「上手だね」はNG! 自由な発想と創造力のある子がAI時代に強いわけ
子どものアート教室を主宰するデザイナーの當原容一郎氏は「否定したらアイデアが出なくなってしまう」と指摘します。
たとえば、粘土遊びをしているとき、子どもが予想外の形を作り出したとしても、それを否定する必要はありません。「失敗したら一度壊して、またつくればいい」というように、むしろチャレンジを後押しすることが大切なのです。*2
また、美術教育の専門家である後藤和人氏は、アートのおもしろさについて、料理にたとえて説明します。「カレーのルーがなければカレーはつくれませんが、アート的な観点で考えると、ルーがなかったら味噌を入れて豚汁にしてしまえばいい」と言うのです。つまり、アートには正解がないからこそ、むしろ材料が足りないような状況でこそ、子どもたちの創造性が育まれるチャンス。
「これがない」「あれが足りない」という状況を、私たち大人はつい否定的に捉えがちです。しかし、そんなときこそ「これを代わりに使ってみよう!」という発想の転換が生まれます。
そして、この「ある物をうまく利用する」という経験は、単にアートの創造性を育むだけでなく、将来的な「生きる力」にもつながっていくのです。*3
私たち大人に求められているのは、子どもの予想外の発想や行動を否定せず、むしろその自由な発想を受け止め、伸ばしていくこと。そうすることで、子どもたちは自分の創造性に自信をもち、新しいアイデアを生み出す喜びを知っていくでしょう。
4つのNGワードと、創造力を伸ばす “声かけの魔法”
子どもの絵を見たとき、私たち親は「上手だね」「これは何を描いたの?」と、つい同じ言葉を繰り返してしまいます。でも、そんな何気ない一言が、子どもの創造力の芽を摘んでしまうことも……。そこで、アート教育の現場から、子どもの感性を解き放つ “新しい声かけ” のヒントを探ってみました。
NGワード1:「上手だね」
「上手だね」とほめられ続けると、子どもは「ほめられるために絵を描く」ようになってしまいます。その結果、「これ、上手?」と常に承認を求めるようになり、絵を描く本来の楽しさを見失ってしまうかもしれません。
(アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室主宰・今泉真樹氏)
こう言い換えてみよう!
- 「個性があるね」「楽しい気持ちになるよ」
- 「この色、きれい。どうやってつくったの?」
- 工夫した点を具体的にほめる
- ほかの子と比較せず、作品への感想を丁寧に伝える
NGワード2:「これは何を描いたの?」