子育て情報『発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー』

2022年6月15日 16:15

発達特性がある大学生への支援の現状と課題。大学・学部選びのポイントも――中央大学教授・山科先生インタビュー


支援が必要な学生により早い段階で支援を提供したい

2005年に施行された発達障害者支援法では、「大学及び高等専門学校は、個々の発達障害者の特性に応じ、適切な教育上の配慮をするものとする」と明示されました。そこで発達ナビでは、実際に大学でどのような支援が行われているかについてお届けしていきたいと思います。

このコラムで紹介する中央大学では、2007年から一部の教員が「軽度発達障害の縦断的研究」を開始。これを引き継ぐ形で2016年から「発達障害者傾向を有する大学生についての縦断的研究」を行い、このたび『キャンパスにおける発達障害学生支援の新たな展開(中央大学人文科研究所研究叢書)』に活動の記録をまとめました。今回は、同研究チームの主査を務めた山科満教授に、キャンパスにおける学生支援の現状や発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/1376867.htm
参考:発達障害者支援法 | 文部科学省

編集部(以下――)現在注力されている研究について教えてください。

山科先生:中央大学では、未診断ながら発達の特性がある学生への支援体制の構築と、支援のノウハウについての臨床研究を続けています。従来型の学生相談室、あるいは支援室というのは、いくら「箱」を充実させても、支援が必要な学生の多くはそこにたどりつくことなく、大学からドロップアウトしていきます。
そのような学生により早い段階で支援を提供できるために必要なことは何だろうと、手探りで活動を続けてきました。

――山科先生は、精神科医から大学教員に転身されたのですよね。

山科先生:はい。大学教員、それも臨床心理学の教員になろうと思った理由は2つあります。私は1989年に医学部を卒業して精神科医になり、最初の十数年は統合失調症の入院治療に力を入れていました。臨床経験を積む傍らで、次第に薬物療法の対象とはならないパーソナリティ障害や神経症の治療、すなわち個人精神療法、とりわけ精神分析の勉強もするようになりました。これが自分としては興味深かったのですが、脳科学全盛の大学病院の精神科で精神分析を実践することや、まして研究することはできないことだったのです。端的に、居場所がないわけです。
もし研究を続けたければ、文系の大学の教員になるしかない、という状況がありました。

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