宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は11月28日、11月30日に打ち上げを予定していた小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げを12月1日以降に延期することを決定したと発表した。この決定は、打ち上げ時間帯にかけて現地の天候が悪化する予測を受けてのもの。具体的には射場近辺に規定以上の氷結層を含む雲の発生が予想されるためだとしている。なお、今後については天候状況などを踏まえ、打ち上げ日の判断を行っていく予定だという。
2014年11月28日宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタートした(毎週金曜23:00~)。28日に放送される第4話「宇宙の最初の1秒間」は、複数の専門家の意見を交えてビッグバンの謎に迫る。今のところ、現在の宇宙の起源とされている現象"ビッグバン"。何千億個もの銀河やそれを形作っている材料のすべてが凝縮した小さな1点、それがビッグバンを経て一瞬のうちに宇宙へと変貌を遂げた。宇宙の最初の1秒間は、宇宙の歴史上で最も重要な時間。なぜならば、その間に空間、時間、エネルギー、物質が一瞬のうちに生まれて動きはじめたからだ。しかし、今の時間の概念では、この宇宙創生の瞬間を語ることはできない。そこで、「10億分の1秒」のような想像を絶するほどの時間を表す単位「プランク時間」が用いられる。もともと、空間と時間は限りなく小さな1点の「純粋なエネルギー」の中にあった。そしてプランク時間が動きはじめた時に空間と時間は解放され、空間が膨張を開始。ビッグバンは「空間の中」で起こったのではなく「空間自体の爆発」と考えられている。そして、物質から星や銀河を作るために必要不可欠な「重力」が発生。強すぎず弱すぎない重力のお陰で、さまざまな物質が誕生していくことになる。宇宙の数ある謎の1つが、「どこを眺めても同じような銀河がほぼ均等に散らばっている」こと。1979年に宇宙学者のアラン・グースは、その謎を解き明かす説として「インフレーション理論」を提唱した。それは「生まれたての宇宙が想像を絶する速さで膨張した」という内容で、アラン・グースは「急激な膨張が、宇宙を構成する要素を均等にばらまき、宇宙に秩序ある配置をもたらした」と考えた。このインフレーション理論から時は流れて2014年3月。南極からの観測データが科学界を騒然とさせた。それは「宇宙誕生の直後に起こったことを伝える痕跡を捉えた」というもので、観測データはインフレーション理論にほぼ合致。同理論ではほかの宇宙を発生させた可能性もあるため、複数の宇宙が存在する「多元宇宙」やわれわれと全く同じ人々が全く同じ人生を歩んでいる「並行宇宙」など、「どんな宇宙でも存在しうる」と考えている科学者も現れた。そのほか、番組ではアインシュタインの「物質は凝縮されたエネルギー」という考えが与える影響、アメリカ・ロングアイランドにある研究所での「粒子の衝突実験」、ビッグバンの解明が大きく前進した「ヒッグス粒子」についても解説している。ビッグバンを経て、陽子と中性子が原子核を作りはじめ、38万年後に原子が誕生し、そこから数億年後に原子が集まって星が生まれ、90億年以上をかけて太陽や地球が誕生。今回の番組は、この壮大な"過去"を振り返りながら「すべての運命は、宇宙の最初の1秒間で決まっていたのです」という言葉で締めくくられている。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月28日シチズンマシナリーミヤノは11月26日、インドのバンガロールにテクニカルセンターインド(Citizen Watches (India) Pvt Ltd, Citizen Machinery Technical Center Division)を開設したことを発表した。インドは長期的には自動車や医療、建設機械などの分野での工作機械の需要拡大が見込まれており、同社では今回のセンター設立により、顧客と直接のコミュニケーションを推進し、ダイレクトマーケティングによるインド固有のテクニカルノウハウの確立ならびに技術支援体制の構築を目指すとしている。また、それによる最適ビジネスモデルの構築と市場に適した商材の投入を進めることで、2016年までに同市場での売り上げ倍増を目指すとしており、その第一弾として、同センター内にショールームを設け、高剛性低価格機として評価の高い工作機械「Cincom A20 VIIPL」を給材機付きで設置するとしている。なお、同社では顧客向けテストカットなど、ビフォア―サービスの対応を実施すると共に、自社が保有する技術・ノウハウのインド市場への積極投入も行っていく方針としている。
2014年11月26日宇宙には必ず終わりが訪れるという。それはいつ、どのように迎えるのか。宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタート(毎週金曜23:00~)。14日の番組では、「宇宙の終わり」をテーマに「明日にも人類が滅亡する可能性もある」という衝撃の仮説を、宇宙学者や天体物理学者ら複数の専門家の意見を交えて検証する。宇宙滅亡の鍵を握るのは、収縮させる「重力」と時空の「膨張力」。重力が勝れば宇宙は収縮を繰り返して超高密度の火の球になり、逆の場合は限りなく冷え込んでいく。この両者の綱引きで膨張力が勝った状態を「ビッグフリーズ」、重力が勝った状態を「ビッグクランチ」と呼び、釣り合った場合はそのままの状態が保たれる。現在はこの均衡状態にあるといわれている。太陽は天の川銀河を形作る2千億個の恒星の1つにすぎず、天の川銀河も直径900億光年以上の広がりに散らばる無数の銀河の1つにすぎない。番組は、巨大な銀河から小さな原子までもが「いずれ死を迎える」と断言している。そのはじまりは138億年前。高温で高密度の小さな一点が突然急膨張をはじめた。この「ビッグバン」からすべての物が生まれ今でも時空自体を膨張させているが、絶妙な加減の重力が働いていたことから、現在まで宇宙は均衡を保っている。40年前までは、ビッグフリーズとビッグクランチのどちらも起こらないとする説が主流だったが、1970年代にダークマターが発見されたことで状況は一変する。それは光を発することも反射することも、遮ることもない謎の物質で、宇宙をつなぎとめる役割を果たす一方、破滅の危険ももたらしている。つまり、大量の物質であるダークマターが存在していることで重力が優位になり、ビッグクランチ説が有力に。ところが、90年代になると宇宙の膨張を加速させる謎の"ダークエネルギー"の存在が判明する。正体不明のそのエネルギーは物理学史上最大の謎と言われ、真空そのものに存在する。重力に反発するエネルギー、いわゆる「反重力」の作用をもたらしていると考えられており、NASAが最先端の機器で宇宙に存在するダークエネルギーの量を調べたところ、全体のほぼ4分の3を占めていることが明らかになった。しかも、そのエネルギーは宇宙の膨張に伴って増え続けているという。球を頭上に投げた時と同じように減速していくと思われた宇宙の膨張が、加速しているという現実。この物理の法則に反した現象が、このエネルギーに関係するいわれている。宇宙を膨張させるダークエネルギーの存在が分かったことから、ビッグクランチ説は消滅。空間とダークエネルギーの関係が対等なら、宇宙は一定の速度で膨張し続け、ビッグフリーズに終わる。しかし、ダークエネルギーの増加率が上回れば、別の結末が待ち受けている。「ビッグリップ」は、「すべてが引き裂かれる」という新たな説。最後の数分で宇宙のすべての星や惑星が破壊され、その残骸が小さなかけらとなる。原子が破壊され光子が残り、最終的には時空すらも引き裂き、現実が消滅。宇宙の終わりは、ビッグリップか、それともビッグフリーズか。いずれにせよ、このダークエネルギーの性質を解明しない限りは、正確な「宇宙の最終章」を描くことはできない。現在、最も有力視されているシナリオがビッグフリーズで、気の遠くなるような時をかけて、冷え切った死を迎えるというもの。それを唯一打ち消す可能性があるといわれているのが「相転移」と呼ばれる現象だ。水の温度を下げると氷になるような物質の変化を指し、真空でもそのような現象が起こり得るとされている。真空からエネルギーが相転移によって放出されると、物理の法則が崩壊。新たな宇宙の"泡"が古い宇宙を一気に飲み込み込んでしまう。ビッグバンの瞬間から、1兆分の1秒にも満たない間に何かが相転移を引き起こし、すべてを破壊しながら急激に膨張した結果、現在の宇宙が誕生したとされている。今、われわれが目にしているものは、すべてそのエネルギーが作り出したもの。古い宇宙が持っていたエネルギーは新しい宇宙を作るために使われ、残ったものがダークエネルギーとも考えられる。相転移をもたらす"泡"は宇宙を光の速さで駆け抜け、膨張する泡が届いた途端に、惑星も星雲も銀河も破壊されてしまう。そして、古い宇宙から新しい物理の法則をもった新宇宙が誕生。それは意識しない一瞬の出来事。物理の法則が変わった瞬間に、すべてが消滅する時を迎えるということになる。この相転移がいつ起こるかは想定できないが、発生確率を予測することはできる。可能性としては、100億年か200億年に1度起こるとされていることから138億年が経過した現在の宇宙で起こっていないのは幸運ともいえる。宇宙学者のローレンス・クラウスは番組の最後でこんな言葉を残している。「ダークエネルギーの正体が分からない限り、何も定かなことは言えません。宇宙の将来をはじめ、多くのことが謎のままです。だからこそ、胸が躍るんです」。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月13日「宇宙戦艦ヤマト」のTVシリーズ第1作をベースに、新たなスタッフで制作した「宇宙戦艦ヤマト2199」のすべてが詰まったムック本『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』が11月26日(水)に発売される。イラストギャラリーをはじめ、ヤマト第1作を現代的にリメイクしたTVシリーズ(2013年)クロニクル、10月公開の総集編となる映画「追憶の航海」解説、そして12月6日(土)公開の完全新作映画「星巡る方舟」の新設定完全紹介など、「2199」シリーズの魅力を凝縮。新作映画の総監督を務める出渕裕や、総集編のエンディング主題歌を唄う水樹奈々、中村繪里子、内田彩ら豪華声優陣のインタビューも満載で、表紙はTVシリーズのエンディングイラストを手がけた漫画家・麻宮輝亜による最新描き下ろしとなっている。現在「BOOKぴあ」では、予約購入者特典として表紙イラストのオリジナルクリアファイルがもらえるキャンペーンを実施している。■『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』2014年11月26日(水)発売1350円(税込)ぴあ<コンテンツ内容>◎「宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟」新設定全紹介◎7大スペシャルインタビュー・出渕 裕総監督・結城信輝・宮川彬良・山寺宏一・水樹奈々・中村繪里子・内田 彩◎描き下ろしイラスト◎濃縮「宇宙戦艦ヤマト 2199」クロニクル◎「2199」プラモデル完全ガイド他※麻宮騎亜描き下ろしB3ポスター付★BOOKぴあ予約購入特典★麻宮輝亜描き下ろし表紙イラストのオリジナルクリアファイルプレゼント(送料無料)■『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』12月6日(土)より公開
2014年11月13日宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所と東北大学は11月7日、宇宙赤外線背景放射にこれまでの予測を超える大きな「空間的ゆらぎ(まだら模様)」が存在することを発見したと発表した。同成果はJAXAと東北大のほか、米カリフォルニア工科大学や韓国天文宇宙科学研究院などとの協力のもとで実施した実験によるもので、11月7日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載された。今回の発見は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の今回の成果は、NASA の観測ロケットを用いて2009年から実施しているCIBER実験のうち、2010年7月と2012年3月に撮影した赤外線観測画像から得られたもの。CIBER実験とは、すばる望遠鏡などの大きな望遠鏡を用いても詳しく観測することが難しい初期の銀河を観測するための観測手法。近傍から遠方宇宙までの天体の光が足し合わされた宇宙赤外線背景放射をまとめて観測する。その中から、明るさ(放射の強さ)の空間分布パターンの「まだら模様」を検出することで、観測された明るさから太陽系内の影響を取り除きやすくなり、観測対象である銀河系外からの放射成分を抽出することができる。個別に分解できる前景の明るい星や銀河を取り除いた後の画像には、空間的に広がった宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」のパターンが現れる。発見された「まだら模様」を分析したところ、その大きさが知りうる限りのすべての銀河を考慮した予測値の2倍以上も大きいことが判明。条件的に既知の天体の影響では説明できないため、未知の放射成分が関係している可能性があるとういう。同研究チームはすでに、銀河の周囲にあり、ダークマター(暗黒物質)が広く分布しているハローという領域に、銀河同士の過去の相互作用により放出された多数の星が存在し、それらの光が今回観測されたような「まだら模様」を作り出すのではないかという仮説を立てている。現在、CIBER-2が進行しているとのことで、望遠鏡の口径を3倍にしてさらに精度の高い宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」の測定を実施する予定だ。目標は、銀河ハロー星の仮説の検証を行うとともに、その向こうに見え隠れしている宇宙初期の「まだら模様」の成分も検出することだという。
2014年11月07日12月20日に全国公開されるアニメーション映画『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が、11月30日にJAXAが打ち上げる小惑星探査機「はやぶさ2」のオフィシャルサポーターに就任した。小惑星探査機「はやぶさ2」は、地球と火星間の軌道を周回する小惑星「1999JU3」の探求を目的としており、大昔の地球の姿といわれる「1999JU3」を調査。地球の誕生の謎に迫る取り組みとなる。今回の試みは『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が過去へタイムスリップして「妖怪ウォッチ」誕生の秘密を探る物語であり、ともに"誕生の秘密を解き明かす旅をする"という共通の目的から、今回の企画が実現したという。オフィシャルサポーター就任を受けてJAXA東京事務所を訪れたジバニャンは、JAXA奥村直樹理事長から「はやぶさ2」プロジェクトの詳細を聞き、「はやぶさ2」の模型の前で記念撮影。奥村理事長はジバニャンに対して「全国の子供たちとみんなで今回のプロジェクトの成功を祈っていてください」と期待を寄せていた。「はやぶさ2」は、世界初の小惑星サンプルリターンに成功し、4本の映画化や数多くの書籍化などで大ブームを巻き起こした「はやぶさ」の後継機。本体の大きさは縦1.25m×横1m×奥行1.6mで、重さは約600kg。鉱物に加え水・有機物が存在すると考えられる小惑星「1999JU3」(C型小惑星)に向かい、地形・内部構造・重力他の科学観測と物質サンプルリターンにより、太陽系や地球、生命の起源と進化過程を紐解く人類の新たな知的財産を獲得することを目的としている。地球への帰還は2020年を予定。そして、現在小学生を中心にゲーム、アニメ、玩具と爆発的な人気を誇っている『妖怪ウォッチ』は、『イナズマイレブン』や『レイトン教授』、『ダンボール戦機』を手がけたレベルファイブによるゲームソフト。妖怪たちと友だちになれる腕時計「妖怪ウォッチ」を手に入れた主人公・天野ケータが、日常に潜む妖怪たちとともにさまざまな問題を解決していく。2014年7月に発売されたニンテンドー3DS用ソフト『妖怪ウォッチ2 元祖/本家』は累計260万本を突破し、現在4巻まで発売されている単行本は330万部を記録。2014年12月13日にはニンテンドー3DS用ソフト『妖怪ウォッチ2 真打』の発売、2014年12月20日にはアニメーション映画『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が全国公開される。(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2014(C)「はやぶさ2」応援キャンペーン実行委員会
2014年10月23日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月30日、2014年5月に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」により、9月27日に噴火した御嶽山の緊急観測を行い、噴火により発生した窪みや降灰堆積の様子を捉えることに成功したと発表した。同観測は、JAXAと防災関連機関との間の、災害に関する衛星情報提供協力の枠組みにより、火山噴火予知連絡会および内閣府からの要請により行ったもの。今回の観測では、「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)を用いた噴火前後の山頂付近の比較から、長さ210m、幅70mほどのくぼみが新たに発生していることを確認。これが新たに形成された噴出口(火孔)であると考えられるとする。また、噴火前後の御嶽山山頂部を同じ軌道から観測した画像の変化を比較したところ、衛星画像においても御嶽山山頂の火口の周辺に降灰堆積が多く分布することが推察される結果を得たという。なおJAXAでは引き続き防災関連機関と連携しながら、御嶽山の観測を継続する計画だとしている。
2014年10月01日川崎重工は9月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載する予定のH-IIAロケット用衛星フェアリングを種子島宇宙センターに向けて出荷したと発表した。同フェアリングは直径4メートルのシングル・タイプ(4S型)で、種子島宇宙センターで打ち上げを行う三菱重工業に納入され、同社のH-IIAロケットに組み込まれることとなる。これまで同社はH-IIAの前身となるH-IIロケット向けフェアリングを7機、H-IIAロケット向けに複数のタイプを合計25機製造してきているほか、H-IIBロケット向けや、イプシロンロケット向けにもフェアリングを製造してきた。なお同社は今後も、これまでの実績と技術力を活かし、日本の衛星打ち上げビジネスに貢献していく方針としている。
2014年09月26日宇宙航空研究開発機構(JAXA)の9月25日、小惑星探査機「はやぶさ」に着想を得た、電力の有効な制御技術について、企業や報道関係者を対象にした説明と、デモンストレーションを行った。○「はやぶさ」から着想を得た電力制御技術説明に立ったのはJAXA宇宙科学研究所教授の川口淳一郎氏。言わずと知れた、「はやぶさ」チームを率いた人物だ。「はやぶさ」に起きたトラブルは挙げ始めるときりがないほどだが、そのうちのひとつに電力が足らないという問題があった。一方、「はやぶさ」はイオンエンジン、つまり電気を使って航行する機体であり、イオンエンジンへは常に大電力を一定に供給する必要があった、また、「はやぶさ」の各所には合計200個にもおよぶヒーターが取り付けられており、これらは温度状況に合わせて適時ON/OFFを行う必要があった。そこで「はやぶさ」では、こうした電力使用量の変動を、限られた電力の中で賄うために、ヒーターの電力を量子化し、ピーク時に必要となる電力を使用量の少ない時間に回すなどして、トータルでの消費電力を一定にするという方法が考案された。さすが「はやぶさ」、と思う方も多いかもしれないが、実は似たような技術は、すでに住宅やオフィス、工場などで導入されている。昨今の節電対策の中でも話題になる「ピークカット」や「ピークシフト」と呼ばれるものがそれだ。今回紹介されたのは、その「はやぶさ」の電力制御技術から着想を得たという、より進んだ、そしてより賢くピークカット、ピークシフトを実現するための技術だ。○命令を待つのではなく、各々が自分で判断「はやぶさ」でのピークカットは、各機器の電力使用量をコンピュータで監視し、余分な部分をカットし、必要な部分に与える、という方法だった。また現在、住宅やビルでの電力管理システムとして導入が始まっている「HEMS」(Home Energy Management System)や、「BEMS」(Building Energy Management System)と呼ばれるシステムも同様に、コンピュータが建物内の電化製品などの使用状況をモニターし、電力を安定供給しつつ効率化する、という方法が採られている。しかしこの方法は、例えばピークカットを行いたい場合、まずサーバから各機器に電力の要求量の照会を行う。それに対して各機器は「今これだけ使っている」という情報をサーバに返す。サーバはその収集した情報を計算し、電力の割当量を決める。そしてその結果を各機器に対して「機器Aはこれだけ減らせ、機器Bはこれだけ…」と伝え、各機器はその情報に従って、各々の使用量を変化させる、という、とても手間の掛かるやり取りをしている。もちろん、ひとつひとつの動作はコンマ何秒という短い時間で行われてはいるが、制御する電気機器が増えれば、決して短いとはいえない時間が掛かるようになってしまい、無駄が多い。そこで今回、川口教授が提案した方法は、各機器に対して、最短でたった一度だけ情報を発信するだけで、同じような処理を可能にする技術だ。まず各機器にはあらかじめ、自己優先度を割り当てておく。例えば、冷蔵庫は肉や野菜を腐らせないために優先度は「高」、居間のテレビは「普通」、照明は昼間なら少し暗くても大丈夫なので「低」といった具合だ。そして各機器に「これだけの使用量にしたい」という情報だけを送る。あとは各機器が割り当てられていた優先度に応じて、自分の判断で使用量を減らしたり、減らさなかったりする。もちろん電気の使用量は刻一刻と変化する。掃除機という大電力を食う機器が突然割り込んでくるときもあるし、かけ終わると突然なくなる。その直後、誰かがドライヤーを使い始めればまた使用量が上がり…といった具合にだ。こうした変化に対しても、各機器に対して再度情報を発信するだけで、優先度に応じて即座に補正がかかるので、やはり無駄が省ける。○低コストで導入可能こうした、ひとつの大きなシステムとさえ思えるものを組み込むのであれば、初期費用も大きくなると思われるが、配電盤に「アラート・モジュール」と呼ばれる装置を、また各電気機器には「インバータ・モジュール」と呼ばれる、それぞれ小さな機器を取り付けるだけで実現可能とのことだ。前述の説明でいえば、アラート・モジュールが総電力量からの逸脱量の情報を発信し、各電気機器のインバータ・モジュールがその情報を受信し、優先度に応じて調整することになる。またやはり前述のように、インバータ・モジュールが付いた電気機器が増えても減っても、いつでもすぐに補正が掛けられるので、実生活に影響を与えることはない。アラート・モジュールと各インバータ・モジュールとの通信には、ZigBeeと呼ばれる、近距離無線通信規格の1つを使用することが検討されている。ただし川口教授によれば、ZigBeeを使うのは単にチップの価格が安いためであって、一方通行の通信しかしない同システムにとっては、ZigBeeの持つ能力からいえば役不足であるという。またPLC(電力線を利用する通信技術)を使うことも検討しているとのことだ。つまりシステム構築のための初期費用がそれほど掛からず、設置も簡単なため、家庭や企業にとっては導入しやすいとしている。○会場ではデモンストレーションも今回の会見では、実際にこのシステムを用いたデモンストレーションも行われた。用意されたのはIHクッカー、エアコン、LED照明、ファンヒーターで、このうちファンヒーター以外の3つの機器にインバータ・モジュールが搭載されていた。デモンストレーションでは、IHクッカー、エアコン、LED照明の3つの機器を使っている中で、ファンヒーターの電源を投入。すると3つの機器のインバータ・モジュールは即座に使用量を調整し、LED照明は若干暗くなったりといった変化が見られた。このデモンストレーションでは、分かりやすいようにインバータ・モジュールは各機器の外側に、あえて目立つように設置されているが、実際の機器は非常に小さいので、内部に組み込むことや、あるいは通信機能をすでに持っている機器であれば、ソフトウェアの書き換えでも実現可能とのことだ。もちろんその場合は、その製品を製造しているメーカーの協力が必須となる。○今後の展開では今後、JAXAはこのシステムをどのように展開していくつもりなのだろうか。川口教授によれば、まずは実際の電気関連メーカーに広く参加してもらい、研究や開発を行っていきたいとことだ。またシステムの仕様は広く公表し、かつ賛同して導入する企業への参加費などは取らず、ロゴの入ったシールなどを貼るような形で展開したいとも語られた。また参加企業は1社に限らず、多くの企業に参加して欲しいと呼びかけられている。またJAXAベンチャー制度に基づいて法人を設立し、参加企業間の契約を斡旋、仲介し、社会への普及に取り組むとのことだ。参入した企業と共に海外への売り込みもかけていきたいとしている。東日本大震災による原発事故により、科学・技術への不信は高まり、また電力不足と節電対策は喫緊の課題となっている。「はやぶさ」の帰還が、不況や社会問題などで閉塞感が漂う日本に元気と勇気を与え、多くの人々を感動させたように、「はやぶさ」が日本の、ひいては世界の電力問題を解決するきっかけになることを期待したい。
2014年09月26日誠文堂新光社は、同社発行の雑誌「子供の科学」の読者380人(男子285人、女子95人)を対象に、「将来の夢」についてアンケートを実施した。調査期間は2月10日~4月10日。○科学捜査研究所などの声も将来の夢(働きたい会社や団体・業種)を尋ねたところ、1位は「宇宙関係」(19%)だった。「月に行ってみたい」「宇宙飛行士になりたい」「宇宙を調べたい」といった理由のほか、「JAXA」「NASA」「国立天文台」など、具体的な研究機関を挙げる読者もみられた。2位は「ゲームメーカー」で、「オリジナルのゲームを作りたい」「好きなことを仕事にしたい」などの理由が挙げられている。3位は「鉄道会社」がランクインした。4位は「警察関係」で、ドラマの影響から「科学捜査研究所」「科学警察研究所」などの具体的な機関の回答が目立った。少数意見では「理化学研究所」や「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」などの名前も挙げられている。
2014年07月11日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月27日、2009年1月に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」による2009年から2011年までの2年間の観測データをまとめ、全球の月別・地域別の正味のメタン収支(消失と放出の総量)を推定したと発表した。「いぶき」は、二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測することを主目的として打ち上げられた観測衛星。二酸化炭素やメタンは温室効果ガスとして知られており、気候変動のメカニズムなどの解明に向けて、その収支の精度などを知る必要がある。今回の調査は、GOSAT搭載センサである「温室効果ガス観測センサ」の観測スペクトルから算出されたメタンカラム平均濃度(地表面から大気上端までの乾燥空気に対するメタン分子の割合)データを元に、世界、百数十点ほどある地上観測点での観測結果を組み合わせることで、2009年6月から2011年5月までの24カ月分の地球を43分割した地域に分けた形でのそれぞれの月別メタン正味収支を調べた結果、メタン濃度は1年を通して南半球より北半球のほうが高いことや、北半球の中でも季節や場所によって濃度が異なることが判明したという。また、月別・地域別のメタンの正味収支量の推定値より、地域別の年間収支量が推定され、そこから、地球全体で見た場合、メタン放出量の多い地域が複数分布しており、それらの地域は人口密度の高い地域とおよそ一致していること、ならびに東南アジア域や、南米およびアフリカの南亜熱帯地域のメタンの放出が特に多いことが判明したとする。さらに、地域別メタンの年間収支量の変化を求めたところ、特に亜熱帯域においては、これまでの推定結果に比べて放出量がもっと多いはずであると考えられる地域が多いことが判明したほか、地域によっては季節変動にも違いが見られることが判明したという。今回の結果について研究チームでは、「いぶき」による衛星観測は地上観測ネットワークの空白域を埋めることで、特に亜熱帯地域の地上観測データのみでは捉え切れていないメタン収支に係る新たな情報を与える可能性が示されたとしており、こうした情報が、今後メタン放出に関する陸域生態系データベースの改善や、観測データに基づく炭素循環に係る新たな知見につながることが期待されるとのことで、今回の推定結果について、研究公募により採択された関連研究者などに提供し、海外の他機関による同様の解析結果との比較などを通してそれらの妥当性について評価・確認を行った上で、2014年夏までに一般に公開する予定だとしている。
2014年03月27日日本科学未来館は、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士であるトレイシー・コールドウェル・ダイソン博士を講師に迎えた小学生・中学生向けのトークイベント「女性宇宙飛行士が語る-無限大の可能性-」を2014年3月28日に開催すると発表した。ダイソン博士は、1969年生まれの化学者。1998年にNASAの宇宙飛行士の候補に選ばれ、2007年と2010年の2度の宇宙飛行を経験している。1度目のフライトでは、スペースシャトル「エンデバー」の乗組員として、ロボットアームを用いた国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てを担当し、2度目のフライトでは、第24次長期滞在クルーとしてISSに174日間にわたって滞在し、合計22時間の船外活動をこなしている。トークイベントでは、宇宙空間とはどんな場所なのか、船外活動で苦労したことなど、宇宙遊泳を体験した数少ない宇宙飛行士ならではの話などが語られる予定。また、宇宙から見た地球についても、未来館の球体ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」に映し出される地球に関する観測データを一緒に眺めながら語ってくれる予定とのことで、博士のライフストーリーを振り返りながら、宇宙や地球の魅力、女性宇宙飛行士として活躍する意義などを聞くことができるものになるという。開催日時は2014年3月28日の15:00~16:45を予定しており、場所は未来館3階のGeo-Cosmos前。対象は小中学生で、定員は70名(立ち見は自由だという)。参加費は無料で、参加方法は、米国大使館イベント情報サイト(未来館のWebサイトにもリンク有り)にて申し込む形で、応募者多数の場合は抽選になるという。
2014年03月18日宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月26日、2013年9月14日にイプシロンロケット試験機にて打ち上げられた惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)に搭載された極端紫外線分光装置(EUV)による木星および金星の分光観測を11月19日に実施した結果、EUVが正常に機能し、科学観測に供することができることを確認したと発表した。また、EUVによる観測に先立ち、視野ガイドカメラ(FOV)の機能確認も行っており、対象天体を高精度に追尾する機能の正常動作も確認したとのことで、今回のEUVによる観測と併せて、ひさきの初期の軌道上機能確認が終了となり、今後、定常観測運用が始まる予定だという。なおJAXAでは、ひさきを用いて惑星の長期間観測を行うことで、惑星環境に関する新たな知見を得ることができるようになることから、今後、人類の知の増大に貢献することが期待されるとコメントしている。
2013年11月26日もしあなたが宇宙飛行士のリーダーだったら、次のときにどの行動をとるだろうか。燃料の消費量が多く、地球に帰るまでぎりぎりの量、ミッションを続けるか否かがリーダーの決断にかかっている。(1)与えられたミッションだ、最後までやり遂げよう。それが宇宙飛行士だ!(2)途中で燃料が切れたら大変だ。ミッションを中止して地球へ帰ろう!(3)どうしたら良いのかわからない。みんなの意見をきかせてくれ。9月12日、東急ハンズ渋谷店にて期間限定オープン中の「人工衛星 胸キュン※カフェ」(※はハートマーク)で行われたワークショップ「宇宙飛行士の訓練に学ぼう JAXA流チームワークの育て方」にて、山口孝夫さんから投げかけられた質問に、その場にいた参加者は思い思いの解答を選んだ。山口さんは、「宇宙航空研究開発機構 有人宇宙ミッション本部 宇宙環境利用センター 計画マネジャー」として、日本の宇宙飛行士選抜や教育に関わっている。この場合の正解は、2番だという。山口さん「宇宙飛行士は、ミッション達成が大切ですが、生きて帰ってくることも大きな目標です。1番のような無謀な引っ張り方をしていては、チームメイトに認められません。90%以上達成できると思っても、10%不安があるなら引き換えすこと。自分の命をてんびんにはかけられません」その場では、3番に手を挙げた人も多かった。山口さん「3番は時間に余裕があるときならば良いですが、『どうしたらよいのかわからない』という言い方がよくないですね。あらかじめ3案ほど用意しておいた上でメンバーにきいてみるのが良いでしょう。その上で、もしメンバーが自分と同じ意見であっても『君の意見はいいね!』と、相手の意見として採用するのが良いと思います」宇宙という極限空間に対応できるよう、日本だけでも320倍もの選抜に勝ち残り、更にアメリカやロシアで何年も訓練を受けアサインされる宇宙飛行士たち。能力的にも、人格的にも優れた人ばかりであれば、何も問題なんか起こらないようにも思える。山口さん「宇宙飛行士がどんなに優れていても、普通の人間です。地上で起こるあらゆるトラブルは、宇宙でも起こるはずだと仮定しなければなりません」宇宙に近い海底20mの環境で2週間生活してチーム行動能力を養う、リーダーを毎日変えて1週間、A地点からB地点まで最低限の水と食料のみで野外ミッションを達成させるなど、チームワーク・リーダーシップを形成するための訓練メニューが数多く存在する。シャトルや国際宇宙ステーション(ISS)などで過ごす時間はもちろん、もし帰還時に不時着した場合、-30度の環境で狼(おおかみ)がうろうろしているという状態の中、2~3日過ごさなければいけないことも想定される。チームで力を合わせなければ、生きて帰れない。山口さん「訓練を受ける上で、まず宇宙飛行士には『チーム行動に必要な能力』について教えます。自己管理、コミュニケーション、異文化適応、チームワーク、リーダーシップ、チーム不協和対応、状況認識、意思決定と問題解決です」この場合に必要なコミュニケーションとは、相手とただうまく接する能力ではない。「自分の言っていることを相手が理解しているとは限らない」という前提のもと、「私はこういう意味で言いましたが、どうですか」と確認、理解してもらうことこそがコミュニケーションだと山口さんは語る。山口さん「異文化適応についても、相手の文化を尊重して受け入れることが大切です。これは何も国の違いだけではなく、宇宙飛行士と地上職員といった職種の違いも入るんですよ。私たち地上職員も、宇宙飛行士の訓練に一緒に参加することもあります」ワークショップでは、更に1問出題された。宇宙飛行士の訓練で使われる「グリーンカード」という指示カードを使うケースの問題だ。一般の方50人を5チームにわけ、チーム内の3名にこっそりグリーンカードを渡したという研修の結果、一番早くミッションを成功させたのはどのチームだろうか。(A)チームメンバーの3割がみんなの意見に賛成する(B)チームメンバーの3割が何事にも反対する(C)チームメンバー全員が自由に意見を言い合える(D)チームメンバーの3割が相互理解の促進に努力する(E)チームメンバーの3割が聞き上手/褒め上手である正解は次のページに。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年09月20日UHA味覚糖は7月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)臼田宇宙空間観測所(長野県佐久市)で、宇宙通信用アンテナを利用し、世界初となる地球外生物へ向けた広告メッセージを行う「スペースアドプロジェクト」を開始した。今回、利用した宇宙通信用アンテナは、小惑星探査機「はやぶさ」との通信にも使われたもので、直径64メートルと日本最大の大きさを誇るという。このアンテナで地球外生物へ向け、同社の新ジャンル菓子「グミガーム」の広告宣伝を行った。「グミガーム」は強い弾力性を持ち、噛(か)むことでストレスを発散するという新しいリフレッシュメント菓子。地球より厳しいストレスを抱えて生活していると思われる地球外生命体に対して、その商品特性をアピールする「スペースアドプロジェクト」は、およそ1年の構想を経て実現開始。特設サイトで動画も7月31日より公開している。当日は特別にJAXAの許可を得て、アンテナの中心部の副鏡から同社代表取締役社長 山田泰正氏が、自ら宇宙へ向け生メッセージを伝えた。なお、現在は地球外生命体より反応があったときのために、宇宙ファンたちと共同で反応を追跡しているという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年08月03日映画「プロメテウス」では、人類の祖先を彷彿(ほうふつ)させる宇宙人が描かれていた。圧倒的な科学力を持つ宇宙人が祖先なら、原始時代は何のためだったかなど、想像がふくらむ。地球の生命は宇宙から来たのだろうか?もしそうなら、水も空気もなく、有害な放射線に満たされた宇宙を超えて来た彼らは、人間とかけ離れたバクテリアや微生物のような姿だったに違いない。■20万分の1の出会い地球の誕生は約46億年前。38~40億年前に生命が誕生し、人間の祖先となる霊長類は6,500万年前ごろに登場したと考えられている。生物にとって欠かせないアミノ酸が窒素やメタンから作られたのは確かだが、生命がどのように誕生したのかは決定的な証拠がない。そのため、地球以外の天体からやって来たと考えるパンスペルミア説も根強い。地球起源と考えるなら、それは現在の尺度とはかけ離れた生物だ。初期の地球の大気は水素やヘリウムが主成分で、その後の原始大気も二酸化炭素やアンモニアが多く、酸素はわずかしかなかった。そのため当時のバクテリアや微生物は、人間には有毒な硫化水素やアンモニアを食料とし、なかには猛毒で知られるヒ素を取り込むバクテリアも存在したほどである。対してパンスペルミア説は空想に聞こえるが、当時の地球環境の過酷さを考慮すれば、さほど荒唐無稽(むけい)な話ではない。現時点では地球以外の生命体は確認されていないが、とは言え地球にしか存在しない理由にはならない。そのため、他の生命体からのメッセージを電波望遠鏡で観測し続けるSETI(地球外知的生命体探査)プロジェクトや、文明を持つ惑星数を計算するドレイク方程式など、真剣に取り組んでいる科学者も多い。ドレイク方程式は、1年間に銀河系で生まれる恒星の数や、その恒星が惑星を持つ確率など7つの要素をかけ合わせて求める。SF作家であり天文学者の故・カール・セーガン博士の計算では、銀河系には100万ほどの文明惑星が存在する。銀河系にはおよそ2,000億個の恒星があるのだから、確率20万分の1は、現実的な数値と言えるだろう。もしも生命の起源が地球外なら、どのようにして地球に来たのだろうか?もっとも有力なのは彗星(すいせい)の氷や隕石(いんせき)に付着して来たという説で、地表に落下する際に高温になる隕石(いんせき)からもアミノ酸が検出された例があるほど現実的だ。ただし乾燥、温度、圧力、放射線に強い生物、すなわち細菌やバクテリア/ウイルスなどに限定される。紫外線にさらされ希薄な空気しかない高度50kmの成層圏にも存在するほど、細菌やバクテリアの生命力は強いからだ。有力候補はデイノコックス・ラディオデュランスだ。これは放射線耐性の高い細菌で、人間の致死量の3,000倍のガンマ線にも耐えられる。生物はガンマ線を浴びるとDNAにダメージを受けるが、この細菌はDNAを自己修復する機能を持つため、致命傷にならない。もっとも放射線耐性の高い生物としてギネス世界記録に登録され、放射性廃棄物の処理に期待が持たれている。頼むぞデイノコックス・ラディオデュランス。地球の未来は任せた。■果報は寝て待てさらに強力なのはクマムシだ。大きくても体長1ミリ程度の緩歩(かんぽ)動物で、イモムシに8本の足を付けたような風ぼうをしている。ユニークな姿とは裏腹に、人間の致死量の1,000倍を超えるx線、絶対零度(=約-273℃)から150℃ほどの高温、真空から6,000気圧、80%の体内水分が1~3%に減少するような乾燥にも耐えられるのだ。過酷な状況になると仮死状態となるのがポイントで、寒いときは凍眠、水分がないと樽(たる)型に丸まって乾眠、酸素がなければ窒息仮死でやり過ごす。9年間の乾眠後でも、水分を与えれば活動再開する「種」のような性質も持っている。液体窒素で凍らせても、電子レンジで3分ほどチンしても死なない、2007年にギネス世界記録に登録された最強サバイバーだ。もしクマムシを彗星(すいせい)の氷に閉じ込めれば、他の惑星に到達する可能性は高い。逆に、他の天体から地球にやって来た生物がいるなら、最有力候補はクマムシだろう。自分の起源がゲテモノ食いのバクテリアか、宇宙から来た菌やクマムシかもしれないと思うと、パンドラの函(はこ)を開けた気分だ。■まとめ雪や氷に紫外線を当てると、過酸化水素水が発生する。殺菌性の強い物質ながら、熱エネルギーに頼れない地域では、これをエネルギーにする生物がいると考えられている。極寒の星、木星のエウロパ、土星のタイタンにも生命が存在する可能性が高い。そう遠くない未来に、そう遠くない場所から、人類の起源が明かされるのかもしれない。(関口寿/ガリレオワークス)
2013年02月17日大手総合建設会社・大林組が宇宙エレベーター構想を発表した。2050年に運用開始というから楽しみだ。もしも宇宙エレベーターが完成したら、安全に宇宙に行けるに違いない。そう思っていたが、大出力のレーザー光、気圧や温度、ケーブルの切断など、ロケット同様に危険に満ちた旅になるだろう。■10万kmのクモの糸日常生活でエレベーターと言えば、垂直のエレベーター・シャフト内を移動する装置だが、宇宙エレベーターは地上と大気圏外をつなぐケーブルだけで、まわりを囲む構造物はない。ケーブルの片側を地球に固定し、もう一方を宇宙にただよわせる。すると地球の自転で遠心力が働き、たるまずにケーブルが張れるのだ。高度15万kmまで伸ばせばケーブルだけで十分だが、10万kmぐらいでは遠心力が足りないので、端にカウンター・ウェイトと呼ばれるおもりを付けて張力を増す。月から見れば、宇宙から垂れたクモの糸程度の大きさだろうが、このケーブルを伝ってクライマーやシャトルと呼ばれる「かご」が昇降し、人間や荷物を宇宙に運ぶのだ。長さ10万kmを超えるケーブルは、それ自体が膨大な重量となる。自分の重さで切れてしまう破断長は、鋼材ワイヤーが50km、防弾チョッキに使われるケブラーでも200km程度だから役に立たない。そのため、軽くて強靱(きょうじん)なカーボン・ナノ・チューブが最有力候補になっている。通常のエレベーターは、ケーブルが切れてもエレベーター・シャフト内のレールに接触する非常ブレーキが働くが、宇宙エレベーターにはレールがない。ケーブルが切れた場合、高度100km以下ならわずかながら大気があるのでパラシュートなどで対処できるが、100km以上のクライマーは地球に帰還する宇宙船と変わらない。安全に大気圏再突入するには秒速8km以下が目安というから、逆算すると高度250kmが限界で、それより高いと大気中で燃え尽きる公算が大きい。高度5万km以上では地球脱出速度を超えて周回しているので、ケーブルが切れた瞬間にクライマーは宇宙のかなたを目指し旅立つ。有人ボイジャー3号では悲しすぎるので、頑丈なケーブルに期待しよう。地球から見て常に同じ場所に位置するように、静止軌道ステーションは高度3万6,000kmをおよそ3km/秒で周回する。高度400kmの国際宇宙ステーション(ISS)には高すぎるので、移動や補給の拠点となる低軌道ステーションを300~400km地点につくる。人件費から燃料代まであらゆるコストを含めると、退役したスペースシャトルの打ち上げは1回500億円と言われ、運べる荷物は25トン程度だから1kgあたり200万円かかった。もしもISSにミネラルウォーター(2リットル)を届けるなら、送料だけで400万円かかる計算だ。飲料水がピンドンよりも高いなんて、ぼったくりにもほどがある。対して宇宙エレベーターなら、1基の場合は1kg・50万円程度、数基稼働させれば30万円程度に収まるというから圧倒的に安い。完成すれば宇宙開発に拍車がかかることは間違いなしだ。上昇スピードをコントロールできるのもエレベーターのメリットだ。ロケットのGに耐えられない病人でも運べ、微少重力状態の宇宙ステーションでは、重力の支配を受けず治療できる。うつぶせの状態が長時間続く脳外科手術も、宇宙なら患者の負担を大幅に減らすことができるのだ。ただし高度80kmを超えた熱圏は、1,000℃を超えることも珍しくない。しかも昇るほど高温になるやっかいなエリアだから、クライマーの耐久性を考えるとなるべく短時間で通過したいところだ。時速200kmなら低軌道ステーションに2時間で着くが、秒速55.6mで5.7Gかかるので、スペースシャトルより身体に厳しい。宇宙病院を開業すれば大盛況と思ったが、5.7Gでは通院だけで余計に具合が悪くなりそうだ。■動力は殺人光線酸素の少ない宇宙では、エネルギーは電力が妥当だろう。しかし重たいバッテリーをクライマーに搭載したら、運べる貨物が減ってしまう。少なくとも2,000kWと見積もられるクライマーの電力を、どのように供給するかが問題だ。もっとも現実的なのは、地上ステーションからレーザーを発し、クライマーがそれを受け止めて電力に変換する方法だ。レーザーから電力へは約40%と変換効率も良く、およそ5,000kWのレーザーを照射すればクライマーの動力がまかなえる。ただしレーザーは、扱い方を間違えると非常に危険だ。0.4W程度でタバコに火がつき、失明した例もある。日本工業規格「レーザ製品の放射安全基準」では0.5Wを超えると高出力と定義され、もっとも危険なクラス4に分類されているぐらいだから、その1,000万倍のレーザーを浴びたら無事では済まされない。周辺を立ち入り禁止にすれば人的被害は防げるだろうが、鳥を防ぐ方法を考えなければならない。地上ステーションに焼き鳥が散乱するような事態は避けたいものだ。■まとめ宇宙エレベーターは、昇りよりも下りの方が技術的に難しいという。自由落下では20秒ほどで時速700kmに達するため、ブレーキをかけながら下りるのだが、空冷できない宇宙ではブレーキの冷却や排熱が課題となるそうだ。運用までの38年間に、幾多の問題を乗り越えて完成するに違いない。その時はすでに高齢者の一人だが、搭乗が許されるならぜひとも宇宙に行ってみたいものだ。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年12月31日日本人宇宙飛行士も珍しくない時代になりました。しかし、宇宙ロケットというのは一朝一夕でできるものではありません。アメリカ、ロシア、日本など、わずかな国だけが製造できる最先端技術の結晶です。ロケットに関する面白い話をご紹介します。■カウントダウンは映画からロケットが発射する際に「10、9、8……」とカウントダウンが行われますが、これがどこから始まったのかご存じでしょうか。実は映画なのです。1929年に公開されたフリッツ・ラング監督の『月世界の女』です。この映画の中でカウントダウンが初めて使われ、それが実際のロケット発射時でも使われているのです。ちなみに月世界の女は無声映画ですが(笑)。■最初にロケットで宇宙に行った生き物は!?一番最初に宇宙に送られた生物は「ミバエ」だと言われます。第二次世界大戦後にアメリカがドイツから接収した技術を使って、V2ロケットを打ち上げた時にトウモロコシの種に付いていたのです。これは宇宙線被爆の実験のために打ち上げられました。アメリカは1949年にはアカゲザルを同じくV2ロケットに乗せて打ち上げました。このアカゲザルはアルバート二世という立派な名前でしたが、残念ながらパラシュートの故障で生きて戻っては来られませんでした。当時宇宙開発でアメリカとしのぎを削っていた旧ソ連も動物を打ち上げています。「地球は青かった」で有名なガガーリンの前に、10匹以上の犬を使って実験したと言われています。一番有名なのは1957年に衛星軌道上を回った「ライカ」です。ライカもかわいそうに地球には戻れませんでした。今なら動物愛護団体が決して許さないでしょう(笑)。■日本の執念! 原因を究明せよ!日本のロケット開発の歴史は開発者、研究者たちの血と汗の結晶です。1999年11月15日にH2ロケットが墜落した時の原因究明に賭けた執念はまさに鬼気迫るものでした。H2の第1段ロケット『LE-7』は芸術品とも呼ばれるエンジンでした。この世界に誇るエンジンが不調を起こし、発射から3分59秒後に噴射を停止。泣く泣く信号を送ってロケットを爆破しました。爆破されたエンジンを回収して原因を究明すべくNASDA(宇宙開発事業団、今はJAXAに統合)とJAMSTEC(海洋研究開発機構)が動き出します。NASDAでは、ロケットの墜落地点の正確な予測、JAMSTECは1万1,000メートルまで潜れる『かいこう』を使って探します。と言っても広く、深い海が対象のため、なかなかうまくいきません。しかし、ついにエンジンの台の部分が見つかります。NASDAはこの位置からエンジン落下地点の再計算を行います。そしてついに12月24日、エンジンを見つけることに成功したのです。小笠原諸島の北西約380キロの地点でした(水深は約3,000m)。日本の技術者の執念がつかみ取ったクリスマスプレゼントでした。LE-7エンジンを回収して調査した結果は、H2Aロケットの『LE-7Aエンジン』に生かされています。この回収調査のおかげでLE-7Aエンジンは高い信頼性を誇るものになったのです。■日本の打ち上げ拠点「種子島」の話鹿児島県の種子島は日本の「ケープ・カナベラル」。日本のロケット発射の最前線です。種子島がなぜロケット発射場に選ばれたかご存じでしょうか。静止軌道衛星(地球から見ると止まってるように見える)を打ち上げるのに最も安くすむのは赤道上から打ち上げることです。静止軌道衛星は、気象観測などにニーズが高いですから、これを安価に打ち上げられることを考えなければなりません。また、地球の自転速度を利用することを考えると赤道上が一番です。(自転速度の最も速い)赤道上では秒速464m。(地球が西から東に自転しているため)東向きにロケットを打ち上げるのであれ、このスピードをロケットの速度に足すことができるのです。しかし、残念ながら日本の国内に赤道は含まれていません。できるだけ、赤道に近く、周囲の民家が少なく、(東に向かって打ち上げるため)東側が開けていること、インフラを整備しやすい場所ということで種子島が選ばれました。ちなみに種子島は意外に大きな島です。横浜市とほぼ同じ面積あります。(高橋モータース@dcp)
2012年12月03日英国の歌手サラ・ブライトマンが、2015年の宇宙旅行計画を発表した。国際宇宙ステーション(ISS)に10日ほど滞在しコンサートを開く予定というから、宇宙が身近な場所に思えてきた。もしも宇宙旅行にいったら、どんなに楽しいだろう。そんな幻想も発射台までだ。加速G、宇宙酔い、放射線、スペースデブリや病気におびえ、二度と来るか!と思うに違いない。■新婚旅行は宇宙にいこう誰もが宇宙旅行を楽しめる時代にむけて、航「宙」会社を設立しよう。ターゲットは新婚旅行。ふたりの門出をお手伝いします。まずは宇宙船の調達だ。スペースX社のドラゴンも有人飛行は可能だが、帰還時は洋上着水なので、空港に着陸できるスペースシャトルが良いだろう。NASAが払い下げてくれるなら、5番機アトランティスがお勧めだ。おなじみのケネディ宇宙センターから出発し、高度600kmで地球を周回する。地上の300倍もの放射線を浴びるから、旅程は1週間程度にとどめておこう。有害な高エネルギー粒子のかたまりバン・アレン帯を避け、北/南極上を周回する極軌道が良いだろう。斜めに飛ぶので燃費は悪いが、健康第一が当社のモットーだ。打ち上げ時は3G強の加速度が15分ほど続く。誰でも耐えられるというのがNASAの言いぶんだが、体重の3倍は少々キツい。アトラスDロケットの13Gと比べれば、ずいぶん楽になったんですよ。ボンボヤージュ。周回軌道上では約50分で地球を一周する。刻々と変わる地球の表情に新郎新婦は興奮気味だが、あと2~3周もすれば飽きるだろう。シートベルト着用サインも消え、クルーは機器の点検を始める。新郎新婦はおくつろぎください。トイレもご自由に。ただしシャトルのトイレは微小重力状態でも使える吸引式で、身体にあてたアダプタからホースで吸い取る仕組みだから、かなりのストレスを感じるに違いない。シャトルには冷蔵庫はありません。中身が吹き出る炭酸飲料もご遠慮いただき、シャンパンの代わりにアップルジュースで乾杯しましょう。本日のディナーはもちろん宇宙食。和食もございます。電磁波の心配のない電気オーブンで温めて、冷めないうちにボナペティ(召し上がれ)。翌朝、頭に血が上ったようなぼんやり感と、吐き気やむかつきで目が覚める。典型的な宇宙酔いだ。重力が弱い宇宙では上下の区別がない。これが人間の感覚器官を狂わせ、乗り物酔いのような症状を引き起こすのだ。宇宙酔い以外に、筋力の低下、体重の減少、血液の減少、背が伸びるなどが起きる。深刻なのは貧血と、ホルモン異常によるカルシウムの減少だ。数日なら大事に至らないが、50日以上滞在すると、地球に戻っても完治するのに数ヶ月かかる。虫歯も大きな脅威だ。重力から解放されたバクテリアは、地上の40~50倍速で増殖しあっという間に歯をむしばむ。我慢できない場合は抜歯しますので、お近くのクルーにお申し付けください。■宇宙遊泳は命がけ宇宙酔いに苦しみながら、翌日の船外活動に向けて減圧が始まる。シャトル内は地球と同じ1気圧だが、船外活動宇宙服(EMU)内は0.27気圧の純酸素しかないので、急激な気圧変化で体液中の窒素が泡だち、減圧症を起こしてしまう。そのため12時間以上かけて少しずつ気圧を下げ、その後は1時間ほど純酸素を吸って窒素を追い出す。着替えるだけでも1時間はかかるからというから大変な労力だ。減圧が終わったら、人類に残された最後の開拓地、宇宙を満喫しよう。残念ながらEMUの遮蔽(しゃへい)性はあまり高くないので、シャトル内よりも多くの放射線を浴びることになるが。秒速7~8kmで飛び交いシャトルを大破させるほどのエネルギーを持ったスペースデブリ(宇宙ゴミ)のただなかでは、EMUなど裸も同然だが。恐怖から心拍数ははね上がり、意識がもうろうとする。おまけに、目標物のない宇宙空間では、自分がどこにいるのか分からずパニックを起こしやすい。決してシャトルから目を離さずに、落ち着いて行動しよう。地球をバックに記念撮影。にっこり笑って、はいチーズ!最終日は帰還の準備で忙しい。血液の減少と降下時の体液シフトで失神しないよう、塩の錠剤と多量の水を飲んでおこう。ただし空港到着までトイレはお控えください。逆噴射のあとは、地表面に対し機首を約40度上げた体勢となり、尻もちのような感覚で落ち続ける。大気圏再突入時、シャトルの速度はマッハ24(音速の24倍)!機体は1,600℃に達し、高温イオン化粒子の影響で無線が使えないブラックアウトがしばらく続く。大気中で十分な揚力を得られないスペースシャトルは、旅客機では墜落といえる角度と速度で降下する。着陸したらパラシュートで急制動だ。緊張と恐怖は限界を超え、薄れる意識のなかでこうつぶやく。モルディブにすれば良かった、と。長旅お疲れさまでした。またのご利用をお待ちしています。検疫が終わったら空港のラウンジで、念願のシャンパンで乾杯だ。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、飲み物、トイレ、そして重力を満喫しよう。地球か、なにもかもが懐かしい。■まとめサラ・ブライトマンのISS・10日間の旅は3千万~4千万ドル、オプションの船外活動は1,500万ドルと推定されている。1ドル=80円なら計44億円!一生の思い出には少々高すぎる。格安航宙会社が登場するまでは、貯金に専念することにしよう。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年11月18日宇宙は膨張し続けている。それもスピードを上げながら。これは加速度的な自殺に等しい。宇宙の最後はどうなるのか?収縮して居場所がなくなるのも恐ろしいが、膨張し続ければさらに惨めな死にざまとなる。光もなく熱もなく、再生の見込みもなく、ただ存在するだけの空間となるからだ。■絶対零度の世界宇宙はおよそ137億年前に誕生した。宇宙のすべてが集められたごく一点が、爆発的に膨張したことからビッグバンと呼ばれている。あまりにも高密度であまりにも高温だったため、宇宙は素粒子のスープのような状態で、光が通り抜けるすき間さえなかったと考えられている。その後も宇宙は広がり、38万年後には多くの元素や物質が形成された。空間にも余裕が生まれ、光が抜けるようになったことから「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれている。膨張はさらに続き、4億年後には恒星が生まれ銀河も誕生する。膨張とともに成長する様子は「インフレーション理論」と呼ばれている。高密度から低密度へ、素粒子から物質へ。まるでブラックホールに吸い込まれる物体を逆再生しているようだ。ただし、「ブラックホールの嘔吐(おうと)」と呼ぶのはやめておこう。情けない気分になる。現在観測できる宇宙の半径はおよそ470億光年。毎年3.43光年ほど広がっている計算になる。物体は光速を超えられないのに、宇宙は光速を超えて広がるのはあまりに不条理だ。この現象は、暗黒エネルギーによるものと考えられている。邪悪さを感じる名前だが、「そこに存在するのは分かるが、見えない(=何だかわからない)」が由来だ。このエネルギーは引力とは逆に、物体と反発する斥力(せきりょく)を持ち、それが宇宙の加速膨張を引き起こしていると考えられている。もし斥力を活用できれば、超光速移動も夢ではない。頼むぞ暗黒エネルギー。宇宙の果てまで連れてってくれ。さて、宇宙の膨張が続くとどうなるのか?ゴールは熱的死だ。宇宙を、自分のエネルギーで膨張している1つの物体と考えれば、膨らむごとに温度は低下する。現在の宇宙の温度はわずか2.7K(ケルビン)。あと3度ほど下がれば絶対零度となり、エネルギーはゼロとなる。幸いにも収縮できれば再度のビッグバンが期待できるが、そのエネルギーすら持ち合わせていない。永遠に続く凍りついた漆黒。弛緩(しかん)した、ただ存在するだけの空間。これが宇宙の死にざまだ。老兵は死なず。ただ伸びきるのみ。しかしそう悲観する必要はない。伸びきらなくても必ず宇宙はエネルギーを使い果たすのだから。ビッグバンを元年とすると、千兆年後には恒星が燃え尽きる。それから1正(せい)年(=10の40乗年)ぐらいまではブラックホールの天下だ。あらゆる天体を飲み込み、時にはブラックホール同士の共食いも見られるだろう。ただしブラックホールも無限のエネルギーは持ち合わせていないので、1垓(がい)年(=10の20乗年)ほどかけて蒸発する。その後は陽子も崩壊し、10の92乗年ごろには完全な死を迎える。時間はたっぷりあるから、ゆっくりと対策を考えよう。■ちぎれる宇宙まったく違うシナリオで、宇宙がちぎれるという説もある。すでに外周3千億光年にも及ぶ巨大な空間が、正確に、均等に、足並みをそろえて膨張するはずがないという考えだ。例えるなら3千億人3千億1脚で超光速ダッシュを試みるようなものだから、成功するとは思えない。実に人間味のある考えだ。膨張速度が速い部分はちぎれ、泡立つように分かれていく。ひとつを意味するユニから「マルチ」バースの誕生だ。さらに膨張が続けばあっという間に子宇宙、孫宇宙が生まれ、大宇宙家族が完成する。宇宙にムラがあるという考えに基づくマルチバースでは、残念ながら子/孫宇宙の組成が均一とは考えにくい。物質が多い宇宙は重力で収縮し、暗黒エネルギーが多ければ膨らみ続ける。少しでも長く生き延びるために、必要な物質を奪い、要らないエネルギーを押し付けあう宇宙「間」戦争が起きるかもしれない。負けた宇宙はゴミ屋敷。刺激的すぎる罰ゲームだ。■まとめ子供のころ、シーモンキー(甲殻類の飼育キット)が好きだった。けなげに泳ぎまわる彼らを人類、小さな水槽を宇宙に見立て、あれこれ夢想するのが好きだったのだが、ある日、自分が「観察者」だと気づいたとき、言いようのない不安に襲われた。われわれの宇宙にも「観察者」がいるのだろうか?もしかしたら、この宇宙は試験管の中なのかもしれない、と。いまでもこの話を思い出すたびに、何かに見られているようで、落ち着かない気分になる。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年11月04日宇宙はとっても広いです。私たちが住んでいる地球を含む太陽系は、巨大な銀河系の中にありますが、広い宇宙にはそのような巨大な銀河ですら無数に存在します。そして、その中には地球の直径の約109倍もの大きさを持つ「太陽」さえはるかに凌ぐような大きな星も、数多く存在しています。今回はそんな広大な宇宙に存在する、巨大な星たちをいくつか紹介していきたいと思います。■ 宇宙にある星の数は?よく「星の数ほど…」と言ったりしますが、そもそも、この宇宙にはいったいどれほどの数の星があるのでしょう。太陽のように自ら光り輝いている恒星だけに限ってみても、太陽系を含む銀河系の中には2,000億個もあると推定されています。そして、宇宙にはそのような銀河が1,000億個以上あるとも言われています。銀河の明るさなどを詳しく観測することで、その総質量やそこに含まれる星の総数を調べることができるのですが、この方法を用いた研究によると、この宇宙にはなんと7×10の22乗個(7の後に0が22個)もの星があると考えられています。実際には、これ以外に地球のような惑星もあるわけですから、あらためてその壮大さが分かりますね。■ 宇宙で一番大きな星とはそれでは、これほどまでに多く存在する星たちの中で、もっとも大きいものとはどれぐらいなのでしょう。現在までに確認できている星の中で、最大のものは「おおいぬ座VY星」です。この星は「赤色超巨星(せきしょくちょうきょせい)」と呼ばれる種類の1つで、その大きさは、直径が25億~30億km(太陽の1,800倍~2,100倍程度)、体積が太陽の60億~90倍という想像を絶するもので、仮に太陽の位置に同じサイズの星があったとすると、土星の軌道まで達するほどの大きさです。また、1周の距離は、80億km以上ということになりますので、仮に時速1,000kmの飛行機で1周しようとすると900年以上、光の速度ですら8時間以上もかかる計算になります。ただし、このおおいぬ座VY星は天体そのものの大きさが大きく変動する「脈動変光星」であることから、宇宙最大の星ではないと捉える説もあります。■ おおいぬ座VY星の最期ちなみに、このおおいぬ座VY星の寿命は残り少なく、まもなく最期が近づいていると推定されています。この星は最期に「超新星爆発」という大爆発を起こして壮絶な死を遂げますが、地球からは5,000光年も離れたところにあるため、幸いその影響を受けることは無いと考えられています。なお、爆発後、星の内部は中心に向かって圧縮され、やがて巨大なブラックホールとなるでしょう。■ 巨大な星はまだまだある…おおいぬ座VY星が、現在までに確認できている星の中では最大のものとして紹介しました。とはいえ、地球からは遠く離れたところにあり、肉眼では観測できないほど暗い星のため、あまり目立ちません。ですが、広い宇宙には、これほどとまではいかなくても、まだまだ巨大な星たちが数多く存在します。太陽の直径の1,600~1,900倍の大きさを持つ「ケフェウス座VV星」や、同じく1,400倍程度の「ガーネットスター」などもありますが、巨大な星の中でも身近なものとしては、オリオン座の1等星「ベテルギウス」や、さそり座の1等星「アンタレス」などが挙げられます。これらは、地球からもはっきり見えるほど明るい星ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。オリオン座のベテルギウスで太陽の1,000倍、さそり座のアンタレスでも太陽の700倍程度もあるとされ、いずれもおおいぬ座VY星と同じ、赤色超巨星に属します。■ まとめ今回は、想像を絶するような巨大な星たちをいくつかご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。太陽系の中にいると、太陽が圧倒的に大きな星だと言えますが、宇宙全体を見渡すとそれとは比べ物にならないほど巨大な星々がたくさんあるわけです。どんな世界にも上から上がいるのですね。(文/TERA)■著者プロフィールTERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年10月14日茨城県つくば市にある筑波宇宙センター(JAXA)では、10月13日(土)に、施設の特別公開を行う。宇宙に興味のある子どもから大人まで楽しく宇宙体験できる、秋の人気イベントだ。公開は10時00分から16時00分、入場は15時30分まで。入場無料。宇宙飛行士との交信やNASA等他国の宇宙機関との連絡を行っている「きぼう」運用管制室、宇宙ステーション補給機「HTV」の飛行を制御監視するHTV運用管制室、宇宙飛行士の訓練施設など、通常行われている一般公開では見ることのできない施設が特別公開される。当日は、さまざまなイベントが企画されている。例えば、天体の重力と運動エネルギーを利用して宇宙機の軌道や速度を変更する航法、惑星スウィングバイに模擬実験装置を使って挑戦できる「スウィングバイを体験」。準天頂衛星システム「みちびき」の電波を受信しながら進むお宝探しゲームや、コンピューターを使って、ITと宇宙のクイズに回答、ミッションをクリアして宇宙旅行に行くコーナー、筑波宇宙センター内にあるアニメ「宇宙兄弟」に登場する場所を巡ってクイズに答えるクイズラリーなどなど、楽しみながら宇宙を学習できる。そのほか、「赤外線で見る地球」、「宇宙医学生物学研究」、「マイナス196度の世界を知る~液体窒素おもしろ実験~」、「ミニロケット作り」などに加えて、JAXAの仕事について、職員・内定者が相談ブースでさまざまな疑問、質問に答えてくれるJAXA就職相談会も予定されている。また、今回の宇宙講演会では「若田光一宇宙飛行士と話そう!」「宇宙×ミエル化意見交換会」「宇宙ステーション補給機こうのとり(HTV)について」が行われる予定。最新情報は筑波宇宙センターツイッターで確認を。電車利用はJR常磐線「荒川沖駅」下車、タクシー(約15分)または関鉄バス「筑波大学中央」行き「物質研究所」下車徒歩1分。つくばエクスプレス線「つくば駅」下車、タクシー(約10分)または関鉄バス「荒川沖駅」行き「物質研究所」下車徒歩1分。車利用は常磐道桜土浦ICよりつくば方面へ7分。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月09日今回紹介するのは、茨城県つくば市にあるJAXA(宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)の社食だ。夢がいっぱい詰まった宇宙の研究開発施設では、どんな食事がとられているのだろうか。こちらの社食は、一般の利用も可能(平日のみ営業・11時30分~13時30分)で、見学に訪れた人も多く利用しているという。利用希望者は、敷地内にある広報・情報棟で受付を済ませ、「食堂利用証」を身につける。食堂に入ってすぐのところにショーケースとホワイトボードがあり、当日の提供メニューが掲示されている。日替わりで提供されるA定食(460円)やB定食(610円)をはじめ、カレーライスやラーメン、そばなどオーソドックスなメニューが並ぶ。食堂内の座席はカウンター席とテーブル席、個室風の席合わせて380席。シンプルで、食堂らしい食堂、といった印象だ。敷地内の従業員数はおよそ2,000人。従業員が休み時間になるピークの12時30分頃にはかなり混み合うため、一般の利用者はその時間を避けるのがおすすめとのこと。食事提供カウンターは2つあり、定食と麺類で分かれている。トレーを持ってカウンターで注文し、提供されるのを待つ。ここまで見て、普通の食堂……かと思いきや、メニューの中にいかにもJAXAらしい”宇宙っぽい”ものを発見した。その名も、「冷やし宇宙坦々麺」(460円)と「天の川カレー」(660円)。冷やし宇宙坦々麺は温泉玉子とチャーシュー、野菜が盛り付けられたもの。温泉玉子が月に見立てられている……のかもしれない。麺に冷えたごまだれのスープと温泉玉子が絡んで、まろやかな味わいだった。天の川カレーは、細かくカットされたパプリカやキュウリなどの野菜がちりばめられており、ふりかけられた粉チーズが天の川のように見える。こちらは中辛のカレーにちりばめられた野菜の食感とチーズの味わいがアクセントになっている。ちなみに、この日のスペシャルセットは、「夏野菜ミートピラフセット」(560円)だった。こちらも見た目がかわいらしい。食堂に訪れたときは、敷地内も見学していくことをおすすめしたい。展示館「スペースドーム」では、さまざまな種類や形の人工衛星、ロケット、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の実物大モデルなどの展示が並んでいる。また「ロケット広場」にある53mの「H-IIロケット」の模型も圧巻だ。ちなみに同敷地内は、『下町ロケット』『仮面ライダーフォーゼ』『宇宙兄弟』のロケ地にもなったそうだ。宇宙のロマンを感じに出掛けてみてはいかがだろうか。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月27日宇宙はとても広大です。そのため、その大きさを数値で表すと非常に膨大になりがちです。それを避けるため、宇宙の大きさを示す独自の基準(ものさし)があります。そこで今回はそんなものさしを使って、宇宙の大きさを体感してみましょう。■ 「メートル」で測ってみるまずは、日常生活でもよく使われている「メートル(m)」や「キロメートル(km)」から始めてみたいと思います。私たちが住んでいるこの地球。その直径は赤道方向で約12,750km、その一周の長さで計ると約40,000kmとなります。参考までに、東京~大阪間が最短距離で約400km、東京~ロンドン間が約9,580km、東京~ニューヨーク間が約10,860km。ここまではまだ想像がつきますね。次に、地球から最も近い天体である月。ここまでの距離はというと約384,400km。東京~ニューヨーク間の約35倍、地球9周半ほどの距離です。さらに太陽までの距離となると、地球~月までの距離のおよそ400倍で、1億5,000万kmとなります。イメージしやすくするために、すべて1億分の1スケールで考えてみると、地球と月の距離は3.8m、地球と太陽の距離は1.5kmとなります。ついでに天体そのものの大きさも1億分の1スケールで考えてみると、地球は直径12.8cm、月は3.5cm、太陽は13.9mとなります。つまり、地球・太陽・月の位置関係としては、12.8cmのグレープフルーツほどの球体(=地球)から、3.8m離れたところに3.5cmのピンポン玉ほどの球体(=月)があり、1.5kmも離れたところに14mの巨大な球体(=太陽)があるという感じです。月に比べて太陽がいかに遠いところにあるかということが分かりますね。■ 「天文単位」で測ってみるちょっとスケールの大きな話になってきましたので、ここで新たな単位を登場させましょう。それが「天文単位(AU)」です。1天文単位は地球と太陽の間の平均距離を表しており、1天文単位=約1億5,000万kmとなります。これを使うと、太陽系でもっとも遠い惑星である海王星までの距離はおよそ45億kmですから、30天文単位ほどです。では、地球からもっとも近い恒星までの距離はどれほどでしょう。もっとも近い恒星は、「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれる天体ですが、そこまでの距離は270,000天文単位となります。つまり、一番近い恒星ですら、海王星までの距離の9,000倍も遠いところにあるわけです。ますます膨大なスケールの話になってきましたね。■ 「光年」で測ってみるそこで、さらに次の単位を登場させましょう。それが有名な「光年」という単位です。「光年」は光の速度で1年間に進む距離を表しており、1光年はおよそ63,000天文単位(約9兆4,600億km)です。地球から太陽までなら光の速度で8分ちょっと、海王星までなら4時間ほどで行けますが、もっとも近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」までとなると、4.2年かかる計算になります。ちなみに、全天でもっとも明るい恒星であるおおいぬ座の「シリウス」までが8.7光年、有名なオリオン座の三ツ星の右下にある「リゲル」になると約700光年の距離となります。それでは、さらに話を広げて、太陽系を含む銀河系となるとどうでしょうか。銀河系は平たい円盤のような形をしており、その円盤の直径は約10万光年。光の速度を持ってしても、端から端まで移動するのに10万年もかかるわけです。最後に、現在地球から観測可能な宇宙の半径は、およそ470億光年だと言われています。仮に銀河系の大きさが直径10cmのどら焼きだとした場合、光が1年間で進める距離はわずかに0.001mm。逆に観測可能な宇宙の半径は47kmにもなります。これは大阪~京都間の距離に匹敵します。もう想像もできないスケールになってしまいましたね。余談ですが、0.1mmの厚さを持つ紙を100回折ることができると仮定すると、計算上では0.1×2の100乗mmで、その厚みは何と134億光年となります。…あくまで計算上の話ですけどね。■ まとめ今回は数字を使って宇宙の大きさを見てみました。このように、あまりに広大な宇宙の大きさを扱う時には、日常生活ではお目にかかることの無い独自の単位を使っていることがお分かりになったでしょうか。あらためて見ても、やはり宇宙の大きさは想像を超えていますね。(文/寺澤光芳)■著者プロフィール小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年07月28日不満買取センターは6月27日、日常のあらゆる不満を買い取り、それらの不満を商品やサービスの開発、改善のヒントとして活用できるサイト「不満買取センター」を開始した。同サイトは、日常生活のさまざまなシーンでの不満や不便に感じたこと、クレーム、提案、要望などを買い取り、企業や団体、個人に届け、新商品の開発やサービスの改善に活用してもらうことを目的としている。すでに13,000個を越える不満を収集。寄せられている不満は、「新品の風邪薬のビンのふたをあけたらビニールが取り出しにくくて困る。勢いよく取り出したら、中の錠剤も1つくらい飛び出る」、「長傘を横にして持って歩くのをやめてほしい」、「ガスコンロの元栓をひねって閉めるときに左利きの私にはとても閉めづらいです」、「ひとり暮らしは家の鍵を忘れたときは不便」、「お金がなく、大学の授業課題の費用が出せず、理想のものが作れなかった」、「ホワイトボードのマーカーで書いた文字が長時間たつと消えなくなる」など、さまざまな分野にわたっているという。買取には会員登録(完全無料)が必要。買取希望者募集の連絡はメールで通知される。応募後、買い取り連絡がきた場合には、期限内に「不満」を送信。一回の買い取り数は50~100個ほどで、1個10円~の買い取りとなる。買い取り希望以外にも、同サイト、メール、Twitterから不満を投稿することも可能だ。また、「ビジネス無料会員」に登録すると、投稿された不満を閲覧することができるほか、毎月発行の電子冊子「改善のタネ」無料版を閲覧することができる。有料会員も7月中旬から募集を開始する予定。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月05日セゾン自動車火災保険は、佐賀県佐賀市に開設準備をすすめてきたコールセンター「佐賀サポートセンター」を7月2日にオープンしたと発表した。「佐賀サポートセンター」では、問い合わせのあった顧客に対し、通販型自動車保険「おとなの自動車保険」ならびに組立式火災保険「じぶんでえらべる火災保険」について、一つひとつの条件を確認しながら、丁寧にコンサルティングを行い、顧客の利便性の向上と、より多くの人に対し高品質なサービスを提供するとしている。同コールセンターの開設により、現在の東京(本社)と合わせ複数拠点で業務を行うこととなり、広域災害などが発生した場合も、顧客からの問い合わせ対応等の業務継続が可能となる。住所は佐賀県佐賀市天神3丁目15番地1 アイ・フォレスト1階、営業時間は9時~17時半(年末年始を除く)、業務要員は23名で、2014年度には120名程度に規模を拡張する予定となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月03日高速バスなどを展開するWILLER TRAVEL(ウィラートラベル)は、宇宙ツアーが体感できるまったく新しいアトラクションバス「STAR FIGHTER」の開発を発表した。「STAR FIGHTER」は、日本最先端のバス開発技術とITテクノロジーを結集して開発されたとのことで、「宇宙空間で新たな夢と感動を体感できる」としている。すでに専用サイトがプレオープンしており、29日のグランドオープンとともに販売を開始するとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月26日いよいよ宇宙旅行が現実のものになります。普通の人でも宇宙空間に行ける時代がついにやって来ます!「2012年宇宙にまで広がるクラブツーリズムの旅」をキャッチコピーに民間宇宙旅行事業を推進している、クラブツーリズム株式会社、宇宙旅行部長の浅川恵司さんにお話を伺いました。クラブツーリズムさんが日本での独占販売権を獲得しているのは、英ヴァージン ギャラクティック社が推進している観光宇宙旅行。ヴァージン ギャラクティック社は、あの世界的な企業『ヴァージン』のグループ企業です。■宇宙旅行の中身は……双胴型の飛行機・マザーシップ『ホワイトナイト2』が、宇宙往還用の『スペースシップ2』を抱いて空港を離陸。上昇45分後にスペースシップ2が切り離されて、空中発射。スペースシップ2はロケットエンジンを噴射して90秒加速します。高度110kmまで達する弾道飛行を行って、その後大気圏に再突入。高度21kmからグライダー飛行を行って着陸します。このフライトの中で、無重力状態4分間を味わえ、宇宙空間から地球を眺めることができるのです。約2時間のフライトです。■初フライトはいつ!?――2012年ということで、いよいよ宇宙旅行が始まるようですが、初フライトの日取りは決まったんでしょうか?浅川さんいや、それが残念ながら……少し時間がかかっています。ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長は「2012年のクリスマスには飛ばしたい」と言ってますがね。――なるほど。浅川さん初飛行にはリチャードが乗ると言ってます(笑)。自分の家族を連れて。――先に会長が乗って安全を確認してくれると、後から乗るお客さんは安心ですね(笑)。浅川さんクリスマスに飛べればいいんですが、実際問題2013年にずれこむかもしれません。――それは残念ですね。浅川さんもう7年も待っているお客さんがおられるので。――7年ですか?浅川さんええ。2005年にこの宇宙旅行の発表をして、その時に予約してお金を振り込んだ方にはもう7年も待っていただいておりますね。450人の人が待っておられます。■チケットは20万ドルだけど円高でお得に――チケットの価格はいくらなんでしょうか。浅川さん20万ドルです。日本円で1,600万円ですね。ここのところの円高で、最初に振り込んだ方の金額と比べると600万円も下がりましたよ(笑)。――一括支払ですか?分割払いは「なし」ですか(笑)?浅川さんドル建て一括払いです。分割はありません(笑)。将来的にはもっと安価になると思いますが、それがいつかはわからないですね。――待ってる人は早く飛ばないかなーと思ってるでしょうね。浅川さん「早く、早く」と言われます。でも、待ってる間が楽しいという人もいるんですよ。というのは、毎年、ヴァージンギャラクティック社が予約してくれた人をイベントに招待するんです。年に1回イベントがあるので、その度に集まりますからもうコミュニティーができてますよ。昨年はスペースポート(宇宙港)ができましたので、その落成式にみなさんを招待しました。■スペースポートを新設! そのために消費税アップ!?――それはスゴイ。スペースポートはまったく新しく作ったんですか?浅川さんそうです。完全に宇宙旅行専用で、ニューメキシコ州の何にもないところ(笑)を整地して作ったんですよ。広さは成田空港の7倍ぐらいです。――お金がかかったでしょうね(笑)。浅川さん総額1億9,800万ドルかかりました。そのうち1億ドルは州が出して、ヴァージン社は9,800万ドルを出しました。ニューメキシコ州はこのスペースポート建設のために消費税を0.25%上げたんです。――えっ?このためにですか?浅川さんそうです。新しく雇用を生み出し、観光客を誘致できるので、経済効果を期待できるというわけですね。商業宇宙旅行の実現に向けてそれぐらい真剣にやっているんですよ。――先ほど、飛行が2013年にずれこみそうとおっしゃっていたのには何か理由があるんでしょうか?浅川さん何か欠陥があったとかそういうんじゃないんです。なにせ「安全第一」で着実にやってますので。フライトデータも全部公開していますし。マザーシップのホワイトナイト2はもう80回近く、スペースシップ2は16回飛んでいます。■初フライトへの2つの課題――クリアしなければいけない大きな要素は何でしょうか?浅川さん大きなのはスペースシップ2が空中発射後、ロケット噴射で高度100キロ以上まで上がれるか、このテストがまだです。あとはFAA(アメリカ連邦航空局)の認可ですね。このふたつが終わったら、会長が乗りこむ手はずですね(笑)。――宇宙旅行はFAAの認可なんですね。浅川さんFAAにはすでに「商業宇宙室」というのが設置されています。7~8年前のことですよ。それに、ブッシュ大統領のころに「商業宇宙打ち上げ法」という法律が可決されています。――アメリカは進んでますねえ。その認可を受けるのは難しいのでしょうか?浅川さんまだ認可取った業者はないんですよ。たぶんこのプロジェクトが認可を受ける第1号になります(笑)。一番進んでいますから。あくまでもめざしているのは商業宇宙旅行の定期便です。――なるほど。1回のフライトで6名乗れるんですよね?浅川さんそうです。スペースシップ2にはお客さんが6名乗れます(+パイロット2名)。定期便を運用するために、スペースシップをあと5機、マザーシップのホワイトナイト2をあと1機建造する予定ですね。――どのくらいの定期便を運航するのでしょうか?浅川さん1年で500人と発表しています。――1回のフライトで6名ですから年間84便は飛ぶ計算になりますね。浅川さんそうなりますね。■普通の人は宇宙旅行に耐えられる?――ちょっと気になるのは……普通の人が乗って大丈夫かという点なんですが。資料を拝見すると、スペースシップ2の上昇時に3.5G、大気圏再突入時に6Gという重力加速度がかかるみたいんでんすが。6Gって結構なG(重力加速度)だと思うんですけど、普通の人は大丈夫なんでしょうか?浅川さん実はですね、予約された最初の100名の方々には、ヴァージン社の招待で、フィラデルフィアにある遠心加速器を使って、そのGの体験を既にしていただいているんですよ。――その遠心加速器はNASAか何かの施設なんでしょうか?浅川さんいや民間企業が持っているんですよ。ナスターセンターっていうんですけどね。――えっ?民間企業が遠心加速器を持ってるんですか?浅川さんそこにしかないんです(笑)。普段は空軍のパイロットの訓練なんかで使っているみたいです。100名の方に体験していただいて、全部データもとってます。70歳代後半のお客さんも経験して問題なかったので大丈夫だと思います。実は私も、3Gは体験しました。――どうでしたか?浅川さん3Gはまったく問題なかったです。大丈夫ですね。――伺っていると、準備は着々と進んでいるようですね。浅川さん繰り返しになりますが「安全第一」です。遅延してはいますが、もうホントにあと少しだと思います。――最後に、読者にメッセージをお願いします。浅川さんもう夢ではなく、本当に「宇宙旅行」ができる時代になります。あと少し待っていただければと。まさか宇宙港まで新設しているとは思ってもみませんでした。スケールの大きな話です。今年のクリスマスに、ヴァージングループ会長のリチャード氏が家族と一緒に第1号フライトができることを祈りたいと思います。(高橋モータース@dcp)クラブツーリズム・宇宙旅行のページ
2012年06月02日本年10月に行われる、天文宇宙検定委員会主催の「天文宇宙検定」第2回検定に、入門者向け検定と上級者向け検定が追加される。金環日食、金星太陽面通過、星出宇宙飛行士が乗り込んだソユーズ打ち上げなど、宇宙への関心が高まる中、その不思議さにふれ天文宇宙の世界を極めようとする「天文宇宙検定」の第2回検定実施が発表された。昨年開催の第1回検定では、8歳から82歳までの幅広い層で、3,000人弱が受験し話題を集めた。第2回検定からは、これから天文を学んでみようという人、小学校高学年の人を対象とする「4級星博士ジュニア」と、2級合格者のみを対象とする最上位検定「1級天文宇宙博士」を新たに設定。検定会場は昨年の東京、大阪に加え名古屋が追加された。合格者へは、漫画家・松本零士氏のイラスト入り合格認定証がプレゼントされるほか、各級の成績優秀者には協賛のセガトイズ、ビクセンから提供された各種賞品が抽選で当たる。申込締め切り日は9月5日(水)。受験料は4級4,000円、3級4,500円、2級5,500円、1級6,000円(すべて税込み)。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日