「あなたはだあれ?」アスペルガーの娘に起きた、突然の解離症状
と言うのです。
自分の名前に嫌悪感を示すことは不思議でした。
ですが、一先ず入院中の主人に電話をかけ「名前をつけて欲しいと言ってるけど、どんな名前がいい?」と相談しました。主人には、ずっと電話で状況を伝えていたので、すぐに答えてくれました。
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「マリア…」
「えぇっ?マリア?恥ずかしいんじゃない?」
「じゃあ、サラ!」
マリアもサラも聖書に書かれている女性の名前です。聖書もキリスト教にも興味のない主人が、この名前を出した事に私はとても驚きました。
娘にどちらが良いか聞くと「サラがいい!」と即答しました。「サラちゃんにする!今日から私は サラちゃんになる!」と言って、大喜びしたのでした。
自分の手の甲に「サラ」と書き「サラちゃんと呼んで!」と何度も言い、家族の名前を一人ずつ書いて欲しいと言ってノートを差し出したのでした。言われるままに、私はノートに家族の名前を書きました。
「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、サラちゃん、弟…」名前を言いながら説明をしていると突然、別人格の声が変わり娘の声になったのです。
驚きました。いつの間にか、別人格は消えていました。
このとき既に23時間が経過していました。長い長い時間でした。娘は、やっと元の娘に戻ったのでした。
本当の娘に戻ったとき、別人格で過ごした出来事を覚えていた
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「お母さんが上手く誘導してくれたから、戻って来れたんだよ。」
娘は嬉しそうに話してくれました。
「えっ?覚えているの?」
「うん。ところどころ覚えてる。自分が誰だか分からなくなって、自分の名前も家族も分からなかったから、それでノートに書いて!って、言ったんだよ。」
確かに、言われてみれば別人格のはずなのに、娘自身の私物が入っているボックスを開けていたり、自分の名前を嫌いだと言ったり、不思議な行動がありました。
私が別人格だと思いひたすら対峙していたのは、娘自身だったのかもしれないと思えてきたのでした。
「この先、多重人格になったらどうしよう」と不安だった私は、ぼんやりとでも昨夜の出来事を覚えているという娘の言葉に、 少しホッとしたのでした。