教育の「ICT化」とは? 知っておきたい教育界の最前線
英語の音とスペルが一致して頭に入ってきそうですね。つるみね保育園の例でもそうでしたが、プロジェクターや電子黒板を使って教材を大きく映すということは、想像以上に子どもを集中させやすいようです。
また、小学校英語教育などを研究する高橋美由紀教授(愛知教育大学)らは某小学校の6年生を対象に、Skypeを使った英語活動を実践しました。1グループ3~4人で1つのタブレットを使い、「Can you ~?」など特定のフレーズを使ってSkype越しにネイティブ講師とやりとりをしたのです。この活動には以下をはじめとする効果があったそう。
①子ども達一人一人の発話機会が多くなったこと、②ネイティブ講師達は目の前の子ども達に合わせて彼らの理解できる表現を使用して授業を行えたこと、③子ども達の英会話を行うことへのモチベーションが高まったこと
(太字による強調は編集部で施した)
(引用元:愛知教育大学学術情報リポジトリ|ICTを活用した小学校英語教育 ― スカイプを使用した事例研究を基に ―)
ICTを利用することにより、少人数で効果的な会話練習ができた、というわけですね。児童の数に応じたネイティブ講師をそのつど学校に呼ぶ、というのは費用などの面から現実的ではありませんが、Skypeならば可能になるというわけです。
特別支援教育におけるICT
ICTの利用は、障害を抱える子どもの教育において非常に有用だと考えられています。
目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりといった不便さを、デバイスやソフトが補ってくれるからです。
独立行政法人・国立特別支援教育総合研究所が、障害のある児童生徒の教育におけるICT活用事例を収集したところ、弱視(視力が正常に発達せず、眼鏡をかけてもよく見えない状態)の小学生がタブレットと漢字練習用アプリケーションを用いて書き取り練習を行う例があったそう。同研究所の共同研究によると、弱視の子はそうでない子に比べ、漢字を正確に書くのが困難なのだとか。文字を間違って覚えていたり、「点画が外れている、二重書きの線がある、不要な突出部分ができてしまうといった傾向」があったりするそうです。
そこで、学習アプリケーション「常用漢字筆順辞典」で学ばせたところ、画面を拡大することで、線と線がつながっているか・離れているかなど、漢字の細部を確認しながら漢字を書く練習ができたそう。