精神疾患とは?症状や診断方法ごとの種類、原因からチェック方法まで解説します
■伝統的診断における分類
19世紀後半、ドイツの医学者クレぺリンは他の身体疾患と同様に、精神疾患を原因別に外因性精神疾患、心因性精神疾患、内因性精神疾患の3つに分類しました。とはいえ、心因性と内因性の区別は極めて曖昧で、明確な区別は難しいとされています。
◇外因性精神疾患
脳器質的な病変、ないし身体の病変によって生じるもの
例:脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、感染症(神経梅毒など)、内分泌疾患など
◇心因性精神疾患
心理的な内面の葛藤あるいはその人をとりまく環境からくるもの
例:解離性障害、強迫性障害、ストレス関連障害など
◇内因性精神疾患
脳の機能異常に基づくが、明白な原因が同定されていない、何らかの遺伝的な素因が関与していることが想定される疾患
例:統合失調症、双極性障害など
ちなみに、クレぺリンは統合失調症と躁うつ病(双極性障害)を二大精神病としました。
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参考書籍:『精神病』/笠原嘉著/岩波書店/1998年
伝統的診断のメリットとして、精神症状に苦しむ本人やそのご家族に病気について説明する際、原因から説明すると理解してもらいやすい点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、診断する医師により診断名が異なりやすいことがあります。また、診断名が異なるということは、その病気の研究が進まないなどの問題もあります。
■比較的新しい操作的診断基準に基づく分類
現在普及しているアメリカ精神医学会のDSM-5などは、原因的な面は考慮せず、症状だけから分類した診断基準(操作的診断基準)です。
この操作的診断基準を用いた診断のメリットは、基準が細かく明確であることから医師間で診断名の食い違いが少ないことや、福祉職、法律家などの多職種における共有言語となることなどが挙げられます。
同じ基準で協力者を集めることにより、疾患の研究が進むことも期待されます。
一方、デメリットとしては、症状のみによる診断名であり、疾患の本質が考慮されていないこと、医師から患者や家族への説明がわかりにくくなる、診断基準の改訂により診断名が変わることもある、などの問題点があるとされています。また、もともと操作的診断基準は患者ではなく医療機関側の都合からつくられたこともあり、個々の患者のための診断、治療に有用ではないという批判もあります。