それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」
「寒」つまり「冷え症」がれっきとした病気の分野のひとつだとしても、「体のどこが冷えるか」は人それぞれ。
「いわゆる虚弱体質で“全身が冷える”人もいれば、“上半身はのぼせているのに、下半身だけは冷える”人もいます。ですので、ひと言で『冷え症』といっても、その原因と対策を見つけるためには、一人ひとりの症状をきちんと分類していく必要があります。ある寝具メーカーの行ったアンケート調査によれば、20代から60代までの女性の、実に96%が“足元の冷え”を自覚していたといいます。つまり現代の女性は、ほぼ全員が『冷え症』に該当するのです」
実際に、現代人の体温は、50年前と比べて0.7度低下している。
「なぜこれだけ多くの女性が冷えているかという理由は定かではありません。