第3回 “人ごとじゃない子どもの虐待。自分の子どもへの対応は?”
「嬉しいね」っていうことがあった日は、メモしておくといいですね。それはみんなの思い出に残るものでもあるし。もちろん自分が今日よくできました、みたいなことでもいい。
それを夫婦で探し合うというのも、私のクライアントにはやってもらっています。「今日あれがよかったよ」とか、「今日これをしてくれて、ありがとう」とか。挨拶が多い家、「ありがとう」や「ごめんなさい」が多い家は明るいんです。本にも書いているんですけど、とにかく“夫婦仲良く”ですよ。夫婦が仲良ければ、たいていのことはうまくいく(笑)。
今も被害に遭っている子は
たくさんいる
虐待事件のニュースを
風化させないためには
――虐待の事件を他人事と思わず、身近に落とし込んで考えてみるということですね。
山脇:虐待のニュースを聞いても「じゃあ、一般の人には何ができるかな?」っていうところには意外と話が行かないんですよね。それこそ児童相談所の批判とか、そういう方向に行っちゃって。一般の人とは常に遠いところにある。だから虐待の問題については、どうやったらみんなが活動したいという気持ちをキープしてくれるか、ですよね。
犬山:そこは超課題ですよね。
山脇:結愛ちゃんの事件は本当に悲しかったけど、でも、ああいうことは現在進行形でたくさん起こっているから。それが情報として報道されていないだけで。
あんなにひどいケースは多くないにしても、このままだと結愛ちゃんみたいになっちゃう可能性のある家庭はきっと存在するから。実の親であってもね。
犬山:気になったときに、ささいなことでもいいから、みんながまず一回、ちょっと動いてみることが大事なんですかね。それがひとつのフックになって、今後何かを見かけたときにアッとつながっていくのかなと思います。
Text:Keiko Ishizuka
PROFILE
山脇 由貴子Yukiko Yamawaki
女性の生き方アドバイザー。家族問題カウンセラー。 東京都に心理職として入都し、都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。2015年に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げ、現職。
『教室の悪魔』(ポプラ社)、『告発児童相談所が子供を殺す』(文春新書)、『思春期の処方せん』(海竜社)など。
PROFILE
犬山紙子Kamiko Inuyama
1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。