“美容”という道具には、もう振り回されない。「キレイな女」をやめて手に入れた幸せ
そしてダイエットに成功したことをきっかけに、容姿に関して自意識を拗らせて20数年ジメジメと日陰を歩いてきた女が美容に挑戦してみることにしたのである。
■どんどん変わる自分。書籍出版、テレビ出演も
初めて触れる美容の世界はどれも新鮮でとても楽しかった。
「どうせサイズがないから」といつも前を素通りしていた素敵な服屋さんに勇気を出して入り、リクルートスーツと喪服以外で初めて1万円を超す服を買った。素敵な服を着ると、それまで尻込みをしていたコスメカウンターやネイルサロンにも入れるようになった。知らない知識を得るためにファッション誌を読み漁った。
服を変え、髪を切り、爪を塗り、化粧をする。
どんどん変わっていく自分がうれしくてしかたなかった。
外見が変わるにつれ、周囲の反応も変わっていった。方々から今までかけられたことのないような褒め言葉をもらい、世間に甘やかされるようになったのだ。
さらにはその体験を書いたSNS投稿がバズり、自身の半生が書籍化し、サイン会にはじまりトークショーやテレビ出演のオファーまで来たのである。出版社さんからは先生と呼ばれ、SNSを開けば自分への称賛の言葉が並んでいる。