権力が作り上げた「血穢」という意識…「生理」の歴史を振り返る
火が穢れをうつすという考えにもとづき、生理中の女性はほかの人たちと同じ火を使わないよう、専用の小屋に入ることを義務付けられたという記録が各地に残っています。この月経小屋は地域によってさまざまな名称がつけられていましたが、『不浄小屋』『よごれや』などという名もありました」
そして驚くべきことに、この月経小屋、’70年ごろまで日本に存在していたというのだ。
「表向きには1872年(明治5年)に政府が発布した太政官布告によって、産穢・血穢は廃止されました。きっかけは、開国当初、大蔵省(当時)を訪ねた西洋人が、妻の『産穢』を理由に欠勤した役人に『文明開化の時代に、何をしているんだ』と抗議したことだといわれています」
それでも、月経小屋は長く存在し続けた。ほかにも、軒下で過ごしたり、食事を外でとらさたといった不文律は各地で継承され、「まるで罪人扱い」「子どもにまで差別されて悲しかった」という証言が残されている。
「つい数十年前まで、生理に対する『穢れ』の意識は生活に深く根ざしていたのです」
■歴史を動かしたのは一人の「主婦」だった
千年以上も続いた「穢れ」の意識。しかし、’61年に誕生した「アンネナプキン」