流産報告すると「私は2人育てたわよ」無理解な女性管理職の言葉にめげず、治療を続けたら #3
職場である学校は休校になり、仕事はリモート中心の勤務体制に。職場で大きなストレスを抱えていた志保さんにとって、ベストな環境で妊娠初期を過ごすことができた。
妊娠中の家事は夫が積極的にやってくれた。休校が明けても心療内科で書いてもらった診断書を理由に休みを継続し、そのまま産休に入った。
「もう職場への不信感は、たまりにたまっていました。女性の管理職に流産を報告した時、『私はちゃんと2人育てたわよ』と言われ、いざ産休に入ろうとすると『妊娠は病気じゃないんだから』と釘を刺されました。タイミングよく産休に入ることができ、私は子どもを守らなきゃと思っていましたけど、結局おなかの子どもに守ってもらい、助けられたんです」
切迫早産で入院するも無事に出産、「すべてが報われた」
産休直前の妊娠32週目。里帰り出産に備えて実家近くの産婦人科へ妊婦健診に行ったところ、切迫早産で即日入院に。
コロナ禍で面会も許されず、ひとりで出産の日を迎えた。
陣痛の痛みは、わが子の存在の重さだと感じた。
「愛しいわが子をこの手に抱いたとき、すべてが報われたと思いました。この子のために強くあろうと思っていたけど、それは同時にこの子がいるからこそ強くなれるんだっていう確信に変わりました」
不妊治療を乗り越えるためには、支えとなる強い気持ちが大切
こうして無事に不妊治療を乗り越えた志保さん。「支えとなる強い気持ちが大切」と振り返る。
「子どもが欲しいという気持ちを夫婦で共有することが大切です。なかなかデリケートな問題で話しづらいですが、恥ずかしさを捨てて、これからどうしていきたいか、子どもができたらどう育てていくかを2人で話し合って支え合い、行動することが大切です。不妊治療はどこまでやるのか、というビジョンも必要です。
不妊治療はひとりだけではできないですから」
さらに「職場や社会の厳しい目や無理解にも負けない力」も大事だと続ける。
「私の場合、妊活の後半は『夫が理解してくれるからいい』『子どもを大事にできればいい』『職場はもういいや』と割り切ったらラクになりました。
不妊治療に対する世間の理解はまだまだです。もしかすると、核家族化で“子どもは地域の宝”という意識が薄れているのかもしれません。