子育て情報『発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月15日 16:15

発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー

より直接的には、大学病院で臨床心理士を目指す大学院生の実習指導を引き受けるようになったところ、実習生たちがとても熱心で、その人たちに基礎的な精神医学と精神分析学の両方を教えることに、やりがいを感じるようになったのです。そこで、大学教員を目指すなら臨床心理士養成のための大学院をもっているところにしようと、思い定めました。2006年に文教大学人間科学部に就職したのは、こういう経緯からでした。その後、2010年春に中央大学文学部に移りました。

――現在の支援体制について、どのようにお考えですか。

山科先生:少しずつ支援体制をつくりつつあるのですが、私のやっていることはどうしても支援者ないし教員の目線での発想に傾きがちです。支援対象当事者の気持ちや困りごとをより具体的に知るために、今は学生さん当事者の人たちに協力してもらいインタビュー調査を積み重ねているところです。また、ピアグループの運営をサポートするようにもなりました。


――そのほかの研究はいかがですか。

山科先生:東日本大震災にまつわる臨床研究を行っています。中央大学文学部に移った約1年後、2011年3月に東日本大震災が発生しました。以来私は岩手県の北リアス地域に通い、病院臨床や地域の精神保健活動に携わりながら、津波被災者の心理過程と、過疎地域におけるひきこもりの支援に関する臨床研究を続けています。

――ひきこもりには発達の特性も影響しているのでしょうか。

山科先生:そうですね。その地域で家庭訪問を行っていて、大学中退、あるいは卒業後早期に社会からドロップアウトして、実家に戻りそのままひきこもっているという人たちに少なからず出会いました。その人たちの生きにくさのベースに、多くの場合で発達の特性が絡んでいることが見いだされました。
まだ論文化できるほどのデータはたまっていないのですが、実感としてはそういうことです。


3/4が支援開始時点で発達障害未診断というデータも

発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビューの画像

出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017046508
――大学に通う発達に特性がある学生の傾向や、支援状況について教えてください。

山科先生:中央大学の一学部のデータですが、発達の特性があるために適応に困難を来して支援を受けることになった学生のおよそ4分の3は、支援開始時点で未診断でした。

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