2022年8月23日 14:15
言語聴覚士(ST)による発達特性のある子どもへの発達支援とは?言語聴覚療法の内容、保護者へのアドバイスなどーー日本言語聴覚士協会 西野将太さんインタビュー
を実感できる機会を増やしていくという目的のほかに、保護者のケアという意味合いも大きいと考えています。療育の場につながることで、わが子を客観的に見る時間がつくれたり、新しい視点での関わり方に気づけたり、そして何より悩みを打ち明ける場所ができますね。保護者の笑顔で、子どもも安心します。核家族化や家族の形が多様化している現代だからこそ、家族以外にも子どもを一緒に見る人、子育てを共にできる人がいることが安心につながります。私たち言語聴覚士も、子育てを一緒にお手伝いする立場。心配ごとがあれば、遠慮なく相談してほしいと思います。
ーー保護者が安心して子育てができるようになることも、早期療育のメリットの一つなんですね。
西野:その通りです。
また就学などの節目を迎えたあとも、移行支援といった継ぎ目のない支援を受けられる、ということも早期療育のポイントです。療育に関わってきた言語聴覚士は、就学前からのお子さんの成長を見守ってきていますから、その成長過程を学校の先生にもしっかり伝えることができる。言語聴覚士には、なるべく早く支援体制をつくって、新しい環境に適応できるようにと支えていく「橋渡し」の役割もあると考えています。
ステップを踏みながら発達支援を行い、コミュニケーションの幅を広げる
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=07800035233
ーー発達障害の可能性を感じながらも診断を受けていないご家庭や、グレーゾーンと診断されたお子さんなど、家族だけで困りごとを抱えてしまっているケースもあります。療育を受ける目安となる症状や困りごとはありますか?
西野:以下のような困りごとがあったら、一度、各都道府県にある言語聴覚士会に相談してみてください。
言葉が出ない・遅れている
発音がはっきりしない
吃音がある
コミュニケーションが成立しにくい
聞こえていないかもしれない
読み書きが難しい
食べ物や飲み物をうまく飲み込めない
医療の分野ではまず医師による診断が必要ですが、療育に関しては必ずしも医師の診断は必須ではない自治体もありますし、医師による診断や支援の見立てを必要とする自治体もあります。診断の有無にかかわらず、子どもの行動や困りごとに対してスピーデイに対応できるのが、療育をはじめとした福祉、教育分野の強みでもあります。