「Fleabag フリーバッグ」のアンドリュー・スコットと『aftersun/アフターサン』ポール・メスカルの共演によるアンドリュー・ヘイ監督最新作『異人たち』が、英国インディペンデント映画賞にて最多7冠を達成。ヘイ監督から11月29日に逝去した原作小説の著者・山田太一さんへの追悼メッセージが到着した。本作は、日本を代表する名脚本家・作家である山田さん作の傑作小説、「異人たちとの夏」(新潮社刊)の再映画化。『WEEKEND ウィークエンド』『さざなみ』『荒野にて』を手掛けてきたヘイ監督は独自の感性と見事なアレンジを加え、現代のイギリスを舞台に再びスクリーンへと蘇らせた。そんな本作は、現地時間12月3日に発表された英国インディペンデント映画賞で作品賞・監督賞・脚本賞・助演男優賞(ポール・メスカル)・撮影賞・編集賞・音楽監修賞など主要部門を独占する、最多7冠を獲得。ポール・メスカル監督は今回の訃報に際し、「山田太一さんのご家族に心からのお悔やみを申し上げます。山田さんの作品には、多くの人々にとってそうであったように、私に語りかけてくる、優しく思慮深い人間性がありました。それは言葉の背後にある、芸術家の魂の反映だと確信しています。今年、山田さんに映画『異人たち』をご覧いただくことができ、温かく受け入れていただけたことは私にとって多大な意味がありました。私の思いはご家族と共にあります」と追悼のメッセージを贈った。また、今回、まるで主人公たちの切ない心を写し出したかのような、美しいグラデーションが目を引くポスタービジュアルも解禁に。本作には、アンドリュー・スコット、ポール・メスカルほか、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル、『ウーマン・トーキング私たちの選択』のクレア・フォイという実力派キャストが集結。彼らの、リアルでありながら繊細で切なさを湛えた演技と、魂を揺さぶる表情で観る者を魅了する心を打つポスタービジュアルとなっている。アメリカ、テルライド映画祭でのワールドプレミア以降、批評家、観客双方から絶賛を受ける本作。「RottenTomatoes」でも97% fresh(12月5日現在)の記録を更新中で、第36回東京国際映画祭で国内初上映された折には、「今年どころか生涯ベストに入るくらい良かった」「傑作!」「素晴らしい以外の言葉が見つからないまま放心中…」「涙が止まらんかった。静謐で美しく、痛みと温かさが入り混じった作品」と日本でも絶賛の声が飛び交っている。『異人たち』は2024年春、全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:異人たち 2024年、公開(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2023年12月05日シャーロット・ウェルズ監督デビュー作『aftersun/アフターサン』のBlu-ray&DVDが2024年1月10日(水)に発売されることが決定した。11歳のソフィが父親のカラムとふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作は、多くの海外メディアが絶賛し、2022年のベストムービーにも選出された話題作。ポール・メスカルがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、日本公開時も大きな注目を集めた。監督・脚本を務めたのは、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。スコットランド出身、ニューヨークを拠点とするフィルムメーカーだ。2018年に「フィルムメーカー・マガジン」の“インディペンデント映画の新しい顔25人”に選ばれ、瑞々しい感性で長編デビューを飾った。また、A24の製作で第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスがプロデュースを務めている。大切な人とのきらめくような儚い記憶を描く本作。手元に置いて、ぜひ何度も噛みしめてほしい。『aftersun/アフターサン』Blu-ray&DVDは2024年1月10日(水)より発売。『aftersun/アフターサン』Blu-ray&DVD【発売日】2024年1月10日(水)【価格】Blu-ray 5,500円(税込) BIXF-0409/4907953222809DVD 4,400円(税込) BIBF-3595/4907953222816発売元:株式会社ハピネットファントム・スタジオ販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022(シネマカフェ編集部)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年09月18日シアーシャ・ローナン(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)、ポール・メスカル(『aftersun/アフターサン』)主演『Foe(原題)』の予告編が公開された。今作はイアン・リードの同名小説(邦題:もっと遠くへ行こう。)を原作として、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のガース・デイヴィス監督が映画化。脚本はリードとデイヴィスが共同執筆している。舞台は2065年の近未来。人里離れた農場で静かに暮らしている夫婦のヘン(シアーシャ)とジュニア(ポール)は、ある日訪ねてきた見知らぬ男(アーロン・ピエール)によってその関係が一変することになる。ある驚くべき提案を夫婦に持ちかけた男は、「平凡な人生を生きたいか?それともなにか特別なもの、ユニークなものの一部になりたくないか?」と2人に問う。しかし、その提案は夫婦にではなく、ジュニアだけへのものだった。男はジュニアが提案を受け入れた場合、ヘンを一人にしないように「代わりを用意する」というが、ジュニアは「妻と一緒に暮らすロボットなんていらない!」と拒否し…。映画ファンは「映画化されるなんて知らなかったけれど、数か月前に原作を読んでおいて本当によかった!大好きな2人が出演するなんて楽しみで仕方ない」「アイルランドが誇る最高の俳優2人だよ!」「なにがあっても観る」と期待を寄せている。『Foe』は10月6日全米公開予定。(賀来比呂美)
2023年08月25日『ザリガニの鳴くところ』の主演デイジー・エドガー=ジョーンズと、『aftersun/アフターサン』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたポール・メスカルが共演、社会現象的ヒットとなったラブロマンスドラマ「ノーマル・ピープル」が、スターチャンネルEXにて6月20日(火)より字幕・吹替ともに全話一挙配信される。本作は注目の作家、サリー・ルーニーの同名ベストセラー小説をドラマ化。原作は世界40言語以上で翻訳され、英語圏では150万部を突破、若い世代を中心に大反響を巻き起こした。BBCの配信サービスでは、2020年最多再生数を記録し、IMDbで8.4点、Rotten Tomatoesでは批評家評91%・一般評92%のフレッシュと高スコアをマーク。エミー賞、BAFTAなど各賞も席巻するなど、社会現象とも呼べるヒットとなった作品。主人公の裕福な家庭に育ったマリアンを演じるのは、『ザリガニの鳴くところ』で主演を務めたデイジー・エドガー=ジョーンズ。スポーツ万能で人気者のコネルには、『aftersun/アフターサン』に続き、来年公開予定の『グラディエーター』続編でも主演を務めるポール・メスカル。2人とも、本作を機に最旬注目俳優となった。この度解禁された予告映像では、マリアン(デイジー・エドガー=ジョーンズ)とコネル(ポール・メスカル)が、互いへの気持ちを素直に伝えられないまま、近づいたり離れたりを繰り返す姿が映し出される。2人の心の機敏を繊細かつ美しい映像で丁寧に描き、マリアンとコネルの関係の行方が気になる映像に仕上がっている。また、本作にはインティマシー・コーディネーター(※性的描写などの撮影に臨む俳優たちをサポートする撮影スタッフ)による親密でリアルなセックス・シーンが描かれ、2人の関係を表現する重要なシーンとなっている。ベストセラー小説をBBCがドラマ化!製作総指揮は『ルーム』レニー・アブラハムソン原作はサリー・ルーニーの同名小説。アイルランド出身で1991年生まれのルーニーは、26歳で発表した長編デビュー作「カンバセーション・ウィズ・フレンズ」(2017年)が高く評価され、一躍人気作家に。2作目に発表したこの「ノーマル・ピープル」は2018年のブッカー賞のロングリストにも選出され、世界40言語以上で翻訳されたほか、とくに英語圏では150万部以上を売り上げ、世界的なベストセラーに。アイルランドを舞台に、マリアンとコネルが近づいては離れを繰り返す4年間の物語。社会的、経済的な格差や、人間関係におけるパワーバランスなど、様々な要素に左右されながら、お互いに傷つけては慰めあう2人を描いている。本作ではルーニー自身も製作総指揮・脚本で関わり、脚本にNetflix映画『聖なる証』のアリス・バーチも参加。監督を務めるのは『ルーム』でアカデミー賞監督賞にノミネートされたレニー・アブラハムソンと、「ドクター・フー」シリーズでも屈指の人気を誇る伝説のエピソード「まばたきするな」でヒューゴー賞を受賞したヘティ・マクドナルド。前半のエピソードでアブラハムソン、後半のエピソードでマクドナルドがそれぞれ監督を担当し、30分×12エピソードというコンパクトな時間のなかで、若い2人の人生の交差を丁寧に描き出す。エミー賞・BAFTA…賞レースを席巻したデイジー・エドガー=ジョーンズとポール・メスカルの出世作2人の絶妙な関係を見事に演じきったのが、デイジー・エドガー=ジョーンズとポール・メスカル。マリアンもコネルもそれぞれにメンタルヘルスの問題について真剣に向き合うシーンがあり、非常に繊細で真摯な演技が要求される中、「このふたり以外にマリアンとコネルを演じることは不可能である」(インディペンデント紙)と評されるなど高い評価を得て、本作をきっかけに一気にスターダムを駆け上がった。デイジーは本作で英国アカデミー賞(BAFTA)とゴールデン・グローブ賞の主演女優賞などにノミネートされ、その後『ザリガニの鳴くところ』では主演を務め、ドラマ「アンダー・ザ・ヘブン 信仰の真実」でも大事な役どころを演じるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍。ポールもコネル役が高く評価され、エミー賞、ゴールデン・グローブ賞などで主演男優賞ノミネート、BAFTAでは主演男優賞を見事受賞した。その後『aftersun/アフターサン』でも主演に起用され、アカデミー賞主演男優賞にノミネート、リドリー・スコット監督の『グラディエーター』続編での主演も決定し、ついにはMCU作品への出演も報じられている。インティマシー・コーディネーターを起用した親密でリアルなセックス・シーン本作のドラマ化で話題になったのが、物語の重要な局面で登場するセックス・シーンの豊かさ。これらのシーンは2人の関係を表現するのに不可欠で必然的な描写であり、どこまでも丁寧でリアルを追求して作り上げられている。その裏にあるのは「インティマシー・コーディネーター」のイータ・オブライエンの存在だ。オブライエンはこれまでに「I MAY DESTROY YOU/アイ・メイ・デストロイ・ユー」や「セックス・エデュケーション」など様々な人気作品で、それぞれの作品にふさわしいシーンを撮れるよう役者や監督、スタッフと対話を重ねてきた。本作でもその手腕はいかんなく発揮されており、全員が安心できる撮影空間づくりが素晴らしいシーンの実現につながった。BBCの配信サービスで2020年最多再生数を記録し、社会現象にエミー賞では4部門ノミネート(リミテッドシリーズ部門/監督賞・脚本賞・主演男優賞・キャスティング賞)、BAFTAでは3部門(リミテッドシリーズ部門作品賞・主演男優賞・主演女優賞)にノミネートされ、ポールが主演男優賞を受賞した。さらにBBCの配信サービス「BBC iPlayer」では2020年に6,270万回再生を記録し、年間再生数の1位となった。なお、本作の配信を記念して、原作小説とのコラボが決定。ドラマ版ビジュアルを使用した帯が巻かれた原作小説が全国の書店にて展開される(7月頃予定)。海外ドラマ「ノーマル・ピープル」はAmazon Prime Videoチャンネル「スターチャンネルEX」にて一挙配信中(字幕版・吹替版/全12話)。(シネマカフェ編集部)
2023年06月20日各国で高い評価を得たシャーロット・ウェルズ監督初長編作『aftersun/アフターサン』より、父娘を演じたポール・メスカルとフランキー・コリオからメッセージが到着。併せて本編映像も解禁された。昨年のカンヌ国際映画祭批評家週間での上映で絶賛され北米配給権をA24が獲得した本作。その後、アカデミー賞をはじめ数々の映画祭で高く評価されたことと、興行的にも成功を収めたことから、現在開催中のカンヌ国際映画祭部門のオフィシャルポスターに本作のスチル写真が採用された。登場人物ふたりが強く抱きしめ合う、親子の深い愛情が丁寧に映し出されている一枚が、再びカンヌの熱い視線を浴びている。公開を間近に控え到着したメッセージ動画で、ポール・メスカルとフランキー・コリオは「ハロー、ジャパン!」と挨拶。ポールは「監督とフランキーと僕にとってすごく大切な映画です、是非楽しんでください!」とコメント、フランキーは「私がこの映画の撮影を楽しんだのと同じくらい皆さんも楽しんでください」と撮影時をチャーミングにふり返る。本作が2人にとって重要な作品であることがうかがい知れるメッセージとなっている。さらに、併せて解禁された本作の冒頭映像は、ソフィ(フランキー・コリオ)が父親カラム(ポール・メスカル)を撮影したビデオテープの映像。滞在中のホテルでじゃれ合う親子のほほえましいやり取りが残されており、間もなく誕生日を迎える父・カラムにインタビューするという設定でソフィがカメラを向ける。ここから、普段は離れて暮らしていても仲睦まじい父娘の様子が垣間見える。11歳のソフィは、2日後に31歳を迎える父カラムに、「11歳の時 将来は何をしてると思ってた?」と尋ねる。逆光の中で、何かを考え込んでいるような複雑な表情のまま、言葉を発しないカラムの顔を映し出してビデオは止まる…。ビデオテープに収められたローファイな映像にはどこか懐かしさが漂い、我々も彼らと一緒にその場にいたような感覚に陥る。心に仕舞っている愛おしい記憶が揺り起こされるような、温かな気持ちが引き起こされる冒頭映像となっている。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月25日シャーロット・ウェルズ監督が初長編作品にして英国アカデミー賞英国新人賞を受賞、世界のメディアが本年度ベストムービーに選出した注目作『aftersun/アフターサン』。この度、ウェルズ監督が「クイーン」&デヴィッド・ボウイ、「ブラー」、「R.E.M.」など、登場人物の心情とシンクロする名曲の数々について起用秘話を明かした。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。多くを語らず、ミニマリスティックな演出で観る者に深い余韻をもたらす本作は、誰しもの心の片隅に存在する大切なひととの大切な記憶を揺り起こす。陽光注ぐ海辺、アフターサン(日焼け後)クリームの香り、大きな波音、そしていまも残る父・カラムの手の感覚…。脚本を書いていた数年間、イメージした音楽のプレイリストを作り、曲を聴いてはその場所や瞬間にふさわしいと感じてどんどん楽曲が増えていったというウェルズ監督。そのうちの何曲かは実際に劇中で使用されている。シャーロット・ウェルズ監督「私が初めてカセットやCDを買ったのは1997年か1998年頃だったから、サウンドトラックに使う曲はその年代で区切りました。『R.E.M.』や『ブラー』は父の影響です。ジャンルをミックスし、80年代かそれより古い曲も取り入れて、もう少し“クール”でインディっぽいものにしようとも考えましたが、場所とキャラクターに忠実でありたかったし、その直感のおかげで、ジャンルは様々でもまとまったサウンドトラックに仕上がったと思っています」と、自身の自叙伝的な本作ならではの選曲であったことを明かす。最も印象的な楽曲の1つは「クイーン」&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」だ。「あの選曲は本当に予想外でした。編集時にひらめいたんです」と当初は使用予定がなかったという。「フレディ・マーキュリーとデヴィッド・ボウイの歌声が素晴らしく、これまでもインスピレーションが欲しい時に聴いていました。だから今回も編集のときに聴いていたんですが、効果はてき面でした」と当時をふり返る。しかし、はじめは、「これだけ静かな作品なので、どうしても曲の歌詞に意識が向いてしまうのでないかと懸念していました」というが、仮で音源を入れて編集を進めているうちに徐々に“この楽曲しかない”という思いが強くなっていったのだという。結果的に、登場人物の語られない心の内と歌詞が共鳴することになり、最も重要な役割を果たす1曲に。監督自身が“あの曲でなければ成立しなかった”と思える納得の選曲となったという。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月24日先ごろ開催されたアカデミー賞でポール・メスカルが主演男優賞の候補になったのをはじめ、英国アカデミー賞、カンヌ映画祭など多くの映画祭・映画賞で絶賛を集めた映画『aftersun/アフターサン』がいよいよ26日(金)から公開になる。本作は主人公の女性が、20年前の夏に父と訪れたリゾート旅行を振り返る様を描いた作品で、大きな事件が起こるわけでも、劇的な展開があるわけでもないが、観る者の心と記憶を刺激する描写がふんだんに盛り込まれ、映画的な魅力が細部にまでつまっている。本作はなぜ、ここまで観客を魅了するのか? 監督と脚本を手がけたシャーロット・ウェルズに話を聞いた。ウェルズ監督はスコットランド出身で、ニューヨークを拠点に活動する映画監督。大学院で映画制作を学び、いくつかの短編を手がけた後、初の長編作品にこのプロジェクトを選んだ。主人公の女性ソフィは、ホームビデオの映像を観ている。あの夏、11歳だったソフィは父に連れられてトルコのリゾート地に出かけた。いつもは離れて暮らしている父との日々。ビデオに記録された空はどこまでも青く、ふたりは朝から晩まで遊んで、穏やかに時間が過ぎていく。しかし、ソフィはビデオ映像にうつる父の知らなかった一面を見つけ出していく。本作では劇中で父の知られざる一面が劇的に描かれることはない。しかし、観客は11歳のソフィの目を通して父との日々を眺めているうちに、父の抱えているものに少しずつ気づいていく。「多くの映画監督は“ストーリーを伝えるための劇の構造”を選びがちですよね。でも私は、観る人ともっと深いつながりが持てる作品をつくりたいと思っています。ですからこれまでも余計なものは可能な限り排除して、本当に必要なものだけを残すというやり方で映画をつくってきました。本作でもすべてを説明するのではなく、作品の中に余白を残すことで観客にメッセージを読み取ってもらいたいと思いました」監督が語る通り、本作では過剰な説明やセリフは登場しない。カメラの動き、俳優の表情や気配、父と娘の空気感の変化……“映画の言語”を駆使して物語が綴られる。「大学院で映画を学んだのですが、最初にやるレッスンは“映画の音を消してもストーリーがちゃんと伝わるか?”でした。そのことはいつも意識しています。脚本を書く上ではストーリーを前に進めたり、新しい情報を伝えるようなセリフもありますが、私の書くセリフは日常の中にある”とりとめのない言葉”が多いですし、創作する過程ではフォーム(構造)を通じてストーリーを伝えることを大切にしています。それに無駄なセリフを排除して、静寂な時間をつくることで、別の要素を映画の中に入れることができるんです。カメラワークや、音がスクリーンの画とシンクロしていたり、ズレていたり……しっかりとビジュアルで語ることで、そういった別の要素が強まる可能性もつねに意識しています」そこで重要になったのが、フィルムでの撮影だ。本作は“かつて父と娘が旅行中に撮影したハンディビデオの映像を、成長した娘が見る”という設定だが、撮影は全編35ミリフィルムで行われた。「撮影監督のグレゴリー・オークのこだわりでもあったのですが、35ミリフィルムで撮影することは本作を語る上では欠かすことのできない要素でした。デジタル撮影にはない質感が35ミリにはあり、本作が描く記憶のぼんやりとした感じ、ソフトな質感を表現するためにはフィルムが必要だったのです。デジタル撮影だとあまりにもクッキリとし過ぎてしまうのです。フィルムで撮影することで、古い写真や使い捨てカメラで撮った写真の感覚を表現できると思いましたし、フィルムのルックを用いることで観客が“あの時代”を意識せずにさかのぼれると思いました」なぜ、『aftersun/アフターサン』は多くの観客を魅了し続けるのか?さらに本作では編集と構成(どの順番でシーンを語っていくか?)に長い時間が費やされたという。この物語では父と娘はひとつのリゾート地で何日も過ごしている。脚本上では「時間の経過を表現するために、1日のはじまりは必ず同じシーンからはじまるようにしていた」そうだが、完成した映画では時間の経過が曖昧に感じられるようにシーンが構成され、時おり成長した現在のソフィの場面が挟み込まれる。時間が単純に一直線に進んでいくのではなく、過去を振り返る時に誰もが体験する“おそらくこの順番で出来事が起こったはずだけど、一部だけ記憶の順番が曖昧”という感覚を本作は編集によって実現しているのだ。「撮影監督のグレゴリーと、編集を担当したブレア・マックレンドンとは同じ大学院で、短編も一緒につくってきました。私たちは創作のテイストも似ているし、目指している部分が同じなんです。ですから、撮影を終えて、編集前に自分とブレアのために“編集用の脚本”を用意したのですが、結果的には一度も開くことはありませんでした。ブレアは物語が時系列的に一直線に進んでいくことを好まないので、時間が経過して次の日がやってくる“境界線”をうまくボカすような編集をしてくれました。基本的には朝が来て、夜になり……と進んでいくのですが、時折、ソフィが同年代の子どもたちとプールに入るシーンや、彼女が男の子と遊ぶ場面を違う流れの中に上手に盛り込んでいくことで、記憶のもつ“順番が曖昧な感じ”を表現することができたと思います。これはブレアのおかげですね」さらに本作ではシーンの並びを精緻に検討して構成することで、観客が少しずつ父の知らなかった一面に気づいていくことに成功している。人は映画を観ている時、その映画がまだ上映中であっても、数分前に観ていたシーンの印象が変わることがある。映画の前半で楽しそうな人として登場したキャラクターが、あるシーンで得られる情報によって“さっき観たあのシーンの彼は楽しそうにしていたわけではないのだ”と気づくことがある。記憶は人の中で固定されるものではない。記憶はたえず変化し、更新されていく。「そのことはすごく意識しましたし、本作はそのような構造の作品だと思います。この映画を観てくださる方は、最初は父と娘の楽しいバケーションを観ていると思っています。しかし、それがどんどん変化していく、それらが積み重なることで、結末には観客がある感覚を抱くことになる。でも、それは人生そのものがそうだと言えますし、“振り返る”という行為もそうですよね。過去を振り返る時、当時はとても楽しい思い出だったのに、何年か経ってから振り返ると、別の感情が湧き上がってくる。あの時の楽しさを思い出したいけれど、今の感情とぶつかり合ってしまう。そういうことが誰にでもあると思いますし、そのこともこの映画では表現したかったのです」この映画が世界中の多くの観客を魅了しているのは、父と娘の関係を上手に描いたからでも、親子の普遍的なドラマを描いたからでもない。曖昧な記憶が変化/更新される中で、新たな一面を発見し、当時の記憶と現在の感情がぶつかり合う……誰もが一度は経験する感覚を見事に描き出したことが本作の最大の魅力だろう。監督が目指した通り、本作は単に物語やキャラクターを提示するだけでなく、観客と“深いつながり”をもつことに成功したのだ。「公開される前は、私と同じような体験をした方や、似たような体験をした観客だけにこの映画を理解してもらえると思っていました。父と娘の関係だったり、父の抱えている問題が観客に響くだろうと予想していたのです。しかし、映画が公開され、そうではないことが証明されました。この映画はそれ以上の広がりをもって受け入れられました。それは本当にうれしいことですし、今後も自分の信念を貫いて創作を続けていきたいと思っています」誰もが過去を振り返る。楽しかった思い出、つらい記憶、あの日のあの人の印象……しかし、それらは自分が時を経て、経験を重ねることで変化していく。人は何度も過去を振り返り、そのたびに新しい過去に出会う。あの時はわからなかった父の気持ちがわかるようになる。新たに父と出会うことができるのだ。これから多くの人がふとしたきっかけで、映画『aftersun/アフターサン』を振り返ることになるだろう。そのたびに、観客の記憶の中に、あの日のリゾート地の父と娘が、思ってもみなかった新しい姿で出現するはずだ。『aftersun/アフターサン』5月26日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開(C)Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月24日少しずつ夏の気配を感じ始める時期となりましたが、まぶしい日差しに目を閉じると懐かしい夏の思い出がまぶたに浮かぶこともあるのでは?そこで今回オススメするのは、大切な人と過ごしたひと夏を描き、賞レースを席巻するほどの喝采を浴びた話題作です。『aftersun/アフターサン』【映画、ときどき私】 vol. 577思春期真っただ中にいる11歳のソフィは、離れて暮らす若き父・カラムとトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間をともにする。最後の夏休みから20年後。当時のカラムと同じ31歳になったソフィは、ビデオテープに収められた映像のなかに大好きだった父の知らなかった一面を見出してゆくことに…。これまでに世界各国の映画祭で249のノミネートと82の受賞を記録し(2023年5月10日時点)、映画界に大きな反響を巻き起こした本作。今回は、こちらの方に作品の裏側についてお話をうかがってきました。シャーロット・ウェルズ監督スコットランド出身で、現在はニューヨークを拠点に活動しているウェルズ監督。本作で華々しい長編監督デビューを飾り、新たな才能として注目を集めています。そこで、制作時に意識していたことや現場での様子、日本から影響を受けていることなどについて語っていただきました。―本作は自叙伝の要素が強い作品ということですが、フィクションと実話を構成するうえで意識されたことはありましたか?監督今回インスピレーションとなったのは、自分が過去に体験したことや当時の会話など。それらを整理するために、まずは父親とのことだけでなく、母親に関することも含めた幼少期全体の思い出を書き出すことから始めました。そこからキャラクターやフィクションの部分を発展させて、脚本として仕上げています。そのなかで唯一変えずに維持したのは、当時自分のなかに存在していた感情。そこだけは、忠実に描きました。―タイトルの『aftersun/アフターサン』とは日焼けのあとに塗る保湿クリームのことですが、ヒリヒリするような感情を描いた本作には完璧なタイトルだと感じました。どのようにして思いついたのでしょうか。監督脚本を書き始める前から仮のタイトルとして付けていましたが、直感で決めたので、実はいつどこで思いついたのかも覚えていないくらい。アフターサンローションは英国人のホリデーには欠かせないものですけど、正直に言うと、そこに込めた意味を深く考えたこともないんです…。ただ、観る方によってタイトルの解釈が違うと聞き、それについての記事もたくさん出ているので、いまは面白いなと思っています。俳優の努力と才能が認識されたことがうれしい―それぞれが好きなように受け取れるというのも、楽しみ方のひとつですね。また、劇中では父親役のポール・メスカルさんとソフィ役のフランキー・コリオさんが本当に素晴らしかったです。ただ、キャリアも技術もあるポールさんと、演技未経験のフランキーさんというまったく違うタイプの2人を演出するのは大変だったのでは?監督フランキーは子どもですし、本作が初めての演技だったので、今回は彼女を中心に現場を組み立てていきました。なので、ポールとのシーンでは、彼が彼女の演技を引き出すパートナーになるようにお願いしています。あとは、フランキーだけの撮影とポールだけの撮影を交互に繰り返しながら進めていきました。そんななかで面白かったのは、大人の俳優だけでクラブのシーンを撮ったときのこと。彼らにもそれぞれ演出が必要なんだと改めて気がつき、それまでいかにフランキー中心で現場が動いていたのかを実感しました。―そのかいあって、繊細で非常に難しい役どころを演じ切ったポールさんはアカデミー賞の主演男優賞にも見事にノミネートされましたね。監督私も本当にうれしかったです。ノミネートが発表される当日は、可能性があるかもしれないと思ってはいましたが、緊張してアパートのなかを歩き回ってしまいました(笑)。ノミネートされたあとはポールからも電話が来たので、お互いへの感謝と敬意を伝えつつ、いかに信頼関係のある特別な撮影だったのかというのを興奮しながら語り合ったほどです。特に今回はコロナ禍だったこともあり、限られた密な空間のなかでの大変な撮影だったことも大きかったかもしれません。私としては、彼の努力や才能が認識されたことがうれしいですし、これによってより多くの人に作品が届くことをありがたく感じています。思い出を振り返る作業ができて楽しかった―監督としても、初の長編映画でここまで注目されるとは想像していなかったかもしれませんが、これまでの道のりを改めて振り返ってみていかがですか?監督本当に、予期していないことばかりでした。それどころか、最初は締め切りに間に合わせることに必死すぎて、作品を観客に受け入れてもらえるかどうかを考える余裕もなかったほどですから。そんななか、カンヌ国際映画祭で上映をした際、あれだけ多くの観客からの共感を得ることができ、高く評価していただけたのはうれしかったです。初長編作品というのは、人生で一度しかないことなので、それがこれだけ特別な経験となって光栄に感じています。―この作品では当時の父親とご自身が同じ年代になったという視点が生かされていますが、昔から子どもながらに父親が何かを抱えていることは感じていたのでしょうか。それともご自身が30代に入ったことで、自身の父親が抱えていた生きづらさと共感する部分があってこのテーマに興味を持ったのですか?監督これは難しい質問ですね。おそらく昔のアルバムを見ていたときに、いまの私が送っている生活が当時の父親の環境とはあまりにも違っていることに気がついたのが最初だったかなと思います。私は11歳の娘を育ててはいないので、「あのときの父は何を感じていたんだろう」と考えるようになったのがきっかけです。そこからさらに掘り下げていきたいと思ったのですが、そのなかでも描きたかったのは2人が1つの喜びを共有している姿。それぞれに苦しみを抱えてはいましたが、2人が重なることによってポジティブなものになっていく様子を見せたいと考えました。思い出というのは、意図的に掘り返さないと前方に持ってくることはできませんが、普段はなかなかそういう機会がないので、この作品で思い出を振り返る作業ができて楽しかったです。女性同士で協力して、地位向上につなげたい―初来日となりましたが、日本に対してはどのような印象をお持ちですか?監督数日しか滞在していないので、まだ日本について語れる段階ではないのかもしれないですね。ただ、私はニューヨークという多国籍な文化のなかで暮らしていて、日本食もつねに食べられるような環境にいるので、日本に対しては“未知の国”というイメージはありません。あとは、ファッションやデザインはそのまま持ち帰りたいくらい素敵だなと思っています。とはいえ、今回はいわゆる観光地というようなところばかりを回っているので、次に戻ってくるときは東京の外に出て、新しいことを吸収したいです。―ちなみに、日本の作品やカルチャーで好きなものがあれば教えてください。監督私は小津安二郎監督から多大な影響を受けています。特に、色使いや家族の描き方、空間の捉え方、そして静の状態といったものはいつも参考にしてきました。あとは、カメラのフレーミングなども研究して取り入れているので、小津監督は本当に大きな存在です。―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。監督『aftersun/アフターサン』では、以前から一緒に作品を撮っている男性たちと仕事をしましたが、今後新たなコラボレーターを探すときは女性と組みたいなと考えているところです。まだまだ男性優位の社会ではありますが、そうやって女性同士でお互いに協力して高め合っていければ女性の地位向上にもつながると思っています。それくらい女性にとっては、コミュニティが非常に大切だというのを伝えたいです。心にしまっていた愛おしい思い出が蘇る!ヒリヒリとした胸の痛みを覚えつつも、まばゆいほどの美しさに魅了される本作。観る者の心に静かに入り込み、記憶と想像力を刺激する珠玉のストーリーは、誰にとっても忘れられない映画体験となるはずです。取材、文・志村昌美引き込まれる予告編はこちら!作品情報『aftersun/アフターサン』5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開配給:ハピネットファントム・スタジオ️(C) Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月11日シャーロット・ウェルズ監督初長編作品『aftersun/アフターサン』より本編映像が解禁された。A24が北米配給権を獲得したことでも話題の本作。11歳の娘が父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった視点でふり返る。物語の中心となる娘のソフィを演じたのは、半年にわたるオーディションで800人の中から選ばれた新人フランキー・コリオ。本作で鮮烈なスクリーンデビューを飾った次世代スターの原石だ。スコットランド出身でサッカーが大好きなコリオは、オーディションの結果ポール・メスカル演じるカラムの娘、ソフィ役を勝ち取った。ビデオオーディションに参加したのは800人。その後対面で行われたキャスティングセッションで、彼女は新人ながら見事大抜擢された。本作のプロデューサーにも名を連ねるバリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』で、無名の俳優達をキャスティングし大成功を収めた製作会社パステルは、その経験を生かし半年にわたって理想の“ソフィ”を探し求めた。キャスティングの流れとして、先にソフィ役を選んだという制作チーム。コリオに対する印象について、シャーロット・ウェルズ監督は「驚くことに、最初から自分自身をソフィというキャラクターに投影した演技を出来ていたんです。並外れた才能の持ち主だと思います」とふり返る。撮影中、コリオには脚本ではなくセリフだけが書かれたものが渡され、それは演技経験のない彼女の姿をより自然体に捉えるためのものだったという。今回解禁された映像で映し出されるのは、隣同士ビーチチェアやトルコ式公衆浴場と呼ばれるハマムでくつろぐ若い父娘、“私たちは同じ空で繋がっている“とカラムに語りかけるソフィの優しい声だ。「離ればなれだけど、そばにいるのと同じ」、「同じ空の下にいるなら一緒と同じ」と、別々に暮らす父への恋しさや寂しさと共に、強い絆で結ばれていることを感じさせるセリフが続く。また、冒頭にはウェルズ監督が影響を受けた監督の一人に名前を挙げている、ソフィア・コッポラ監督作『SOMEWHERE』を彷彿とさせるシーンも。青に囲まれたプールの中で写真を撮り合う2人は、まるでスティーヴン・ドーフとエル・ファニングが水中でお茶を飲むジェスチャーをして楽しむ姿のように見える。同作で撮影当時12歳だったエル・ファニングは、高級ホテルに暮らすハリウッドスターの父と一夏を過ごす少女を演じた。12歳といえば、ナタリー・ポートマンが『レオン』のマチルダ役のオーディションを受けた年でもある。そして、ソフィ役のフランキー・コリオは11歳にして鮮烈な印象をスクリーンに刻んだ。ファニングやポートマンが子役として映画史に名を残し、現在もその存在感を世界に放っているように、本作でのフランキー・コリオも、いずれ時代を席巻する存在になりえると思わせる才能を魅せる。実際にその兆しは早くもあらわれており、ロンドン映画批評家協会賞のブリティッシュ/アイリッシュ新人俳優賞にノミネートされ式に出席したコリオは、同席していたケイト・ブランシェットから「新星」と呼ばれ、フローレンス・ピューやミシェル・ヨーなどそうそうたる俳優陣と肩を並べ写真に収められている。今後の活躍が期待されるフレッシュな大型新人フランキー・コリオ。その成長の一歩となる本作に、大きな注目が集まる。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年05月11日A24注目の新星シャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作『aftersun/アフターサン』より新場面写真が解禁された。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、A24が北米配給権を獲得したことでも話題の本作。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴っていく。この度解禁されたのは、若くして父親になったカラムを演じたポール・メスカルをとらえた新場面写真。ポール・メスカルはアイルランド出身の現在27歳。元々はアイルランド発祥のスポーツ・ゲーリックフットボールで活躍する選手だったが、怪我を理由に引退。その後国立演劇学校で演技を学ぶと、その才能が一気に開花し、卒業直後にはダブリンの名門ゲート劇場で「グレート・ギャツビー」の主演に抜擢される。さらに、2020年4月に放送が始まった、アイルランドの田舎町を舞台にあるカップルの数年間を描いた青春ドラマ「ノーマル・ピープル」で、主人公カップルの青年を演じ一躍脚光を浴びることとなる。この作品で数々の賞に輝くと、その勢いはとどまることを知らず、先月は舞台「欲望という名の電車」で、映画版のマーロン・ブランドと同じスタンリー役を務めローレンス・オリヴィエ賞を受賞した。彼にとって長編映画2本目となる『aftersun/アフターサン』では、娘への深い愛情をみせる一方で、自身の問題に苦悩する若い父親を演じ、その繊細な演技が認められ、発表当時弱冠26歳にして米国アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。本作のメガホンを取ったシャーロット・ウェルズ監督は、彼から送られてきたオーディションビデオがキャスティングのきっかけだったと明かす。そこには劇中で使用されている名曲、ブラーの「テンダー」にあわせてタバコをふかしながら踊っている姿が収められていたといい、カラム役に対する彼の熱意に触れ、「彼なら真のコラボレーターになってくれるに違いないと確信した」とふり返る。この度解禁された2枚の場面写真には、まさにポール・メスカルが演じ分けたソフィの若き父・カラムの陰と陽の部分が垣間見える。20年前のトルコのリゾート地。娘と一緒にビーチで過ごす表情には、穏やかな愛情や包容力を感じるが、一方、一人で訪れた絨毯店での床に向けられた物憂げな眼差しには彼の抱える苦悩が滲む。繊細な表現力が光り見事に監督の期待に応えたメスカルだが、公開待機作でも注目作が控えている。中でも一番の目玉となるのは巨匠リドリー・スコット監督による『Gladiator 2(原題)』だろう。前作でホアキン・フェニックスが演じたコモドゥスの甥、シリウス役に抜擢されている。今後の動向から目が離せないニュースター、ポール・メスカル。本作で高い評価を得た彼の熱演に注目だ。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年04月25日話題作を次々と手掛けるスタジオA24も注目する新星シャーロット・ウェルズ監督の初めての長編映画である『aftersun/アフターサン』が5月26日(金)より公開。昨年のカンヌ国際映画祭批評家週間での上映を皮切りに話題を呼び、世界中で高く評価された本作は、彼女が幼いころ、実際に若き日の父と過ごした夏休みの思い出がベースとなっている。ほかにも、ソフィア・コッポラやミア・ハンセン=ラブといった気鋭の女性監督が実体験を基に父と娘を描く作品が近年注目を集めている。いずれも自身の経験を反映しているからこそ物語に深みが生まれ、誰しもがまるで自分ごとのように共感する作品ばかり。ウェルズ監督『aftersun/アフターサン』を含め4作品をピックアップした。ミア・ハンセン=ラブ『それでも私は生きていく』5月5日より全国順次公開病気の父親の介護、仕事、子育て、新たな恋。懸命に生きようとする女性の物語第66回ベルリン国際映画祭で銀熊(監督)賞を受賞し、いまやフランス映画界を代表する存在となったミア・ハンセン=ラブが自身の経験を基にメガホンを取った8作目。サンドラ(レア・セドゥ)は、夫を亡くした後、通訳の仕事に就きながら8歳の娘リン(カミーユ・ルバン・マルタン)を育てるシングルマザー。仕事の合間を縫って、病を患う年老いた父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)を見舞う。しかし、かつて教師だった父の記憶は無情にも徐々に失われ、自分のことさえも分からなくなっていく。そんな中、旧友のクレマン(メルヴィル・プポー)と偶然再会。知的で優しいクレマンと過ごすうち、2人は恋に落ちていくが…。ソフィア・コッポラ『オン・ザ・ロック』(‘20)ソフィア・コッポラの自伝的なニュアンスを盛り込んだエレガントでオフビートなコメディニューヨークで暮らすローラは順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーンが新しい同僚と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める。そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックスに相談を持ち掛ける。フェリックスはこの事態を調査するべきだとアドバイスし、父娘2人でディーンを尾行することに。アップタウンのパーティやダウンタウンのホットスポットを一緒に巡る内に2人は距離を近づけていき、ローラは自分たち父娘の関係についてある発見をする。マーレン・アデ『ありがとう、トニ・エルドマン』(‘16)愛は不毛じゃない――。世界中が熱狂!この父と娘に涙し、笑った。悪ふざけが大好きな父・ヴィンフリートとコンサルタント会社で働く娘・イネス。性格も正反対なふたりの関係はあまり上手くいっていない。たまに会っても、イネスは仕事の電話ばかりして、ろくに話すこともできない。そんな娘を心配したヴィンフリートは、彼女が働くブカレストへ。父の突然の訪問に驚くイネス。ぎくしゃくしながらも何とか数日間を一緒に過ごし、父はドイツに帰って行った。ホッとしたのも束の間、彼女のもとに、<トニ・エルドマン>という別人になった父が現れる。職場、レストラン、パーティー会場、神出鬼没のトニ・エルドマンの行動にイネスのイライラもつのるが…。今作が長編3作目となるアデ監督は、ヴィンフリートとトニ・エルドマンという二重のキャラクターの発想は自身の父からだと明かしている。シャーロット・ウェルズ(初長編監督作品)『aftersun/アフターサン』5月26日公開20年前のビデオテープに残る、11歳の私と父とのまばゆい数日間。――あの時、あなたの心を知ることができたなら。思春期真っただ中のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出していく…。陽光注ぐリゾート、きらきら揺れる海、いまも残るアフターサン(日焼け後)クリームの手触り…全てがまぶしかった。誰の心にも在る、大切な人との大切な記憶の物語を活写する。『ムーンライト』バリー・ジェンキンスがプロデューサーとなった。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ありがとう、トニ・エルドマン 2017年6月24日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© Komplizen Filmオン・ザ・ロック 2020年10月2日より全国にて公開© 2020 SCIC Intlそれでも私は生きていく 2023年5月5日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年04月15日A24の注目作『aftersun/アフターサン』のシャーロット・ウェルズ監督が初来日。4月10日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われた来日記念舞台挨拶に登壇し、さらに本作の大ファンだという映画を愛する俳優・岸井ゆきのが特別ゲストとして駆けつけた。この日は、昨年主演した『ケイコ 目を澄ませて』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝き、映画愛にあふれる感動のスピーチも記憶に新しい岸井さんがこれからの活躍にも期待が高まるシャーロット・ウェルズの才能に注目、今後の映画界を担う若き2人の貴重な対面の場となった。映画上映前、会場に集まった大勢の日本の観客の前に立ったウェルズ監督は「来日するのは初めてですが、日本に来られたこと、皆さんとこの映画を分かち合うことができて、最高の気持ちです」と挨拶。また、奇しくもこの舞台挨拶の会場となったヒューマントラストシネマ渋谷では、ウェルズ監督が敬愛する伝説の映画監督の特集上映「シャンタル・アケルマン映画祭2023」が行われており、「実はこの作品でもインスピレーションを受けているんですよ」と明かした。続けて、「この映画のプレミアが(昨年5月の)カンヌだったので、もう11か月前のことになりますね。この映画でのQ&Aをする機会は、おそらくこれが最後かなと思いますが、自分が想像したよりもはるか遠くにまで、いろんな人に届いた作品になりました」と感慨深い様子で語り、「この作品はフィクションではありますが、自分のパーソナルな部分、あるいは自分の人生、そして少女時代といった具体的な部分が入っている作品です。そしてそういった作品でありながらも、たくさんの方たちといろんな形で繋がっている作品なので。観客の皆さまがこれからどう繋いでくださるのか、楽しみです」と付け加えた。そんな本作をひと足先に鑑賞し、大ファンになったという岸井さん。ウェルズ監督に花束をプレゼントした岸井さんは「公開が決まった時からこの映画を観たいなと思っていたら、ちょうど今回のお話をいただきました。この映画は父と娘の話なんですけど、父親は多くを語らないんです。だからこそ自分の過去だったり、生きてきたことでしか解明することができない映画だなと思いました。父親が感じていたものが、セリフというよりも、呼吸とか、後ろ姿とか、肌とか、そういうところから伝わってきて、素晴らしい映画だなと思いました」と本作の感想をコメント。その感想を聞いたウェルズ監督は、「うれしい言葉をありがとうございます!」と笑顔を見せると、「観客の方に、その映画の中に入る余白を持たせることが、短編を作るなかで学んだこと。今回は短編よりも時間がある中で、どういう余白を入れることが正しいんだろうと思いながら創り上げた作品でした。岸井さんがおっしゃった通り、観客の方が自分自身を振り返ることを必要とする映画ではあると思うんです。でも見終わった後に、素晴らしい報酬があるなと感じてくれたら嬉しいですね」と返した。そんなウェルズ監督に向けて、「わたしが映画で感じたのは呼吸、お父さんの呼吸を感じました。そういうことに関しての演出はどういう風にされているのかなと、気になりました」と質問を投げかけた岸井さん。それに対し、「アケルマン監督が自分の作品を語る時に、足音の大事さを語っていたことがありました。足音が聞こえるだけで物語を肉付けしていくことができる。何が起こっているのか、語ることができるから大事なんだと。それはまさに岸井さんがおっしゃった通りで、それを呼吸でやりたいと思ったんです。(父親・カラム役の)ポール・メスカルは、わたしのことを信頼してくれたので、彼との仕事を楽しむことができました。わたしの解釈を伝えて、そこに彼が自分の解釈を付け加えて、役柄に息を吹き込んでくれた」と監督。そして、「『ケイコ 目を澄ませて』を観て、岸井さんが本当に素晴らしい役者であることは分かっていますが、岸井さんもご存じの通り、映画は脚本の文字の上だけでなく、そこに役者さんが入りこみ、役を生きなければいけない。そういう意味でポールはすばらしかったし、父親の愛情も見事に表現してくれたなと思います」とふり返った。最後に、「わたしはこの作品を観て、この作品から感じられる空気の正体は何だろうと。自分が持っている不安とは何だろうと考えながら、自分なりに回答を出したんですけど。この映画を通じて、わたし自身を見ることができました。そうやって(観客にとっても)自分の物語になるような映画だと思うので、ぜひ楽しんでください」と自身の思いの丈を伝える岸井さん。さらにウェルズ監督も「岸井さんが作品を応援してくださっていることに大きな意味があります。作品自体については、あまり多くは語らずに見ていただく方がいい作品なので、オープンな気持ちで観ていただけたらと。この作品は8年越しに、才能あふれる人たちのおかげで作ることができました。今日ここには立っているのは、彼ら、彼女らのおかげ。映画『aftersun/アフターサン』は、美しい光が投影されるスクリーンで観るのがベストだと思うので、ぜひご覧ください」と観客にメッセージを送り舞台挨拶を締めくくった。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年04月11日スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ監督作『aftersun/アフターサン』よりバリエーションビジュアルが解禁された。アカデミー賞主演男優賞ノミネート、英国アカデミー賞英国新人賞受賞など、各国で高い評価を得た本作。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴っていく。この度解禁されたのは、本作のクリエイティブディレクションを務めたデザイナー、大島依提亜氏が手掛けたバリエーションビジュアル10種。本作の舞台となるトルコのリゾート地で、青天の下ソファでくつろいだり、バスの中でぴったりと寄り添う姿など、父娘の仲睦まじい様子がとらえられている。物語の中で父親のカラムは31歳の誕生日を11歳の娘ソフィと迎えるが、若くして父親となった彼と娘の2人は、周りから見るとまるで年の離れた兄妹だ。実際に役を演じたポール・メスカルとフランキー・コリオは14歳差。彼らの仲の良さが伝わるスチールが印象的だ。今回解禁されたビジュアルの中には、波打ち際ではしゃいだり、ビーチへの道を連れ立って歩いたり、陽光の下、寝そべってトランプをしたりする、2人の楽しかった瞬間が刻まれている。一方、公衆電話で2人が誰かと話をする様子や、笑顔でカラムを見上げるソフィと、それを心配そうな顔で見下ろすカラムというドラマを感じさせるものもある。父と娘で過ごした20年前の夏休み、その記憶を焼き付けた、切なさの醸し出るビジュアルに注目だ。バリエーションビジュアルとともに本作のデザイナーを務めた大島氏からのコメントも到着。作品への深い理解度と共感で物語の世界観をより魅力的にクリエイティブへと昇華する大島氏だが、本作について「父と娘のバカンスを切り取っただけの物語がこれほど豊かな映画体験をもたらすとは。まず初見で見た時に心臓を鷲掴みにされながら強く思ったので、二人の様々なシーンをひとつひとつポスターにしました。二人のかけがえのない時をなるべく留めておきたくて、本当はもっともっと作りたかったです」とその魅力を語っている。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年04月10日今年開催される「第76回カンヌ国際映画祭」批評家週間のオフィシャルポスターに、映画『aftersun/アフターサン』のスチールが採用された。昨年、同部門にて絶賛された本作。その成功が映画祭にも評価された結果、今回カンヌへの凱旋となった。ポスターに使用されている写真を撮影したのは、現場のスチールカメラマンであり、本作に出演もしているサラ・マハリン。登場人物たちの目に見えない温かい感情や、優しい気持ちが丁寧に写し出されている。これについて映画祭は「私たちを包み込み安心させてくれる、親密かつ優雅なジェスチャーをとらえた瞬間だ」と言い、「この写真は発見と出会いも表しており、2人のすばらしい役者が世代を超えて共鳴し、力強くもさりげなくこの瞬間を物語っている」とも説明。父娘を演じたポール・メスカル、フランキー・コリオへの敬意も表現されている。本作で長編映画デビューを飾ったシャーロット・ウェルズ監督は、過去に3本のショートフィルムを製作し、2018年には「フィルムメーカー・マガジン」の“インディペンデント映画の新しい顔25人”に選出。本作の脚本も手掛けているが、描かれる父娘の姿は、監督本人の実体験に基づいたものであり、この物語はこれまでに世界中の映画賞228部門にノミネート、74部門での受賞を記録。今回の選出について監督は、「昨年の5月以降作品を高く評価してもらいましたが、実際、批評家週間のプログラミングチームは大きな賭けに出てくれたのです」とこの1年をふり返り、「今年のポスターを見て、とにかく誇らしく思います。昨年の5月21日、エンドクレジットが流れた時に湧いてきた誇り、批評家週間で初長編を上映することができた誇りとも重なります。『aftersun/アフターサン』を観客の皆さんと共有するチャンスをくれたこと、そして現場での1シーンを今年の顔に選んでくれたことに心から感謝します」と喜んだ。また、本作の前売り特典付きムビチケカードが本日より発売開始。特典は、劇中にも登場するインスタントフォトにヒントを得た<インスタントフォト・オリジナルポストカード>。宣材物担当のデザイナー・大島依提亜がこの前売り特典も手掛けており、20年前にソフィが父と過ごしたかけがえのないひと夏の思い出を閉じ込めた、90年代のローファイな雰囲気が感じられるデザインとなっている(※数量限定、なくなり次第終了)。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年03月31日父親役を演じたポール・メスカルがアカデミー賞主演男優賞ノミネートを果たした『aftersun/アフターサン』。この度、監督・脚本を務め、英国アカデミー賞英国新人賞受賞に選ばれたシャーロット・ウェルズの初来日が決定、メイキング写真も解禁となった。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手掛けるスタジオ「A24」が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げ、オバマ元大統領のお気に入り映画にも選出された。若き父親と娘のひと夏の記憶を辿る本作の物語は、よく兄妹に間違えられたというシャーロット・ウェルズ監督と父が昔、トルコで2週間ほどともに過ごした実際の夏休みの思い出がベースとなっている。初めてのダイビング、古代遺跡との遭遇、泥風呂、大空いっぱいに広がったパラグライダーといった、そのときに感じた楽しさや驚きをフィルムの中に焼きつけている。監督は、はじめは単に父と娘が休暇を一緒に過ごす分かりやすい物語を思い描いていたが、アイディアを構想しながら古いアルバムをパラパラとめくり、自身の思春期や両親、特に父との思い出をふり返っていくプロセスを経ることで脚本に回顧的な視点を与え、次第にパーソナルなものへと変化していったそう。そんな彼女の脚本に、第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが惚れ込み、自らプロデューサーに。テルライド映画祭での本作上映後Q&Aでは「もう6回も観ているのに、毎回号泣しすぎて壊れそうなくらいだ」と語るほど。また、本年度第95回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞ほか最多7冠を獲得し話題の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の“ダニエルズ”監督は「ビデオカメラで撮影された人生の断片。僕は長い時間、あの最後の瞬間について考えることになるだろう。ブラボー!」と絶賛。A24作品『フェアウェル』監督・脚本のルル・ワンも「なぜ映画が好きなのかを思い出させてくれるような作品」とTwitterに寄せている。さらに、解禁されたメイキング写真はウェルズ監督とポール・メスカル、フランキー・コリオがそれぞれ写るもので、ロケ地であるトルコのイギリス人観光客向けリゾート地・オルデニズでの撮影現場の様子を捉えている。錚々たる顔ぶれが並ぶ中、本作でアカデミー賞主演男優賞に堂々初ノミネートを果たしたメスカルが、「彼女は自分の脚本とまわりの人たちの仕事を全面的に信用して、一からサポートしてくれるんです。俳優へのアプローチもすごく丁寧でした」と語るように、監督が自然体で俳優と向き合う和やかな現場だったことが伝わってくる。4月の監督来日時には、都内で観客とのQ&A付き上映イベントの実施が予定されている。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年03月22日A24注目の新星シャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作『aftersun/アフターサン』より予告編とポスタービジュアルが解禁された。本作は、本年度英国アカデミー賞英国新人賞受賞、アカデミー賞主演男優賞ノミネートの注目作。父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった娘の視点で綴る。若き父親役を演じたポール・メスカルは、アカデミー賞作品賞を受賞した名匠リドリー・スコットの超大作『グラディエーター』の続編『Gladiator 2(原題)』の主役の座を射止め話題沸騰中のブレイクスルー俳優だ。錚々たる顔ぶれが並ぶ本年度アカデミー賞の主演男優賞部門に最年少で堂々の初ノミネートを果たし、近日発表になる受賞結果にも注目が集まっている。この度解禁となった予告編では、父との想い出が残るビデオテープが再生され、20年前に11歳だったソフィ(フランキー・コリオ)と30歳の父カラム(ポール・メスカル)とのひと夏の旅が映される。観光客から兄妹に間違えられるような若い父と思春期の娘は、普段離れて暮らしていて、短い夏休みをトルコのリゾート地でふたりきりで過ごしている。太陽の下、大空いっぱいに広がるパラグライダー、きらきらと美しく揺れる、まさにターコイズブルーの海がまぶしい。「同じ空を見上げるっていいね、パパと離れていても太陽を見れば近くに感じられる」と、久しぶりの父との時間を噛み締めるソフィの言葉からは、ビデオに残された旅がいかにかけがえのない時間だったかが伝わってくる。「――あの時、あなたの心を知ることができたなら」20年後、ソフィは、ビデオテープの中の父に何を見出すのか。まばゆい数日間の大切な記憶をたどる物語のはじまりを感じさせる予告編となっている。併せて解禁されたポスタービジュアルでは、フィルムカメラで撮られたようなざらつきのある色合いで、太陽が降り注ぐ大空を背に、サングラスで笑顔を向けるソフィとカラムの2ショットが映し出されている。写真の日焼けのような色調や、折りたたまれた後にも見える線が、年月を重ねた愛おしい思い出であることを思わせる。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:aftersun/アフターサン 2023年5月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
2023年03月10日映画『aftersun/アフターサン』が、2023年5月26日(金)より公開される。主演はポール・メスカル。父親と過ごした夏休みを“20年後”の娘の視点から辿る映画『aftersun/アフターサン』は、話題作を次々と手がけるスタジオA24が北米配給権を獲得し、2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間やアカデミー賞主演男優賞へのノミネート、英国アカデミー賞4部門へのノミネートなどで話題を呼ぶ映画作品。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になったソフィの視点から綴っていく。劇中で描かれるのは、20年前にソフィが父親とともに過ごしたひと夏のかけがえのない思い出。若くして父親になったカラムと、思春期真っ只中のソフィがともにトルコのリゾート地で過ごす様子が描かれる。クイーン&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」やブラーの「テンダー」などのヒットソングとともに、ミニマリスティックな演出で、大切な人との記憶を辿っていく。ポール・メスカルが父親役で主演■カラム…ポール・メスカル若くして親になった、ソフィの父親。離れて暮らす思春期の娘ソフィと、夏休みにトルコのひなびたリゾートを訪れる。カラムを演じるのは、ドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクし『ロスト・ドーター』にも出演するポール・メスカル。ポール・メスカルは、映画『aftersun/アフターサン』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。■ソフィ…フランキー・コリオ11歳の夏休みを、父とトルコのリゾート地で過ごす。その20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、ビデオカメラで撮り合った懐かしい映像を通して、大好きだった父との記憶を辿り、当時は知らなかった父の一面を見出していく。ソフィは、半年にわたるオーディションで 800 人の中から選ばれたフランキー・コリオが演じる。監督・脚本は新星シャーロット・ウェルズ脚本・監督は、『aftersun/アフターサン』で長編デビューを飾った、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズが務める。また、A24製作、第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスがプロデューサーに名乗りを上げている。脚本に惚れこんだというバリー・ジェンキンスは、映画祭での『aftersun/アフターサン』上映の際に、何度も鑑賞しているにもかかわらず感極まり号泣したという。映画『aftersun/アフターサン』あらすじ20年前の夏、ソフィが父と訪れた陽光注ぐリゾート、きらきら揺れる海。今も残る、アフターサンクリームの手触り――すべてがまぶしかった。11歳の夏、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親・カラムとトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、ふたりは親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。【詳細】映画『aftersun/アフターサン』公開日:2023年5月26日(金)監督・脚本:シャーロット・ウェルズ出演:ポール・メスカル、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホールプロデューサー:バリー・ジェンキンス原題:aftersun字幕翻訳:松浦美奈
2023年02月19日気鋭スタジオ「A24」が北米配給権を獲得、本年度アカデミー賞主演男優賞と英国アカデミー賞4部門にノミネートされている注目作が、『aftersun/アフターサン』の邦題で5月26日(金)より全国公開されることが決定した。11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る本作。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手掛ける「A24」が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領の“お気に入り映画”にも選出された。また、第89回アカデミー賞作品賞など3冠に輝いた「A24」製作『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが脚本に惚れこみ、プロデューサーに名乗りを上げた。ジェンキンスは映画祭での上映の際、何度も鑑賞しているにもかかわらず感極まり号泣してしまったという。多くを語らず、ミニマリスティックな演出で観る者に深い余韻をもたらす本作は、誰しもの心の片隅に存在する、大切なひととの大切な記憶を揺り起こす。陽光注ぐ浜辺、日焼け止めの香り、大きな波音、そしていまも残る父親の手の感覚…。「クイーン」&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」や、「ブラー」の「テンダー」などのヒットソングに彩られながら、トルコの陽光降り注ぐリゾート地での夏休みが描かれる。ドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが、今作では愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、本年度アカデミー賞主演男優賞に初ノミネートを果たしている。ソフィ役には半年にわたるオーディションで800人の中から選ばれた新人フランキー・コリオが抜擢。脚本・監督は、瑞々しい感性で長編デビューを飾ったスコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズが務めている。ひと夏の思い出を切り取った場面写真も解禁に!20年前にソフィが父親とともに過ごしたひと夏のかけがえのない思い出が切り取られた場面写真。若くして父親になったカラムと、思春期真っ只中のソフィはまるで年の離れた兄妹にも見える。トルコのリゾート地のキラキラした水面、移動のバスの中、片時も離れたくないとばかりに父の腕をぎゅっとつかむソフィ、娘を愛おしそうに見つめるカラムの視線など、宝もののような記憶が紡がれている、エモーショナルなカットが並んでいる。『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2023年02月16日A24が、先週カンヌ国際映画祭の批評家週間で上映後、絶賛された『Aftersun』(原題)の北米配給権を獲得したことがわかった。「Variety」誌が報じた。『Aftersun』はスコットランド出身のシャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作。ウェルズ監督はこれまでに撮った3本の短編映画と同様、今作でも脚本も手掛けた。1990年代後半に、ポール・メスカル演じる若い父親と新人のフランキー・コリオ演じる11歳の娘ソフィーがトルコのリゾート地で過ごした休暇について描く。大人になったソフィーは、現実と想像上の両方の記憶を振り返りながら、自分の知っている父とそうでない父との折り合いをつけようとする。時折、懐かしのminiDVの映像が挿入されることで、より当時の時代感が伝わってくるという。「涙を誘う感傷的な映画」と評価されているようだ。主演のポールはドラマ「ふつうの人々」でブレイクした26歳の若手俳優。同ドラマの演技が高く評価され、2020年にエミー賞の主演男優賞の候補となった。製作は『ムーンライト』でA24とタッグを組んだバリー・ジェンキンス監督、アデル・ロマンスキーら製作会社「パステル」のメンバーと『不都合な理想の夫婦』のエイミー・ジャクソン。ジェンキンス監督はA24と一緒に再び仕事をすることへの喜びをツイートしている。(Hiromi Kaku)
2022年05月25日