2019年10月30日 15:50
「やせ型高齢者ほど認知症なりやすい」は本当か、研究者語る根拠
認知症のリスクを高める原因の1つに糖尿病が指摘されており、糖尿病は特に肥満の人がかかりやすいと言われてきたが、今回、真逆の結果が出たのは、東アジア人特有の生活環境や体質が関係しているという。
「日本人や韓国人など東アジアの人は、西洋の人に比べると肉や脂肪を食べてこなかった歴史があり、遺伝的に肉食文化の欧米人と比べると、血糖値を下げるインスリンの分泌量が少ないのです。このため、やせ型でも糖尿病になりやすい体質になったと考えられています」(横道准教授)
昨年12月に日本老年医学会が公表した「高齢者肥満症診察ガイドライン2018」でも、「高齢者のBMI高値(肥満)は認知症の発症リスクとはならない」「高齢者のBMI低値(やせ)や体重減少は認知機能低下や認知症のリスクにつながるので注意がある」という報告があった。
「74歳まではメタボ健診で腹囲を測って『やせろ、やせろ』としつこく生活指導をされますが、これは大きな間違い。多くの研究で、太めのシニアのほうが認知症のほかにも、心臓病、脳卒中にもなりにくいという結果が出ています」
そう語るのは、『長寿の嘘』(ブックマン社)の著者で、日本応用老年学会の柴田博理事長だ。