[前編]自分の中でやりきった感があったので、今は子どもが主役の人生を純粋に楽しめる。
“生活”が基盤にある上での仕事
というスタンスに変わってきた
女優として数多くのドラマや映画に出演するだけでなく、舞台をプロデュースしたり、エッセイを執筆したりと、ジャンルを超えて幅広い表現活動を続けている水野さん。母になったことで、仕事に対して何か意識の変化はあったのだろうか。
「やっぱり、まず “生活” がドン!と基盤にあった上でのお仕事という感じになりました。一番大事なのがこの “生活” で、プラス仕事、っていうスタンスですかね。“生活” のためのお仕事でもあるわけですし。子育ても、本当におもしろいので。
今、日々変化しているんですよね。はじめは人というより、子ザルみたいだったのに、だんだん人間になっていく感じ(笑)。
親のことをよく見ていて、マネしたり、新しい言葉をどんどん覚えたり。ひとつひとつ、子どもに新しい発見をするたびに感動します。この間も、子どもが寝ているときに寝言で『か~し~て』って言っているのが、かわいくて、おもしろかった(笑)。どんな夢を見ているんだろう?誰に言っているのかな?って」
お子さんにメロメロなご主人は「今のかわいい~状態から変わっちゃうのがヤダ」と、すくすく速い成長をさみしがる様子も見せるけれど、水野さんは「子どもと会話ができるようになる日が楽しみでしょうがない」と笑う。
「最近は『あつい』、『いたい』、『おなかがすいた』、『のどがかわいた』とか、ちょっとずつ自分で主張できるようになってきたので、本当に安心です。赤ちゃんのときって、こっちから察してあげないと何も分からなかったから、何で泣いているんだろう?って、心配で心配で仕方がなかったんです。自己主張が強くなるイヤイヤ期って、大変だけれど、コミュニケーションが取れるようになる時期でもありますよね」
水野さんと話していると、初めてのお子さんとは思えないほど、落ち着いて子育てしているという印象を受ける。この絶対的な安定感は、お子さんにとっても居心地がいいはず。
「高齢出産でプラスになっているのはそこだと思います。なんか落ち着いて仕事と育児のバランスを取れるっていうか。20代はもうがむしゃらに仕事をやりたい時期だし、30歳になる頃は一番迷う時期でしたし……。20年以上続けてきた仕事だから、ペースをつかみやすいっていうのもありますね。台本を読んで、台詞を覚えるにしても、大体これくらい時間があれば、これくらいできるという経験値があるので。