[前編]自分の中でやりきった感があったので、今は子どもが主役の人生を純粋に楽しめる。
産み紐の存在は、頼りになりましたね」
出産時にはご主人も立ち会った。付き添いの家族もくつろげて、ゆったり過ごすことができるのも和室出産のメリットのひとつだ。
「うちは旦那のほうが子どもをすごく欲しがっていて。旦那の両親にとっても初孫になるんです。だから、子どもが元気に生まれてきてくれたときは本当にホッとしました」
産後2ヵ月で仕事に復帰したとき
子育ての精神的な重圧に気づいた
妊娠中の準備が万端だったおかげか、産後の体調はスムーズに回復。水野さんは出産後、2ヵ月で仕事に復帰した。
「2ヵ月間、ほぼ外出もせずに家にこもって育児をしていて。久しぶりに仕事に出かけたときは、子どもと離れる不安もあったし、やっぱり相当緊張したんですよ。
でも、子どもと2人きりでいると、自分でも気づかないうちに、ものすごいプレッシャーがかかっていたんですよね。それを実感したのが、迎えに来てくれたマネージャーの車に乗り込んだとき。あ、今は何もしなくていい、何も考えなくていいんだって、ほっとしたんです。
仕事の現場に移動するだけの時間が、すっごく贅沢に思えました。出産してから初めて、本当にホッと一息ついたような気がして。“命を預かる” という子育ての緊張と重圧って、切れ目がないですよね。ずっとアイドリングしているような感じ。仕事は仕事で別の緊張感がありますけど、休憩時間もあったりするし、食事する時間も確保されているし、子育ての大変さに比べたら、むしろ楽に感じました」
もちろん、乳幼児を育てながらの仕事は、物理的な制約が多い。
たとえば、台詞を覚えるためにかけられる時間ひとつとっても、出産前と今とでは全然違う。
「復帰したときの最初の仕事が舞台だったので、台詞はすべて録音して、子どもをあやしながら音を流して、耳から覚えるようにしました。あとは現場に移動する時間とか、待ち時間とか、そういうのりしろ的な時間にいろんなことを詰め込んでやるっていう生活スタイルになりましたね。今までより『仕事は現場ですべて終わらせよう!』って、切り替えて集中できるようになったというか。
子どもができると、日常の細かいことをはじめ、家でのいろんなタスクが増えるじゃないですか。でもね、その増えた分を細々とやっていくと、そのつど、ちょっとした達成感が得られるんですよ。それがまた次の原動力になっていく。子育てと仕事が、いい感じに相乗効果をもたらしている気がしますね」