連載記事:知っておきたい「不登校」のこと

長期化する不登校…解決策は「家の外」にある!? 3つのヒント【知っておきたい「不登校」のこと Vol.3】

知っておきたい「不登校」のこと

知っておきたい「不登校」のこと

もし、子どもから「学校に行きたくない」と言われたら、どうしたらいいのでしょうか? 学校に行かない選択をした子が通うフリースクール「花まるエレメンタリースクール」の校長“はやとかげ”こと、林隼人先生に…

長期化する不登校…解決策は「家の外」にある!?  3つのヒント【知っておきたい「不登校」のこと Vol.3】

©takasu - stock.adobe.com


「学校に行きたくない」と子どもに言われたら、多くの親御さんにとっては青天の霹靂です。本連載の最終回は、ママやパパがテンパらないために大切なことを3つにまとめてお伝えします。引き続き、花まるエレメンタリースクールの校長“はやとかげ”こと、林隼人先生にお話を伺いました。

ヒント1.不登校の相談する先は学校以外にもある

不登校が増加の一途を辿る中、関連情報は刻一刻とアップデートされています。

楢戸:国の登校支援の考え方は「学校復帰が前提」から、学校以外の場での多様で適切な学習活動の重要性を認める方向に変化しています。学びは「(地元の)学校に行く」の一択ではないことを頭に入れ、フリースクールなど別の居場所についての情報もインプットしておくと選択肢が広がります。

また、そもそも不登校について相談する場所は、学校以外にもあるという「他の相談先の存在」を知っておくことも大切です。情報収集をするときに役立つサイトをピックアップして記事の最後につけておきました。

情報収集をする中で、「こんな考え方があるんだ」「こんな場所があるんだ」「こんな活動をしている人たちがいるんだ」と知ることも閉塞感を和らげる一助になると思います。

【POINT1】
(地元の)「学校に行く」一択ではなく、「いろんな場での学び方を試してみる」という選択肢を国が認めていること、「学校以外にも相談先として頼りになる場所がある」ことを知っておく。


ヒント2.「勉強の遅れが心配」で勉強させても意味がない

楢戸:学校を休むとなると、「勉強が遅れてしまわないかが心配」というママも多いと思います。そこは、どんなふうにお考えですか?

はやとかげ:不登校だった子が登校できるようになると、勉強の遅れが気になりはじめる方も多いです。そのときは、「もう(心配性や欲が)出ちゃっていますよ、お母さん」という話をします。

長期化する不登校…解決策は「家の外」にある!?  3つのヒント【知っておきたい「不登校」のこと Vol.3】
保護者の方が、勉強のことを心配するのは当たり前のことです。けれども、「今、保護者が勉強のことを考えたからといって、彼ら・彼女たちの心のエンジンが動き出すのか?」という話です。

心のエンジンは、ガソリンが満たされてから動くんです。勉強とは異なるモチベーションからでもエンジンが回りさえすれば、ボンと勢いがついて巻き返すことができます。

だから、心のエンジンが回っていないのに、「勉強が遅れるのが心配だから」という理由で勉強をさせようとしても、正直なところ、あんまり意味がないというか…。

楢戸:そうは言っても、周りに遅れを取っているのが不安になってしまうんですよね…。

はやとかげ:保護者の切実な心配も理解できますから、面談で対話をしながら時間をかけて丁寧に伝えていくこともよくあります。

たとえば、本を読み出すタイミングって、人それぞれです。小学校のときから読んでいるからOKという訳でもなくて、高校になってから急に読みはじめる子もいます。それは、なぜか? といったら、自分で「これだ!」と思ったからなんですよね。

「宇宙飛行士になりたい」という目的が見つかって、「この中学に行くんだ!」「この高校に行くんだ」となれば、本人に「何のために勉強するのか」というモチベーションがしっかりあるので、必要だと思えば勉強はします。実際に、入学当初は勉強に強い拒絶反応を示していてプリントにはまったく見向きもしなかった子が、「ここに行きたい!」という中学校を見つけたことがきっかけで夢中になって勉強をするようになったということもありました。

そういった内なる動機づけがなく、「心配だから勉強をやる」というのは大人でも難しいと思います。勉強は、「その子のヤル気スイッチが、いつONになるか?」という話です。

楢戸:「ヤル気スイッチ」は、保護者の永遠のテーマです。

はやとかげ:スイッチがいつONになるのか? ということで言えば、いろんな機会、いろんな体験をする中で、心が本当に「私、これやりたいんだ!」に出会うかなんだと思います。気になったことを調べてすぐ芽が出ることもありますが、それだけでなく、大人になってから「こういうことだったのか」と面白さに気づくこともとても大切です。

芽を出すタイミングはその子によってバラバラですが、見たり、聞いたり、触れたり、感動したりしたものは、その子の心の中に種がまかれています。今、私たち大人が子どもたちにできることは、できるだけ多くの種をまくことだと思って、いろいろな体験の機会をつくるようにしています。

■ひとりの友だちがいればすべてを超える

はやとかげ:不登校の場合は、それ以前の話として、その子が悩んで、心のエンジンが動かなくなっていないかを考える必要があります。そう考えていくと、根本は「人生、今、楽しいな」って思えるか?1番は、そこの部分です。そして、それは何かといったら、「ひとりの友だちがいるかどうか」なんです。

長期化する不登校…解決策は「家の外」にある!?  3つのヒント【知っておきたい「不登校」のこと Vol.3】

©One - stock.adobe.com


信頼できる仲間と出会えれば、すべてを超えてしまうんです。心のエンジンさえ動けば、彼ら・彼女らは、僕らが想像しないことを成し遂げていく…。僕らは、そんな卒業生を見てきました。

楢戸:花メンの第1回の卒業式に臨席しました。卒業証書を受け取った後、卒業生がひと言ずつ話す場面がありましたが、みんな自分の言葉をしっかりと持っていました。

はやとかげ:うちには、3~4年間くらい学校に行っていなかった子も多数在籍していますが、勉強についてはまったく問題ないです。これは、全員に断言できます。

【POINT2】
勉強は心のガソリンを満たして動き出してから! いろんな体験をして、ひとりでいいので信頼できる友だちを作ることが大切!


新着子育てまとめ
もっと見る

ウーマンエキサイトで人気のコミックが動画でも!

チャンネル登録よろしくお願いします!

記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.