「あなたはだあれ?」アスペルガーの娘に起きた、突然の解離症状
「家族もみんな死んじゃった。おばあちゃんと住んでるの。おばあちゃん 病気だから早く帰らないと死んじゃうわ。」
そう言ってすぐに玄関から出ようとするのです。
私は、引き止めるので精一杯でした。
重度知的障害の二男は施設から帰宅したばかりでしたが、いつもの娘と異なる様子を察し、娘と私のやり取りを遠巻きに見ていました。
「この子はだあれ?」娘が二男を指差して尋ねるので、名前を告げると「可愛いわね!」と頭を撫でて微笑むのでした。
いつもなら、夕食の支度をする時間でした。このまま日が暮れていき、夜になって娘が外に飛び出してしまえば、もう私一人では対応出来ません。
友人から聞いた「交代人格」という言葉。まずは今夜を乗り切ろうと覚悟を決めた
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娘の対応に困り、私は友人にメールをして相談しました。
「事故防止のためにも、交代人格には家にいて欲しいが、無理なら一緒に出かける事。
人格が戻るまでは、交代人格と対峙するしかない事。この時、交代人格を否定してはいけない。」
友人が下さったこのアドバイスは、解離について全く知識のない私にとって、ただ1つの救い。その後も情報を提供して下さり、ご自分の事のように心配して下さったのでした。
思いがけない娘の変異に驚き、何とかしてとにかく一晩を乗り切らなければという思いで必死でした。
無我夢中で、目の前の娘ではない別人格と話をして「今夜は遅いからここで泊まって欲しい」と話したのでした。
私との力づくの引っ張り合いで疲れたのでしょう。娘は、素直に私の言葉にうなずいて「今夜はこちらで泊めて下さい。」とやっと布団に入ったのでした。
そのとき既に23時をまわり、夕食の時間はとっくに過ぎていました。
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その間は二男は放ったらかしでしたが、気づいたら自分でパンを焼いて黙って食べておりました。
重度の知的障害がある二男ですが、こんな時は事態を察知して私の手間を取らせずに自分でやってくれるのです。私はごめんねと謝り、感謝をしたのでした。
娘がやっと落ち着いて話ができる状況になったとはいえ、普段から服用している薬を飲ませるのにまた一苦労。