2018年10月18日 16:00
ノーベル賞受賞で話題のがん治療薬「効かない人」存在に注意
だからこそ今後、この“夢の薬”に冷静な目が必要だと、前出の2人は語る。
まず、注意しなければならないのは、同じ薬剤を使っても、効かない患者のほうが多いということだ。
「奏効率と言いますが、6つの阻害剤でがんが見えなくなる、もしくは大きさが30%以上縮小した率は、肺がんで20%弱、悪性黒色腫で20%程度です」(河上さん)
たとえば、オプジーボの添付文書には《切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌》《根治切除不能又は転移性の腎細胞癌》などと書かれている。がんの進行度によっても、使用できる人が厳密に定められている。
「現状では、万人が受けることができず、患者さんのがんの性質、免疫体質、腸内細菌や喫煙の有無などの環境因子も関係して治療効果が決まっていきます」(河上さん)
まだまだ課題も山積している。
「平均して2週間に1回の点滴投与となりますが、治療を終了する時期に関しての判定基準も、まだ定まっていません。さらに今後は、効く人、効かない人を判定する検査の研究、効果が高められるような併用薬の組み合わせのデータも、積み上げていかなければならないのです」(河上さん)
とは言え、免疫チェックポイント阻害剤は、これからのがん治療に新たな光をもたらす薬剤であることは間違いない。実際、より効果を高めるための研究は、確実に前進しているが、まだ発展途上の治療法でもあるのだ。
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