精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説します
そもそもdisorderとは、「調子の乱れ」といった意味であり,これに「障害」(差し障りや害がある)という重い訳語が当てられたことが混乱を招いているとも言えますが、ここではそのことを踏まえつつも、行政用語でもある精神障害という言葉を使います。
◇『DSM』の日本語版ではmental diseaseを精神疾患と訳している
精神医学の診断に使われることの多い診断基準『DSM』では、その第4版であるDSM-Ⅳからこのmental disorderの訳語として「精神疾患」があてられました。
しかしDSMでdisorderとして紹介されているものには、狭義の精神疾患だけでなく発達障害や知的障害など疾患とはいえないものや病態が不明瞭なものも含まれています。そのため、時に精神疾患・精神障害の概念についてのあいまいさや誤解のもととなることもあり、この訳語については専門家の間でも議論が分かれています。
このように、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は統一された定義がなく、使い分けについても厳密ではない場合があります。翻訳の場合は元の用語が何だったかによっても微妙にニュアンスが変わってきます。そのため、その用語がどのような意図を持っていて、どのような概念を指しているかは、その都度注意深く判断する必要があります。
http://medical-friend.co.jp/pdf/sintaikei/seisin2.pdf
参考:精神看護学2精神障害をもつ人の看護/岩﨑弥生、 渡邉博幸編集/メヂカルフレンド社
行政における「精神疾患」の定義も明確なものはありません。
医療・福祉に関連する法律や行政は、我が国も加盟するWHOが作成したICD-10(『国際疾病分類』第10版)に準拠することが多く、『ICD-10(国際疾病分類第10版)』の第5章「精神と行動の障害」に該当するものを精神疾患としています。
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9804/txt/s0408-1.txt
参考:第2回精神保健福祉法に関する専門委員会議事録|厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/4_01_00data.html
参考:みんなのメンタルヘルス
しかし厚生労働省・文部科学省など担当省庁ごとや、法律などの文脈により定義や概念が異なる場合もあります。