学びの種はアニメにも! ジブリ映画『天空の城ラピュタ』から、親子でイギリスの社会と文化を学ぼう
お子さんと一緒に地図を確認してみてください。こちらの地図の黄色い部分にあたります。
『天空の城ラピュタ』にみる、イギリスの階級と文化
「空から女の子が降ってきた」——印象的なシーンで始まる『ラピュタ』の冒頭で、少年パズーは鳩に餌をあげ、トランペットを吹いています。朝日が差し込み、炭鉱を照らす美しい場面です。
『天空の城ラピュタ』には、イギリスの労働者階級の文化を象徴するものがたくさん登場します。冒頭の短いシーンをはじめとして、映画の中から、その鍵となるモチーフを一緒に読み取っていきましょう。
1. 炭鉱
主人公パズーは、鉱山で働く見習い機械工です。パズーの親方、ダッフィーも、鉱山の地下道にあるエレベーターやエンジンなどの大型機械を扱うベテラン機械工です。
石炭は産業革命を可能にした、ある意味イギリスの繁栄の基礎となる燃料でもあります。
2. トランペット
工場や炭鉱の騒音にも負けずに美しい音色を奏でるブラスバンドは、労働者に広く愛された楽器です。現在でもイギリスでは、かつての工業地帯にブラスバンドの伝統が根付いていることが多いのです。産業革命以降の労働者と金管楽器の強い結びつきがわかります。
3. ハト
パズーは鳩を飼っていますね。
レース鳩の飼育は、そもそもは教育をうけた、どちらかといえば上のほうの階級の趣味として始まりました。チャールズ・ダーウィンも飼っていたのです。
しかし19世紀の終わり頃には、多くの労働者階級の、特に男性の間で人気を集めるようになります。
レースにつきもののギャンブルも行われ、それこそ炭鉱で稼いだ日銭を鳩のレースに費やす人々も現れました。
もちろん純粋に鳩の世話とレースを楽しむ人々もいました。空を飛びたい、というパズーの純粋な夢を表しながら、同時にパズーが労働者階級の子供であることを端的に表現するシンボルとして、鳩はうまく機能しています。
4. ストライキのポスター
空賊から逃げ出すパズーを質問もせずに助けようとする親方の家には、ストライキのポスターが貼ってあります。
イギリスの労働者階級は、自分たちを「労働者階級」と認識し、団結することで、その権利を広げていこうとした側面を持っています。例えば、賃金の引き上げや労働時間の短縮を求めるために、労働組合を作ってストライキをすることもありました。
同時に、集まって勉強会をするなど、お互いの教育レベルを上げるための試みも行われました。