子育て情報『発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月15日 16:15

発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー

多くは幼稚園・保育園時代から多少なりとも「発達が気になる子ども」ではあったのですが、よく護られ、あるいは勉強ができるために周囲から一目置かれ、大学まではさほど不適応にならずに来ているのです。

――そのような学生は、大学入学後に困り感が生じているということですね。

山科先生:そうなりますね。大学では高校までの生活とはタスクが全く異なります。また、コロナ禍で普及したオンライン授業にはメリットもありますが、時間管理や同時並行処理など、発達の特性を有する人には高いハードルとなることもありました。さらに、授業はこなせても、就職活動で「筆記は通るのに面接でことごとくはねられる」といった経験から、自身の特性について気づくこととなる学生さんも少なからずいます。

――学生自ら支援を求めることができているのでしょうか。

山科先生:支援対象者となっている学生のうち、自ら支援機関や支援者に直接コンタクトを取った学生は半分以下です。
ドロップアウトしかかったところで、ゼミの教員や、キャリアセンターの職員、学部事務室の職員などが関与し、そこから支援者につながることが多いです。

ということは、支援機関・支援者は、学生からみてアクセスしやすいだけでなく、一般の教職員にとってもアクセスしやすい存在でなければなりません。これは「箱」を整備すれば良いというものではなく、支援者の「顔」が多くの学生や教職員から認知されることと、支援システムが柔らかいものであることが必要と考えられます。

――現在、キャンパスで支援している学生はどれくらいですか。

山科先生:中央大学では、私の推計では概ね全学生の1%ほどの学生を支援対象としていると思われます。他方、私たちはいくつかの学内調査から、発達の特性を有し、本人なりに困り感を抱きながら過ごしている学生が1割弱いるだろうと見積もっています。

以前行った調査で「自閉症スペクトラム指数(AQ)」という質問紙では、カットオフポイント(その点数以上であれば自閉スペクトラム症の傾向がある可能性が高い)を超える人が数%ほどいました。もちろん、カットオフポイントを超えた人がみな困っているわけでも、まして発達障害と診断されるわけではないのですが、私は、今支援を受けているのは本当に支援を必要としている人の一部に留まっているのではないかと、危惧しています。


また、今困っていないから支援の必要がない、とは必ずしも言えません。

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