子育て情報『発達障害のある子の大学受験。共通テストの合理的配慮申請に感じる高いハードル』

発達障害のある子の大学受験。共通テストの合理的配慮申請に感じる高いハードル

しかし、高校生が「自分は発達障害かもしれない」と思っても、保護者の理解が得られなければ、未成年が一人で専門の医療機関の受診をするのは困難です。
発達障害の診断には、養育者から乳幼児期や小さな頃のエピソードなどの聞き取りを行うことも多く、自治体の子どもの医療費無料化政策なども大抵は高校生は対象外で、診断書の文書料や各種検査も自費となる場合も多く、保護者が協力的でないと難しいでしょう。

<医療機関の初診/再診・診断までに時間がかかる>

現在、発達障害専門の医師・医療機関の数が十分ではなく、初診までにかなり時間がかかることが多いようです。
さらに、発達障害の正確な診断に必要な検査や経過観察などにも時間がかかり、診断書もお願いして即日発行できるとは限りません。うちの長男が小学1年生でASDの診断を受けた時の場合も、予約から初診まで3-4ヶ月待ち、知能検査も事前説明〜結果まで1ヶ月程度かかり、経過観察も含め、診断までに最低半年以上は必要でした。その後の診察も1-3ヶ月に一度、一回10分程度で、必要に応じて予約を取ることは難しかったです。

また、児童精神科や発達小児科の診療対象は15歳まで(初診時)のことも多く、初診の時点で15歳以上の子の場合は、主に成人向けの精神科や心療内科等での受診となります。医療機関自体の数は増えるものの専門医は少なく、発達障害に詳しい医師でないと、必要な検査を行ったり、配慮等への意見を詳細に記入するのは難しいかもしれません。

「小さな頃、専門病院で診断されたけど、しばらく受診していない」などの場合、再診の予約がすぐに取れない、成人向けの医療機関への移行がスムーズに行かない……などの諸問題が起こる可能性もあります。

<グレーゾーン等で、診断名がつかない>

「診断書が必要」ならば、当然「その子に診断名があること」が前提でしょう。ところが、「発達障害」はその子の個性と周囲の環境との関係次第で、困難さが強く出たり出なかったりもし、また、思春期から青年期にかけて子どもは不安定になりやすく、次々と直面する課題も変化していきます。

診断があっても環境次第であまり支障を感じない場合もあれば、逆に、グレーゾーンで診断がない子でも、例えば、いじめや不登校、虐待やハラスメント、過剰に不安を煽る情報社会の影響など、置かれた環境や直面する課題によっては、いつも以上に困難さが強くなる可能性もあります(そういう子ほど、環境を変えるチャンスを必要としています)。

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