答えを導くための支援の手立てにーー『子どものつまずきからわかる 算数の教え方』放課後等デイサービスなどで学習支援に関わった筆者・澳塩渚さんが数多く見てきた『算数のつまずき』。この本は子どもたちの発達によってどのように数理解が進むのかを理解し、子どものつまずきをアセスメントしながら必要なサポートに取り組めるようにつくられました。数学を学ぶ前に理解しておきたい数理解のステップを①大きい・小さい ②まとめる・分ける ③対応させる ④数えていくつ ⑤合成・分解と5つに分類し、項目ごとに丁寧に説明。小学校入学後に算数でつまずきを抱えてしまった場合、このステップをさかのぼってチェックすることによって子どもがどこでつまずいているのかわかり、適切な支援を行うことができます。もちろん、足し算、引き算、九九、わり算、小数や分数、時計の読み方、文章問題の解き方など小学校4年生程度で学習する内容をつまずきやすいポイントの例を挙げ、かわいいイラストを交えつつ丁寧に説明。子どものやる気を引き出す手助けになりそうな、数の理解をサポートする商材の紹介もあります。これから小学校に入学する子、今まさに算数を学んでいる子、そしてうまく学べないまま学年が上がってしまった子の『学びなおし』にもおすすめの一冊です。レシピ70点×育児書では教えてくれない子育てエッセイ『食べないっ子も、いただきます!うちのやさしいかいじゅうごはんレシピ』「毎日の食事を楽しんでほしい」そんな気持ちから生まれた料理研究家ママと感覚過敏をもつ長男とのごはん時間を描いたエッセイ本です。発達遅滞の診断と感覚過敏のある、著者・あまこさんの長男・そうりくん。料理には興味があっても食事にはあまり関心がないそうりくんのおうちでの「7つのルール」など楽しく食事をするためのヒントがたくさん詰まっています。朝ごはん、おやつ、お弁当、夕ごはん、行事ご飯などカラー写真と共に70レシピが掲載。キャンプレシピなどもあり、どれも簡単につくれておいしそうなものばかりです。食材を食べやすくする工夫、食器などのお役立ちツールなども紹介されています。そうりくんの成長の様子や、子どもの偏食に詳しい田部絢子先生に聞いた食事の「こまった」を解決する子どものごはん支度が楽になる5つの視点など、子どもの食事に困りごとを抱えている保護者の方に読んでいただきたい一冊です。怒りを笑いに変える!?『ぼく、わたしのトリセツ』大阪の小学校で教師を務めている著者の松下隼司氏が、アンガーマネジメント(怒りの感情のコントロール)を突き詰めるなかで編み出したテクニックを絵本化したのが『ぼく、わたしのトリセツ』です。この本にはいつも怒られてばかりの『ぼく』と『わたし』の扱い方が描かれています。一度拗ねてしまうとたとえ自分が悪かったとしても謝ることができない子。そんな男の子にどうやったて接したらいいでしょうか。それは給食の時間に話を聞いてあげること。スムーズに問題が解決します。さらには『おかわりタイム』の時間が効果的。あっという間に謝ってくれるでしょう。謝ったら“メガもり”にしてあげてください。このように『ごめんなさいが言えない子』『けんかばっかりしてしまう子』『つい、えらそうにしてしまう子』などなど、ご家庭でも悩みの多い問題に対して、ユーモアを交えた解決方法を提示しています。自分の怒りの感情をコントロールしようとアンガーマネジメントの資格を取得し、ファシリテーター、キッズインストラクターの資格も取得した著者が行きついた『怒りを笑いに変える』ということ。子どもをついつい怒ってしまう…そんな保護者の方にぜひ読んで頂きたい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年06月05日高円宮家の三女絢子さん(28)と日本郵船社員の守谷慧さん(32)の結婚式が10月29日、東京都渋谷区の明治神宮で執り行われた。式の終了後、お二人は記者会見に臨んだ。古式ゆかしい装束姿の絢子さんに、守谷さんは「実際に(衣装姿を)拝見するのは初めてだったので非常に美しいなと思いました」とはにかんだ。絢子さんが「(守谷さんに)どういうふうに見えているかなと思い、少しドキドキしていました」とお答えに。お二人らしいユーモアあふれる会見となった。絢子さんが守谷慧さんと出会ったのは昨年12月、母・久子さまの紹介だった。7月の婚約内定会見で絢子さんも《守谷さんのお母様が生前ご尽力されていたNPO法人「国境なき子供たち」の設立20周年の記念レセプションにて、母が守谷さんと約10年ぶりに再会したことがきっかけでございます》と語っている。守谷さんの母・季美枝さんは、専務理事として「国境なき子供たち」を長年支えていた。『久子さまをぜひ写真展にお呼びしたい』と、宮内庁にお願いしたのも季美枝さん。守谷さんも一度だけ久子さまに挨拶したことがあった。守谷さんは’15年に亡くなった母の遺志を継ぎ、「国境なき子供たち」の評議員を務めることに。かくして昨年11月、20周年レセプションで再会することになった久子さまと守谷さん。実は『女性自身』の記者もこのレセプションに同席していた。「国境なき子どもたち」会長の寺田朗子さんの取材だった。「国境なき子どもたち」を長年応援されている久子さまにも、ぜひコメントをいただかなければ――。そう意気込んで久子さまに近づく記者だったが、背の高い青年と熱心にお話しされている久子さまに、なかなか話しかけられず5分が過ぎた……。その青年こそ、守谷慧さんだった。本誌記者は、守谷さんが後に絢子さんの婚約者になるとは知る由もなかった。久子さまはこの再会の翌月、守谷さんを絢子さんに紹介される。《初対面とは思えないほど話が盛り上がり、時間を忘れて楽しんだ》と絢子さんも語っていた。5分で見初めた“母の直感”が生んだ、お二人の出会い。絢子さんと守谷慧さん、どうか末永くお幸せに――。
2018年10月30日発達障害のある子の偏食、周囲から理解を得られず苦しむ家族…出典 : 「子どもがご飯を食べない」「食べられないものが多すぎる」そんな状況に置かれたら、親なら誰しも不安になっても仕方がないと思います。特に、発達障害のある子どもは、食事での困難を抱えていることが少なくありません。例えば、極端な偏食があったり、噛んだり飲み込んだりすることに苦手があったりと、食に関係するさまざまな困難が表出することがあります。特に偏食では、好き嫌いが多いという程度ではなく、一切口にできないような食品が広範囲にわたって存在することもあります。そうしたケースではごくわずかな量であっても食べることを拒否したり、我慢して食べて嘔吐してしまったりすることもあります。しかし、こんなにも大きな困難があるにも関わらず、周囲からは理解を得られず、「わがまま」「自分勝手」「甘やかしている」と誤解を受けるケースも珍しくありません。また、両親は本人の困難をよく理解していても、学校の先生から指摘を受けたり、親戚から心ない言葉をかけられたりと、家族として苦しい状況に置かれてしまうこともあります。発達障害当事者が抱える「食」への困難、その実態は出典 : 東京学芸大学の髙橋智教授のチームは、発達障害の当事者を対象とした調査から、本人が抱える困難について研究を行っています。2012年~2014年に行われた、発達障害の診断・判定のある高校生以上の当事者に行った調査では、発達障害の当事者は、食に関する困難を示す割合が、発達障害のない人たちと比べて明らかに高いことが明らかになったのです。また、次のようなことに、発達障害の当事者が強い困難を感じる傾向にあるということもわかりました。「人の輪の中でどのようにふるまえばいいのかわからないため会食は恐ろしい」「においの強い食品は食べられない」「大人数の食事は、音やにおいなどの情報があふれて辛い」「自分の予想していた味と違う味だと食べられない」このような困難に当事者たちは日々苦悩しているというのです。なぜ、発達障害の子どもには、偏食がみられるのでしょうか。そして、食に対する困難のある子どもたちを取り巻く環境は、どのようになっているのでしょうか。そのことを詳しく知るために、髙橋先生にお話をうかがいました。発達障害者の「食」の困難・ニーズに関する研究 : 発達障害の本人調査から発達障害のある子どもの偏食は「甘え」や「わがまま」ではないUpload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)発達障害の当事者は、感覚の過敏や身体調整機能の問題、食べ物に対する特異な認識の仕方が要因となり、食べることに困難を感じているものと考えられます。このような発達障害の当事者特有の身体感覚特性を、周囲は理解することができず、わがままや自分勝手、あるいは家庭での教育に問題があると誤解されることもしばしばあるのです。しかし、髙橋先生は、発達障害当事者の食事の問題は、身体の過敏性だけが問題ではないと考えています。偏食の根底にあるのは「不安・恐怖・緊張・ストレス」Upload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)髙橋先生は、過敏の背景、こだわりの背景にはとにかく「不安・緊張・強い恐怖・ストレス」があると言います。もちろん生まれながらの過敏により食べられない場合もありますが、それよりも周囲の理解を得られず、食べることを強制されたり、傷つく言葉をかけられたりして、強いストレスを感じていることの影響が大きいとのこと。その結果が偏食をはじめとする多様な困難を生み出していると言うのです。偏食の子どもたちでも、白米やパン、ポテトなどはよく食べられるケースが見られます。これは必ずしも子どもたちが好きだから食べているわけではないと言います。これらの食品はシンプルで食べやすく、味の混ざり気がほとんどありません。それゆえ子どもたちは味を想像しやすく、安心して食べられるから選択しているだけであって、決して好きだから食べているわけではない場合も多いのです。本人に聞くと、「決して美味しいとは思っていない」という答えが返ってくると語ってくださいました。さらには、こうした偏食は栄養の偏りを引き起こし、肥満や生活習慣病の原因になってしまうことも考えられます。また、食に関する問題は、生来の過敏性だけではなく、本人を取り巻く別の課題が、食の困難として表出することもあるといいます。親との関係、両親の関係、先生との関係など、さまざまなストレスが、偏食として表出するケースも実際に見ることがあります。髙橋先生「単純に食だけのケースで困りごとを持っているケースは、発達相談の現場にいても少ない。本人が持っている別の困りごとや課題も、命の基本となる食べるという行為の中から見つけられることもあります。」偏食を単に食の問題として捉えるのではなく、本人が持っているさまざまな困りごと、また2次的障害の発現など、トータルに見ていく必要があると話してくださいました。子どもの偏食に、保護者はなにをしてあげればいい?出典 : 子どもの偏食を考えるとき、親がまずするべきこと。それは、子どもと対話することだと髙橋先生たちは考えています。髙橋先生「一番のベースは、その子の偏食が、何によって出ているのかということ。その子の持っている不安や緊張や困りごとに対して、しっかり耳を傾けることが重要です。」偏食の子どもたちを目の前にすると、親やその支援者は、いかにして子どもたちに食べさせるかということを考えてしまいがちです。ですが、まず大切なのは子どもと対話して、なぜ食べられないか子どもの気持ちを知り、それを理解してあげることです。子どもの声に耳を傾けることで、偏食を加速させてしまう「不安・緊張・強い恐怖・ストレス」を半減させることもできます。調査対象を発達障害の診断・判定・または疑いがある小学生まで広げて行った調査では、「配膳時に量を調節したり、どうしても食べられない食材を入れないなど自分で決めさせてほしい」「完食を強制せず、食べられない食品があることも認めてほしい」という思いを子どもたちが強く持っていることがわかったのです。こうしてみると、調理法や材料を変えるなどの時間や手間をかけることよりも、自身の困難や思いを聞いてほしい、理解して認めてほしいという、他者とのコミュニケーションにおける基本的なことを求めている回答が多いことが分かります。また逆に、「子どもの頃に無理強いされた食べ物は一番苦手なものになっている」という方も多く、食の困難に対して厳しい指導・対応を受けたことにより「苦手さ」「恐怖感」を増幅させてしまっているケースも見られます。髙橋先生と共同で研究を行っている大阪体育大学の田部絢子先生はこう話してくださいました。田部先生「調査の中で、困っていることや、どうしてほしいかも聞いてるんですけども、どうしてほしいですかっていうことの上位に、結局、『話を聞いてほしい』とか『食べられないってことを一旦認めてほしい』とか『量は自分で調整させてほしいとか』が上がってくるんですね。わざわざ、別の調理法でものを作れとか、それは出してくれるなとか、そういったことはあまり上位の要望としては出てきていない。やっぱり子どもたちは『話を聞いてほしい』って言ってるんだから、大人たちはまず話を聞くところから始めませんか」髙橋先生らのアンケート調査でも、本人が必要とする理解・支援について、・外食でも個室だと食べることが出来る・新しい食べ物は事前に紹介されていれば大丈夫である・自分で選んだ食べ物はおいしく味わい、楽しむことができるなどが上位の回答として見られることがわかっています。逆に、無理やり食べさせたりすれば、子どもの不安や緊張は増え続ける一方になってしまいます。実際に食べることを無理強いされたことを発端として、生来の過敏性とも相まって、低体重にまで陥ってしまうような例もあるそうです。こうした偏食の根底にある不安・緊張・強い恐怖・ストレスを軽くするには、感覚の過敏性やこだわりについて考える前に、子どもと対話することが必要不可欠です。子どもたちが最も嫌がるのは受動的で強制的な食事です。これでは、食事に対するストレスは増える一方になります。食事を、子どもたちにとって主体的で、能動的で、選択可能なものにすることも、大切だとおっしゃっていました。主体的で、能動的で、選択可能な食事とは。ある家庭での出来事出典 : 「主体的で、能動的で、選択可能な食事」というと、一見難しく感じますが、会話の機会を増やすことで実現した一例があります。ある4人家族の家庭では、姉妹のお姉さんのほうに偏食がみられました。家庭での食事はお姉さんが食べられるものばかりになってしまっていたので、妹さんは不満を感じていたそうです。そんなとき、田部先生はこの家族に「家族でいっしょに1週間の献立を作りませんか?」という提案をしました。さらに、今日はお姉さんメニュー、明日は妹さんメニューのように、食事の回によって考案者を分けるようにしました。この提案を実行しようとしたこの家族は、献立を作るための家族会議を開くことに。そしてこの機会こそが、家族の食事のあり方を変える鍵になったのです。まず、献立が作られたことによって、食事についての見通しが立ちやすくなります。偏食のあったお姉ちゃんは「今日は妹ちゃんメニューだから我慢する。でも明日は私の番!」といったように、見通しを持つことができるようになり、食事をポジティブに捉えることができるようになりました。妹も同じく「今日は私のメニューだけど、明日はお姉ちゃんのメニュー」といったように考えることができるようになり、不満の解消にもつながったと言います。加えて、買い出しにみんなで行くようになったことで、食事に対する主体性や能動性も上がり、食事に関する不安はどんどん減り、家族での食事がみるみる楽しくなっていったそうです。その変化は目覚ましいもので、親御さんから「こんなに食事って楽しかったんだ!」という声が届くほどでした。このように主体性、能動性、選択制がそろうことによって、偏食のある子どもいる家庭でも、楽しい食事を作ることができるのです。学校給食での困難。それを取り巻く現実出典 : 家庭ではある程度柔軟な食に対する対応をおこなうこともできますが、学齢期になり学校に通うと、給食という大きな課題が立ちはだかることもあります。残念ながら今日でも、給食を残さず食べさせることを絶対とする教員がいるとの話を聞くことがあります。アレルギーに対しては認知や理解が進み、かなり柔軟な配慮が行われるようになってきました。しかしその反面、感覚の過敏性などを起因とする偏食にはまだまだ理解が及んでいないのが現状です。田部絢子先生は、東京都の通級指導学級や特別支援学級を有する公立小中学校、知的障害特別支援学校についてアンケート調査を行いました。その結果からは、食に注意の必要な児童生徒が「在籍している」学校は全体で81.1%。さらに、報告された児童生徒の食に関す困難で、「極端な偏食」は全体の31.1%にものぼります。一方、調査で明らかになった現場の声は、学校給食なので個別対応はできないというものが少なくありませんでした。教職員の人員不足、また生命に関わるアレルギーの対応に注力するあまり、個々の過敏性に対応することはとてもできないという実態が浮かび上がってきたのです。発達障害児の「食」の困難・ニーズの実態と支援の課―都内小・中学校特別支援学級・通級指導学級、知的障害特別支援学校への質問紙法調査から―発達障害の子どもの偏食に対して、実際に学校で行われた「合理的配慮」とはUpload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)以前は中学校の教師でもあった田部先生は、食についての合理的配慮を行った自らのご経験を教えてくださいました。中学3年生の自閉症スペクトラム障害のある女の子は、食事に対して困難があると同時に修学旅行にも大きな不安を抱いていました。人とかかわるだけでも不安な彼女にとって、旅行先での食事は、日常生活とは比べ物にならないほどの不安があったのです。この生徒の場合、コンビニのお弁当やおにぎりだけが、安心して食べることができる食事であったそうです。この子が安心して修学旅行を過ごせることを考えた田部先生は、行く先々でコンビニで買った食品を食べることを認めました。ただし、田部先生は食べる場所について逆に生徒にお願いをしました。食べるものは違っても、他の生徒と同じ場所で食べること。またレストランを利用するときは、その中でコンビニ弁当を食べることは憚られることなので、バスの中などで食べることをお願いしたのです。こうした配慮によって、この生徒は、帰りたいとパニックを起こすこともなく、修学旅行を過ごすことができたのです。本人のルールを聞いてあげて、そしてこちらのルールも聞いてもらうことーー田部先生「おそらくそれが合理的配慮なんでしょうね。社会のルールを教えつつ、でも本人はどうすれば自身の健康を保ちながらやってゆけるのか。集団行動もできて、個別性の配慮もできるのか。折衷案を考えました。」髙橋先生「全部でなくても理解をしてもらえる、話し合えるということで、信頼関係ができますよね。信頼関係ができると、『少なくともこの先生の言うことは聞いてみようか』となり、プラスのスパイラルに入っていくことになる。信頼感関係がないと、どんないい提案をしても却下なので、一旦は教師や大人のほうがが折れることが必要。」まずはしっかり話を聞いて、そこで出来ることと出来ないを伝える。相手の話を聞く機会を持ち、一部でも理解してあげると子どもとの間に信頼関係ができる。そのためにはまずは大人のほうが折れることが必要だとおっしゃっていました。大人どうしの「空中戦」の末に出典 : 食の困難について困っているのは、当事者である子どもだけではありません。料理を作る保護者にとっても大きな負担となっています。食事を作っても作っても子どもは食べてくれない。それは保護者からしてみれば、いじめを受けているようなもの。作るのをやめてしまいたい、思わず声を荒げて子どもを叩いてしまうという声も調査の中で耳に入ってきています。特にお母さんにとって、「食べさせる」ということは授乳から始まる子どもとのコミュニケーションの一つでもあります。だからこそ、食事を拒絶されることは、否定されたような気持ちになり、つい子どもに辛く当たってしまうことも珍しくないようです。また、子どもの偏食を周囲から責められ、やり場のない思いを抱えていることもあります。子どもを抜きにした空中戦が大人どうしで展開され、子ども本人の気持ちは置き去りにされているケースも見受けられます。こうした状況を改善していくためには、子どもだけではなく、保護者の気持ちをもケアするような仕組みを作ることがこの先求められます。「食べることは発達だなって思うんですね」Upload By 村田裕介(発達ナビ編集部・管理栄養士)偏食は生涯にわたる固定的なものではありません。適切なサポートを行えば、食べられる範囲はいずれ広がっていきます。成人当事者と話していても、以前と比べると食べられる範囲は大きく広がったと聞くことも多いと言います。幼少期のことを振り返ると「今は全然違う!」という実感を持たれる方も多いそうです。食の問題も発達の問題とすごく関係していて、認知・理解の発達、さまざまな身体の発育の中で、総合的に食べる力が発達し、食べられるものが増えてくるのです。髙橋先生「お母さんが離乳食を与えて、最初は子どもはペッと吐き出してしまう。でもだんだん慣れていって味覚も発達して、食べ物を受け入れていく。こういう発達のプロセスを辿っていくので、食っていうのは発達だなって思うんですね。なので、身体の発達が進み体の準備ができたとか、安心できる環境になったとき、再チャレンジする機会が必要なのです。」そのためにも偏食を固定化させないことが必要だと髙橋先生は言います。親が子どもの食事に対して関与することをやめないことが大切なのです。今後も髙橋先生たちの研究チームは、食事・排泄・睡眠について、研究を続けていくと言います。髙橋先生「食事・排泄・睡眠は生きていくための基本。ここに徹底的にこだわっていきたい。」髙橋先生のチームの研究はこれからも続きます。子たちが抱える困難を、多くの大人が理解し、適切なサポートに導くことが容易にできる日がくることを願ってやみません。【大募集!偏食対応のコツ】給食やお弁当に慣れるまで、どんな工夫をした?子どもの偏食、どう工夫してる?どう考える?みんなのアイデアや体験談を教えて!
2017年11月28日今年、新国立劇場オペラパレスのクリスマスシーズンは、アシュトン版の『シンデレラ』を上演する。クリスマスの風物詩として『くるみ割り人形』と共に観客に愛され、劇場が幸せに満ちた空間に変わる真心に彩られた作品だ。シンデレラを演じる小野絢子にアシュトン版の魅力を訊いてみた。新国立劇場バレエ団『シンデレラ』チケット情報イギリス最高の振付家フレデリック・アシュトンのバージョンは、ダンサーたちにとっても憧れの作品と呼び名が高い。「1幕はお芝居がメインになります。ほうきなどの小物を使うので、失敗しないように操るのが少しプレッシャーになりますが、ふたりの姉とのやり取りに活気があってとにかく楽しいですね」と小野のシンデレラは不幸や孤独を背負っているようには見えない。「彼女自身は全く自分の事を可哀想だと思っていないでしょう。もちろん皆が舞踏会に出掛けた後は一瞬寂しそうな表情を見せますが、お掃除を楽しむようなポジティブな心の持ち主です。義理の姉妹の意地悪もそんなに辛らつなものではないですし、彼女は姉たちの事を好きだと思いますね」と自らのシンデレラ像を話す。シンデレラといえば、プロコフィエフの音楽。観ている側からしても心地よく、あの透明感に溢れた音楽に乗って踊っているダンサーにとっては「大好きな作曲家のひとりです。美しい旋律だけではなくて、不協和音が入りますが、それが全部合わさったときに不思議なくらい綺麗なメロディーになります」と顔が輝く。小野にとってのおとぎ話のヒロインとは「童話の世界には超えてはいけないラインがあり、素を見せた瞬間にすべてが壊れてしまいます。シンデレラはあらゆる背景や性格が決まっていて、役に入っていきやすいです。王子様の役作りの方が難しいのかも。オーロラ(眠りの森の美女)の登場のように、どんな王子様が出てくるのだろうっていつも楽しみです」と相手役についても期待を寄せる。「いつも私は姉たちの演技に合わせて少しだけ気持ちの入れ方が変わってきます。仙女や四季の妖精、道化など、魅力的なキャラクターたちが次々と登場し、毎回お客様に楽しんで頂いています。銀色の豪華な馬車で舞踏会に向かいますが、時間があっという間でもう少し乗っていたいです。2幕のお城に到着する場面では階段の下を観ずにポワント(爪先立ち)で、夢心地のまま降りなくてはいけないので緊張しますが、最高の見せ場になると思います」と素敵な夢の時間を約束してくれた。小野絢子が出演する新国立劇場バレエ団『シンデレラ』ぴあスペシャルデーは、12月20日(土) 13:00開演、新国立劇場オペラパレスにて。取材・文・撮影:高橋恭子(舞踊ジャーナリスト)
2014年11月14日