公立中高一貫校、「受検」します! 『どう解く?』を使った道徳の授業に行ってみた!─埼玉県戸田市立戸田第一小学校
「相手が傷つくとわかってつくうそ、人を悲しませるためのうそはだめ」
「では、グループごとに話し合ってみましょう」と先生。
「その場の空気を和ませるようなうそはいい。場の空気を悪くするうそはダメ」
「バレても相手がずっとうれしいうそならいい」
「相手を喜ばせるためのうそだとしても、重みや限度がある」
グループごとに話し合う。「天気予報が外れた場合ってうそになるの?」なんていう声も。
2分間の話し合いを終えたところで「では、自分はどう考える?」と先生はうながし、生徒たちは再びワークシートに向き合うことに。夢中になってすらすらと取り組む姿も見られました。
「うそをつくには理由があって、人を喜ばせるためうそ、バレても相手がうれしいようなうそはいいけれども、自分に都合のいいうそ、他人に罪をなすりつけるうそや自分が喜ぶためのうそはいけない」そんなことを書いた生徒もいました。
最後に『どう解く?』に載っている谷川俊太郎さんの言葉を先生が朗読し、授業は終了。
何人かの生徒に「授業の前と後とで考え方が変わった?」とたずねたところ、みんな「変わった」と答えていました。
「うそをついてはいけない」とはじめ言っていた生徒は「ついていいうそがあるとわかった。『ついていいうそ』と『ついてはいけないうそ』はつながっていて、どちらかに決められるものではないことがわかった」と言っていました。
「いいうそ」と「悪いうそ」は地続き。それを実感できただけでも大きな収穫だったのではないでしょうか。
同じエピソードを耳にしても生徒によって反応は様々。それは頭の中に描く「どんな友だちにどんなシチュエーションで、どんなものをプレゼントされたのか」という想定が一人ひとり異なるからなのでしょう。
4年生という段階で、どこまで深い友情が築けているのかといった経験値にもよりそうです。
この「一人ひとり異なる」という感覚を、授業を通してクラスで共有できたことは、コミュニケーション能力や思いやりの気持ちを育むための大きな一歩となったように思います。
ただ、「道徳」が「教科」であることを踏まえ、「この授業によって、生徒一人ひとりをどう評価するのか?」となると、やはりなかなか難しいものがあるように感じます。
積極的に発言する子もいれば、手を挙げなくとも指名されたらしっかりとした意見を言う子もいます。深い理解をした子が高評価なのでしょうか?
いえいえ、今まで「うそ」