「技術の力で障害の概念を変える。」ロボットの研究から義足開発へ転身した遠藤謙のライフストーリー
最初のうちは授業に全然ついていけなかったです。解決策は、「寝ないで頑張る」。2〜3年はそんな感じでした。
遠藤:でも、1年中力を入れっぱなしというわけではなく、アメリカの場合、授業があるのは8ヵ月だけなので、その8ヶ月はとことん勉強して、残りの4ヵ月、夏休みなどはゆっくり過ごす。そして学期が始まったら、また集中して…、という過ごし方でした。
期間を決めて、その間だけは先の事とか考えずに没頭するんです。
編集部:でも先の事を考えずに没頭するって、意外と難しいことではありませんか。
遠藤:うーん、僕の中に「できなかったらどうしよう」というのがあまり無いのかもしれません。
編集部:あーーー、なるほど。だから今に集中できる。
遠藤:一番になりたいけど、一番にならないと悔しくて死んでしまうってほど執着したことも、あまり無いんですよ。結果的に二番になってもいいと思っているのかも。
知的好奇心が原動力。支えてくれた親の存在は…
編集部:ただ、没頭したことを、さらに続けていくのって大変なことだと思うんです。遠藤さんを支えたものは何だったのでしょう。
遠藤:知的好奇心。
勉強しているのが単純に楽しかったんです。知的興奮を覚える、といいますか、勉強はもちろん大変だけど面白い。もっと知りたい、だから頑張っていられたんだと思います。
編集部:とってもシンプルですね。知的好奇心。ちなみに、高校時代にも一度留学をしたいと、ご両親に相談したことがあると伺いましたが…。
遠藤:あ、そうなんですよ。高校の同級生に帰国子女がいたことで英語に興味が湧いて。
それでアメリカの大学に行きたいと両親に伝えたら、もう大反対でした。
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編集部:なぜでしょう。
遠藤:留学したい理由を聞かれて「英語を身に着けたい、若いほうがいいと思うから」って答えたんです。そしたら「その語学を身につけて、何を勉強したいんだ」と聞き返されて、僕は何も答えられなかった。
反対された時に、押し通すほどの理由や熱量が無かったんです。そんな状態で行っても意味がないなと自分でも思い、その時は行きませんでした。
でも、大学を卒業してMITに行こうと思った時には明確な目的があった。だから受験をしたし、両親も応援してくれましたね。
その時に「学費をどうまかなうか」という話をしたのがとても印象的で、今でもよく覚えています。
編集部:そのお話、ぜひ伺いたいです。