子育て情報『言語聴覚士(ST)による発達特性のある子どもへの発達支援とは?言語聴覚療法の内容、保護者へのアドバイスなどーー日本言語聴覚士協会 西野将太さんインタビュー』

2022年8月23日 14:15

言語聴覚士(ST)による発達特性のある子どもへの発達支援とは?言語聴覚療法の内容、保護者へのアドバイスなどーー日本言語聴覚士協会 西野将太さんインタビュー

ーー療育では、どんなことを行うのですか?

西野:まずは、検査と行動観察によって、子どもの力がどのくらいあるかを見ていきます。これらは、「アセスメント」とも言われますね。その子に合った療育プランを立てるためには、まず一人ひとりのお子さんのことをより深く知ることが大切です。たとえば「どんな遊びが好きなのか」「どんな遊び方をするのか」、その子自身を見ることが最初のステップです。

ーーいきなりテストをされると、戸惑ってしまうお子さんもいますよね。遊び方などを見ながら、お子さんの様子を観察していくんですね。

西野:ええ。そのうえで言語聴覚士の専門分野であるコミュニケーションについて、その子がどんな手段をもっているか、どんな場面でどんなコミュニケーション方法をとるか、ということに着目します。


たとえばASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんのコミュニケーションの特徴の一つに、「クレーン現象」があります。言葉が出ないので、動作で自分の気持ちを伝えようとするんですね。ジュースがほしかったら、お母さんの手をとって冷蔵庫を開けさせる、というような行動です。クレーン現象が見られるということは、そのお子さんは「手がやってくれる」ということは理解し、自身の目的を達成するための手段として学習していると考えます。次のステップは、手が単独でやってくれるのではなく、人がやってくれるんだ、ということを認識し、コミュニケーション手段として使用することです。

ーーASDのある子どもは、目を合わせたがらず、保護者もコミュニケーションに困難を感じることが多いですね。

西野:そうですね。だからこそ、大人が意識して、自分の顔を子どもの視界に入れることが大切!たとえばおもちゃを渡すときをイメージしてみてください。
お母さんが立ったまま「はい」と手渡すのでは、子どもには手とおもちゃしか見えていないかもしれません。それをお母さんが子どもの目線にしゃがんで、自分の顔の近くで、「はい、ミニカーだよ」と渡したら、おもちゃといっしょにお母さんの目が見え、また口が動くのが見えます。目は動くものに注目する習性がありますから、自然と口の動きが目に入る。これが、言葉の理解の第一歩になり、模倣にもつながっていきます。ーー発語の前には、目や口を認識するというステップが重要なんですね。

西野:その通りです。「指差し」もコミュニケーションとして重要な意味を持ちます。

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