当ゼネラルマネージャーのMarie Wieck氏は、「エンタープライズ企業の約80%がハイブリッドクラウドを活用している。また、われわれはソフトウェアすべてをクラウド対応としたことで、IBMのハイブリッドクラウドは選択肢が豊富であり、一貫性を持ち、柔軟性を持つことができた。さらに、今回発表したVMwareとの協業によって、選択肢を広げ、柔軟性を高めることができ、環境の最適化が実現される。これらのサービスを通じて、既存のエンタープライズシステムとクラウドをつなげた新たなビジネスモデルを提供することができる。それは、ハイブリッドクラウドへの道筋を加速することにつながる」などと語った。ここでは、API Connectのデモストレーションも行い、APIの作成を自動化および簡素化できる様子を示した。そのほか、API Connect、WebSphere Connect、z/OS Connect、Message Connect、App Connectといった新たな発表したIBM Cloud Connectorsの提供についても触れた。最後のテーマは、セキュリティである。ここでは、米IBMのIBM Security マーケティング兼ストラテジー担当バイスプレジデントのCaleb Barlow氏が説明にあたった。Barlow氏は、サイバー犯罪の現状や、それを下支えするダークウェブの状況などについて触れながら、「クレジットカード番号は1ドルで取引されるが、個人の医療情報は15ドル、社会保障番号は15ドルで取引が行われる。これらの情報は変化することがないからだ」などと述べた。また、「IBMには現在、7300人のセキュリティアナリストがいる。これらのうち、1000人がこの1年間に増えた。今後、サイバー犯罪に対抗するには、コグニティブが必要である。コグニティブは、セキュリティに力を与えることができる。IBMでは、約20年間にわたって、700TBの脅威情報を蓄積しており、無償で提供している。犯罪者たちは、組織で動いている。われわれも協力して対抗していかなくてはならない。そのために、情報をシェアし、ソリューションの一部として活用してほしい」などと語った。
2016年02月26日日本IBMは2月24日、金融とテクノロジーを組み合わせた新たな金融サービスを実現するフィンテック(FinTech)への取り組みの一環として、オープンかつ汎用的な「FinTech 共通API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」を銀行向けに提供を開始した。現在、多くのFinTechサービスは画面情報のやりとりで銀行システムとの連携に加え、利用者がインターネットバンキングのIDとパスワードをFinTechサービスに登録することで、銀行取引データとの連携を図っている。そのため、FinTechサービスとの連携においては、銀行システムの仕様変更への迅速な対応、セキュリティの確実性、アプリケーション開発の生産性といった課題があるという。FinTech 共通APIは、FinTechサービスと既存のインターネットバンキングをアプリケーション間で接続し、残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といったインタフェースを含むAPI群。また、APIの標準化を推進している「BIAN(Banking Industry Architecture Network)」の仕様に基づいており、オープンかつ汎用的な点が特徴。同APIを利用した場合、画面情報のやりとりではなくアプリケーション間を接続するため、銀行側の画面変更にFinTechサービスが即座に対応できずエラーが発生するといったことがなくなり、利用者の利便性が向上するという。また、FinTechサービスと各銀行のサービスとのインタフェースを個別に設計する必要がなくなり、開発に要する時間とコストを削減できるとしている。セキュリティについては、オープンな認証プロトコル「OAuth」により、利用者のIDやパスワードを銀行が認証したうえで、FinTechサービスの利用を許可する仕組みとなり、セキュリティーが強化される。IBMのAPI作成・管理・運用ソフトウェア「IBM API Connect 」と「IBM DataPower Gateway」により、提供されるオープンな認証プロトコル「OAuth」と連携し、強固なセキュリティを実現しているという。さらに、銀行が新たなFinTechサービスを容易に試せるテスト用APIとして「チャレンジ・スタブ」やFinTechアプリケーションのデータを各銀行向けのデータに変換する機能「データ・マッピング」も提供するとしている。
2016年02月25日IBMとシーメンスのSiemens Building Technologies事業部は2月23日、クラウドベースのビルエネルギー管理ソリューションを発表した。同ソリューションでは、アナリティクスおよび資産管理など、IBMのWatson IoT事業部門が提供するソフトウェアを、シーメンスのクラウド・ベースのエネルギー管理プラットフォーム「Navigator」に統合する。Navigatorは、ビル全体あるいは不動産ポートフォリオ全体でビルディング・システムのパフォーマンス、エネルギー需要、エネルギー供給を効率的管理することができるソリューションで、IBMの技術を組み込むことでより高度なアナリティクス(分析)機能を利用できるほか、不動産ポートフォリオから得られる堅牢なデータ・セットを処理できるようになる。具体的には、不動産事業者などがNavigatorプラットフォームの内部データおよび外部データをベンチマークとして活用してビルの運用評価および実行予算を予測したり、予測アナリティクスを故障の発見に活用することなどが可能となる。Siemens Building Technologies事業部は「不動産を所有する企業が現在利用できるソフトウェア・ソリューションには、シーメンスのようなサービス・プロバイダーが提供する、設備を最適化するソリューションを活用したものはありません。当社のNavigatorプラットフォームがIBMのソフトウェアのインターフェースとして機能することにより、Siemensの実績ある、エネルギー最適化およびビルのパフォーマンスに関する専門性と、IBMの不動産および資産の管理システムを融合させ、ビルの生産性を劇的に改善する、比類ない組み合わせを実現します」とコメントしている。
2016年02月23日米IBMおよび米VMwareは2月22日(現地時間)、クラウドのスピードと経済性をさらに活用できるよう企業を支援することを目的とした戦略的提携を発表した。これにより、企業は既存ワークロードを、自社オンプレミスのソフトウェア定義のデータ・センターからクラウドへ容易かつ安全に拡張できるという。両社は、事前構成済みのVMware SDDC環境を、顧客が自動でプロビジョニングできるようにするアーキテクチャーおよびクラウド・オファリングを共同で設計した。この環境は、IBMクラウド上のVMware vSphere、NSX、Virtual SANで構成されているという。このSDDC環境を使うと、VMwareに基づく共通のセキュリティー・モデルとネットワーク・モデルにより、ハイブリッド・クラウド環境にワークロードを修正なしで展開できるようになるという。IBMは、自社の包括的なCloudBuilderツールとワークロード自動化機能を利用し、事前構成済みワークロードやカスタム・ワークロードを、VMwareのソフトウェア定義のデータ・センター・アーキテクチャー用設計パターンにより検証されたクラウドへ、自動的にプロビジョニング。さらに、VMwareは、環境をIBMクラウドに展開し、顧客のローカル・データ・センターの一部であるかのように管理できるよう、vRealize AutomationおよびvCenterの管理ツールを拡張した。また、両社は、ハイブリッド・クラウド導入のための新規オファリングを共同でマーケティングし、販売する予定だという。これには、シームレスなワークロードの移行、災害復旧、容量拡大、データ・センター統合などが含まれる。
2016年02月23日日本IBMは2月23日、本田技術研究所(以下、ホンダ)が2015年から再参戦したFormula One World Championship(F1)向けハイブリッド・エンジンの状況を分析するため、 F1マシンのレーシング・データ解析システムの基盤としてIBMの「IoT for Automotive」を採用したと発表した。ホンダは2015年から、F1向けパワー・ユニットの開発を大きなテーマとしているという。F1レースでは走行中に、いかに的確に故障予知と残燃料予測を行うかが大きな課題となっているが、その解決には、各サーキットの現場と国内の開発本拠地である栃木県さくら市のHRD Sakura、パワー・ユニットの供給先であるマクラーレンの英国拠点を結んで、パワー・ユニットの状況をモニタリングし、故障予知や残燃料予測、レース戦略立案のカギを握る情報の共有を図る必要があった。また、最新のF1レギュレーションでは、複雑なパワーユニットシステムになったことに加え、現場のスタッフ数にも厳しい制限が課されていることから、少数の現場スタッフを国内の開発拠点から手厚くサポートする必要があったという。こうした課題を解決するため、ホンダは、サーキットを走行するF1マシンに搭載されたパワー・ユニットの状況をリアルタイムに分析する解析システムを導入した。ホンダが導入したレーシング・データ解析ソリューションは、パワー・ユニットの分析による故障予知および残燃料予測に加えて、走行後にエンジンやモーターの回転数の頻度分布や各車のドライバーによる差異をレポートする。レーシング・データ解析システムのシステム基盤として、F1マシンに搭載された各種センサーから収集したデータを分析し、走行状況をリアルタイムで把握するとともに、パワー・ユニットの異常を検知する。ホンダは、年間約20レースにおいて、トラック・サイドに配置されるサーキット・エンジニアの負荷軽減およびコスト削減を実現したという。
2016年02月23日日本アイ・ビー・エム(日本IBM)とソフトバンクは2月19日、コグニティブ・コンピューティング「IBM Watson」を活用したサービスの日本語版提供を発表した。コグニティブ・コンピューティングのIBM Watsonは、理解や推論、学習を行い、認知・気付き(コグニティブ)を利用者へ提供する。今回のサービス提供はIBMとソフトバンクによる共同展開の昨年2月の発表に基づくもので、SaaS型によるAPIの提供で顧客企業はWatsonを活用できるようになる。サービス開始当初は、次の6種類のAPIを日本語で提供する。Natural Language Classifier(自然言語分類)Dialog(対話)Retrieve and Rank(検索およびランク付け)Document Conversion(文書変換)Speech to Text(音声認識)Text to Speech(音声合成)ソフトバンクは、これらAPIの日本語化について、日本IBMと協力。今後は、販売体制など、「パイプラインを共にして」(日本IBM 代表取締役社長 ポール 与那嶺氏)、営業先の重複なく、Watsonの拡販を進めていく。料金体系には従量課金制を採用し、ソフトバンクをマスターディストリビューターとして、その他のSIerと協力して、顧客企業に最適化したWatsonの利用機会の拡大を進める。○Watsonは「過去最高の引き合い」記者会見には、与那嶺氏のほか、ソフトバンク 代表取締役社長 兼 CEOの宮内 謙氏、米IBM Watson ビジネス開発担当でシニア・バイスプレジデントのマイク・ローディン氏、日本IBM 執行役員 ワトソン事業部長の 吉崎 敏文氏、ソフトバンク 専務取締役 法人事業統括 統括担当の榛葉 淳氏らが登壇した。ソフトバンクとIBMは1年をかけて協力し、日本語化と、試験的な顧客企業へのシステム構築を進めてきた。契約済みの企業はすでに10数社に上り、2年前に英語版がスタートして以来「現在は世界100以上の企業が導入している」(ローディン氏)という状況と比較しても、上々のスタートと言える。宮内氏によれば、問い合わせ自体も150社を超えているとのことで「長年IT業界にいるが、これほど引き合いが来ているのは正直初めて。非常に期待している」と、興奮を隠せない様子だ。IBMは、Watsonについて、人工知能とは異なる「コグニティブ・コンピューティング」とうたっているが、具体的に何ができるのだろうか。発表には、すでに両社との取り組みを開始しているカラフル・ボードとFiNC、第一三共、フォーラムエンジニアリング、三菱東京UFJ銀行の5社が登壇し、自社の取り組みを披露した。例えば第一三共は、新薬開発にWatsonを活用することを表明。海外子会社などはすでにWatsonを活用しているとのことで、「日本語版が出たことで、ようやく本社でも利用できる」としている。新薬開発には、1つの製品に1000億円を超える開発コストがかかることもあり、開発開始から患者が一般的に利用できるまで10年のスケジュールを要する。「導入の目的は、医薬品の研究開発プロセスの効率化。現在は、疾患に関する分子レベルの情報があっても、100万個の化合物からスクリーニングをしなければならない。これをWatsonの手助けによって、研究者の叡智や感性、勘に加えて、テーマ選定とプロセスの短縮を図りたい」(第一三共 執行役員 研究開発本部長 兼 研究開発企画部長 赤羽 浩一氏)ただ、会場の温度感からすると、すべての事例が受け入れられたとは言いがたい。例えば、三菱東京UFJ銀行は同日よりLINEの自社アカウント内でWatsonを活用し、ユーザーが疑問に感じた銀行への質問をメッセージ送信することで、同社WebサイトのFAQを自動的に引っ張ってくる機能を用意した。従来の検索機能とは異なり、友達に尋ねる感覚で質問を送るだけという機能は、Natural Language Classifier(自然言語分類)や、Retrieve and Rank(検索およびランク付け)のAPIを活用していると見られる。ただ、三菱東京UFJ銀行のWebサイトから収集したデータベース作成が甘いのか、自然言語処理がうまく行っていないのか、「最寄りのATMは?」といった質問でも、満足する回答は得られなかった。企業がWatsonを「何のために活用するか」をIBMやソフトバンクが精査してシステムに学習させるまで、およそ3カ月を要するといわれており、もしかするとランディングするための期間が短かったのかもしれない。そもそも、Watsonは"学習できる"システムであるため、多くのユーザーがさまざまな質問をぶつけ続けることで、その返答も次第に洗練されていくことだろう。また、ソフトバンクもすでに営業部隊への営業支援システム「SoftBank BRAIN」を開発しており、顧客の売上高やビジネス状況から、過去の提案書で最適なものをレコメンドしたり、社内システムと連携したりといったことも視野に未来図を描いている。また、代表取締役社長の宮内氏は、ソフトバンク独自の付加価値として、すでに発表しているPepperとの連携を挙げつつ「私たちは、スマートフォンを一生懸命売ってきた。ただ、スマートフォンをより使いやすくするためには、Watsonのようなシステムが必要。ITは膨大な情報量を取り扱うことで進化してきたが、今は情報量が膨大すぎて、どこに何があるのかわからない状況。これをWatsonの支援によって、改善し、最適なものを提案していきたい」(宮内氏)としていた。
2016年02月19日TED2016において、XPRIZE FoundationとIBMがコグニティブコンピューティングのコンテスト「The IBM Watson AI XPRIZE」の開催を発表した。参加チームは、世界が抱える大きな問題を解決する人とAIのコラボレーションのアイディアを示す。賞金総額は500万ドルだ。XPRIZEは民間による有人弾道宇宙飛行のコンテストを開催して話題になり、その後もゲノム解読のスピードや民間による月面無人探査など、技術進歩と変革を促す様々なコンテストを行ってきた。これまでのコンテストではXPRIZEが目標を設定し、その達成を参加チームが競っていたが、AI XPRIZEでは参加チームがそれぞれAI-ヒューマン・コラボレーションにおいて挑戦する内容を定義できる。参加チームはまずIBMのカンファレンス「World of Watson」において中間賞(賞金50万ドル)を争い、絞り込まれた上位3チームがファイナリストとしてTED2020のステージでプレゼンテーションを行う。優勝賞金は450万ドル。
2016年02月18日日本IBMは2月17日、都内で記者会見を開催し、ミッドレンジメインフレーム「IBM z13s」(以下、z13s)を発表した。3月10日の出荷開始を予定している。z13sは従来機(zBC12)比8倍となる最大4TBのメモリを搭載でき、データベース処理専用エンジン「zIIP」が同時マルチスレッド(SMT)に対応。これにより、例えばApache SparkやCloudantを活用して、さまざまな種類のデータベースに格納されている顧客情報、購買履歴、株売買履歴とSNSデータや位置情報をリアルタイムに分析し、おすすめの金融商品を提示するといった分析を、メインフレーム外部へデータを移動せずに処理するという。さらに、z Systemsはハードウェアで暗号鍵を保持するセキュリティを有しており、z13sは暗号化の機能を強化し、暗号化と復号化を従来機(zBC12)比2倍に高速化。加えて、z/OSでIBM Multi-factor Authentication for z/OS(MFA)による多要素認証が利用できるようになる。そのほか、多要素認証を追加することで特権ユーザーがシステムにアクセスする場合、PINやランダムに生成されるトークンなどの入力が必要となり、セキュリティをさらに高めることが可能だ。今回、初めて多要素認証がアドオンのソフトウェアではなくOSに緊密に統合されたことで、設定の効率化、安定性、パフォーマンスを実現しているという。また、企業が監視を自動化し、ヒューマンエラーを排除するためメインフレームをIBMセキュリティーの特権ID管理や機密データの保護、統合的セキュリティ・インテリジェンスといったソリューションとの統合を進めている。日本IBM IBMシステムズ・ハードウェア事業本部 IBM z System エバンジェリストの鮫島範行氏は、z13sで活用されている新しいテクノロジーについて「SMC-D(Shered Memory Communications-Direct Memory)とzACI(z Appliance Container Infrastructure)、Dynamic Partition Managerの3つがある。SMC-Dは筐体内の高速通信を提供する機能として、従来のTCP/IPベースの通信などと比べ、筐体内での通信パフォーマンスを向上させた。また、パーティションモード上でソフトウェアアプライアンスを稼動させるzACIは、さまざまな機能をソフトウェアアプライアンスで提供していく。そして、Dynamic Partition Managerはz Systemsの構成管理をGUIの画面で実行する機能だ。これまでz Systemsの環境においてはディスクの定義などをする際にテキストベースの定義ファイルの作成が必要だったが、GUI画面でI/O定義が可能となったため画面を見ながら数クリックで容易にディスクの定義ができるほか、Linux環境でも同様に行える」と強調した。日本IBM 理事 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ハイエンド・システム事業部長の朝海孝氏は「デジタル変革の中でz13sの強みは基幹データを中核としたAPIエコノミー、オープンなハイブリッドクラウド基盤、基幹データとビッグデータを融合したリアルタイム分析の3つだ」と述べた。APIエコノミーは、API提供者(企業)がデジタル化された情報資産をAPIとして公開し、API利用者が公開されたAPIを活用して、付加価値を高める新たなサービスを開発し提供することで生み出されるビジネス商圏。今後、企業の組織変革やエコシステムの構築、製品やサービスの収益化の原動力になると考えており、z13sは企業がAPIエコノミーを最大限に活かすために、メインフレーム上にある基幹データをセキュアにモバイル・アプリなどの外部サービスと連携させることができるとしている。朝海氏はz13sを軸とした販売戦略について「ハイブリッドクラウドショーケースの開発と実践、リアルタイムアナリティクスとAPIエコノミーをインダストリソリューションに同化し、ソリューションインテグレーションを加速する。また、Linuxを1つのブランドとして位置づけ、Linux専門の営業部隊を設立し、Linux on z SystemsとLinux on Powerを同じ組織で担当する」と今後の営業活動への意気込みを語った。
2016年02月18日日本IBMは2月16日、日本取引所グループと共同で低トランザクション市場を想定したブロックチェーン技術に関する実証実験を3月より支援することで合意したと発表した。両社は、ブロックチェーン技術の特性を長短所の両面から早期に把握し、ブロックチェーン技術の評価と低コストでの運営可能性を検証する。実証実験では、業界標準として広く普及する可能性、各種認証方式やプライバシー要件、複数資産カテゴリー、複雑な業務処理への適用を勘案し、オープンソース・コミュニティ「Linux Foundation」が提唱するハイパーレジャー(Hyperledger)プロジェクトのフレームワークを利用する予定。日本IBMは今回の実証実験で、IBM東京基礎研究所を含むIBMリサーチとの連携や、金融機関を含む60社を超えるグローバルでの顧客との検討実績といったグローバルのネットワークを生かし、支援を推進していく。
2016年02月16日SBIホールディングスの子会社でベンチャーキャピタルファンドの運用・管理を行うSBIインベストメントは2月12日、日本IBMが提供する「IBM FinTechプログラム」と連携し、FinTechの導入を図る金融機関の支援強化およびFinTech分野で事業を展開するベンチャー企業を支援していくことを発表した。SBIインベストメントは2015年12月に金融機関やFinTechに関連する事業会社を主な出資者とする「FinTechファンド」(名称:FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合)を設立し、FinTech事業領域の有望なベンチャー企業への投資を行うと同時に、出資者と投資先企業によるオープンイノベーションの支援を通じて、出資者によるFinTechの導入・活用の推進ならびに投資先企業のバリューアップを実施している。IBM FinTechプログラムは、IBMのグローバル・ネットワークにより世界的レベルでFinTechの動向を捉え、日本でのFinTechサービスの導入を推進。同プログラムはクラウド上でアプリケーションを開発し、稼働するためのクラウドサービスである「IBM Bluemix」を活用してFinTech企業と連携しながら次世代の金融ソリューションの開発を担っている。また、金融機関向けには、IBMのFinTechデザイン・ラボなどを通じたモバイルアプリの実証実験や迅速な開発に加え、金融機関のシステムのオープンAPI化の支援をはじめ、今後のFinTechサービスの実用化と普及に向けた積極的な取り組みを行っている。今後、SBIインベストメントはIBM FinTechプログラムと連携することで、両社間における相互紹介を通じてFinTechファンド出資者のFinTech導入支援ならびに投資先企業へのバリューアップ活動を強固なものとし、FinTech分野におけるオープンイノベーションの促進、FinTechを活用した金融ビジネスの高度化に貢献していく考えだ。
2016年02月15日富士電機と日本IBMは2月15日、総務省が全国の自治体へ導入を推進する「自治体情報セキュリティクラウド」の構築について協業を開始することを発表した。2016年度で200億円の受注を目指している。「自治体情報セキュリティクラウド」は、インターネットとの外部接続についてセキュリティ監視を集約して集中的に対応するもので、同システムは都道府県単位で設置される。各社の役割として、富士電機は、クラウドによる自治体向け業務システムの導入・運用の豊富な実績に基づく行政業務のノウハウを活用し、高度なセキュリティ対策時において分割された内部・外部ネットワークを円滑に連携して端末の簡素化を図るなど、行政事務の業務効率を維持するための仕組みを提供する。日本IBMは、IBMの持つ世界規模のセキュリティ関連機関により、世界レベルのセキュリティ情報、SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)による高度なセキュリティ監視・解析の技術を提供する。「自治体情報セキュリティクラウド」の特長として、都道府県単位でのクラウド(ASPサービス)導入となるため、新たな機器導入などが不要で、希望の時期に短期間でサービスの利用を開始することが可能。また、外部のインターネット経由で受領したメールや電子申請等に添付されたファイルから、標的型攻撃などセキュリティの脅威を取り除く(無害化)処理を行うサービスが組み込まれている。
2016年02月15日キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)と日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2月8日、企業内の膨大な文書を効率的に電子化するデータ・キャプチャー・ソリューション分野で協力していくことを発表した。両社は、コグニティブ技術をベースとしたソフトウェアと手書き日本語OCR認識ソリューションを組み合わせたデータ・キャプチャー・ソリューションを2月9日から提供していく。具体的には、キヤノンMJの手書き日本語OCR認識ソリューション「Rosetta-Stone-Components」のソフトウェア開発キット(SDK)を活用することで、「Rosetta-Stone-Components」と日本IBMが提供する文書の入力・分類・検証・配信基盤ソリューション「IBM Datacap」を連携させる。「Rosetta-Stone-Components」は、キヤノンの日本語OCRエンジンで、手書きや活字文字のOCR処理、 スキャンした画像の補正や帳票の認識、インデックス入力などを自動化し、業務フローごとにカスタマイズするといったことが可能となる。これにより、紙文書の手作業による仕分けや入力作業を簡略化することができるようになる。「IBM Datacap」は、膨大な書類の処理、手作業による分類とデータ入力、目視検証、保管の手間など、企業の書類業務にある課題を解決するためのデータ・キャプチャー・プラットフォーム。特に、「IBM Datacap Insight Edition」は画像処理、自然言語処理、機械学習のテクノロジーを併用することで、文書の分類と内容の把握を自動化するという。「IBM Datacap」は昨年から日本語版が展開されていたものの、もともとアメリカ製品ということもあり、OCR部分の日本語対応がネックとなっていた。また、帳票も日米で異なるため、帳票認識技術においても、日本で普及しにくい要因となっていたという。そこで、これまで電子保存の条件に対応した、複合機やドキュメントスキャナを展開し、文書管理やOCRといったアプリケーションソフトウェアや、金融業界などにおける実績・ノウハウを有するキヤノンMJと連携することによって、「IBM Datacap」の機能はそのままに、日本語機能を強化するかたちで、ソリューション提供できるようになった。今回の連携による特徴の1つが、「コグニティブ・キャプチャー」機能である。同機能によって、文章の「内容」「位置情報」「フォントの大きさ・太さ」「表の見出し」などの情報からビジネスのキーとなる情報を推測して取り出すことが可能となる。IBMのコグニティブ技術を活用し、定型帳票だけでなく非定型帳票からも情報取得が可能だという。2つめは、「分散キャプチャー」機能である。これまで多くの企業では、書類を各拠点へ配送し、配送された後にデータ入力が行われていたが、今回の連携によって、書類を保有している各拠点でスキャンすると、あらかじめ設定されたルールに則って、仕分け分類された上でデータ登録されるようになる。3つめは、キヤノン製日本語OCRエンジン(オプション)である。「IBM Datacap」の標準機能では対応できなかった、日本語手書きOCRが可能となった。日本語だけでなく、数字についても、欧米人と日本人では数字の書き方が異なり、通常日本人の書く「7」は認識できないのだという。両社は、金融、保険、製造、流通サービス、ヘルスケアをはじめとする各業界で、各種申込書、契約書、画像、マルチメディアなどの、多様なフォーマットでの紙出力やデジタル文書の作成をともなう商取引の効率的な実施を支援するために、本連携ソリューションを提供していくという。なお、同ソリューションの販売価格は、500万円(税別)~となる。
2016年02月08日アドバンテックと日本IBMは2月2日、スマート・マニュファクチャリングをはじめとするIoTソリューションの提供に向けて協業することを発表した。今回の協業により、産業用コンピュータを提供するアドバンテックがPaaS(Platform as a Service)ソリューション「WISE-PaaS」をIBMのクラウド基盤「SoftLayer」もしくはPaaSの「IBM Bluemix」と連携させ、ユーザー企業がIoT関連アプリケーションの開発および実行する環境の構築が可能になるという。アドバンテックのIoT向けハードウェアソリューションは、シリアル通信、イーサネット、アナログI/O、デジタルI/O、ワイヤレスセンサノードなど、さまざまな物理インタフェースを介したセンサや機器からのデータ収集の実現をサポートしている。WISE-PaaSは、これらのIoT向けハードウェアが収集したデータを活用するためのデータマネジメント機能や、ハードウェアの状態を監視するデバイスマネジメント機能をRESTFul APIにより、さまざまなクラウドサービスから利用できるPaaSだ。両社はWISE-PaaS、SoftLayer、IBM Bluemixの連携により、IoT機器とインターネットを接続するアドバンテックのセンサゲートウェイや、通信機能、センサーなどを実装したセンサノードから収集したデータをもとに、クラウド上で工場設備機器の稼働状況や環境を可視化し、保全を支援するスマートマニュファクチャリング市場向けのIoTソリューションとして提案を開始する。同ソリューションは、日本IBMのユーザー・ビジネスパートナー向け施設「IBM Client Experience Center(IBMクライアント・エクスペリエンス・センター)」にある「IoT Experience Garage(アイ・オー・ティー・エクスペリエンス・ガレージ)」にて体験できる。今後はアドバンテックの持つ、さまざまな市場/アプリケーション向けハードウェアプラットフォームと、日本IBMが幅広い業界で培ったITシステムの実績やノウハウを組み合わせることで、スマート・マニュファクチャリング市場に留まらず、IoT関連事業のビジネス拡大に向けて協力していく方針だ。
2016年02月03日米IBMは1月28日(現地時間)、Linux専用システム「LinuxONE」向けの新しいハイブリッド・クラウド機能と協業を発表した。今回、StrongLoopとCloudantがLinuxONE向けに最適化されている。StrongLoopは、Node.jsに拡張性が高い環境を提供し、Node.jsにより開発者はサーバーサイドで好みの言語を使ってアプリケーションを記述できる。また、NoSQLのクラウド・データベースのCloudantは、モバイル・データでは一般的なJSONフォーマットでデータを保存し、ネイティブでデータをシステムに保存することで、ユーザーが異なる言語に変換する必要がないため、時間を短縮できる。さらにIBMでは、エコシステムのさらなる拡充として、Googleが開発したプログラミング言語「Go言語」をLinuxONEに移植した。IBMは今夏、Go言語コミュニティーにコードの寄贈を開始する予定としている。そのほか、処理スピードと能力を向上したLinuxONE EmperorとLinuxONE Rockhopperの新バージョンが発表された。3月に、IBM LinuxONE製品群向けのIBM Open Platform (IOP)が無償で入手できるようになり、コンポーネントは、Apache Spark、Apache HBaseなどをサポートし、Apache Hadoop 2.7.1も同様にサポートしているという。
2016年01月29日IBMは1月21日(米国時間)、Ustreamの買収を発表した。今回の買収により、IBMのクラウドプラットフォームを拡充し、価値ある動画や急速に進化するデジタルメディア、データ資産を企業ユーザーに提供する。なお、今回の買収における金銭面での条件は公開されていない。これまで同社では企業や放送局に対し、企業の会見・講演から音楽の公演まで、あらゆる分野でクラウドベースのビデオストリーミングを提供。NASAやSamsung、Facebook、Nike、The Discovery Channelなどのユーザーを通じ、1カ月に約8000万人の視聴者に対するライブ動画およびオンデマンド動画をストリーミング配信している。今回の買収により、IBMの研究開発部門やこれまでの戦略的買収による資産を統合し、Ustreamは新たに組織するクラウド・ビデオ・サービス部門に加わり、オープンAPI開発、デジタルアナリティクスとビジュアルアナリティクス、簡素化された管理などを含む製品群を提供していく考えだ。クラウド・ビデオ・サービス部門は、クラウドベースのビデオサービスとソフトウェアに1050億ドル規模の商機を試算している。近年、動画はウェブキャスト、イベントの基調講演、ウェビナー(Webサイト上でのオンラインセミナー)による教育やトレーニング、カスタマーサービス、ハウツー動画など多様なメディア資産を通じて、ユーザーや従業員と関わるための主要な方法となっている。IBMのクラウドが有する革新的な機能をクラウド・ビデオ・サービス部門に集約することで、幅広い業界のユーザーが、戦略的なデータソースに動画を統合できるよう支援する。これらの業界には、メディアやエンターテイメント、小売、教育、行政サービスが含まれる。クラウド・ビデオ・サービス部門ではUstreamの資産だけでなく、最近買収したClearleapの資産も統合することに加え、AsperaやCleversafeなどIBMがそのほかの投資で得たテクノロジーや、研究開発部門のイノベーションを統合したソリューションも開発する予定。今後、イノベーションの融合により、優れたクラウドプラットフォームの実現を目指し、ユーザーがライブビデオやオンデマンドビデオの取り込み、保存、管理を容易に行うとともにアナリティクスにより向上させ、著作権管理機能や言語機能を適用していくという。
2016年01月25日米IBMは21日(現地時間)、映像配信サービス「Ustream」を買収したと発表した。買収額は非公開。UstreamをIBMのクラウドビデオ事業に吸収することで、同社の企業向け映像サービスを強化するねらいだ。IBMは、2013年12月にファイル転送ソフト「Aspera」、2015年10月にストレージサービス「Cleversafe」、2015年12月に動画管理サービス「Clearleap」を買収。ここにUstreamを加えた4社を「IBM Cloud Video Services Unit」とし、新たな企業向けクラウド映像配信サービスを開発する。日本や韓国などアジアにおけるUstreamのサービスはUstream Asiaが運営していたが、2015年12月からは米Ustreamによる直接運営に移管することを発表していた。IBMはUsteramのサービス継続についてコメントしていないが、Ustream Asiaは12月1日に「2016年2月1日以降もこれまで通りにサービスをご利用いただくことができるよう準備中です」とアナウンスしている。
2016年01月22日米IBMとソフトバンクロボティクスホールディングス(SBRH)は1月6日(米国時間)、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」向けの「IBM Watson」を開発し、世界の企業に提供することを発表した。両社はソーシャルメディアやビデオ、画像およびテキストといった従来のコンピューターでは十分に活用ができないデータに隠された意味をWatson搭載のPepperが把握できるようにするため、IoTで得られる幅広いデータや知識を活用する。開発中のWatsonを搭載したPepperは、基幹機能および開発者やユーザーにより双方向の経験をあつらえることができるWatsonのソフトウェア開発キット(SDK)を備え、プリパッケージのAPIへアクセスすることを可能にする。現在、IBMはサービス業や消費財の企業とともにロボット技術を試験中で、Watsonを搭載したPepperによるソリューションを通じて、企業はユーザーがコグニティブ・コンピューティングを体験するさまざまな方法を拡充することができるという。この1年で両社はWatsonの日本語対応を推進し、Watsonを活用した新しいアプリケーションを構築する開発者やサードパーティーのパートナーによる日本のエコシステム全般にわたりコグニティブなAPIを提供するテクノロジー基盤をローカライズしている。今後、両社は教室内の教師アシスタントから看護補助までWatsonのコグニティブ機能によって補完されたPepper独自の物理的特性を活用して幅広い使用例を研究し、業界の領域全般にわたり新しい方法で人々を支援するという。なお、今回の計画は日本でWatsonを展開するというIBMとソフトバンクの戦略的な協業に基づいている。
2016年01月08日ソフトバンクロボティクスホールディングスとIBMは6日(米国時間)、人型ロボット「Pepper」向けの学習システム「IBM Watson」を開発し、世界の企業に提供する計画を発表した。IBM Watsonは、システムの感知、学習、経験を通じて人と同じように言葉の意味を理解できる、コグニティブ・コンピューティング・テクノロジー。企業が活用すれば、IBM Watsonがユーザーが好むブランドや商品との関わり方を学習していくため、より効率的にユーザーへブランドや商品を訴求可能だ。両社は、同技術を搭載したPepperを世界の企業へ提供していく。提供の形や時期、価格などについては未定だとしているが、開発中のPepperは、IBM Watsonのソフトウェア開発キットを備えており、様々なニーズに対応したAPIへアクセスすることが可能だとしている。また、両社は今後、教室内の教師アシスタントや看護補助など、IBM Watsonの特性とPepper独自の物理的特性を活かした幅広い活用例を研究していくという。ソフトバンクロボティクスホールディングスの代表取締役社長である冨澤文秀氏は、「Pepper向けのIBM Watsonを開発していくことでIBMと協力することになり、とても興奮しています。Pepperは、ロボット開発のプラットフォームとして、優れた技術との連携を可能にしていく予定です。このたびのIBM Watsonとの連携が、幅広い分野におけるPepperの活用の可能性を広げてくれると期待しています」とコメントを寄せている。IBM Watsonのシニア・バイスプレジテントであるMike Rhodin氏も「今日、コグニティブ・コンピューティングの力はどのようなフォームファクターにも組み込むことができます。Pepperについてソフトバンクロボティクスホールディングスと提携することで、より多くの人がIBM Watsonを体験し利用することが可能になります。コグニティブの機能を搭載したロボットとの実際のやり取りを経験したとき、人々が密接に携わりながら、新しくエキサイティングな価値をこの技術から見出すことを目の当たりにするでしょう」と述べている。
2016年01月07日米IBMとソフトバンクロボティクスホールディングス(SBRH)は1月6日(米国現地時間)、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」向けのWatsonを開発し、世界の企業に提供する計画を発表した。日本IBMとソフトバンクテレコムとは、昨年の2月、日本でのIBM Watsonの開発と市場への導入において戦略的に提携することで合意しており、今回の発表は、それをさらに発展させ、IBM Watson搭載のPepperを世界展開していくというもの。今回の計画は、日本でIBM Watsonを展開するというIBMとソフトバンクの戦略的な協業に基づいており、この1年で両社は、IBM Watsonの日本語対応を推進し、IBM Watsonを活用した新しいアプリケーションを構築する開発者やサードパーティーのパートナーによる日本のエコシステム全般にわたりコグニティブなAPIを提供するテクノロジー基盤をローカライズしてきた。開発中のIBM Watsonを搭載したPepperは、基幹機能およびIBM Watsonのソフトウェア開発キット(SDK)を備えており、プリパッケージのAPIへアクセスすることを可能にするという。米IBMとソフトバンクロボティクスホールディングスは、コグニティブ・コンピューティングで応用できる分野を広げるために、Pepperのモビリティや機敏性を進化させ、教室内の教師アシスタントから看護補助まで、IBM Watsonのコグニティブ機能によって補完されたPepper独自の物理的特性を活用して幅広い使用例を研究し、業界の領域全般にわたり新しい方法で人々を支援するとしている。
2016年01月07日日本IBMは1月6日、IHIとIHI物流産業システム(ILM)、IHIエスキューブ(IS3)がグループで提供している自動倉庫の保守事業において、作業履歴情報やセンサーデータからなるIoT情報などのビッグデータを活用した保守サービス支援システムの構築を支援し、本格的に稼働したことを発表した。新システムは、故障予測や計画点検、遠隔監視などの機能を提供し、顧客企業に対する保守サービスの高度化を実現。IHIグループでは、2013年4月に高度情報マネジメント統括本部を新設し、社内外の多種多様なビッグデータを解析して各事業部に展開し、新たな事業機会の創出や製品・サービスの高度化・総合化を目指してきた。この一環として、ILMとIS3では自動倉庫事業の高度化を推進しており、これまでILMでは自動倉庫内の設備や機材の稼働状態をリアルタイムに監視。保守サービスをより高度化していくため、収集したデータを活用したり、顧客の設備状況や保守要員の作業履歴などを分析・活用したりすることにより、顧客の設備稼働率を高めることが求められてきたという。新システムで日本IBMは、設備や機器などのIoTから得られるビッグデータを解析して故障予測や計画点検のためのIoTソリューションおよび設備管理ソリューションを提供。具体的には、各種センサーからの異常や稼働履歴、PCで管理していた作業員の出動履歴、報告書、保守履歴に加え、IBMの予測分析ソフトウェア「SPSS」で分析した故障予測などの分析結果、顧客別・自動倉庫機種別のカルテ情報などをIBMの設備管理ソリューション「Maximo」で一元的に管理し、可視化、分析できるようにした。これによりILMでは、故障対応の質の向上、定期点検の効率化、遠隔監視を実現できるようになった。例えば、故障対応の質の向上では全国の顧客設備の状況やカルテ情報、保守要員の出動履歴などを16カ所のサービス・センターで把握できるようになるため、故障の兆候を検知して事前に対応を可能にしていく。また、各部品の故障予測や部品の寿命予測をすることで、計画的な部品の在庫管理ができるようになり、緊急調達を減らし、コストも削減できるという。
2016年01月06日2016年の年頭にあたり、日本IBMの代表取締役社長を務めるポール与那嶺氏は、以下の年頭所感を発表した。コグニティブ・ビジネスを通じ、顧客の競争力の強化と変革を支援謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。近年、「ウーバライゼーション(Uberization)」という言葉に象徴されるように、これまで競合と考えられなかった企業がデジタル技術を駆使して既存の市場に革新的なビジネスモデルで参入し、従来のプレイヤーを脅かすなど、さまざまな産業で業界の統合や融合が加速しています。こうした環境の中で勝ち抜いていくためには、圧倒的な顧客体験の提供や徹底的な効率化などにより競争力を強化するだけでなく、これまでにないまったく新しい価値を創造し、提供していくことが必要になると考えています。IBMは昨秋、テクノロジーとビジネスの新たな時代の重要なテーマとなる “コグニティブ・ビジネス”を提唱しました。コグニティブ・ビジネスは、インターネットなどを通じて日々生み出される膨大なデータを理解し、人と自然にかかわり合い、これまでにない規模で学習し、目的を持った推論をするシステムを利用することで、人がより良い意思決定を可能にするものです。これは、1990年代の「e-ビジネス」、2000年代の「スマーター・プラネット」に続くコーポレート・ビジョンです。このコグニティブ・ビジネスを強力に推進していくため、ソフトバンク様とのIBMワトソンにおける協業や、日本郵政グループ様、アップル社との超高齢化社会向けのサービスに関する提携、ツイッター社、フェイスブック社、ウェザー・カンパニー社など膨大なデータを有する各企業と提携や投資を継続し、サービスの拡充に注力して参りました。2016年は干支十二支の丙申(ひのえさる)の年です。時代の変化を見極め、将来を見通してさまざまな変革を実践し、時には臨機応変に迅速な判断と行動を起こすことによって成長をしていくという意味があるそうです。私たち日本IBMでは、昨年までに整えてきたさまざまな企業との提携を含めた戦略を実行し、変化の激しい時代の中でさらなる成長を目指す決意をしております。研究開発、営業・マーケティング、デリバリーやサポートなどすべての部門が一丸となり、IBMワトソンをはじめとしたコグニティブ・ビジネスを通じて、あらゆるお客様の国内外市場における競争力の強化と変革をご支援してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2016年01月04日