「10歳の壁」は飛躍のチャンス。「壁」を飛び越えるための言葉かけ
「10歳の壁」は、悪いものではない
一見厄介な存在に思える「10歳の壁」ですが、大きな成長の証であり、飛躍のチャンスでもあります。
『子どもの「10歳の壁」とは何か?乗りこえるための発達心理学』の著者である、法政大学教授 渡辺弥生氏は、「自分はなんでもできる」という根拠のない万能感を抱いたままでは、社会にスムーズに適応できないと述べています。自分とお友だちを比較できるようになるからこそ、広い視野で物事をとらえたり、「もっと頑張ろう」と高みを目指したりできると言えるでしょう。
また、同氏は、「10歳の壁」について内面が深化する時期とも述べています。たとえば、悲しい事故のニュースを目にして、会ったこともない人の心情に思いを馳せることができるようになったり、自分の内面を客観視して「僕はこういうところが良くないからなおそう」とコントロールできるようになるのがこの時期です。
10歳の壁は一概に悪いものとは言えません。親は、子どもの成長をしっかりと見守り、過度に自己肯定感が損なわれないよう、導いてあげることが大切ですね。
「10歳の壁」に負けずにチャレンジするための言葉かけ
では、具体的にどのような言葉をかけてあげれば、「10歳の壁」に負けることなく飛躍できるでしょうか。子どもの自己肯定感を高め、やる気を引き出す言葉をご紹介します。
×NG「何があったの?じゃあこうするべきだよ」
○OK「疲れちゃったね。ゆっくり休もうね」
お子さんが劣等感や自己否定感で悲しい思いをしているときに、「○○をするべき」と理詰めで教えても、より追い詰めてしまうことになりかねません。大人の目線で解決策を教えたくなる気持ちも分かりますが、気持ちに寄り添った言葉をかけ、お子さんを安心させてあげることが大切です。
×NG「お姉ちゃんはいつも満点だったよ」
○OK「前より10点も上がったね!」
子どもをほかの兄弟やお友だちと比較するのは、子どもの自尊心を傷つけ、自己肯定感を下げることにつながります。家庭教育の専門家である田宮由美氏によると、このような場合には「前より上手になったね」と、過去の自分と比べることが大切だそう。
×NG「だからダメだって言ったのに!」
○OK「お母さんも小さいとき同じ失敗をしちゃったんだ」
東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり氏によると、「失敗してもいい」(=たとえ何かあっても、お父さんとお母さんのところに行けば大丈夫)