2023年11月25日 12:15
感覚、偏食…子どもの困りに大人ができる6つのことは?セミナーレポート「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方」文京学院大学・神作一実教授
それ以外の場面では目が合わない
・一人遊びを好む
・母親の膝へは自分から乗るが、大人から抱っこすることは好まない
〈食事場面〉
・唇に牛乳がつかないようにコップで飲む
・うどん、パン、豆腐も上唇につかないように食べている
・手が汚れるとすぐにおしぼりや洋服で拭く
1、触覚の過敏さがある。そのため食べ物からの感覚情報が十分にキャッチできておらず、新しい食品にチャレンジすることが困難
2、前庭系(ゆれの刺激)は求めている状態
1、ブランコに乗りながらアイコンタクトを取る(遊んでいる人と遊びの共有)
2、ブランコ、跳躍器具、ハンモックに乗り対象物を視覚的にとらえながら自分から対象物に触れる(揺れながらパンチをする、いろいろなものを握る、的当てする)
3、屋外の遊具やアスレチックで遊ぶ(楽しいことをしながらいろいろなものに触れる機会をつくる)
少しずつ食べられるものが増えると共に、自分から母親以外の人の手を引いて遊びに誘うことが増えてきている。
このように作業療法士は介入し治療を進めました。このお子さんの場合は、感覚情報の処理状況に着目し以下を取り入れたアプローチを行っています。
・大好きなゆれ刺激を楽しみながら能動的に対象物に触れる機会を作る
・感覚を媒体としたコミュニケーション
・大人と一緒に遊ぶことの楽しさを伝える
・大人に「やってほしい」ことを伝える機会を作る
感覚情報機能の改善が進んでくると、食べ物からの感覚情報をしっかりキャッチすることができるようになりますので、遊びの広がりと共に、偏食が良くなったというケースです。
子どもの発達を促す子育てのヒント
神作先生:作業療法士は、お子さんに対する治療的な介入もしていますが、大人が子どもにとってどんな環境となればいいのか、 どうすると子どもの発達を促す環境になり得るのかという視点でもアドバイスを行っています。そこで最後にお子さんの発達を促すヒントについてお話しさせていただきます。
作業療法士はお子さんが困っている状況、親御さんが困っている状況に対しても、アプローチを行っています。
ただ、「大人が困っていること=子どもが困っていること」というように本来は一致しているといいのですが、なかなかそうではなく、大人が困っていることが子どもの問題点にされてしまうこともたくさんあります。そこの見極めも、作業療法士の大事な仕事です。