2017年11月28日 16:00
偏食や過敏の根底には「不安・緊張・ストレス」がある!当事者研究で浮かび上がった食の困難とは
なぜ、発達障害の子どもには、偏食がみられるのでしょうか。そして、食に対する困難のある子どもたちを取り巻く環境は、どのようになっているのでしょうか。
そのことを詳しく知るために、髙橋先生にお話をうかがいました。
http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/137859/1/18804306_66_27.pdf
発達障害者の「食」の困難・ニーズに関する研究 : 発達障害の本人調査から
発達障害のある子どもの偏食は「甘え」や「わがまま」ではない
Upload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)
発達障害の当事者は、感覚の過敏や身体調整機能の問題、食べ物に対する特異な認識の仕方が要因となり、食べることに困難を感じているものと考えられます。
このような発達障害の当事者特有の身体感覚特性を、周囲は理解することができず、わがままや自分勝手、あるいは家庭での教育に問題があると誤解されることもしばしばあるのです。
しかし、髙橋先生は、発達障害当事者の食事の問題は、身体の過敏性だけが問題ではないと考えています。
偏食の根底にあるのは「不安・恐怖・緊張・ストレス」
Upload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)
髙橋先生は、過敏の背景、こだわりの背景にはとにかく「不安・緊張・強い恐怖・ストレス」があると言います。
もちろん生まれながらの過敏により食べられない場合もありますが、それよりも周囲の理解を得られず、食べることを強制されたり、傷つく言葉をかけられたりして、強いストレスを感じていることの影響が大きいとのこと。その結果が偏食をはじめとする多様な困難を生み出していると言うのです。
偏食の子どもたちでも、白米やパン、ポテトなどはよく食べられるケースが見られます。これは必ずしも子どもたちが好きだから食べているわけではないと言います。これらの食品はシンプルで食べやすく、味の混ざり気がほとんどありません。それゆえ子どもたちは味を想像しやすく、安心して食べられるから選択しているだけであって、決して好きだから食べているわけではない場合も多いのです。本人に聞くと、「決して美味しいとは思っていない」という答えが返ってくると語ってくださいました。
さらには、こうした偏食は栄養の偏りを引き起こし、肥満や生活習慣病の原因になってしまうことも考えられます。