発達障害のある子の大学受験。共通テストの合理的配慮申請に感じる高いハードル
これを少しでも解決するために、希望者の多い配慮については、すべての受験生に向けて、UD(ユニバーサルデザイン)化や、選択肢を増やす工夫等で全体のハードルを下げて頂けると、診断や障害の有無を問わず、負担が減る子はたくさんいると思います。
例えば、大学入試センターでは、令和6年度大学入学共通テストより、配慮が許可された障害のある受験生に配布する「拡大文字問題冊子」のうち、22ポイントの問題冊子では、UD(ユニバーサルデザイン)フォントのゴシック体が使用されています。UDフォントは誰もが読みやすい字体を意識してデザインされており、ディスレクシア等の子でも誤読しにくいようです。
このUDゴシック体のフォントを、一般向けのすべての問題冊子でも、使用していただけないでしょうか。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/kako_shiken_jouhou/r6/r6_point.html
独立行政法人 大学入試センター|拡大文字問題冊子のサンプル
あるいは、例えば図書館で「どなたでも、ご自由にお使いください」と貸し出している老眼鏡等と同じように、当日の会場入口等でも、必要な受験生は理由を問わず誰でも使えるように、(不正利用できないアナログの)イヤーマフ、リーディングトラッカー、置き型ルーペ等の公認グッズを貸出す……などは、できないでしょうか(障害がなくても、当日急に、過度の緊張や寝不足で音に過敏になったり、文字が見づらくなる子もいるでしょう)。
すべての受験生や、困難さが比較的小さめの"多くの「例外的」な受験生"に柔軟に対応することで、より困難さが大きな受験生にも個別に丁寧に対応しやすくなるのではないでしょうか。
まずは、発達障害のある受験生の置かれている現実を、みなさんに知っていただければ幸いです。
文/大場美鈴(楽々かあさん)
(監修:井上先生より)
楽々かあさんがご指摘のように、大学入学共通テストの配慮申請に必要となる書類一式を受験生自らが一人で準備するのは難しく、もともとそこまでは想定されていないように思います。
しかしながら、大学入学後は多くの大学で合理的配慮申請は基本的にご本人からの申請が必要となります。また、楽々かあさんが指摘されているように、ユニバーサルな受験環境を整えることは必要性も高く現実的だと思います。
現状では、発達が気になるお子さんで配慮申請をお考えの場合は、高校入学の時点から高校卒業後の進路を見据えて、保護者の方とお子さんが共に準備を始めることが大切です。