「9月入学」制度導入はあり? 賛同の意見が多い一方「学費の負担は誰が?」反対の意見も
編集部:学研キッズネット編集部
現在、新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出自粛を余儀なくされ「休校」や「在宅勤務」をしている人は多いのではないでしょうか。そんな中、政府関係者や一部の知事らを中心に「9月入学」案の議題が多く持ち上がっています。学習格差の解消や世界に標準を合わせることによるメリットなどがあげられる半面、新卒一括採用システムを導入している企業側との足並み、9月までの学費についてのデメリットも多数あげられます。収束時期の見通しが立たない中、どのような意見があるのでしょうか。
画像は文部科学省HPより
「9月入学」について
メリット
・9月入学を実施することで、休校中にオンライン授業を実施している学校と不実施校などの「教育格差」がなくなる
・世界標準にすることで日本と海外の留学制度がより活発になる
・休校期間分の授業を追い込む必要が減り、良質の授業を増やせる期間が増える
・学生たちの「夏休み」「文化祭・体育祭」「修学旅行」などの課外授業を実施するためのスケジュールに余裕が生まれる
・受験時期を2021年7~8月にそろえることで混乱がなくなる
・受験時期のインフルエンザや積雪による心配を解消できる
デメリット
・受験の時期が夏になる影響(熱中症など)
・最終学年の卒業時期が3月から8月にずれることで、就職時期に影響が出る
・半年分の学費の補償はどうなるか不透明
・進級、進学、就職時期がそれぞれ半年間送れる
・企業を含め3月締めの多い日本にとって、会計年度等の調整が必要になる
※いずれも、9月までに感染症の影響が終息している場合とする
などの意見があげられる。ほかに懸念されているデメリットとしては、「9月入学」にした場合の生徒数の増加に伴う課題が叫ばれている。もし今年から「9月入学」制度が導入された場合、2021年度の新小学1年生にあたる子どもたちは2015年4月~2016年8月生まれとなり、例年に比べ1学年の生徒数が1.4倍になると言われている。その場合、教室や机の数は足りるのか、対応する先生たちのリソースはもちろん、増える生徒数に学校が耐えられるのかなどの課題があがっている。
そのほかにも、4月28日に行われた記者会見で萩生田文部科学大臣は「9月入学」について、授業料などの学費の面では対応できる環境は整っているのではと述べつつ、「義務教育の小・中だけ9月から8月に変えても、高校入試も変わらなければ、大学、就職活動などにも影響が出てしまう。