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わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

あんふぁん
諦めが早い、引っ込み思案、怒りん坊、泣き虫…。ママには、こうしたわが子の短所が目に付いてしまうもの。「いい子に育ってほしい」と思うあまり、どんなに言っても短所が直らないわが子を前にして子育てが息苦しくなっていませんか?
新しい年から心機一転、親も子どもも息苦しさから解放される子育て法を取り入れてみましょう!

●お話を聞いたのは…
親野智可等さん
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

おやの・ちから/教育評論家。小学校で23年間教師を務めた経験を元にメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を配信。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで大評判に。現在、書籍の執筆、Web記事の連載、全国の小・中学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村にて教育講演会を多数行う。「『ダメ!』を言わなければ子どもは伸びる」(PHP研究所)など著書多数。ブログ「親力講座」を毎日更新中。
講演の問い合わせはホームページから。

子育てママに聞いた!Q「お子さんの短所はどんなところだと思いますか?」
● 諦めが早い、集中力がない
● すぐにだらける、けじめが付けられない
● 柔軟性がない、頭が固い、こだわりが強い
● 気弱、内向的、恥ずかしがり屋
● 楽しくなると周りが見えなくなる
● 忘れっぽい
(2017年9月10日~10月3日、Webアンケート、有効回答数1280回答多数のものを抜粋)

【見直しの心得1】
「短所は子どものうちに直すべき」は大ウソ!
まずママたちに知ってもらいたいのは、「短所を直すなら子どものうち」という言葉は全くの迷信だということ。この勘違いが生まれた背景には、子どもに楽器やスポーツを習わせるとみるみる上達するので、「新しいものを吸収させるなら子どものうち」という考え方が定着してしまったことが挙げられます。しかし、短所を直すというのは「もともと持っている自分の資質を改造する」ということで、新しいものを吸収させることとは脳の働きが全く異なります。そもそも同じ土俵で考えられる問題ではないのです。

【見直しの心得2】
短所を直すのは親ではなく未来の子ども自身
大事な取引に寝坊してしまった時、友人をひどく傷付けてしまった時。あらゆる短所は、本人が「このままじゃマズイぞ」と自覚した時に初めて直すことができます。幼稚園児のうちは自覚するほどの出来事が起こりませんから、親がいくら叱ったところで直るわけがないのです。
さらに言えば、子どもが短所を自覚するタイミングを親は選ぶことができません。いつか「短所を直したい」と思う機会が巡ってきた時のために、「自分なら直せるはずだ」と思える自信を育てておくことが親の役目です。

【見直しの心得3】
子どもが小さいうちは「調子に乗らせ」てなんぼ!
「短所を注意しないと調子に乗ってしまうのでは?」という声をよく聞きますが、小さいうちは「自分はできる子だ」という自信と、他者を信頼する気持ちを育てることが何より大事。そのためには、大人に都合の良い行動を取った時だけ褒めるのではなく、「無条件の褒め言葉」を一日に最低1回は掛けてください。「生まれてきてくれてありがとう」「ママは◯◯ちゃんと一緒にいられて幸せだよ」「◯◯くんが大好き」。言葉に表すのが苦手なママは、ぎゅっと抱きしめるなどのスキンシップを取って。

【見直しの心得4】
子どもに伝わるのは「裏の教育」だけ
例えば、「片付けないとおやつ抜きよ!」と言ったとします。この時、子どもが学ぶのは「言うことを聞かせるには脅せばいいんだ」ということ。
ママの「片付けができるようにさせたい」という意図は伝わりません。これを私は「裏の教育」と呼んでいます。そして、子どもはそれをきょうだいや友達に応用します。ママがしつけのためと思って子どもを叩いていると、子どもも相手を叩くようになります。親の見本は効果絶大ですから、子どもの短所と向き合う時こそ、脅し言葉や乱暴な態度はご法度です。

【見直しの心得5】
短所が目に付いたときは子どもの気持ちに共感する
短所が目に付いて叱りたくなってしまった時こそ、共感言葉を掛けましょう。例えば、朝の着替えの時に「寒い~」とグズる子には「寒いよね~、嫌だよね」と、まずは共感してください。子どもだって本当は着替えなければならないことは分かっているけれど、せめてイヤイヤをしたい心境なのです。
「ママは私のことを分かってくれた」と思えれば、そこで気持ちの大部分は満たされますし、自分の気持ちを分かってくれる相手のことは大好きになります。そして、大好きな人の望みには応えてあげたいと思うもので

幼稚園児とママの情報誌「あんふぁん」読者3組が挑戦ママが変わると効果が出るの?1週間チャレンジ!
「子どもの短所ばかり目に付いてしまう」と悩む3人のママが親野さんとやり取りしながら、「見直し術」を1週間実践しました。いつもの子育てを変えることへの難しさを感じながらも、わが子と向き合ったレポートです。

●ケース1
朝の支度にとにかく時間が掛かります
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

真栄平(まえひら)渚さん
ひよりちゃん[年少・3歳]
パパ、7カ月の男の子の4人家族

布団を畳む、脱いだ服を洗濯カゴに入れる、制服に着替える、持ち物をバッグに詰めるなど、朝の支度に時間が掛かります。やりたいことよりやるべきことを優先する子に育ってほしいのですが、何度言っても効き目がなく、朝は殺伐とした雰囲気に。娘との関係がぎくしゃくしています。
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

「許す」ことで娘と私の間の空気が変わった
娘がまだ話せないうちは意識的に気持ちを推し量っていたはずなのに、共感をなおざりにしていたことに気が付きました。朝の支度は相変わらず時間が掛かりますが、「まあいいか」と娘のことも自分のことも許せる気持ちになれたことで、今では冗談を言い合えるほどの穏やかな空気が流れています。
私が変わると娘の反応も変わり、それが私の自信となって、久し振りに「子育てが楽しい」と思えるようになりました。

●ケース2
気に入らないことがあると八つ当たりをしてきます
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

兵頭(ひょうどう)祐枝さん
琉雅くん[年中・5歳]
パパ、小2のお姉ちゃん、2歳の弟の5人家族

私が姉や弟につきっきりになっていると、「バカヤロウ」「ママなんかいなくなっちゃえ」と暴言を吐いたりパンチをしたり。注意すると「ママは僕のこと嫌いなんでしょ」と泣いてしまいます。いけないと思いつつ「言うことを聞かないならおうちに入れないよ」と脅してしまうことも悩み。
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

共感することで笑顔が増えけんかが減った
「いい子に育てなくちゃいけない」という気持ちが強く、言い聞かせても通じない状態に苦しくなっていました。正直、息子を叱ることでスカッとしていた面もあり、「叱らず共感に換える」日々は自分との闘いでした。しかし、「生まれてきてくれてありがとう」と愛情を繰り返し伝えることで、「ママ大好き!」と言ってくれるようになりました。息子の笑顔が増えたことで、きょうだいげんかや親子げんかも減りました。
●ケース3
お友達や妹へのきつい言動が直りません

わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

松本さゆりさん
にこりちゃん[年長・6歳]
パパ、3歳と1歳の妹の5人家族

園でもリーダー的存在の娘。しっかりしている反面、妹やお友達に対して命令口調になりがち。お友達のママから「ちょっと冷たい言い方をされて、うちの子が傷ついちゃったみたい…」と言われたことも。「もっと優しく言わなきゃだめでしょ」と注意しますが、直りません。
わが子の短所、どう直す?見直しの5つの心得

褒めることで娘の言動も穏やかになった
娘の命令口調は、私の言い方をまねていることに気付きました。「今の言い方はすごくよかったね」「そう言ってもらえたら、妹やお友達もそうだよなって思えるもんね」と伝え方を変えていくと、娘も言い方を意識する努力が見られるようになりました。びっくりしたのは、娘が自分から「私そうやって褒められるの、すごくうれしい」と言ってきたこと。娘の認めてもらいたい気持ちを満たすことの大切さを実感しました。


\ありがちな短所別/ママが叱らないために打つべき一手

「そうは言われても、目に余るシーンに直面するとついつい叱ってしまう!」というママに向けて、シーン別に言葉の掛け方の工夫や発想の転換方法を紹介します。
イラッとした時はこの一手を思い出してみて!

<きょうだいげんかが多い>
打つべき一手!
並んでテレビを見ている時に「仲がいいわね~」と言う
「仲良くできたら褒めよう」と思っていては、永遠に褒められません。「褒めたら仲良くできるようになる」のです。並んでテレビを見ている時や、普通に遊んでいる時に「仲がいいわね」のひと言を掛けましょう。

<おもちゃを「買って」など言い出すと聞かない>
打つべき一手!
まずはその場を離れて気分を変える言葉で終える
欲しい物の近くにいると気持ちが切り替わりません。「こっちでお話聞かせて」と言って場所を変え、「欲しいよね」と共感してから買えない理由を説明します。そして、「公園で遊んで帰ろう」と気分を変える提案を。

<●支度にぐずぐずしてしまう>
打つべき一手!
「模擬時計」などで見通しを立てやすくする
例えば毎朝8時に家を出るなら、8時を指した時計の絵を本物の時計の横に貼っておき、「時計が絵と同じ形になったら家を出るよ」と言っておきます。やることの見通しが立つと、子どもも取り組みやすくなります。

<すぐ人にやってもらおうとする>
打つべき一手!
鼻歌を歌いながら楽しい雰囲気でやってあげる
最近の研究では「できないことを叱っていると自信が無くなり、余計にできなくなる。無理なときはやってあげた方が自立する」と分かってきました。小言を言いながらではなく、明るく楽しくやってあげましょう。

巻頭特集監修/西東桂子さん(あんふぁんサポーター)illustrationYAMAMOTO Mamoru

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