2023年2月7日 06:15
発達障害の二次障害とは?症状や原因の探り方、自閉症とADHDで関連しやすい特性、6つの事例別のギモンにも回答【児童精神科医Q&A】
「二次障害の理解と対応」において大切なのは、子どもの“本当の声”に耳を傾けること
発達障害のある子どもを育てる保護者の方は、二次障害に関心のある方も多いのではないでしょうか。
二次障害とは、発達障害の特徴を理解されない環境にいることや、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどが重なり、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどの問題に至ってしまう症状が発生している状態を示します。その症状は人によりさまざまですが、二次障害が起こっている子どもとどのように関わっていったら良いのか?、将来のことが不安…など悩みはつきないと思います。
2022年12月にオンラインで開催されたセミナー「二次障害の理解と対応」も大きな反響がありました。セミナー当日は、特別講演として、代官山やまびこクリニックの院長である児童精神科医の千村浩先生が二次障害発症のきっかけや治療、各家庭でできることなどを解説。質疑応答のコーナーでは、参加された保護者の方から具体的な質問がたくさん寄せられました。セミナー後には、「対応方法を知れたことで不安が減った」「またこのようなテーマの勉強会があるとうれしい」などの声をいただきました。
今回の記事でも、二次障害について、またその対応方法などを千村先生に改めてお伺いしました。
また、当日時間の都合で答えきれなかった保護者の方から寄せられた質問に対して千村先生からのご回答をいただいています。ぜひ参考にしてください。
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・本来備わっている資質(発達障害)
・子どもを取り巻くさまざまな環境(家庭環境・そのほかの社会、気候など)
この2つの相互作用によって二次障害になり得ることがあります。
発達障害の二次障害による症状を発達障害そのものの症状と区別すること、治療やそのほかの対処についても別々に考えることは困難な場合も多くあります。
二次障害としてあらわれる症状そのものだけに焦点をあてるのではなく、その背景に子どもからのどんなメッセージがあるのかを探ることが重要です。
児童精神医のKanner(1974)は子どもの症状からのメッセージとして5つの意味を述べています。1.入場券としての症状
症状があることで医療機関を受診することになるなど。子どもがサポート機関へとつなぐ入場券の役目を持つ
2. 危険信号としての症状
問題の解決を急いでいたり、これ以上誤った対応が続けられたり、放置されることに対する警告
3. 安全弁としての症状
養育環境や生活状況がよくない場合、自分がつぶれてしまわないように自身をその危機から守る、最悪の事態を回避する
4. 問題解決手段としての症状
あえて乱暴な行動を取るなど、子どもの心理的葛藤の要因となっている問題
5. 厄介者としての症状
周囲の寛容さが乏しいために、怒りを買うように大げさに訴えられている
https://cir.nii.ac.jp/crid/1130282269111271680
参考文献:Kanner L.:Child Psychiatry,4th ed.(1972)