子育て情報『先生は「学校へおいで」と追い詰めなかった——約1年半不登校だった息子が、復学するまで』

2019年6月25日 11:10

先生は「学校へおいで」と追い詰めなかった——約1年半不登校だった息子が、復学するまで

それから息子は音楽会だけでなく、終わりの会にも参加し、クラスの友達に誘われて、自由見学にも出向いた。途中でパニックを起こして、途中で何も言わずに帰宅してしまったのだが、後日会ったときにそれを責めることもせず、むしろ心配してくれたのだという。彼らを含む、息子の存在を受け入れてくれたクラスの児童たち、息子だけではなく、私の特性にもご配慮くださった先生方には心から感謝している。

その数日後、
「行事のときとか、たまには学校に行ってみようかな」
と息子がひとりごちた。正直、とても驚いた。とはいえ、いつ気が変わるとも知れない。私はさしたる期待をせずに聞いていた。


限界を迎えていた私。
約束を守りたい気持ちと復学を促したい気持ちの間での葛藤

案の定、「たまに」は年をまたいでも訪れることはなく、私は出張や旅行で息抜きをしつつ、ギリギリのところで踏みとどまっていた。いや、すでにおかしくなりかけていた。寝入る直前に「何か食べたい」と申し出た息子に「もう寝る前だし、牛乳ぐらいにしておこうか」と言葉を返し、寝つかせたあとに「あれはネグレクトではないか?ネグレクトに違いない」と自責を始め、夜半を過ぎるまで泣きとおすなど、精神のバランスも生活のリズムも著しく乱れていた。仕事も思うように進行させられず、「もう私にはコラムなど書けないかもしれない」と、『発達ナビ』の牟田編集長に宛てて、泣きながらメールを打ったのもこのころだ。とにかく、限界だった。

「フリースクールや放課後デイ施設などがあるではないか」とおっしゃる方もいるだろうか。もちろん視野に入れ、自分なりに調べた。しかし私たち親子は、施設数が都会に比べて圧倒的に少ない地方に住まう身である。
学費や立地など、条件に見合う場所を見つけられなかったのだ。

そして3月の半ばになって、「たまに」がようやく訪れた。とても興味を引かれる学習内容ばかりの時間割で、給食は好物ばかりの献立の日があるから、というのだ。

息子はその日、朝の会から終わりの会まで学校で過ごし、
「音が辛いこととかちょっとあったけど、勉強は面白かったし、みんなと遊ぶのも楽しかった!次はいつ行こうかな?」
と笑顔で帰宅し、私に話してくれた。

(次の「たまに」はまたしばらく来ないのかな…)と考えるだけで胃から何かがせり上がる。楽しいのなら、もっと高い頻度で登校して欲しい。できれば毎日。

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