2022年8月23日 14:15
言語聴覚士(ST)による発達特性のある子どもへの発達支援とは?言語聴覚療法の内容、保護者へのアドバイスなどーー日本言語聴覚士協会 西野将太さんインタビュー
赤ちゃんの吸う力に合わせ、哺乳瓶の乳首の形、かたさを調整するところにも、言語聴覚士は関わっています。
そして、幼児期になると多くなってくるのが、「言葉が出ない」という相談です。赤ちゃんが意味のある言葉を話し始めるのは、だいたい1歳〜1歳6ヶ月ごろが目安になります。そのころから「目が合わない」「コミュニケーションがうまくとれない」といった心配から、相談に来られる方が増えますね。
ーー1歳すぎになると保育園に行き始める子も多く、周りのお友達と比べる機会も増えますね。
西野:そうですね。さらに3歳、4歳、5歳と年齢があがってくると、発音の相談も増えてきます。たとえば「サ行やカ行がうまく発音できない」「発音が不明瞭で何を言っているか分からない」といった悩みです。
そして小学校入学のころには、読み書きに困難を感じるお子さんも。言葉、発音、読み書きや学習と、子どもの年齢、成長に合わせて、言語聴覚士が支援する内容も少しずつ変わっていきます。
ーー保護者は療育の必要性を感じていなくても、保育園や幼稚園の先生から問題を指摘されることもあるようです。
西野:私も保育園、幼稚園を訪問したときに、園の先生方から相談を受けることがあります。このときに大事なポイントは、「先生が困っているのか、子どもが困っているのか」を整理することです。先生は困っているけれど、子ども自身は困っていないのであれば、それはどのような状況でどのような行動がみられるのか整理していくことで対応を一緒に考える機会になります。
たとえば「先生に伝えたいことがあるのに、言葉がうまくでないイライラから手が出てしまう」という子どもがいたとしたら、それは先生も困るし、子どもも困っている状況です。園での生活や活動といった集団生活への適応の難しさがあるときは、療育での支援も一つの選択肢になりうると考えます。
保護者は普段の保育園や幼稚園での生活を実際にみることは少ないでしょうし、突然の報告に驚くことも多くあります。子どもの行動の形だけでなく、それに対して先生はどのように考え、関わったのかを知ることは、ご家庭での関わりや園での様子を知るきっかけになるかもしれません。
ーー1歳半児健診、3歳児健診などで言葉の遅れを指摘された、という声も聞かれます。発語や発達に遅れがみられる場合、早めに療育を始めたほうがいいのでしょうか?
西野:早期療育には、子どもの発達をサポートし、できることや子ども自身の「できた」