子どもの発音が不明瞭、吃音、イントネーションが気になる…家での対応や相談先は?【言語聴覚士が回答】
吃音の息子に対して、家庭で日常的にできること、また吃音に対してどのような言語療法をしていただけるのか教えていただけないでしょうか。
https://h-navi.jp/qa/questions/124497
※発達ナビQ&Aに寄せられた質問より抜粋して紹介
A:2歳から4歳くらいの幼児期には「お、お、おはよう」のようにことばの出だしの音を繰り返す、「あっ……そぼう」などのように詰まって出にくい、などの症状がみられることがよくあります。そのうち7割くらいが自然によくなっていきます。5、6歳くらいになっても音の繰り返しや、力の入った非流暢な話し方が残っている場合は、その後自然に治癒しにくいといわれています。この非流暢な話し方が正常な範囲の頻度や長さを超えて生じている場合のことを吃音といいます。
時には話し方以外に、腕や肩に力が入る、顔をしかめるといった随伴する運動がみられることもあります。幼児期の吃音は、本人があまり気にしていない場合が多いのですが、このお子さんのように気づいている場合もあります。
学童期から思春期にかけて、からかいやいじめなど周囲の反応によって、吃音は「恥ずかしいもの」と捉えるようになると、話す場面に対して緊張や不安が強くなる場合がありますが、幼児期には気づいていてもあまり不安はなく、自由におしゃべりすることが多いようです。
吃りやすい何らかの神経学的な基盤があると考えられていますが、吃音の原因はまだよく分かっていません。言語獲得期である幼児期には、話したいことがたくさんあってもまだことばを想起し発語器官を動かすなどの能力が未熟であるため、そういった負荷がひとつの要因になっているのではないかと考えられていますが、情緒面の状態や環境的なストレスも影響があるといわれています。
ですから、このご家族のようにお子さんが安心してお話できる、ゆったりとした雰囲気で聞いてあげることは、大変良いことです。お子さんの表現の言語的な負荷を減らすように、複雑な説明を求めるよりも、簡単な語彙で単語や短文で答えられるような聞き方を心がける、ゆったりと話しかけ、ゆったりと聞いてあげるなどの対応が望ましいと考えられています。話し方だけでなく、スケジュールや行動全般もゆったりと余裕を持たせるとよいでしょう。3歳くらいですと、まだ自然に治ってくる可能性も高いため、直接的なトレーニングなどはせず経過を観察することが多いのですが、日常の関わり方などの助言指導をしてもらうこともできるため、一度専門家に相談してみるのもよいでしょう。