2023年11月25日 12:15
感覚、偏食…子どもの困りに大人ができる6つのことは?セミナーレポート「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方」文京学院大学・神作一実教授
作業療法の対象領域は大きく分けて4つあります。
1、身体障害領域:脳卒中、脊髄損傷、骨折、やけどなどを対象
2、高齢期領域:認知症、フレイルなどを対象
3、精神障害領域:統合失調症、うつ病、アルコール依存症などを対象
4、発達期領域:発達障害(ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症))、
脳性麻痺、知的障害、筋ジストロフィーなどを対象
この領域をまたがって障害が複数ある場合ももちろんあります。ただ、作業療法は人に対して、「その人がどうなりたいのか、その人が何をやりたいのか」を視点にしていますので、療育をまたがる場合でも同時にアプローチが可能です。
発達障害と深い関係性がある「感覚調整障害」
神作先生:発達障害のある方たちには「感覚調整障害」というものがしばしば起きてきます。感覚過敏をはじめ、刺激が入りすぎてどの刺激に反応したらいいのか分からなかったり、 反対に刺激が入らなすぎて必要な情報がキャッチできないということ。また、LD・SLD(限局性学習症)のお子さんたちの場合は、眼球運動のコントロールが悪いため読み飛ばしたてしまったりといった体の使い方、いわゆる、体や指先が不器用な状態です。
感覚調整障害があると、以下のようなさまざまな困りごとがでてしまいます。
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生活への影響がとても大きいため、作業療法ではこの感覚機能に対してアプローチして感覚統合機能の問題を改善し、生活のしづらさの解消を目指します。
激しい偏食があるお子さんへ作業療法士はどうアプローチする?
神作先生:では、発達障害のあるお子さんに対して作業療法士がどのようにアプローチをするのかお話しさせていただきます。基本的には、お子さんの状態の確認と問題の把握をし、感覚統合機能を促すための治療プログラムを作成し実施をいたします。治療プログラムは「Just right challenge」、つまりそのお子さんにとってちょうどいい挑戦になっているかを確認しています。偏食のように一見遊びとは関係ないようなことも、実は感覚統合機能が十分発達していないという、共通の背景がある場合があります。
例えば、食べられるものが5食品しかない激しい偏食がある発達障害の4歳のお子さんに対しては以下のようにアプローチを行いました。
・砂遊び、絵具、のりに触れること、水遊びも嫌い
・跳躍器具、ブランコは大好きだが、姿勢が保てないためすぐ降りる
・ハンモックのように姿勢を保つ必要がないものであれば30分以上乗り続ける
・ハンモックやブランコに乗っていると目が合う。