妊娠中の下痢の原因や特に気を付けたい感染症は?下痢の時に心がけること
リステリア菌
食中毒の原因となる菌。発育する温度の幅が広く、塩分に強く、冷蔵庫の中でも増殖する菌です。感染してもなにも症状が起こらないケースもありますが、妊婦が感染すると倦怠感や発熱などインフルエンザのような症状を起こし、時に吐き気や下痢を起こすことがあります。
【リステリア菌による食中毒を起こす危険性のある食品】
・生肉
レアステーキ、ローストビーフ、生レバー、馬刺し、鳥刺し、ジビエ(野生鳥獣の肉)、ユッケ
・加熱殺菌されていない食品
生ハム、生ベーコン、生サラミ、スモークサーモン、肉や魚のパテ、未殺菌の牛乳、コールスローサラダ、コーンサラダ、カニカマ
・加熱処理されていないナチュラルチーズ
ブルーチーズ、カマンベールチーズ、チェダチーズ、モッツァレラチーズ
※日本製のものは加熱処理されている製品もありますが、製品によって異なるため食品表示を確認しましょう。輸入品は加熱処理していない製品が多いので、食べないほうが安心です。
トキソプラズマ
加熱が不十分な肉や感染したばかりのネコの糞や土の中にいる寄生虫で、妊婦が初めて感染した場合は、流産や死産、赤ちゃんの脳や視力に障害(先天性トキソプラズマ症)が生じることがあります。
妊娠中に下痢になったときに心がけること
■まずは自己判断せずに、医師や助産師へ相談する
妊娠中に下痢が起こることは珍しいことではありませんが、妊娠にともなう生理的な変化によるものか、それともなんらかの感染によるものなのか、自分で判断することは難しいです。下痢が続く場合は、次の妊婦健診を待たずに早めにかかりつけの産婦人科を受診して相談しましょう。診察の結果に応じて、妊娠中に内服可能な整腸剤などが処方されますので、下痢止めや整腸剤、吐き気止めの効果のある市販薬や常備薬、過去に処方されたお薬を自己判断で飲むことはしないほうが良いです。
■水分をこまめに補給する
脱水を予防するために、こまめに水分を摂りましょう。水分補給には、胃腸の刺激になりにくい温度(冷たすぎず、熱すぎない)で糖分を含まない水や麦茶などが適しています。水分を飲みこみづらい場合は、胃腸へ刺激にならない程度に、氷の欠片をなめたり、砕いた氷を食べて水分を補ってもかまいません。食事もとれず、水分を飲みこむことさえ難しい場合は、入院治療が必要な可能性がありますので、速やかに産婦人科へ受診しましょう。