親子で楽しむアートの冒険——『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』(Gakken刊)
その魅力は、なんといっても、簡潔でありながら卓越した作品解説にあります。作品の注目点、作者の人物像、時代背景などについてのユーモアを交えたわかりやすい解説は秀逸。子どもにもわかりやすくアート史を俯瞰できる年表や、画家たちの「妄想対談」など、裏話的にアートのおもしろさを伝える工夫も満載です。
実物の迫力を伝えるためにこだわったという高品質な図版や印刷のおかげで、絵の隅々、細かいところまでしっかりと観ることができるのもポイント。「本物」以上の鑑賞を可能にしているかもしれません。この本は、子どもたちが名画の魅力を深く理解し、アートの世界を楽しむためのすぐれたガイドとなるでしょう。
『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』(Gakken)
これだけスゴイ本、中身が気になりますよね。少しだけお見せしましょう!
P.14-15猫の形をよく見ると……歌川国芳《猫の当て字(かつを)》
猫が好きすぎて猫の仏壇までつくった江戸時代の浮世絵師・歌川国芳が、 猫を組み合わせて「かつを」という文字を描いたシュールな作品です。
P.32-33 フクザツな三角関係!? フラゴナール《ぶらんこ》
映画『アナと雪の女王』にも出てくる、ぶらんこで遊ぶ男女を描いた名画で、 ロマンチックな情景に見えるのですが、じつはドロドロの男女関係がモチーフとなっています。
P.38-39 よーく見ると全員同じ顔!?クノップフ《記憶》
ベルギーの画家クノップフが7人の女性を描いた絵なのですが、女性は全員同じ顔。そのモデルは画家の妹マルグリット。 クノップフは妹への愛が強いあまり、妹ばかりをモデルにしていたという、ちょっとこわい?作品です。
P.80-81 恐怖!自分にしか聞こえない!?ムンク《叫び》
ムンク本人が叫んでいるように見えるこの絵ですが、 ムンクの後ろを歩く2人組は突然の叫び声に驚いた様子はありません。 ムンクは叫んでいるのではなく、幻聴に耳をふさいでいたのだと言われています。
P.82-83 モフモフの子犬が推せる……!円山応挙《仔犬図》
わんこ大好きの江戸時代の画家・円山応挙が、子犬を観察して描いた名作。 思わず触りたくなるようなかわいさがあります。
P.154 モデルに受け取りを拒否された!ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》
フランスの女性画家ローランサンが、あのココ・シャネルに依頼されて描いた肖像画。