子育て情報『発達障害のある子の大学受験。共通テストの合理的配慮申請に感じる高いハードル』

発達障害のある子の大学受験。共通テストの合理的配慮申請に感じる高いハードル

などと思う/思われることは、デリケートな問題でもあります。うちの長男も高校時代、クラスメイトに発達障害があると知られることをとても不安に思っていました。なぜなら、発達障害に対する偏見やよくないイメージ、差別的な言葉など、さまざまな情報に囲まれながら、今の子どもたちは育ってきているのが現実だからです。

そんな中、「自分は発達障害があるので、共通テストで配慮を受けて受験したい」と、自ら堂々とお願いすることはハードルが高いのではないでしょうか。発達障害をオープンにする人が増えて、世間の理解も合理的配慮も進めば理想的かもしれませんが、それを人一倍多感な高校生に求めるのは酷だと感じます。

そして、私には、16〜18才の子が、周囲の協力なしに受験勉強と同時進行で、こうした煩雑な段取りを数年がかりで計画的にこなし、難しい書類の内容を正確に読み取った上で事務作業を粛々と進め、高校・医療機関・志望大学に自ら相談し配慮を求めるコミュニケーション力や根気強く交渉する強靭なメンタル、審査結果次第で短期間に臨機応変に動く力などがあったなら……「本当に発達障害があるのだろうか」と感じてしまいます。


多くの「例外的」な受験生に、柔軟な対応を…

このような現実の壁に直面する中、そもそも「例外」として扱われがちな発達障害のある子たちから、診断書や配慮実績を準備できない子や、発達障害をオープンにできない子、周囲の協力を得られない子などを、さらに「例外中の例外」として想定していたら、配慮を希望しても実際に申請できる子はごく僅かになってしまいます。

障害のある子にも平等に受験機会を確保するのが、合理的配慮実施の本来の目的だと思いますが、実際のところ、人にも環境にも恵まれた"選ばれし子"しか申請できないのでは本末転倒になってしまいます。


そして、さらに課題だと思うのが、共通テストでの配慮申請の結果を、大学独自の一般入試等でも合理的配慮実施の可否や配慮内容の判断基準としている大学もあることです(大学独自の申請書類だけで、受験時の合理的配慮が可能な大学もあります)。
逆に言えば、共通テストの申請ハードルが下がれば、各大学の入試や、高校での合理的配慮も理解が進んでいくのではないでしょうか。とはいえ、繰り返し述べたように、対応する側にも限度があり、申請には客観的な根拠資料が必要、という事情も理解できます。

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