ステラ マッカートニー(Stella McCartney)は、パリのオペラ座ガルニエ宮を会場に2018年春夏ウィメンズコレクションショーを開催した。毎シーズン、テーマを設定しないでコレクションを構成しているが、今シーズンの傾向としてはオフィスクラークの制服がインスピレーション源の一つとなっている。マスキュリンフェミニンな作風は守りつつも、色鮮やかでフェミニンなアイテムが多く見られたのも特徴的だった。エコレザー(人工皮革)のパーツを刺繍でアップリケしたレーシーな素材が多用され、シャツドレスやロングドレスなどは軽やかさと重厚さを備えるアイテムとなっている。中央へ向けてノット状にドレープを寄せたトップスや、ストリングをあしらったパンツなど、今シーズンは特にエコレザーのアイテムが増えたため、新たに「SKIN FREE SKIN」のタグを制作し、製品に取り付けている。ジャカードのシルク素材のパフスリーブのドレスや、後半に登場したシルクサテンのセットアップやフリルをあしらったドレスなどは、ヴィンテージ感溢れ、70から80年代を想起させた。扇風機やマイクをモチーフにしたバティック風のアフリカンプリントのドレスや、イエローやグリーンのウォッシュデニムによるワークウエアなど、カラフルな作品も印象的。コレクション全体をよりオプティミスティックなものにしていた。
2017年10月08日ポール & ジョー(PAUL & JOE)は、パリ・ファッション・ウィーク最終日となる2017年10月3日(火)に、2018年春夏コレクションを発表した。今季はメンズモデルも起用し、ウィメンズと連動した新デザインを披露。と同時に、ウィメンズはパンツスーツのセットアップなどのマスキュリンなデザインを揃えている。今季は、爽やかな空気に溢れている。Tシャツやカシュクールトップスはクロップド丈にカットアウトして、パンツはショート丈に。さらりと1枚で着れるものも多く、ワークウェア風のオールインワン、オーバーオール、ワンピースが揃った。夏の一コマを切り取ったプリントも展開。ビーチに並ぶヤシの木や澄んだ大空、別荘のような白い一軒家などが、Tシャツやワンピース、そしてメンズのベストや開襟シャツにのる。ポール & ジョーらしいロマンティックな要素は、真っ白なブラウスで。レースを飾ったり、フリルをあしらったり、襟を丸くしたり、ワンピースに変えてみたり…キュートスタイルの作り方はお手のものだ。フラワーモチーフが今シーズンの鍵となるのだが、その表現方法が様々だった。シースルー素材に描いた小花プリント。ジャケットまたはパンツの上で見られる、プクプクとした立体的ジャカード。ストライプ模様とフラワーを重ねて、インテリアのようなデザインにしたものなど。ハードな印象のレザーライダースにも、大輪の花を散りばめている。
2017年10月07日カルヴェン(CARVEN)の2018年春夏ウィメンズコレクションが9月28日、パリ第6 ピエール・エ・マリ・キュリー大学のジュシューキャンパスにて発表された。クリエイティブディレクターにセルジュ・ルフュー(Serge Ruffieux)が就任して以来、初のランウェイコレクションとなった今回。新しい物語のチャプターにふさわしく、初々しいフェミニティーに満ち溢れた都会的なデイリーウエアが並んだ。幕開けはスポーティーなポロシャツ風ドレス。キルティングジャケットやサファリスーツ、ワークウエアをアップデートしたようなミディドレスなど、アクティブなムードを感じさせるルックが続く。目を引くのは、空気を含んだような浮遊感のあるフォルムやギャザーがたっぷり入ったウエストのシェイプ。ユニークなシルエットを強調するのは、短く仕上げられたフロントのカーヴィーライン。全体的な印象はエフォートレスでありながら、直線と曲線が交わった計算ずくのフォルムが構築的な余韻を残していく。コットンやシルク、インド更沙綿など、さまざまなマテリアルが投入されたボトムスも、プリーツやアシンメトリーなヘムのラインによって軽やかさが強調され、フレッシュで繊細な印象だ。中盤からは、ネオグリーンやレモンイエロー、コーラルやオレンジなど、どことなく甘酸っぱさを感じるカラーパレットに、手書きの風合いが残る大胆なチェックやジオメトリックがミックスされ、中世を思わせる動物柄のアイテムも登場した。ともすればバラバラに見える掴みどころのないモチーフは、統一されたシルエットへのこだわりによって小気味よいアクセントに昇華されている。ステッチや刺繍のあしらいも、セルジュ・ルフューの繊細な感性やメゾンのクラフトマンシップを印象付けるかのように、ひそやかに輝きを放っていた。足元を飾るのはレザーとラフィアのハイブリッドサンダルやモカシン。バッグはチャーム付きのクラシカルなレザーバッグ、フリンジが揺れるショルダーバッグ、サファリモチーフの大きなトートバッグなど、都会的な女性をイメージしたリアリティーのあるアイテムが多く見られた。ショーを終えてみると、大志を秘めた静かな船出だったように思える。しかし、この洗練された慎ましさこそ、新生カルヴェンの大いなる魅力の一つなのだ。
2017年10月07日アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。今シーズンの起点は、英国にあるガーデン「Great Dixter」のイメージから。太陽がサンサンと照り時には雨が降る。そんな気候の中で育つ、色とりどりの花々にヒントを得てクリエーションは始まった。植物たちにとって恵となる雨。そのイメージはモデルたちのヘアに落とし込んだ。たっぷりの水分を受けて大きく花を咲かせたフラワーたちは、彼女たちが纏うドレスやスカートへと姿を変える。大輪の花が並んだクロスステッチのドレス、花びらのようにフリルを繋いだメタルメッシュのドレス&ブラのコンビ、小さな花のスタッズを並べたシースルースカート。シルバーのレザージャケットの上には、刺繍で動植物たちの物語を描いた。ガーデンで育てられた草花と、そこにとまった小鳥たちの生き生きとした姿が、クチュールのテクニックで綴られる。真っ赤なニットには、ガーデニングのストーリーを投影して。水やりをするジョーロ、植木の姿、休憩中にお茶したコップや椅子などが、ビジュー刺繍によって表現されている。足元は、3バッグルのボリュームブーツで。トランスペアレントにしたヒールには、小さな花々をたっぷりと詰め込んだ。優しい世界に、ちょっぴりハードなフットウェアと解体の手法が手を組み、刺激を投じる。トレンチコート、チェック柄ジャケットなどは、デザイン・柄違いの2着のピースを解体して融合。ばらして、剝ぎ取り、再びくっ付けたウェアは、独創的で複雑なシルエットをしている。フラワーの3D刺繍をしたチュールドレスも同様に、再構築から生まれた産物。ドレスとコルセットをドッキングさせているため、背中にはアシンメトリーに留まった、ランジェリーのディテールが見える。
2017年10月07日モンクレール ガム・ルージュ(MONCLER GAMME ROUGE)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク最終日の2017年10月3日(火)に発表された。会場に並ぶ無数のミラーボール。天井からは巨大な球体がぶら下がり、ギラギラと輝いている。ショーの始まりは、そのミラーボールをくぐり抜けるようにダンサー集団が登場。足元にはトゥシューズを履き、つま先立ちでくるくると回る。エレガントな足さばきとは異なり、上半身は力強い動き。手を伸ばし大きく広げパワフルなダンスを見せてくれた。コレクションピースは、彼女たちの動き、佇まいなどととても重なるところがあった。ベースとなるのは、エレガントな女性らしさ。シフォンやチュールなど軽やかな素材に、フェザーやレースが交わり優しい印象に。スカートはミニ丈で、花のプリントをあしらったものもある。オフショルダーのトップス、ビジューのついたショートパンツ。ウエストマークまたは絞ってシルエットの緩急を付けて、フェミニンなムードを高める。そこに無数に散らばる、程よいスポーツテイスト。スウェットトップスやフーディ、小物からはヘアバンドやナイロンバッグ、レッグウォーマー、ナップザックなどが取り入れられた。バレリーナがダンスレッスンを終えた後のようなラフさがそこにはあり、仕上がりはとてもモダンに見える。レイヤードアイテムとして度々登場した、チュールのスカートもバレリーナたちへのイメージに拍車をかけた。ラストは、幕開けを飾ったダンサーたちの再登場から。そこに、赤・白・青トリコロールカラーのフードジャケットを纏ったモデルたちが加わり、一同に整列。モンクレールらしい迫力あり、思わず写真に収めたくなる美しい演出と共にエンディングを迎えた。
2017年10月07日トム ブラウン(THOM BROWNE)が、フランス・パリでウィメンズの新作コレクションを発表。2018年春夏ランウェイショーが、パリ・ファッション・ウィーク最終日の2017年10月3日(火)に行われた。トムブラウンの物語は2人の少女から始まる。彼女たちが寝息を立てて静かに眠る寝室。その隣の部屋では、彼女たちが見ている夢の世界が広がっていた…。会場となったパリ市庁舎には、豪華なシャンデリアと壁画に混ざり、コロコロ色を変える球体の明かりが灯る。真っ白でぷにぷにとした、2人のエンジェルが登場すると、観客全員を幻想的な世界へと連れていってくれた。広がるのは海の世界だ。ジャケットには貝殻のスパンコール刺繍が、コートやドレスの上には碇のモチーフがのっている。カラフルなシースルードレスの背中にはタコが張り付き、手足を肩へ腰へと伸ばしている。Vネックのニットトップには、リボンテープを海藻のよういくるくると巻き付け、その間を泡のようにスパンコールが飛び散らせた。ドレスはマーメイドタイプで、オーガンザが幾重にも重なりその上をパールが転がるようにプリントされ”海の女神”のよう。トム ブラウンのアイコン・テーラードにも魔法のスパイスを。直線的なカッティング、シルエットは曖昧になり、裾がフレアになったり、身頃の一部分が丸みを帯びたり、アーム全体がぷくーっと広がったりして夢のような形になっている。色とりどりの花々で覆われた、ボリューム満点のジャケットもある。ボトムスはすべてお尻の下あたりまで落ち、アームクリップのようなもので留めて。シースルー素材で作ったチェック模様、小さな小花が並んだディテール、優しく伸びるリボン。可愛らしい要素がドリーミーな気持ちにしてくれると、伝説の生き物・ユニコーンがラストに登場した。朧気な色みのボディから伸びる大きな金の角と優しげな表情。まるで、おとぎ話の中に身を投じたような夢のようなショーだった。
2017年10月07日アニエスベー(agnès b.)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク最終日の2017年10月3日(火)に発表された。今季はフレンチシックなムードを残しつつも、若々しいテイストにシフト。カジュアルウェアと鮮やかなカラーを散りばめて、フレッシュに仕上げた。スクエアネックのワンピースやパンツスーツといった、アニエスベーらしいクラシカルウェア。そこに加わるのは、日本のストリートでも人気のあるブランドロゴTを筆頭に、スウェットフーディ、スタッズ付きのキャップといったストリートの要素だ。ロゴTシャツはメッシュTシャツのインナーとして、またはタンクトップ型になりスカートの上に重ねたレイヤードピースとして活躍。ブラック&ホワイトでまとめたスタイルは、パンクのテイストも感じさせる。また、チノパンやオーバーオール、ポケット付きシャツなど、ワークウェアとの起用も今季らしい。ファブリックはリネンやコットンなどが多く、ラフな印象。新しさと言えば、軽さのあるレザーがポイントに。アニエスベーのアイコンである、たくさんボタン並んだカーディガンやレギンスになって登場した。毎シーズン様々な風景を捉えたプリント。今季はパリの街のアイコンであるエッフェル塔や広大な田園風景、海鳥が集まる海岸、澄んだ青空などが切り取られた。また、万華鏡のような幾何学模様、安全ピンモチーフなど、ポップなプリントも多数。チェック柄、丸や四角を組み合わせたグラフィカルな模様と交わり、リズムのあるコレクションへと導いている。
2017年10月07日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、2018年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
2017年10月06日ジョルネ(JOUR/NÉ)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2017年10月2日(月)に発表された。ジョルネは、リア、ルー、ジェリーの3人が手掛けるファッションブランド。フランス出身のリアとルーらしい、フランスのエスプリがきいた会場で、たくさんの花々が並んだこじんまりとした庭園が舞台となった。その花園のアイデアからか、フラワーに鱗のような模様を加えたオリジナルテキスタイルが多数起用。ジャンプスーツになったりドレスになったり、様々なオケージョンに対応できるシルエットで提案された。ウィメンズと一緒にメンズも発表されたのだが、ショートパンツを中心としたラフなウェアが多い。女性服は、テインディテールを取り入れたりフリルを飾ったり、ワンポイントアクセサントを効かせているものが中心だが、パイル地を使ったり、ハート刺繍のデニサロペットやジャケットムを使ったり、やはり日常着に寄り添うものが多い。また、シーンに応じたコーディネートを提案しているのか、度々フランス語で曜日を意味するロゴTシャツが登場。その下には時間が記されていて、7:45、12:30、23:30と朝~夜までジョルネと共にファッションを楽しむと伝えているようにみえる。最もキャッチーでコレクションの目玉となったのは、コカ・コーラとのコラボレーションだろう。中庭の中央に設置された椅子にモデルが座ると、男性モデルが近寄りコカ・コーラを手渡し。ゴクゴクと喉を潤すモデルの背景には、CMで流れる音楽が流れている。この演出を受け、真っ赤な下地に白い文字のコカ・コーラロゴも登場。ショーツやロングTシャツの上に乗り、のど越しのように爽快な後味をコレクション全体に残している。
2017年10月06日レオナール(LEONARD)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2017年10月2日(月)に発表された。マスキュリンなウェアから幕開けした今季。テイラードジャケット、ポケット付きのシャツとパンツのコンビ、オーバーサイズのコートなど、男性的な装いから始まっている、しかし、蓋を開けてみると、ポップで楽し気な印象。特に動きのあるドレスと夏らしいビーチスタイル、加えて鮮やかなカラーパレットが鍵を握る。太陽が降り注ぐ白浜のビーチ。そんなシチュエーションで纏いたいのが、レオナールの今季のドレスだ。大きく広がったフレアなライン、大胆にカットオフされたバッグスタイルは印象的。ホルターネックにしたり、ラインテープを添えたり、元気なディテールも夏の印象を強める。ブルーベースの花模様やパキッとした橙色といった色使いもポイントだ。このサンドレスと並ぶ、夏の装いはスイムウェア。大振りのフラワーを描いたテキスタイルで、ワンピーススタイルとビキニスタイルを提案。ビックサイズのトートバッグは、夏の旅行にもぴったりだ。また着物スリーブ風の優雅なワンピースは、海を上がった後に纏いたい、思わずそういった物語をイマジネーションさせてくれる逸品。レオナールらしい長所として美しいプリントがある。発色がとてもよく、一つひとつの色彩からパワーをもらえる感じがした。そういった伝統的な要素に加えて、タンクトップやフード付きコートなど、スポーツミックスを行ってモダンさを追求するチャレンジ精神も印象に残る。
2017年10月06日アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)の2018年春夏コレクションが、フランス・パリで発表された。今季、クリエイティブ・ディレクターのジョニー・ヨハンソンが関心を寄せたのは、ファッションの外の世界。今シーズンを一言でいうと個性の爆発、それくらい1つ1つのピースに独自性があり、パワーがあり、特徴がある。ミラーパーツのようなギラギラとした光沢と、サーフルックで見かけるような蛍光色。フォーマルとカジュアル、男性性と女性性。70年代のようなエッセンスと現代のストリートに溶け込むモダンさ。共通項のないもの同士が集い、”悪趣味ギリギリ”な攻めのコレクションを築き上げる。パンツスーツはゆったりとしたサイズ感で、肩もずり落ちアームは垂れ下がり、メンズ服を着たときのようなルーズなシルエット。カラーはミントグリーンにオレンジのボタンと刺激は強め。交わるパイソンのミニスカートや大きな襟のサテンシャツは、70年代のエッセンスを感じさせる。また、ミラーボールのような輝きを放つビーズ、ポケットでジャラジャラと動くネジのようなシルバーパーツなどを筆頭に、デコレーションは充実。ブランドのアイコンであるデニムパンツも、スパンコールで埋め尽くされて、カジュアルな雰囲気とは一線を画している。パスポートのスタンプを散りばめた半袖シャツたタイトなブラトップは、シアーな素材で仕上げて。今季は素材にもこだわり、細やかにアレンジしたモデルが多数。プラスチックのように見える生地も、本当はデニムで上から特殊な加工を施したものだ。
2017年10月06日sacai(サカイ)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2017年10月2日(月)に発表された。今シーズンも、異なるテイストと素材を組み合わせて、サカイ流のミックススタイルを提案。昨シーズンと比べると柔らかな印象で、ティアードドレス、フレアスカートといったフェミニンなピースが多く展開されている。カットアウトやジップによる解体に加えて、パッチワークのテクニックも起用。迷彩シャツやMA-1といったミリタリー要素には、グレンチェックのテーラードなどブリティッシュカルチャーをマッチ。ドッキングコートはもちろん、それぞれのテキスタイルを取り出し、プリーツのロングスカートやフレアなスカートも作り出している。テーブルクロスのようなクロシェレースは、デコラティブなパンク・パッチワークでワンピースに。大きさ、カラーの異なるチェック柄を縦縞模様に並べて作ったリメイク風スカートも登場した。また、今季らしいアレンジとして、洋服を巻き付ける手法もあった。ナイロンジャケットやチェック柄ジャケットのアーム部分を結んで、リボンのように胸元に巻き付ける。洋服をくちゃくちゃとしてバックスタイルにのせた、バックパックのようなアレンジもあった。異なる要素が多数共存しているが、軽やかさと程よいラフさを感じられるのは、スポーツミックスのおかげだろう。ロングドレスは、タンクトップのように大きくくり抜かれた袖口がポイントで、ナンバリングロゴのトップスも展開。ドローコードは大活躍で、ボリュームコントロールしてアシンメトリーなシルエットをより強調させる。ほかに、中華ボタンを配したデニムジャケットといったカジュアルなピースも交じっていた。
2017年10月05日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2018年春夏コレクションが、日本時間2017年10月4日(水)午前1:30より、フランス・パリで発表される。ファッションプレスではその模様をライブ配信。2017‐18年秋冬コレクションは「境界線」を取り払い、都市と遥か遠い地方のエッセンス、マスキュリンとフェミニン、メゾンの伝統と現代のフィーリングなど、様々な要素を融合。3種類の素材を使用したドレスやフレアなクロップド丈パンツ、ミニ丈のスカートなどが展開された。また、音楽にはニコラ・ジェスキエールの好きなジャパニーズカルチャーより「攻殻機動隊」が選ばれるなど、日本文化も大きな役割を担っているシーズンとなった。前回から引き続き、舞台はパリ市内のルーブル美術館。名作が集うこの場所からリアルタイムで届く、最新コレクションに注目したい。【詳細】ルイ・ヴィトン 2018年春夏コレクション開催日時:日本時間 2017年10月4日(水)午前1:30現地時間 10月3日(日)18:30
2017年10月05日9月30日、ビューティフルピープル(beautiful people)がパリで、2018年春夏コレクションを発表した。先シーズンに引き続き、パリ・ファッション・ウィークの公式スケジュールにてプレゼンテーション形式でお披露目。テーマは“MAKE LOVE”。相反するものの組み合わせで固定概念を取り払った斬新なコレクションを展開してきた熊切氏は今季、男女が惹かれ合い一つになる瞬間のラブストトーリーを描いた。プレゼンテーションでは、会場中央にモデルとフィッターが登場し、着付け方を見せながらルックが変化していく。真ん中でカットアウトされた洋服たちが、ファスターやボタンの着脱によって一つの洋服として生まれ変わる。観客は、どんな洋服に仕上がるのか、どのように交わり合うのか、想定が難しい複雑な工程なだけに、興奮気味に目を向けていた。一つひとつはベーシックなアイテムばかり。トレンチコート、ノースリーブのロングドレス、ボリュームスカート、テーラードジャケットなど。全体的にグレーや黒といった落ち着いたカラートーン。紡ぎ出されるラブストーリーは、燃え上がる恋愛ではなく、互いを補完するかのように愛し合う恋人同士の物語といったイメージだ。パリでのコレクション発表を初めて行った先シーズンは、日本を全面に押し出した内容だったが、今季は和の要素はほとんど感じられない。ガラッと方向転換した実験的なプレゼンテーションは、熊切のデザイナーとしての柔軟性と創造性の高さが発揮されたのではないだろうか。早くも半年後の次のコレクションが楽しみである。
2017年10月05日マリメッコ(marimekko)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2017年10月1日(日)に発表された。プレゼンテーション形式をとった今季は、フィンランド・ヘルシンキより機械を持ち込み、アイコンテキスタイル「ウニッコ」の制作過程を紹介。茎を色付け、花びらに色を差し、背景色となるブルーカラーを塗るまでの工程を非常に長いテキスタイルを吊るして表現した。モデル達はその前に並び、さらにそのテキスタイルの間をかき分けるようにウォーキング。今季は、マリメッコの原点に立ち戻るもので、新作プリントに加えてアーカイブも多数登場している。全てのピースに共通するのは、ゆったりとしたサイズ感とリラックスした印象。ウニッコのドレスは、ウエストなどを絞ることなくたっぷりとしたサイズ感のため、テキスタイルの面積が大きく色柄の美しさが伝わりやすい。しかしながら、首元はVの字にカットされ、いい塩梅に抜け感が出来ている。ストライプ模様のドレスは、ウエスト辺りから斜めのストライプ柄に切り替え、裾も同様に斜めにカットアウトしてリズムをつけた。シャツやパンツ、膝丈スカートなども展開されているが、どれもリラックスしたムードは同じ。波のようなウェーブプリント、シンプルなストライプ柄などで提案されている。また、今季は同柄でコンビネーションを楽しむ着こなしも提案。シャツドレスやロング丈のワンピースに、ワイドパンツを合わせたセットアップスタイルが多く展開された。小物ラインからは、人気のコットン地トートに加えて、バックパックが登場。足元は甲まで覆った履き心地のよいレザーシューズが起用されていて、履き口が斜めにカットされていたり、キトゥンヒールになっていたりと、可愛らしいデザインが取り入れられている。
2017年10月04日アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood)2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年9月30日(土)に発表された。今季は、ヴィヴィアン・ウエストウッドの夫であり、ブランドのクリエイティブ・ディレクターである、アンドレアス・クロンターラーの名前「andreas」と名付けられたシーズン。コレクションノートには、自分の名前がなかなか好きになれなかったことや他の国が母国であったらよかったという本音とともに、年々色の持つ官能性に惹かれていることが綴られている。始まりは、真っ白なダウンをストールのように巻いたモデル達の登場から。首から頭、そして足首から下しかよく見えないが、中はスイムウェアかアンダーウェアを纏ったくらいのように見える。ショーを開けてみると、コレクションノートの言葉通り、鮮やかな色彩に溢れ色の魅力を伝えているように感じる。赤やブルー、オレンジ、黄色。ダメージ加工、ブロークンディテール、落書き風のハンドペイントなど”正統派”ではない世界に溶け込んだパレットは、ブランド特有の反逆的な精神までも明るく見せてくれる。また、色と色の重なりを楽しむように、パッチワークデザインが多い。スニーカーモチーフや絵画風のテキスタイルなどを組み合わせたドレス、パンツ、トップス。象徴的な性に関するプリントも今季は真っ赤なハートマークを上からペイントされポップなムードだ。また、小花柄のスカートと大きなハットは、アンドレアス・クロンターラーの出身地であるオーストリア・チロル地方の伝統衣装をイメージしているようにも見える。生地を破ったり割いたり、またテイスト違いのビックサイズのジャケットなどとのコーディネートも、過去に抱いていた母国へのマイナスなイメージを表現するように映った。自分自身の本当の姿を再現する開放感は、南国の島への旅にも繋がったようだ。特にメンズは、スイムウェア風のショートパンツが多く、アロハ柄で彩られている。女子モデルの耳には、サクランボやラズベリーなどビックサイズのフルーツピアスがぶら下がり、こちらも純粋にファッションを楽しむ、開放感のようなものが生きている気がする。
2017年10月04日オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)が、パリで2018年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
2017年10月04日バレンシアガ(BALENCIAGA)は、2018年春夏ウィメンズコレクションのランウェイショーにて、クロックス(CROCS) の定番「クロッグ(clog)」をベースにした、10cmソールのプラットフォームシューズ「the “Foam”」を発表。既存の誰もが認識できるアイテムを、ラグジュアリーファッションの枠組みに入れ込む新たな手法だ。バレンシアガのために特別にクロックスが製造した同シューズ。ショー終盤のルックでお披露目されたのは、ピンク、イエロー、グレーといったカラーラインアップ。アッパーには、バレンシアガのロゴやアルファベットのB、国旗、ローズ、アニマルなどをモチーフにしたアクセサリーがあしらわれている。クロックスは、「バレンシアガが私達にアプローチしてきた時、何を一緒に創り上げることができるのか、そして我々のデザインと成型品の可能性を押し広げるこの機会に興味を抱きました。バレンシアガと作業をすることは我々のチームにとってとても楽しく、また私達のアイコニックなクロッグの現在のファッションやデザインの世界における意義を改めて示し、予想もしなかったパートナーシップによる興奮やエネルギーが生み出されています」とコメントを発表している。「the “Foam”」は世界中のバレンシアガ販売店と、バレンシアガウェブサイトにて2018年春夏シーズンに展開される予定。
2017年10月04日ビューティフルピープル(beautiful people)の2018年春夏コレクションが、フランス・パリで発表された。今季のテーマは「MAKE LOVE」。今季、デザイナーの熊切が行ったのは、異なる2つのものを融合させて一つにすること。惹かれ合う男女が繋がるように、相反するふたつのものがひとつになる瞬間と完成図を表現する。プレゼンテーション形式で行われたショーでは、会場中央にモデルとフィッターが登場。真ん中でカットアウトされた2つの洋服を持ち出し、ファスナーを上げたり下ろしたり、ボタンをつけたり外したり、リボンを結んだりほどいたり。そんな手作業を繰り返しながら、2つのワードローブが綴るラブストーリーを紹介する。実験的でユニークな仕掛けのウェアではあるが、ベースデザインはとてもシンプル。ボリュームスカート、ジャケット、ノースリーブドレス。素材にはコットンやシルクを使い、カラーは黒やグレーなど落ち着いたパレットを基調とした。パリデビューとなった昨シーズンとは変わり、和の要素も消えている。トレンチコートとライナー、デザイン違いのふたつのドレス、ショートブルゾンとテーラードジャケット。異なるアイテムが交われば、色柄も同時に一緒にになり、黒とグレー、花柄とチェックが溶け合っていく。プレゼンテーション形式で着付け方を見せてくれているのに、その交わり方は非常に曖昧だ。どこまでがどちらの洋服であるかの境界線を決めることができないほど、テキスタイルが右往左往している。その複雑さに変わり、デザインがとてもシンプルなため、完成した姿はすっと心に馴染む。
2017年10月04日A.P.C.(アー・ペー・セー)の2018年春夏コレクションが、プレゼンテーション形式でフランス・パリで発表された。2017年9月29日(金)のことである。昨シーズンブランド30周年を記念し、ランウェイショーを開催したA.P.C.。新しいステージの幕開けとなる今季は、ブランドのアイデンティティである「デニム」にフォーカスした。今季はスタンダードなパンツ、膝丈スカートに加えて、遊び心溢れるデザインが揃う。デザイナージャン・トゥイトゥが、カラフルなペンキを思うがままに飛ばしたというデニムパンツ。パンツを広げてエプロン型にしたスカート。ジャケットとパンツをドッキングさせて解体したコート。構築的なフォルムにリデザインしたケープなど、進化型デニムが盛りだくさんだ。デニムと並んでキーワードとなったのは、フェミニン。フレンチシックで可愛らしい。そんなA.P.C.ガールに合わせたのは、小花柄のワンピースだ。色柄は豊富。パープル、イエロー、レッド、春の花々がコットン地の上に咲き誇る。胸元のリボンや揺れるようなフリルは、より可憐な印象へと結びつける。また、暖かな季節の訪れを楽しむように、さらりと一枚で着れるトップスも一緒に。フラワーと小鳥に彩られたこのトップスは、同柄のフレアスカートと合わせてセットアップでのコーディネートも楽しめる。
2017年10月04日ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年9月30日(土)に発表された。ナチュラルでほんわかした印象を受けた。スタッズチョーカーやトゲトゲのヘッドピース、レザーのライダースジャケットなどで、一見パンクロックを感じさせつつも、北欧デザインのような優しいボタニカルモチーフ、有機的なラインデザインが揃い、日常に取り入れやすいカットソーやTシャツワンピース、シャツなどが多かったからだ。序盤のキーワードは3Dドレス。うねるようなライン、スクエア型のモノグラムなど、グラフィカルなプリントテキスタイルの上に3Dの要素がのる。渦のように深く掘った穴、無数の空洞、地面と水平の突起、半円形型のこぶ。ドレスのいたるところに散りばめられ、見たこともない超立体的なドレスが完成している。続くのは、模様に合わせたカッティングとテキスタイルの重なりを楽しむピース。スクエア型モノグラムのコートは、モチーフに合わせて直角のショルダー。ウェーブ模様のコートには丸みのある肩回り。ドット柄のトップスは裾もラウンド型にカッティングされ、ボーダーTシャツはサイドを三つ編みのように生地を編み込み、模様に合わせてドレープを作る。青々とした木々に溶け込めそうな、オリジナル迷彩柄の登場とともに、興味関心は円形にシフト。円形パーツをパズルのように組み合わせたコート、ワンピースが揃う。卵のような丸みとぷっくりと膨らんだフォルムは、なんとも女性的で可愛らしい。半円と円形パーツをコンビネーションさせたドレスは、背中に蝶々が止まったように4つの羽が広がり、幸せな気分にさせてくれる。
2017年10月03日ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年9月30日(土)に発表された。今シーズンは、ロング&リーンのアイコンシルエットに、”表と裏”を使った遊びを加えた。裏地にアクセントを付けたものが多く、襟元、袖口、胸元など随所で”裏”の姿を登場させて色の組み合わせを楽しんでいる。ノーカラーのロングコートから覗く、真っ赤なライナー。ジャケットは、ボタン口をカットオフしてあえて裏地を見せた。先に発表されたメンズコレクションでも見られたが、剥くようにして生地を破り裏地を見せた、パッチワーク風のジャケットも展開される。また”表の顔”となる前からみた姿と”裏の顔”後ろ姿が大きく異なるルックもある。真っ赤なパンツセットアップは前から見るとフォーマル。しかし、バックスタイルはトンネルのようにくり抜かれて、背中を大胆に露出させている。色の組み合わせという面では、度々登場するドレスやトップスにも共通項がある。2色のカラーを使い、テキスタイルをくるくるとねじり上げる。出来上がったのはアンバランスで不均衡なデザインであるが、色のコンビネーションが美しい。特に、ハイダー アッカーマンには珍しいパウダーイエローやライトブルーといったソフトな色合いは、ホワイトと相性がよくハッピーな印象を受ける。
2017年10月03日ロエベ(LOEWE)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。今季のロエベウーマンは世界中を旅する女性。クラフトに造詣が深い人物で芸術的な感性が鋭い人物だ。そんな女性像を表現するために、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンが取ったのは、ラフなアイテム使いとアシンメトリーなカットアウト。旅に最適なアイテムとして、今季はTシャツを提案した。シンプルな白いTシャツとロエベのロゴTシャツ。それに、ストレスなく歩けるブーツとスニーカー、気候の変化に対応できる大判のショール、バケットハットを。ボトムスにはデニム、さらにジャージ素材も起用して身軽さを追求する。揃ったワードローブには、ロエベウーマン独自のクリエイティビティでアレンジを加える。白Tはロングワンピースにして、パステルカラーのチェック柄テキスタイルを上から重ね、ロゴTシャツは裾をカットとしてフリンジのように飾る。旅のお供にと、ライニングがなく、リバーシブルで使える新作バッグ「テント」も取り入れた。また、旅先で見つけた文化はファッションとして取り入れる。そんな自由なマインドを表現するかのようにパッチワークデザインが多く登場。ペイズリー柄、マルチカラーストライプ、ギンガムチェック。これらをベージュ、ホワイト、ブラックといったベーシックカラーとコラージュしてドレス、コートなどを作り出した。彼女の創造性を象徴する不均衡なシルエット。ロングドレスはウエストあたりでくり抜くようにカットアウトされ、トレンチコートは裾を細かく切り込みリボンテープが斜めに広がる。そこに、レザーのパッチワークを添えて。細かな刺繍や整列したくるみボタンも、彼女のアーティスティックな感性を物語る。なお会場には、スティーブン・マイゼルが撮影したロエベのビジュアルから作った大型のタペストリーとモー・ジャップによるミニチュア陶芸彫刻をデコレーション。装いだけでなく空間そのもので、ロエベウーマンのキャラクターを表現していたようだ。
2017年10月03日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、10月4日1時半(パリ現地時間3日18時半)より、ニコラ・ジェスキエール(NicolasGhesquiere)による2018年春夏ウィメンズコレクションショーのライブストリーミングを、オフィシャルサイト(www.louisvuitton.com)で配信する。会場は、ルーブル美術館。また、ルイ・ヴィトン公式インスタグラム()では、ショーに向けてコンテンツを公開中。SNSハッシュタグは「#LVSS18」。ショーの様子はこちらからも視聴が可能(※会場の都合により遅れる場合あり)。
2017年10月03日ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)は、パリ市庁舎の大広間を会場に2018年春夏ウィメンズコレクションのショーを開催した。このブランドらしいモチーフ使いに美しい色が加わり、それらを浮き立たせるために、ランウェイには白いカーペットを敷いてモデルがウォーキング。1920から80年代の各時代のイメージをミックスし、ヒトデや花などの享楽的なモチーフ、唐草などのクラシカルで重厚なモチーフ、そして20年代のシュールレアリズムを思わせる唇のモチーフなど、数10種類以上を駆使。素材はコットンやシルクなどの自然素材を中心に、膨れ織りのブロケードやチュール、モスリンなど軽重様々で、その重なりは絵画的な美しさを見せる。今シーズン特に新鮮だったのが、プリントのスカーフ使い。キャミソールやスカートなどに仕立てられていたほか、ドレスやトップスのパーツとして融合させているのが特徴。毎シーズンのことではあるものの、様々な時代背景やインスピレーション源で縦横無尽さを保ちながら、コレクションを多面的に見せつつ、強さと優しさを兼ね備えたエレガントでモダンな女性像という共通のイメージで全体に統一感を持たせている。しかし、それが常にアップデートされたフレッシュなものになっているのは、正にドリスマジックとしかいいようがない。
2017年10月03日カルヴェン(CARVEN)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月28日(木)に発表された。新クリエイティブ・ディレクターに、セルジュ・ルフューを迎えて初めてのショー。そのフレッシュさを体現するように、会場にはパリ市内の大学FACULTE DE JUSSIEUが選ばれた。新生カルヴェンの印象は、スポーティな要素とワークテイストが盛り込まれていて若々しい。また、ウェアラブルであることがデザインの念頭にあるようで、都会に溶けこみやすい程よいデイリー感がある。統一されているのは、アシンメトリーなシルエット。前は短く後ろは長く、または反対のフォルムがほぼほぼ全てのピースに落とし込まれた。トップスに関しては、8の字のような凹凸が多く起用され、丸みのあるアームやショルダーに対して、ウエストはキュッとタイト。ギャザーを寄せたり、ベルトを配したものもある。アイテムは、プリーツスカートやノースリーブワンピースなど、女性のクラシックウェアを基調に。そこにクロップドタイプのキルティングダウン、ワークジャケット、ラガーシャツなどが組み合わされる。気の利いた繊細なディテールも印象深い。シャツに部分的に描かれたイラストや、キャラクター風のワッペン。スカートやパンツには、フリンジ、パールなどを使った立体的な刺繍がランダムにあしらわれている。若々しい感性から、ポップな模様も生み出された。鳥やアルファベットをモチーフにしたプリントは、思わず見惚れてしまうほど可愛らしい仕上がり。ただ、色使いがカーキやベージュ、ブラウンなど落ち着いているためか、主張は強くなくひっそりと潜めているような印象だ。
2017年10月03日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)の2018年春夏ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月29日(金)に発表された。雨降りしきる夜のパリ。日中は強い日が差し、ここ数日に比べて暑さが際立つ気候であったのに、ヨウジヤマモトのショー前に、滝のような豪雨が降った。ショーが始まると、そんな”過酷な環境”が嘘みたいに穏やか。響き渡るギターの音色、モデルのゆっくりとしたウォーキング。そして、プリーツ、ドレープ、ギャザーなどを集め立体美を追求した”足し算”の昨シーズンとは変わり、今季は引き算の美学。慎ましく控えめ、これが第一印象だった。おそらく、今季のキーワードは切断だろう。山本耀司が仕立てたテーラード、コートは、その美しい完成体を惜しげもなく、縦横無尽にカットアウト。トレンチコートは、ボディからアームが離れて肘の辺りまで落ち、テーラードコートは本来お腹のあたりにあるはずの中央ボダンがアームへ。バックスタイルはどれも斜めにカットアウトされ、カーゴパンツのサイドポケットはひどく下に落ち、ひざ下の位置に。どのパーツも本来の位置にはないのに、洋服の美しい形を保てている。技術だ。バラバラになった生地はボタンで繋ぎ留め、そのボタンもきちんと上から下まで止めることなく、ずれていたり抜けていたり。足りない部分はあて布のように1枚布をアタッチ。これらが集まると、観る者の予想だにしていない膨らみやドレープ、フレアなシルエットなどが生まれ、女性らしいフォルムが作られていく。後半に続くにつれ、このカットアウトは潔さを増し、洋服は綺麗に半分こ。サロペットもドレスも全部中央で真っ二つになっていて、ボタンや金具で絶妙に止められている。そこで流れる音楽は「俺を置いて消えていく、辛いことがあったんだね、キレイだよ君の背中」というナンバー。過去の恋人を想うのか、甘く切ないメロディーにぱっくり背中が真っ二つになったドレスがのる。よく見ると背中には、ロゴシールのようなものが付いていて、全ての文字は読み取れなかったが「LOVE」といった文字があったのは確かだった。切断というクリエーション手法には似つかわしくないが、今季は愛に溢れた創作であったのかな…と妄想が膨らんだ。
2017年10月03日リック・オウエンス(Rick Owens)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年9月28日(木)に発表された。会場につくと手渡されたのは雨カッパ。シートの前には巨大プールのような、水を引いた広場が広がっている。水族館にイルカショーを見に来た時のような興奮と、一体リックは何を始めるのだろう…という期待が観客を包み込んでいた。始まりは静かで、この水場に沿ってモデルが闊歩するものだった。ファーストルックからしばらくは白いドレスの連続。折り紙のように織り込んだり、テキスタイルの中に空気を入れ込んだり、ひねったり、カーブさせたり。片方だけ長いアーム、片足だけのアームウォーマー。シルクツイルやナイロン、テクニカルコットンキャンバスといった素材を自由気ままに触り、アンバランス組み合わせ、" リック・オウエンスのスタンダードウェア"を作り上げていた。しかし、そこからが今季の始まり。突如として目の前の水場から天まで登る勢いで無数の噴水が発射。と同時に、大量の水しぶきが観客に降り注ぎ、先に渡されたカッパの意味を知る。幻想的な霧に包まれたような靄がかかった会場には、彫刻のようなピースが新作ウェアとして紹介される。ボディの周りにまとまっていたテキスタイルたちは、身体の中央から離れ、首の上に向かって高く伸びるもの、ウエストから離れて前に前にと繰り出してくるものなど様々。サナギのような丸みと同時に、鎧のような硬さ、どちらも感じとれる不思議なシルエット。フリル、Tシャツの首元のようなリブがそこらかしこに散らばり、どこがアームでどこがネックでという概念そのものまでも払拭されている。とにかくショーそのものがエンターテイメント性が高く、誰もの心にしっかりとリックオエンスのクリエーションが刻まれたに違いない。凄まじいスプラッシュできちんと直視出来なかった人もいるかもしれないが、誰もの心に「アハハハハハハ」という笑い声サウンドだけは残っただろう…。
2017年10月03日アンダーカバー(UNDERCOVER)の2018年春夏コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月29日(金)に発表された。テーマは、2つの顔を持つ「JANUS」。共通項を持ちながらも対照的な要素をファッションを通じて表現する。演出は非常にドラマティックで、ほぼ同じ背丈のモデル2人が1組になり”双子ルックコーデ”のまま手を繋ぎながら会場を回った。相反するもの、象徴としてリバーシブルウェアを魅力的に映し出した。ショーの始まりはとてもフェミニンで、ワンピースにソックスがユニフォーム。ミニ丈、フリル、フレア、リボン。少女趣味のルックが並んだ。彼女たちは、バッグ、シューズ、ヘアアクセサリー、ピアスまで一緒で、片方の襟がめくれていれば、もう片方の襟もめくられるほどそっくりさんだ。違うのは、カラーリングと洋服の上にのった模様、モチーフなど。白い雲が浮かんだ朝の街と星が瞬く夜の街。人々の下に根を張る木の幹と青々とした草木。と、物語性のある対局のものを見せ、観客のイマジネーションをくすぐる。ロリータチックなムードから、男性性・ダーク・ゴシックといった要素が並ぶ世界へトリップ。転換の火付け役となるのは「CINDY SHERMAN」プリントの登場だ。彼女を映した、モノトーンのプリントドレス、ベアドレスの反対には、唇やリンゴ、黒猫を象ったビジューモチーフがいっぱい。そこからは、涙を流した瞳と血のような鮮血の赤、「LOVE ANIMAL」と「HATE HUMAN」のロゴ対比、とメッセージ性の強いデザインが強調される。そろそろフィナーレかというタイミングには、サプライジングな演出が。ライトブルーのミニドレスにハイソックスを着たモデルが5組。ただ、それぞれ左側の子だけが赤い糸状のアクセサリーを身に着けている。よく見ると、二人はそっくりで本物の双子を登場させたようだ。表の顔と裏の顔、二つ同時に並んで真っ赤な装飾を加えれば、どこか”2つの顔”は狂気的な感じに映る。
2017年10月03日