妊娠中の下痢の原因や特に気を付けたい感染症は?下痢の時に心がけること
感染性の妊娠中の下痢について
妊娠中は抵抗力が弱まり、妊娠していない状態よりも細菌やウィルスなどに感染しやすいため、食中毒や胃腸炎によって下痢になることがあります。感染性の下痢が必ずしも流産や早産、胎児へ悪影響を起こすわけではありませんが、もし感染源に心当たりがあれば、早めに受診して治療を受けましょう。ここでは原因となる代表的な菌やウィルスについて説明します。
カンピロバクター
感染源:加熱が不十分な肉料理。菌が付着した調理器具や手指が更なる感染を起こすこともある。
特徴:加熱に弱い菌であるが、低温に強いため冷凍庫や冷蔵庫のなかでも死滅しない。
潜伏期:2~5日
症状:腹痛、下痢、発熱など
予防:肉類は十分に加熱する。調理後の調理器具や手指は、しっかり洗浄・消毒する。
サルモネラ
感染源:卵
特徴:食中毒を起こす代表的な菌。食品を低温で保存し十分に加熱調理することで死滅する。
潜伏期:潜伏期8~48時間
症状:吐き気や嘔吐から始まり、腹痛や下痢を起こす急性胃腸炎が起こることが多い。
予防:妊娠中は生卵を避ける。卵は必ず冷蔵庫に保管して、短期間に消費する。調理する際は、卵黄も卵白も固くなるまで十分に加熱して菌を死滅させる。
ウェルシュ菌
感染源:菌が付着した肉や魚の入ったカレーやシチュー、スープなどの煮込み料理。
特徴:熱に強く、空気を嫌う。
潜伏期:6~18時間
症状:腹痛や下痢
対策:加熱調理したものを常温で放置しない。一晩以上、常温で放置した煮込み料理は食べない。
ノロウィルス
感染源:主に加熱調理が十分でない二枚貝(牡蠣、ホタテ、ムール貝など)。ウィルスに感染した人が調理した食品。
特徴:冬場に流行する食中毒や胃腸炎の原因となる。潜伏期:1~2日
症状:嘔吐や下痢などの急性胃腸炎を起こす。
予防:貝類は十分に加熱する。調理後の調理器具や手指は、しっかり洗浄・消毒する。
妊娠中に注意が必要な食中毒
食中毒を起こす一部の菌や寄生虫の種類によっては、妊婦が感染すると、胎盤や胎児へ移行して、流産や早産、死産、あるいは産まれた赤ちゃんへ影響を及ぼすことがあります。下記の2つは、特に妊娠中に感染しないように注意が必要ですが、妊婦さん本人は感染しても必ず下痢をともなうわけではなく、無症状なことがあります。