2022年8月1日 14:15
発達障害領域でも広がる作業療法士(OT)の役割とは。発達に凸凹がある子どもたちの身近な存在を目指してーー日本作業療法士協会 中村春基会長インタビュー
【医療機関】
新生児期から18歳以上まで幅広い。割合としては未就学が約45%、就学~15歳までが約25%。
【児童福祉サービス】
未就学が5割強、就学後が5割弱で、やや未就学のお子さんの方が多い。
施設種別としては、作業療法士が多くいる順に、児童発達支援センター、放課後等デイサービス、障害児入所施設。
【対象とする障害や疾患】
・ASD、ADHD、DCD、LDなど
・脳性麻痺
・精神遅滞 知的障害
・てんかん
・ダウン症などの染色体異常
・重症心身障害
・筋ジストロフィーを含む神経難病
+障害が診断される前の気になる段階の子どもたち
とは言え、「リハビリ」「高齢者」というイメージがまだまだ強いようです。病院や療育センターで作業療法を受けることになっても、作業療法士は何をする人なのか、保護者の方には分かりにくいかもしれません。実際の作業療法の場面では、お子さんへの対応が中心になるので、なかなか「作業療法とは何か」「作業療法士が何を目指しているのか」を伝える時間を持てないのも実情です。
そこで、協会では、作業療法を「知って」、上手に「使って」もらえるよう、広報活動にも力を入れています。
たとえば、『○○○とつなぐ』という協会が発達障害のお子さんを支援する方向けに発行したパンフレットは、手帳に挟んで持ち帰ってもらい、気になったときに読んでもらえるように手のひらサイズで作成しました。
https://www.jaot.or.jp/files/page/kankobutsu/pdf/ot_kodomo_forlook.pdf
○○○とつなぐー子どもの育ちを支える作業療法士ー
――日本以外の国では、どのような状況なのでしょうか。
中村:イギリスでは7割もの作業療法士が、地域の学校や通園施設、訪問施設などで働いていると聞いています。アメリカでも、延べ13万人の作業療法士のうち3万人が教育現場で働いており、なりたい職業ベスト10にもランクインしたことがあるくらい、子どもたちにとっては身近な存在のようです。
――医療機関が中心の日本とは、大きく違うのですね…!中村:そうですね。 「友達づきあいが苦手で、悪気はないのにすぐに相手を怒らせちゃう」「ボールを投げたり、鉄棒をしたりするのが苦手で、みんなにバカにされてるみたい」、こうした悩みを気軽に話せて、その解決策を一緒に考えてくれる人がいたら子どもたちはどれだけ気持ちがラクになるでしょう。